ギター バックナンバー

DE DE MOUSE('10年4月号)

DE DE MOUSE

待望の3rd.アルバム『A journey to freedom』
果てなく続く自由への旅路


 ジブリ映画への愛情〜男の子が自分の限界を超えてがんばる、その瞬間に生まれる気持ちよさ〜アジアからヨーロッパを駆け抜けていくような無国籍メロディ〜スクエアプッシャー、エイフィックス・ツインに代表される先鋭的エレクトロミュージック〜目の前にいるオーディエンスを躍らせることの楽しさ〜意味もなく、ワクワクしてくるような高揚感〜聖蹟桜ヶ丘駅から多摩ニュータウンあたりの風景。
 DE DE MOUSEの2年ぶりのニューアルバム『A journey to freedom』には、彼自身の好きなもの、やりたいこと、美意識、価値観が濃密に反映されている。圧倒的な情報量の多さ、ダンスミュージックとしての高い機能、そして、ノスタルジックかつアッパーな旋律。DE DE MOUSEの個性を炸裂させるとともに、あらゆるタイプの音楽ファンを興奮させる、驚異的なアルバムの誕生である。(interview:森 朋之)


メロディに反応して高揚してくれるものを

──約2年ぶりのフルアルバムということですが。

「はい。丸2年ぶりですね」

──この2年間、「DE DE MOUSE」の名前をいろんなところで見聞きするようになったわけですが、ご自身の実感としてはどうですか?

「まあ、ライブ活動がメインになってましたからね。メジャーに来る前から大体、週1回くらいはライブをやってたんですよ。昨年はそれよりちょっと多くて、60本くらいだったのかな? でも、自分のなかではそんなに変わったっていう感じはないんです。フジロックとかに出るようになって、そのぶん、目にしてもらえる機会が増えただけじゃないかなって思ってますけどね」

──認知度が上がってる気もしない?

「どうかな? まあ、それまでずっとひとりでやってたのが、バンド編成になったりしましたからね。クラブだけじゃなくてロックのフィールドにも“DE DE MOUSE っていうヘンなのがいるぞ”って呼ばれるようになったりして──キワモノ的な扱いだと思いますけど──それまで知らなかった人たちにも見せられるようになった、っていうのはあるかもしれない。そこは変わったといえば変わったのかな。あと、どうにもこうにもならないようなコメント撮りとかね、そういうどうしようもない稼動はたくさんありましたけど。“制作に集中させろよ!”みたいなこともありつつ(笑)。avexに来る前に比べたら、確かに忙しくはなってますね」

──制作に集中したいっていうのは、本音ですよね?

「そうですね。僕を家から出すなよ! って(笑)。そういうことだけじゃなくて、私生活でもけっこう激変だったりして──顔つきがぜんぜん違いますからね、2年前とは。avexに来たばかりの頃は子供っぽかった。考え方でも何でも子供っぽかったしね、実際。メジャーっていうものに期待や希望を持っていたんだけど、まわりの人たちに丸め込まれることもあり」

──オトナになってしまった、みたいな。

「いい意味でも、悪い意味でも(笑)」

──でも、今回のアルバムは素晴らしいと思いますけどね。すごく高揚したし、思い切り楽しませてもらいました。

「ありがとうございます」

──とにかく情報量の多いアルバムですよね。

「これでもかなり整理したんですけどね。次はさらにとんでもないことになると思います」

──表現したいことが膨大にあった、という気がしたんですよね。

「そうですね。前作の『sunset girls』は、かなり削ぎ落としたアルバムだったんですよ、自分のなかで」

──え、そうですか? 十分カラフルだと思ったんですが。

「最初はもっと地味だったんです。1st(『tide of stars』)のときは“クラブシーンでも、もっとメロディを聴かせたい”っていうのがあったんですよね。誰とは言いませんけど、ピアノハウスみたいなものが30万枚くらい売れたりしていて、そういうものが好きじゃなかったんです。それとは違うカタチで、みんながメロディに反応してワーッとなってくれるものを作ってみたいっていう。そういう音楽がアンダーグラウンドで盛り上がったらいいだろうなって思ったんですよね」

──なるほど。

「で、実際にクラブでプレイすると、ちゃんとみんな反応してくれたんですよね。1stは自分の予想以上に反響があったし。ただ、そうなると自分のなかでは他人事なんですけどね。レーベルオーナーから“こんなに売れてるよ”って聞かされても、“あ、すごいっすね”みたいな(笑)」

──次の作品に向いてた、ということですか?

