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bedside yoshino / bedside yoshino #4
PNK1001-281 2,000yen (tax in) / IN STORES NOW5年前のちょうど今の時期、オープンから数ヶ月後のネイキッドロフトでbedside yoshino(以下、bsy)の初のソロ・ライヴ“outside yoshino #1”を企画した。『夜更けのステップ』や『デクノボーさん』といったbsyの楽曲を筆頭に、観客のリクエストに応えてeastern youthの楽曲を披露したり、アン・ルイスの『グッド・バイ・マイ・ラブ』や小谷美紗子の『眠りのうた』といったカヴァー曲を気の向くままに唄ってみたりと、eastern youthとはまた趣きの異なるアットホームなライヴで、実に味わい深いものだった。その時に会場内で売られていたのが『bsy #1』で、吉野自身が1枚1枚丁寧に焼いたCD-Rの盤面にはハンコが押され、ジャケットは水に濡れたら滲みそうなインクジェット・プリントだった。その後、『bsy』は“#2”、“#3”と回を追うにつれCD-RからCDプレスとなり、インクジェットは紙ジャケットとなったが、ごく限られた店舗とソロ公演の会場でのみひっそりと販売されることは変わらなかった。これは“手作り、手渡し”を標榜する吉野の一貫した姿勢ゆえであり、bsy自体が自宅の六畳間から生まれた手作りの結晶であるからに他ならない。生の実感を歌として形に残すことで社会との関わりを持つ吉野 寿のパーソナリティが色濃く表出したbsyの楽曲には、どれも得も言われぬ温かみと音楽に対する迸る情熱、自身を際限まで見つめる厳しさみたいなものが共存している。その辺に転がっているパーツを繋ぎ合わせるのではなく、ネジ一本から自分の手であくせくこしらえているような心尽くしの感覚が堪らなく良い。地ビールならぬ地吉野を存分に堪能できるのである。 そんな杉並区天沼産のミニマムな小品が“#4”の発売と同時に全国へ流通されることになった。昨年9月、心筋梗塞で倒れた吉野が療養中にせっせと録り溜めた全14曲を収めた“#4”、僕にとっては毎晩のキッチンドリンクに欠かせない大事なアテなのである。三途の川を渡り損ね、地獄からの生還を果たした男が鬼気迫る歌声で張り叫ぶ『朝に生まれて夜に死ぬ』や『有象無象クソクラエ』の凄味にもシビレるが、『静かなる隣人』や『ズンズン歩いて、これでいいのだ』といった穏やかな表情を称えた歌やインストもまた良い。ロックステディっぽいインストの『lonesome skinhead』を聴くと、阿佐谷の焼鳥屋で話を訊いた『THIS IS ENGLAND』という映画のことを思い出したりもする。『グローイングアップ俺達』のぶっきらぼうだが温和な眼差しや『hang around 杉並』の胸が締めつけられるメロディに落涙することもある。五感をフル稼動させて窓の向こうの微弱な電波を受け止め、全身全霊で剥き出しの自分を無比の歌として昇華させること。そんな吉野の所作はバンドでもソロでも変わらないが、bsyではバンド形態以上に吉野の血肉を感じる。誰かに声高に広めたいけど自分のものだけにしておきたい気もする、くつろげる隠れ家のような音楽である。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
ELECTRIC EEL SHOCK / LIVE AROUND THE WORLD vol.1
UICE-1158 2,000yen (tax in) / 5.05 IN STORES18年振りに阪神がリーグ優勝した時や、MOTHER3のまさかの制作再開が発表になった時のような気持ちです。なんとあのELECTRIC EEL SHOCK(以下、EES)が、活動15年目にして初のライヴ・アルバムをリリースする。これを知らされた時、“聴かずに死ねるか!”と半ばキレ気味で動じまくったのは言うまでもありません。タイトルの『LIVE AROUND THE WORLD vol.1』も本当に世界中で数多くのステージをこなしてきたEESならでは。伊達に日本インディーズHR/HMシーン界の先頭を突っ走って来たわけじゃありませんぜ、ダーティー・フォーティー。MCは主に英語。兎にも角にも、ヨーロッパ各主要都市から、「それ…地球のどこ?」というような国でのレア・ライヴ音源のオンパレード。もちろん国内のライヴ音源、さらには去年のヨーロッパ・ツアー明けに数回しか演奏していない新曲を織り交ぜた看板に偽りなしの一枚。YouTubeでの再生回数が半端ないあの曲を筆頭に、CDよりもかなり走り気味の楽曲がズラリ。嗚呼、この感動を是非諸兄姉と共有したい。「聴きたいけど、うちのCDラックがもうパンパンで」…そんな方のために、4月21日からiTunes Storeでボーナストラック付き先行発売もご用意。5月20日にはこれまたEES結成以来初の単独公演も決定。下北沢SHELTERにこぞれ。Say! 「聴かずに死ねるか! ダブルピース!」(鋲のついたリストバンドのメロイック・サインを高々と突き上げながら)
