ギター バックナンバー

ONI('10年4月号)

ONI

あふりらんぽのギター&ヴォーカルが紡ぎ出す等身大の魂の歌


 元祖・野蛮系すっぽんぽん系ロック、ガッギャガギャの鋭いギターと地均しのような魂のドラム、そしてホイッスルのような「キャー!」でおなじみ、あふりらんぽ。日本のみならず海外でも知名度が高い彼女たち。今回は“オニという女性 a.k.a. あふりらんぽギター&ヴォーカルのONI”があふりらんぽを結成する以前から何年も掛けて培ってきた“オニの音楽”にスポットを当て、今の彼女が作り出したメロディをそっと円盤に吹き込んで新しい命を生み出した“今のオニの音”について訊いた。人間とお日様、大地と空、空気のリズム。これが力強く溢れ出る魂の音楽なのではなかろうか。(interview:石川 愛/下北沢SHELTER)


出産を経て歌にしたいことが増えた

──9年間ギター一本で弾き語りをやってらっしゃって、今回初めてきちんとした音源になったということで、改めておめでとうございます。その9年間で、録音方法や場所、時期など、いろいろ“かたち”にする機会はあったと思いますが、最終的に自宅録音に落ち着いた道のりは長かったのでは?

ONI:長くはなかったですが、予想外でした。今回のCDをつくる時に“しっかりしたスタジオでキレイに録ってやる!”って意気込んでキレイなスタジオで録ってみたのですが、エンジニアさんもいて、ピカピカの床で、しっかりしたマイクがあって、はよ録ってしまわなあかん! あんまり間違えられへん! っていうプレッシャーのなか、やっぱりうまく行きませんでした。ほんで、次はただで借りれたライヴハウスで録って、また雰囲気に負けて、だめで、結局以前録音したかたちと同じの、友人に借りためっちゃいいマイクと、めっちゃしょぼいデジタルのMTRを使って自宅で全くひとりで録るというかたちに戻りました。冒険のようで勉強になりました!

──改めて出来上がったものを手に取られた時、率直にどう思われましたか?

ONI:“等身大だな!”と思いました。音質も含めて。その時『SUNWAVE 等身大』というタイトルを思いついたけど、時すでに遅しでした。

──最初に聴かせていただいた印象は、今までの“あふりらんぽのONI”しか知らない方にとっては、パブリック・イメージを覆してしまうのでは? というものでした。それが何度も聴くうちに『Haritateno Gen Did Cut』が持つ類いの力強さを感じました。地面を裸足でガンガン蹴ると言うか、感情のままにぐにゃりと踊り出すような、とにかく人間の身体ひとつの持つ力強さです。音を聴けば話が早いとは思いますが、オニソロとして『SUNWAVE HEART』をつくるにあたり、気持ちとしてあふりらんぽとの決定的な違いはどんなものがありましたか?

ONI:ぴかちゅうがいない! あれっ? やっぱりいない! タンスの中も机の中も探したけれど見つからないの…。初体験! 初めて見る世界でした! ひとりでつくる難しさ、おもしろさ、たくさん学びました。

──その力強さに、実際ソロでも張りたての弦が切れることも?

ONI:わーーーーーーーーーー!!!!!!!! 切れない! 切れない! よーーーーー!!

──お子さんが3歳、かわいい盛りで、忙しい毎日を送られていると思います。8曲目の『愛のかたまり』は、歌詞にもあるとおり、新しい命そのものを唄われていますね。女性は、妊娠すると声や体質、果ては好きな食べ物までもが変わるとよく言われておりますが、妊娠中にしか思いつかないであろう特別なメロディや歌詞などはありましたか?

ONI:妊婦の時…あまり覚えてませんが、毎日のようにヨガをしたりして、とにかくゆったりしまっくてたので、うるさい音楽が聴けませんでした。それより、やっぱり産んだ後のほうがとても変わりました。歌にしたいなーと思うことが増えました。思うだけで、つくる時間はあまりありませんが…。妊婦はキレイやなー! 産んだ後は必死やなー!



歌は生が一番伝わる! 魂込めて唄う!

──その経験をしたオニさんから、これから新しい生命を生み出す予定の妊婦さんに「こういう時はこうせぇ!」というアドバイスはありますか?