「そうですね。自分としては、さらにメロディを強く押し出したアルバムを作りたかったんです。そのころのクラブ・シーンはダブステップとかが流行ってたんですけど、それは自分の好みではなかったし、ダンスミュージックとは違うものばかり聴いてましたからね。80年代のフュージョンだったり、前から好きだったキリンジだったり、あとは『となりトトロ』だったり。とにかく、“もっと日本っぽくするには、どうしたらいいだろう”って、そればっかり考えてた。ちょうどインディーズからメジャーに移るタイミングだったし、クラブのシーンとはちょっと距離がありましたね」

次の橋渡しになるアルバム

──その結果『sunset girls』は、余計な音を削ぎ落として、メロディを強調した作品になった、と。

「さっきも言いましたけど、初めはもっと地味だったんです。2007年の秋に入院しちゃったんですけど、退院してから聴いてみたら“いくらなんでも地味すぎるだろう”って思って、そこからちょっとアレンジをやり直して。完成度の高い作品になったと思うし、あんなに複雑なコード感のアルバムをavexから出すっていうのも、おもしろいんじゃないかなって…。まあ、あのときもいろいろありましたけどね。“少女がお祭りに行く”っていう物語を設定してたから、それを映像化したらおもしろいだろうな、とか、自分たちが演奏している後ろで、影絵のショーみたいなものが出来たらいいな、とか考えてたんですけど、そこでもスタッフの口八丁に丸め込まれて」

──(笑)やりたいことが出来なかった。

「バンドで演奏したいと思って“ドラムを入れたい”って言ったら、“じゃあ、君がいいと思うドラマーを探して、ギャラを聞いて”って。え、俺がやるの? ってケンカしたりケンカしたりケンカしたり…」

──タフにならざるを得ないですねえ。

「海外でライブしたり。昨年60本くらいライブやったって言いましたけど、毎回フロアがギューギューかっていえば、そうじゃないですからね。フタを開けてみると客が3人しかいなかったこともあるし、そこでどう見せるか? っていう覚悟も決まったし。2ndを作ってたときは周りをシャットアウトしてたところがあるんだけど、ライブをやっていくなかで、みんなを躍らせるのは楽しいなって思うようになってきたんですよね。一番大きかったのは、“TAICOCLUB”っていう長野でやってるイベントで、スクエアプッシャーが出てたことなんですよ。ホントにもう、自分がこういう音楽をやるきっかけになった人だし、“自分のライブなんかどうでもいい”ってくらいに楽しんで。で、ほんっとに感動して」

──どんな感じだったんですか、今のスクエアプッシャーは。

「一時期、スピリチュアルな方向に行っていて、メロディアスなものは全然やらなくなってたんですよ。2001年くらいのフジロックに来たときは、それが一番顕著だったときで。だけど昨年見たときは、“こんなにサービスする人なんだ!”ってくらい、初期の名曲をどんどんやってたんですよ。僕の好きな曲、全部やってくれた! くらいの。何ていうか、客が求めてることがわかってても、“俺はそんなのやらない”っていう人だと思ってたんですよ。でも、それはメディアが勝手に作り上げたイメージだったんだなって。たぶん、もっと自由にやってるんですよね。そのことを体で感じたことで、僕自身も肩の荷を降ろせた気がしたんです。やっぱり、やりたいことをやろうって」

──なるほど。

「スクエアプッシャーとかエイフェックス・ツインとか、情報量の多いエレクトロミュージックはやっぱり好きなんですよね。2ndを作ってたころは、そのあたりはもう引退しようと思ってたんです。自分にはそっちの才能がない、と思ってたから。でも、やっぱり捨てきれないないし、好きだし、かっこいいし。あと、みんながイメージするDE DE MOUSEって、1stだと思うんですよね。だから今回は、今の僕から見たDE DE MOUSEをやってみようと思ったところもあって。そうやっていろんな距離感を取りつつ、1年半くらいずっと作ってましたね。何度もアレンジをやり直したり、バランスを取るのは大変だったんですけど」