(下北沢SHELTER:石川 愛)
OLEDICKFOGGY / RUSTICが止められない
PX-200 2,625yen (tax in) / IN STORES NOWここ半年くらいのRooftopを久々に見返してみる。なんと、最近の我が心の名盤、OLEDICKFOGGYの『RUSTICがとめられない』が1度として紹介されていないではないか! こりゃイカン…ってワケで、発売から半年以上たってますが筆をとった次第。日本の音楽シーンにはまだ馴染みがなさそうなこの「RUSTIC」というジャンル。BLUEGRASSやWESTERN SWING(アメリカ)、CELTやIRISH(アイルランド)、MUSETTE(フランス)、GALICIA(スペイン)などの欧米の伝統音楽を、現代のバンドスタイルで表現する、というもの。使用楽器もバンジョー、フィドル、マンドリン、アコーディオンなどの伝統生楽器。OLEDICKFOGGYもバンジョー、マンドリン、アコーディオンを使う。ヨーロッパ的な哀愁感やアメリカ風の土臭さなど、らしい所を全面的に出しているが、何より詞が良い。RUSTIC的には酒や女の、いわゆる俗な歌が非常に多いのだが、70年代あたりの、1番日本語詞が綺麗だった時代の影響を感じさせる秀逸な詞が多く、元々ハードコア出の人達だけに深い物も多い。特に、2曲目の『神秘』とラストナンバーの『イメージ』は大名曲。最近のJ-ROCKやJ-POPなどに飽き飽きしている人達には特にオススメしたい。日本にこの手の音楽が登場してからもう四半世紀近くたっているが、まだまだ定着する気配がない。自分はこの「RUSTIC」なる音楽を、ひいては日本の音楽の未来をOLEDICKFOGGYに委ねるのも悪くないと思う。
(新宿LOFT:水野慎也)
片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ / サカサマデアル
YCCL-10007 2,625yen (tax in) / 4.14 IN STORES“最近うまく踊れない”“あまり夢中になれない”とお嘆きの貴兄貴女に朗報。前作『生まれてはみたものの』から1年と8ヶ月、待ちに待ったあの5人組の新譜のご案内でございます。ダンサンブルなリフにキャッチーなメロディ、ハンケチなしでは聴けぬグッと来る楽曲など、さらに磨きが掛かった演奏にゾクゾクすること間違いなしの13曲入り。今年で結成10年目、聴く耳にも新しく加わりました若干のデカダン・テイストと、今まで培ったロケンロー魂も燃え尽きることなくその勢いはいよいよ増すばかりでありまして、ライヴでの演奏とはまた一味違ったその雰囲気に“流石”と深く頷かされること必至。朝聴いても昼聴いても夜中に聴いてもしっくり来る、まさに大人の色気漂う渾身の一枚と言えましょう。これらの新曲を引っさげてのツアーも決まり、ロケンロー界のみならず、日本音楽界の重鎮への階段を一歩一歩確実に上っているわけでございます。そこで訝しがっている貴兄貴女には3月に発売になったシングル『地球最期の朝がきて』がお勧め。このシングル、4曲入りでなんと315円という破格。タワレコ各店で入手可能ぞなもし。そして是非一度ライヴを観に来ていただきたい。ガッキョガキョのギターに美しくそして力強く唸るベース、狂いのない太鼓と、艶やかで色っぽく且つ漢臭さも持ち合わせるヴォーカルのハーモニー。耳目の肥えた貴兄貴女もきっと気持ちよく踊り狂って満足できることと存じます。Rooftop 6月号のスケジュールをお見逃しなく。お待ちしておりますよ。
(下北沢SHELTER:石川 愛)
ストライカーズ / PANDEMIC