ONI:「私は絶対安産!! やーーーーーーー!!!!!」って信じる! 赤ちゃんを信じる! これはすんごく大事! “痛み”ととらえない。これは赤ちゃんが出てくるエネルギー! だ! って思う! うちはそうしたよ! こないだ瞑想しながらお産してる映像を見せてもらいました。妊婦さんは声ほぼ出さず、するりと産んでました。めっちゃくちゃびびりました! すごすぎる! うちは宇宙のゴリラの母ゴリラみたいなってました!

──いい感じに気持ちが高ぶった時に挟み込んでくる自然なオニ・シャウトは、あふりらんぽファンにもたまらないものがありますね。去年はフジロックや大阪ロックデイなど、イヴェントにもソロで出演されましたが、“ライヴで唄う”ということに関していつも念頭に置いていることなどありましたら教えて頂けますか?

ONI:楽しむ! 集中! 一生懸命! “ありがとう!”と感謝の気持ち!

──10曲目のタイトル・チューンでもある『サンウェーヴダンス』の独特の歌唱法ですが、あれは独学ですか? オリジナル性があり、尚且つ懐かしいような気持ちにさせる歌声ですね。

ONI:あ、そうですか? 懐かしい…。そんなんゆわれたん初めてです。前世は原始人だったとか? みんなそうか…! ホモサピエンスの叫びだからですかね…。勝手に唄ってて、あーなってます。でも、最近はのどをちゃんとケアしてあげたいと思うようになってきて、ボイトレ習ってみたいなーと思ってます。

──4月3日から、ソロでのツアーも控えてらっしゃいますね。タテタカコさんやモノポリーズ、雰囲気といい、聴いている時の気持ちの良さといい、ぴったりでとても素敵だと思います。ライヴにいらっしゃる方へ一言頂けますか?

ONI:みなさんぜっひとんも! 生で! 聴いてほしいです! 歌は生が一番! 伝わる! 何でもそうやけど。魂込めて込めて込めて込めて! 唄いますよーーーーおおおお! 来てね! 今日も大阪城の森の中で唄ってきたよ!

──あふりらんぽとして、ソロ・アーティストとして、今後どのような活動をされていく予定ですか?

ONI:あふりも実は5月下旬に同じくdiskunionから出します! 5、6月とツアーします! よろしくね! このソロのアルバム出して、あふりも出して、一旦ゼロになって…すっぽんぽん! になります。とても気持ちいいと思います。こうしたい! という野望が最近はなくなってきました。その先、何が出てくるかは、天にお任せです! 何が出るかな? 最近はかなり母モードが強くなってきました。子供といるのがとにかく楽しい! 母であれ、ミュージシャンであれ、みんなと幸せに暮らせたらいいです。ゆるやかに成長していきたいです!

──ありがとうございました。ライヴも楽しみだし、早くこの音を皆さんに聴いて頂きたい。ライヴにいらっしゃる方は、オニさんの素敵な唄声を是非、身体で感じ取って頂きたいと思います。泣いちゃうかもよ。

ONI:ありがとうございました! 楽しかったです。インター of me! 自分の内側!



SUNWAVE HEART

01. オニという花
02. 黄色い星
03. 髪
04. 緑の天使
05. あじさい
06. ふりふり坊主
07. 鴇色の空
08. 愛のかたまり
09. Aquerius
10. サンウエーヴダンス
ハヤシライス/diskunion HAYA1001
2,100yen (tax in)
2010.4.02 IN STORES

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Live info.

『SUNWAVE HEART』レコ発ツアー
4月3日(土)大阪 伽奈泥庵[with:JB <渕上純子(ふちがみとふなと)+bikke(Lovejoy)>、トンチ(スティールパン・Vo)+須原ケイゾウ(Ba)+亀井奈穂子(Syn/ウリチパン郡)+小林加奈(タマ:世界最小のトーキングドラム)]
4月9日(金)長野 峯高寺[with:タテタカコ]
4月10日(土)長野 ネオンホール[with:タテタカコ/opening act:演劇実験室カフェシアター、岡沢じゅん]
4月11日(日)東京 SuperDeluxe[with:oneone <さや(Tenniscoats)+さとみ(Deerhoof)>、Ichi(from 名古屋)、11 <イレブン:田口史人(円盤)を中心に集まった11名のアーティストによる謎の短編パフォーマンス・ユニット>]
4月24日(土)滋賀 護国神社[with:数バンド演奏予定]
5月1日(土)名古屋 K.Dハポン[with:Ett、モノポリーズ]

あふりらんぽ official website
http://www.afrirampo.com/

posted by Rooftop at 12:00 | バックナンバー