──今回のアルバムの曲って、リズムがクルクル変化していくじゃないですか。今の話を聞いて、その理由がわかったような気がしました。

「わかりやすいですからね(笑)。ただ、今言ったみたいに“もっと自由に表現したい”っていうのはすごく感じてて。距離感やバランスもちゃんと考えるけど、根本は好きなことをやる。それができないんだったら、avexをやめてやる! みたいな気持ちがすごく芽生えてて。スタッフ的に“もっとこうしてほしい”っていうもあったと思うんだけど、僕がガンコで言うこと聞かないっていうのも知ってるだろうし、最後はサジを投げてましたけどね、“好きにしろ”って。僕のほうも、最終的にはみんなに納得してもらえるものにするっていうポリシーとモットーでやってるし。これもやりたい、あれも聴いてほしいってやってると、どうしてもゴチャゴチャになっちゃう。だから今回は、“この曲ではこれ、こっちはこれ”っていう感じで整理していったんですよね。そういう意味でも、次の橋渡しになるアルバムになったんじゃないかなって」



pic by manabu numata


イメージは郊外のニュータウン

──『A journey to freedom』っていうタイトルは、どのタイミングで決めたんですか?

「えーと、いつだったかなあ。全部出来上がった後だった気がするな…。ただ、他の候補とかはほとんど考えてなくて、とりあえず頭にあったのが『A journey to freedom』だったんですよ。これ、スクエアプッシャーの『A JOURNEY TO REEDHAM』のパロディなんですけどね。パクリじゃなくてパロディ。そういうのってもともとすごく好きで、1stのときからずっとやってるんですけど、今回はわりと多いですね。『new town romancer』は、『ニューロマンサー』っていうサイバーパンク小説(ウィリアム・ギブソン作)のパロディだし、1曲目の『my favorite swing』は『サウンド・オブ・ミュージック』の『My Favorite Things』から来ていて。わかる人はニヤッとするだろうし、“パクッるんじゃねえよ”っていう人は無視しますけどね。まあ、そういうジョークがわかってくれる人はいると思うんで」

──じゃあ、タイトルにそこまで深い意味を込めてるわけではない?

「ただ、意味があまりにもストレートで意味深だっていうのは、ちょっと気になってたんですけどね。“自由への旅? avexから逃れたいのか?”とか(笑)。でも、これ以外は思いつかなかったんですよね、ホントに。“これしかない”って思ったのは、ジャケのビジュアルのアイディアがバッと浮かんできたときかな。ゲームっぽい感じにしたら、おもしろいかもって」

──ジャケットは、PVのイラストをスクエア・エニックスの吉田明彦氏(「ファイナルファンタジータクティクス」「伝説のオウガバトル」などのキャラクターデザイン/アートディレクターとして知られるクリエイター)が手がけてるっていう。これ、すばらしいアイデアだと思います。

「PVを見た人が“このゲーム、欲しい”と思うくらいのものにしたくて。『光の4戦士−ファイナルファンタジー外伝』のサイトを見てたら──ゲームのサイトって、すごいじゃないですか。それを専門にやってる人たちが作ってるから──ふと、“この人にジャケットをやってもらいたい”って思って。スタッフは“検討します”って顔をひきつらせてましたけど、ディレクターがゲーム好きで、乗り気になったんですよね(笑)。まあ、そこからいろいろと大変でしたけどね。まず吉田さんはスクエアエニックスの社員で、社外の仕事を手がけることはなかったんですよ。そこはもう、間に立ってくださった方がすごくがんばってくれて。まさか実現するとは思ってなかったですけどね、僕自身も。ただ、吉田さんの絵によって、すべてが合致するかもっていう感じはすごくあって」

──実際、ものすごく合ってますよね。アルバムの世界観にぴったり重なってる。

「ホントに合うもんだなって。イラストのラフが上がってきたとき、自分のアルバムを再度最初から最後まで聴きましたからね。合うなあって思いながら」

──イラストのアイデアを思いつく前はどうだったんですか? アルバム全体の世界観、ストーリーは設定してた?