XQGK-1003 1,890yen (tax in) / 4.07 IN STORES 「春ぐらいにはアルバムを出す予定」と聞いたのが、昨年11月頃だったか。そこから、どんな作品なのかずっと楽しみにしていた。彼らのことだから、さらっと聴ける曲だとは全然思ってなかったが、1曲目の『パンデミック yeah yeah』を聴いた瞬間から、想像以上のものが出来上がっている! と嬉しくなっていった。全体的にも今のストライカーズを象徴するかのような“ワイワイできる系”の曲であることはもちろん、ギターシンセを多用しているためかどこかチープなサウンドだという印象はあるが、そのチープさが逆にパーティー感を作り出しているのだろう、聴いていて気持ちがアゲアゲになっていく。そして、バンドを始めたばかりの時は、「理解出来るものなら理解してみろ」という精神でやっていた人たちなのに、今では「一緒に楽しみたいんだ!」と声高に言えるようにもなり、よくもまあここまで変わったものだと感心する。
また、今作ではサウンドもルックス的にも(!)何もかも迷いがなくなっているように思う。自信は100%超で感じられるし、バンドの雰囲気もサウンドも、ちょっとダサい感じはあるものの「どうだ!」と叩き付けられると、どうこう言おうとしている自分が実は一番ダサいんじゃないかというほどの説得力があり、最終的には彼らにしかできない最高のものが出来上がったんじゃないかという気持ちにしかならない。タイトルが『PANDEMIC』(感染)でもあり、この作品で、ストライカーズ感染者がたくさん出ることをすごく期待している。
(Rooftop:やまだともこ)
DE DE MOUSE / A journey to freedom
RZCD-46513 2,100yen (tax in) / 4.07 IN STORESもともとはサウンドやメロディーだけで音楽を楽しむという人間ではなく、言葉で伝えられるものが好きなので、歌の入っていない音楽を好んで聴くタイプではなかった。しかし、DE DE MOUSEの『sunset girls』を手にした時に自分の琴線を揺らされたところがあって、こういう音楽を聴くのも楽しいと思って以来、DE DEさんの作品は私の生活の一部になっていた。そのDE DEさんが、2年振りのオリジナル・アルバム『A journey to freedom』をリリースする。今作は、ジャケットとPVのイラストは、「ファイナルファンタジータクティクス」「伝説のオウガバトル」を手がけるスクエア・エニックスの吉田明彦氏が担当されている。少年少女の後ろに描かれた風景は、京王多摩センター辺りを元にされているそう。楽曲は、ところどころに入っているモンゴルのホーミィを思わせるヴォイスサンプリングを駆使した、男なのか女なのかわからない中世的な歌声、また、時にゲームの中に入ったようなサウンド、そして時にジブリの世界に迷い込んだかのような幻想的なサウンドは、楽曲が映し出すイマジネーションの幅を広げていく。DE DEさんの作品を聴いて、音楽の受け取り方が自由だと教わったようなものだ。この作品は、隣の家とか隣の部屋の人とかのことを気にすることなく、大音量で聴くことをお薦めする。それが無理なら、イヤフォンを使って大音量で聴こう。彼の作り出す世界に、よりどっぷり浸ることができるだろうから。
(Rooftop:やまだともこ)
やくしまるえつこ と d.v.d / Blu-Day
TKCA-73518 2,300yen (tax in) / 4.07 IN STORES 相対性理論やTUTU HELVETICAなどのヴォーカリストとして活躍する、やくしまるえつこが新ユニット「やくしまるえつこ と d.v.d」を始動した。d.v.dとは「drums, visuals, drums」の略で、その名の通り2人のドラマー、Itoken + Jimanicaと映像作家、山口崇司によるトリオ。楽器と映像を同期させたインスタレーション的なライブパフォーマンスが、音楽とアートの両シーンで話題になっているグループだ。彼らのデビュー作がこの『Blu-Day』なのだが、映像が重要な要素になっているユニットらしくCDとDVDをカップリングした作品となっている。
CDは8曲入りで、そのうちの3曲がMusicクリップとしてもDVDに収められている。どちらからPlayしてもいいが、ここはやはりDVDから先に視聴したい。1曲目『ファイナルダーリン』は視覚的に一番わかりやすくこのユニットの世界観を伝えてくれる。やくしまるの左右に2セットのドラムが並び、歌とドラムのビートに同期して背後の電光パネルが反応する。是非ともライブで体験したいパフォーマンスだ。2曲目『時計ちっく』はミニマルな電子音とリズムに乗せて、やくしまるが時報を読み上げるかわいい作品。3曲目『勝手にアイザック』はレトロなCGとホラーな楽曲が融合したアヴァンギャルドな曲で、ギターの不協和音が心地よい。CDのみの収録曲も粒ぞろいで、同日発売の相対性理論の新譜と合わせて楽みたい。