「一応、毎回アルバムを作るときはぼんやりとしたテーマだったり、映像みたいなものは考えるんですけどね。今回は、えーと、『おしいれのぼうけん』っていう絵本、知ってます?」

──はい、もちろん。名作ですよね。

「あれって、子供たちが押し入れに閉じ込められて、壁のところにトンネルが見えてくるじゃないですか。そこを通り抜けてみると、誰もいない夜の都市にたどり着く。あの世界観が、子供のときからすごく印象に残ってるんですよね。2年前の正月に、群馬でイベントがあったんですけど、会場の近くを歩いてたら、車とか全然通ってなくて、街灯の光だけが見えて“あ、これ、『おしいれのぼうけん』だ”って思ったんですよ。そういうイメージから、“誰もいないパレード”みたいなものにつながっていったんですよね。5曲目の『starry mice parade』はまさにそうなんですけど、現実とファンタジーの間にあって、どこか怖くて、不気味なところも感じられて」

──DE DE MOUSE の原風景なのかもしれないですね。

「根底にはあるかも。僕ね、郊外のニュータウンとか大好きなんですよ」

──それなら、多摩ニュータウンとか、最高じゃないですか?

「そうなんですよ! 僕、めちゃくちゃ詳しいですよ。アー写とかもけっこうあのあたりで撮影してるんですけど、スタッフがドン引きするくらい詳しいんです。住んでるわけでもないのに、“あそこを曲がると、あれがあって、そこからあの建物が見えて…”って、ずっと説明してて(笑)。二十歳くらいのときはとにかく外国に住みたくてしょうがなかったんだけど、“外国なんか住んだら、多摩ニュータウンに行けなくなる”って、もう住みたくなくなりました。『耳をすませば』を観たときも、いろんなものがリンクしたし」

──多摩ニュータウンあたりの風景がモデルになってるみたいですね。

「今回のアルバムのジャケットの背景も、多摩ニュータウンなんですよ。多摩センターっていう駅があって、そこからモノレールが出てるんですけど、あの感じを描いてほしいって。そういうことも全部(吉田)先生にお話して。先生の奥さんがあのあたりの出身らしくて、すごくわかってもらえたみたいでしたね。スクエアのスタッフの方は“こいつ、細けえな”って思ってたと思うけど(笑)」

10年後にもちゃんと成立する作品

──好きなもの、影響を受けた風景がたくさん込められてる。

「そう。でも、このジャケットは自分の想像以上ですね。100%以上のものを描いていただいたなって。あとね、たとえば『天空の城ラピュタ』でパズーがシータを助けるシーンとか、ああいうものもイメージしてました。少年が自分の限界を超えて、少女を助けようとする──少年っていうのがいいんですよね。もうちょっと大人になると、性的なものが入ってきちゃうから」

──どうして惹かれるんだと思います?

「うーん…。あの、限界を超えて何かをやろうとするときって、そのことしか考えてないと思うんですよ。アドレナリンが出まくって、すごく気持ちいいんじゃないかなって。自分の音楽を聴いてもらったとき、そういう感覚を与えられたらすごくいいだろうなって思うんですよね。気持ちが高揚して、気持ちよくなる──基本的には、自分自身が感銘を受けたこと、その感覚を自分でも表現してみたいっていうことを、常に考えてて。『ハウルの動く城』のメインテーマソング──『人生のメリーゴーランド』っていう曲なんですけど──を聴いたとき、ボロボロ大泣きしたんですよ。そのあとすごい嬉しくなって、新宿の映画館で見たんですけど、帰り道なんかスキップするくらいの勢いで(笑)。そのときは音と映像だったわけですけど、何かを見て、こんな気持ちになれるなんてすごい! って、1日中ニヤニヤしてたんですよね。で、自分の音楽で、誰かにこういう感覚になってもらいたいなって。それができているとは思ってないけですけど、そういうシーンはいつも思い描いてましたね、今回のアルバムを作ってるときも」

──でも、ホントにワクワクするし、高揚感のあるアルバムだと思いますよ。

「ありがとうございます。もうひとつは、さっきも話したエイフェックス・ツインやスクエアプッシャーのような電子音楽ですよね。そういうものが好きな人にも“やるじゃん”って思ってもらいたいなって。すべてを成立させるためには、どうしたらいだろう? っていうことですよね。そうするとやっぱり、伝えたい情報量が増えすぎちゃって(笑)。でも、これを作ったことで、憑き物が落ちた感じはあるんですよね」

──どういうこと?

「みんなが僕に求めてるものって、やっぱりメロディだと思うんですよ。そこに応えてさえいれば、あとは何をやってもいいんだっていう自信ですよね。スクエアプッシャーのライブを見たこともそうだし、このアルバムができたこともそうなんだけど、すごくラクになったんですよね。今も新しい曲をどんどん作ってるんですけど、もう何年ぶりかわからないくらい、ポンポン出てくるようになってて。こんなこと言っちゃアレですけど、もし今回のアルバムがそれほど売れなくても、“じゃあ、売れるためにはどうしたらいいだろう?”とかって考えないと思う。もうね、そういう時代ではないんですよ。たとえばcapsuleとかPerfumeが流行ってるからって、ああいうことをやってみるっていう──それはいつの時代もどこの国でも変わらないのかもしれないけど、そういうのって、どんどん力を失ってるって感じてて。音楽業界だけじゃなくてどんな業界も不況だとか言って大変だけど、こういう時代だからこそ、伝わるものだけが伝わると思うんですよね。で、それはすごく楽しいことじゃないかなって」

──売れるとか売れないではなく、真に伝えたいことだけを考えるというか。

「うん。エレクトロミュージックのシーンもそうなんですよ。電子音楽、エレクトロ音楽って、ロックが30年かけてたどり着いたところに、10年で来ちゃったんですよね。僕はそれが97年だと思ってるんですけど、そこで成熟しきって、いまは老年期みたいなもんじゃないかなって。でも、それは悪くないと思うんです。たとえば87年の音楽を97年に聴いたときは、非常にダサくて古臭いものに感じるはずなんですよ。でも、97年の音楽を2007年に聴いたときは、そこまで劣化を感じなかったはずなんですよね」

──すでに成熟した後だから。

「その後は細分化しかないんだけど、そのぶん、純粋にダンスミュージックと向き合えるんじゃないかな、と。トレンドっていうものを抜きにして、純粋にそのアルバムの完成度を評価してもらえる、というか。今回のアルバムにしても“10年後もちゃんと成立しているはずだ”って信じてるんですよね。10年後の高校生が“DE DE MOUSEの『A journey to freedom』はやばい”って言ってくれるはずだって。もちろんダメなもんはダメだし、そういうものはすぐ劣化しちゃうんですけどね」

──ちなみに“'97年”にポイントを置いている理由って何ですか?

「えーと、'93年くらいにジャングルって言われるものが出てきて、それが発展したカタチで、ドラムンベースが出てきたのが'95年あたり。そこでスクエアプッシャーとかも登場するんですけど、ドラムンベースをさらに発展させたり、突き詰めていったピークが'97年だと思うんですよね。あと、ケミカルブラザーズの『Dig Your Own Hole』も確かそのあたりでしょ。プロディジーの『The Fat of the Land』が世界的にヒットしたり──まあ、当時は“デジロック”とかっていう、こうやって声に出すのさえ恥ずかしい言い方をしてましたけどね。ロックとデジタルの融合、みたいな(笑)。そういうものがロック雑誌でも取り上げられてたし」

──そうですね。

「ダンスミュージックの最後の発明がドラムンベースだと思ってるんですよね、僕は。98年になるとビッグビートが出てきて、ファットボーイ・スリムがヒットするんですけど、当時のシーンをリアルタイムで追っかけてた自分としては、“今年はつまんねえな”って感じだったんですよね。ファットボーイ・スリムは好きだったんですけど、シーン全体を見ると刺激的ではなくなってきていて。スクエアプッシャーも生音っぽい感じになってたし。そのあとはもう、リバイバルものばっかりですよね。エレクトロだって、新しいものではないし。bounceで特集されたりして、“何、このまちがった捉え方!”とか思ってましたけど(笑)」

──で、今は極限まで細分化が進んでる、と。

「でも、さっきも言ったとおり、いい時代だと思ってるんです。自分が大人になって考え方が変わっただけかもしれないけど、今の若い世代って、もっと純粋にエレクトロミュージックを評価してますからね。“今の時代はこうだから”っていう捉え方を全然してない。“それは昨年のトレンド。今はこっちだよね”っていう捉え方自体がイタイというか。たとえばブレイクコアとアニメソングをまったく同じ土俵で捉えてたりするんですよね。そんなのちょっと前だったら、ナードコアなんて呼ばれてダサいの極みだったわけですよ。でも今は、ひとつのジャンルとして成立しちゃってますからね。そんなこと、考えられなかったから」