(加藤梅造)
嘘つきバービー / 化学の新作
KWLSK-090〜010 1,200yen (tax in) / IN STORES NOW 嘘つきバービーの2nd シングルが、前回に引き続きDVD付きシングルにて発売。タイトルは『化学の新作』、化学は“かがく”ではなく、“ばけがく”と読みます。まず目に留まったのは、このジャケット。彼らのブログを読んでいて、“メンバー全員(?)が、遂に初登場(!?)”と紹介されているものの、写っているのは…なんともシュールで、そして嘘つきバービーらしくて思わず微笑んでしまうようなアートワークとなっています。聴き終えてからも印象的に耳に残るギターのリフ、人懐っこくて味のあるボーカル、そこに妖しく絡んでくるドラムとベース。聴けば聴くほど、渦を巻くような曲の中へぐいぐいと引き込まれてしまう。何処からか突然やって来た孤独感や苛立ちに襲われたときに、嘘つきバービーの音楽を聴くと、言いようのないシンパシーを感じてしまうのは私だけではないはず。頭に疑問符が湧き出てしまう歌詞なんだけれども、何故だか共感してしまう。
今回のDVDには、昨年11月の渋谷CLUB QUATTROでのツアーファイナルの模様が収録されています! しかも、お値段は1200円! CDの売上不況が騒がれているこのご時世ですが、CDを買う事でこんなお得感を味わえてしまうのだから、やっぱりCDって素晴らしい! 先述したアートワークや歌詞を含めて、だからこそ音楽はパッケージとして手元にあって欲しいと思う私です。…と、そうこうしている間に、また繰り返して聴きたくなってしまいました。
(新宿LOFT:松浦由香理)
毛皮のマリーズ / 毛皮のマリーズ
COCP-36083 2,500yen (tax in) / 4.21 IN STORES誰が予想しただろうか、毛皮のマリーズまさかのメジャーデビュー!! 前作『Gloomy』から約1年。昨年の様々なアクシデントをも見方にし、数々のFESでは強烈すぎるくらいの存在感を表し、各方面を賑わせていた毛皮のマリーズ。そんな彼等が求める次なるステージは、メジャーという新たな局面。意外すぎるのだが、もしやこれは全てVo.志磨遼平の考えたシナリオなのか? 果たしてその意図は? ややこしいことを考える前に、このアルバムを聴けば、この先に広がる景色がきっとみえてくるはずだ。常にサプライズともいえるハプニング? を提示してきた彼等が、錚々たるミュージシャンを従えて、様々な展開を繰り広げている。冒頭の『ボニーとクライドは今夜も夢中』から始まり、ピアノやパーカッション、ホーンセクションがあり、『BABYDOLL』は新規開拓どころか、まさに名曲。王道ともいえる『バンドワゴン』があり、BaのヒロTこと栗本ヒロコがリードする『すてきなモリー』はLIVEでも定番である。毛皮のマリーズ的、老若男女に向けた、まさにゴキゲンなロックンロールの誕生だ。2010年の音楽シーンに、これまで以上の起爆剤となるのではないだろうか? 迷っている暇があったら、すべてをまかせて彼等の元へ。きっと面白くなるハズだから。
(下北沢SHELTER:平子真由美)
Ken Yokoyama / Four
PZCA-46 2,300yen (tax in) / IN STORE NOWHey Kids!! Was money in which CD was bought grasped? やっと届いたKEN BAND4枚目のアルバム『Four』。リアルな今のKENがガツンと脳内に響いてくる作品だ。幾度かのメンバーチェンジを経て現在の新体制になった今だからこそ出来た真骨頂的作品であろう。KENにとってこのアルバムに特別な思いがあるのかのような、今まで以上に一筋縄ではいかない筋の通ったメロや歌詞がキッズを奮い立たせる。色々なパンクで満ち溢れている日本だけれど、横山健の等身大の音楽はズバ抜けて違うモノを語りかけてくる。平凡な日常に刺激を、縛られた日々に解放を、ありふれた毎日に感謝を。個人的にだけれどKENの曲を聴く度に気持ちが揺さぶられる。自分の現状がどうあれ、このアルバムを聴いて素直に何かを感じて欲しい。そしたら拳あげて唄おう、KENBANDと共に。
(ロフトプラスワン:川島理沙)