──作り手としては楽しいですよね、確かに。シーンやトレンドを意識することもなく、好きなことをやろうって自然に思えるだろうし。

「そう、だから自由になった感じはすごくある。曲作ってても楽しいですよ」

──やっぱり、すごく意味のあるタイトルじゃないですか。『A journey to freedom』って。この2年間のDE DE MOUSEそのものって言えるくらいの。

「そうですね(笑)」

──この先も楽しみですね。自由にやりたいことをやって、どんな作品が生まれてくるのか。

「うん、それは自分も楽しみですね。今の目標は50曲くらい作って、そのなかから10曲くらいを選んでアルバムにしてみたいなって。で、あとの40曲は無料配信。ほんとにそれをやろうとしたら、2〜3年かかると思うけど(笑)」



A journey to freedom

RZCD-46513 / 2,100yen (tax in)
初回限定 紙ジャケット仕様
4.07 IN STORES

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Live info.

DE DE MOUSE TOUR 2010 “A journey to freedom”開催決定!

4月17日(土)LONDON, U.K. - BIG CHILL HOUSE
LIVE:DE DE MOUSE
SPECIAL ARTISTS:Neil Landstrumm / Plaid / Beyond The Wizard's Sleeve

4月23日(金)京都CLUB METRO
LIVE:DE DE MOUSE (drs:Ken Higeshiro, Gt:Natsuki Sakamoto)/group_inou
DJ:Saolilith

4月24日(土)金沢social
LIVE:DE DE MOUSE and more

4月25日(日)新潟 月岡ニューホテル冠月「月岡音泉」
LIVE:DE DE MOUSE (drs:Ken Higeshiro, Gt:Natsuki Sakamoto)
INO hidefumi / イルリメ / SUNSHINE LOVE STEEL ORCHESTRA / 曽我部恵一 / monoeye
DJ:TARO(CLUB HaLLeLujah)/ さとうまこと(PASTEL JAZZ)

4月28日(水)神戸troop cafe
「SECOND ROYAL presents GOLD FLASH #23 meets DE DE MOUSE TOUR 2010 "A journey to freedom" IN KOBE」
GUEST LIVE:DE DE MOUSE
RESIDENT DJ:高橋孝博(HALFBY)/ 森野義貴(HANDSOMEBOY TECHNIQUE)/ MuRAc0(arch/La Luna)
VJ:yoshinori takamura(tkrm.)

4月30日(金)岡山PEPPER LAND
LIVE:DE DE MOUSE and more

5月1日(土)大阪TRIANGLE
「DE DE MOUSE TOUR 2010 "A journey to freedom" × DENPA!!」
LIVE:DE DE MOUSE / and more

5月7日(金)山形 東北芸術工科大学
LIVE:DE DE MOUSE

5月8日(土)仙台CLUB SHAFT
LIVE:DE DE MOUSE / and more

5月14日(金)名古屋live & lounge vio
「jellyfish vol.23」
LIVE:DE DE MOUSE / BEMBE and more
DJ:kim morrison / cool-k

5月15日(土)群馬RAISE
「DE DE MOUSE TOUR 2010 "A journey to freedom"」& 「CRYSTAL Official Mix -Made In Japan "Future" Classics- Tour」
LIVE:DE DE MOUSE / Traks Boys / Ametsub / Cherryboy Function
DJ:CRYSTAL(Traks Boys) / ALTZ / クボタタケシ / DJ KYOKO / peechboy / YOU KOBAYASHI and more..

5月16日(日)大阪 堂島リバーフォーラム
「LIM Anniversary Party!LIM25」
LIVE : DE DE MOUSE / Idiot Pop
DJ : DJ KYOKO(XXX) / and more

5月21日(金)福岡graf
「Good Evening!」
LIVE:DE DE MOUSE / イルリメ / 浜野謙太(SAKEROCK)

5月22日(土)宇都宮PLANET musique lounge
LIVE:DE DE MOUSE
DJ:TOFUBEATS / TORU / and more

5月28日(金)代官山UNIT ※ワンマンライブ
DE DE MOUSE
(drs:Takefumi Kobayashi, drs:Norihide Saji, key:Shunsuke Watanabe, Gt:Natsuki Sakamoto)
チケット:ぴあ【Pコード349-580】/ ローソン【Lコード79520】 / e+ / SMASH(03-3444-6751)発売中!!

DE DE MOUSE official website
http://www.dedemouse.com/

DE DE MOUSE official MySpace
http://www.myspace.com/dedemouse

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