GOGOL BORDELLO / LIVE FROM AXIS MUNDI
G10001355 2,195yen(tax in) / IN STORES NOW その時、私はとりわけすることも無くパソコンをいじっていた。日常の倦怠と将来への閉塞感に満ちた六畳の自室で、である。モノクロな毎日とか、生きのばしの生活とか、そんなネガティブな単語で埋め尽くされた空間に、その音楽は燦然と現れて、あっという間に世界を色付けて去っていったのである。それは時間にして四分かそこらの短い時間ではあったが、その間、確かに私の部屋では暴動が起きていたし、生命力のほとばしりのようなものに満たされていた。今でもその記憶は、興奮と衝撃と共に鮮明に思い出される。それくらいに、彼らの音楽はエネルギッシュだ。よく「ライブが素晴らしいバンド」などという評価を聞くが、彼らにとってはまさしく人生がライブであると言えるような、圧倒的な迫力がある。ウクライナ、チェルノブイリ難民出身のボーカルを筆頭に、ロシア、イスラエル、エクアドルなど多国籍のメンバーが、ニューヨークで出会い結成されたバンドだそう。そうして、東欧のリアルジプシーがアメリカに渡り鳴らした音楽が、極東でしがらみにまみれて暮らす一人の青年の心をこんなにも躍らすのだ。やっぱ音楽は素晴らしい! と叫ばずにはいられない。
さて、自分語りに夢中になって本作の紹介をすっかり忘れていたが、まずジャケットが文句なしにカッコイイ! あなたもそう思うなら、とにかく聴いてみればいいじゃない!
(Asagaya/Loft A 山崎研人)
Spangle call Lilli line / dreamer
PECF-1016 952yen(tax out)/ IN STORES NOW 活動12年目にして2枚目のシングルをリリースさせたSpangle call Lilli line。生き急ぐかの様に作品を作り、発表せざるを得ないミュージシャンから言わせれば何とも羨ましい環境なのかもしれない。そんなマイペースに活動している彼らはリスナーの期待を決して裏切る事なく、常に新たな切り口で私達を驚かせる。相対性理論の永井聖一をプロデューサーとして迎えたタイトル曲『deramer』は、まさにそんな作品。また、カップリングではタイトル楽曲をサロンミュージックの吉田仁がリミックスしていたり、さらに1st single『nano』のTOKYO No.1 SOUL SET川辺ヒロシによるリミックスヴァージョンと、ピアニスト小山いずみ(ex.空気公団)によるピアノヴァージョンとボリューム満点。
新たなリスナー層を巻き込む事必至となる本作は、同発である2枚のアルバム『VIEW』&『forest at the head of a river』へと繋ぐ架け橋を立派に努めています。早くも私の2010年ベスト盤に入る事間違いなし!
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)
D.W.ニコルズ / ONELBUM
初回盤DVD付き AVCH-78012/B 3,000yen (tax in) / 通常盤 AVCH-78013 2,500yen (tax in) / 4.07 IN STORES メジャー1st mini album『春風』をリリースしてから早数ヶ月でフルボリュームの1st album『ONELBUM』を届けてくれました。11曲の極上の曲たちは、リスナーみんなの背中をさりげなく押してくれる言葉の数々が詰まっています。そして何気ない日常に幸せエッセンスを振るかのようなメロディーたち。D.W.ニコルズは「主役はみんなだ!」と言わんばかりに、いつでもリスナーみんなの味方なのです。
彼らは会うといつも私の顔を真っすぐに見つめて挨拶をしてくれるのですが、そんな人柄を表すかのような真っすぐな作品。これからもそんな彼らの作品に励まされつつ、私なりに応援が出来たらいいな。新生活を始めたばかりの皆さんには特に聴いて欲しい1枚です。
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)
MUNIMUNI / MAGICAL MOONIES
VDCA-1010 3,150yen (tax in) / IN STORES NOW ブクロのカリスマ摩天楼さま率いるMUNIMUNIが、自身で究極のファーストアルバムと断言する『MAGICAL MOONIES』を完成させた。狂気と錯乱と面白さの真ん中にボールが落ちるような、とても気になる作品だ。そのバンドと言うか、摩天楼さまの見た目のイメージからかけ離れて、なんか格好良すぎる。それに、残念すぎるほど楽曲のクオリティが高い。
1曲目からディレイが深くかかっていて非常にアーティスティックで、シューゲイズの香りがして、何故か“らしくない”という印象を受けた。そしてライブではお馴染みの『パペポポ』では、あの時代の香りを匂わせながらアンニュイな雰囲気を。個人的に大好きな大名曲『フッフー』もボトムアップされたのか、曲の異常な重さが増していて、この曲だけでも買いだろう。
でも摩天楼さまの一番イケテル所は、本人曰くステージの上でしか愛せないそうなので、是非ライブを一度見て、是非この作品を買って欲しいです。
(新宿LOFT店長:大塚智昭)
moools / Weather Sketch Modified
epcd 060 2,625yen (tax in) / IN STORES NOW はい、モールスです。4年ぶりとなるこのアルバムは本当に最高です。手に入れてからというもの毎日聴いています。毎日は言い過ぎかも知れませんが、小田急線に乗るとこのアルバムの曲を思い出すくらい。(通勤中いつも聴いているから)
ライブでは発売前から全て演奏済みのこの曲たち、9曲目の『トイプードル』は本当に音源化するのを待っていました。一昨年シェルターでのモールスまつり(モールスが主催のイベント)で聴いてからというもの探した探した! トイプードルが可愛いってだけでこんなにもすばらしい曲を作れるなんて天才です。そして3人のおっさん達(年知らないけど)がこんな可愛らしい曲を作って歌っているのがたまらんのです。本当好き!
3曲目の『落雷含み』も良い! どこか懐かしいメロディーに心に染みる歌詞、これもまたすごい聴いてます。というかさっきから私、本当! すごい! 好き! しか言っていませんね…だって本当に良いんだもん、誰かが1か月にひとつ好きなバンドやアルバムを見つけられたらそれは幸せなことって言っていたけど、このアルバムはサチコにとって今年一番の収穫かも!
(下北沢SHELTER:サチコ)
YUKI / うれしくって抱きあうよ
ESCL-3390〜ESCL-3991 3,990yen (tax in) / IN STORES NOW 発売日が待ち遠しくってどきどきしながらCD屋に行くっていうことが少なくなってきた気がする。封を開ける時のわくわく感や、音が出るまでの緊張感。最初の音が鳴った時のあの感じ。久しぶりにそれを思い出させてくれたのはYUKIの3年半ぶりのアルバムだ。彼女の言葉には嘘がない。わたしはそう思う。嘘や虚栄などではなく、優しさや強さの押しつけでもない。否定も肯定もない、あるがままの姿だ。何だかうれしいことを思い出したり、うきうきしてスキップしちゃったり、ついうっかり鼻唄をうたっちゃうような、そんな感じ。
朝から夜まで、春から冬まで、生まれてから死ぬまで悲しいことや辛いこともあるけれど、ささやかな幸せっていっぱいあるんだよ、って当たり前の素敵さや優しさに気付かせてくれる。みんな知っているはずのことを何で忘れちゃうんだろう?
このアルバムには優しい衝動がいっぱい詰まっていて、ふと耳に残るうたの余韻がずっとわたしの心の中で響いているのだ。わたしはこのアルバムを聴いてうれしくって抱きあいたくなっちゃったのだ。
(新宿LOFT:チーさん)
ロマンポルシェ。 / 盗んだバイクで天城越え
IDCA-1044 2,700yen (tax in) / 4.21 IN STORES我らが人生の兄貴分・ロマンポルシェ。6年ぶりの新作がついに完成! 前回のベストアルバム(『もう少しまじめにやっておくべきだった』)から数えても2年ぶりということで、もはや発売したことだけでも感謝したい待望のニューアルバムだ。タイトル『盗んだバイクで天城越え』は、ライブでは曲に入る前の説教としてお馴染みのフレーズだが、こうしてアルバムタイトルとなるとさらに破壊力が増す感じだ。どこか見覚えのある猫に扮したジャケットも最高。しかし本作はタイトルや見た目のみならず内容がまた素晴らしい。『ハイスクールララバイ』『ワルのテーマ』などのカバー曲からサワサキヨシヒロ!やCOTDのNARASAKIなど豪華な作家陣が提供した曲まで、収録曲はかつてないほどバラエティに富んでいる。狂気、男気、誇大妄想など掟ポルシェによる歌詞の世界観も相変わらず独特のもので、意外と多くの人に勧めてみても大丈夫なCDになっているのではないだろうか?
(加藤梅造)