田中麻友(Vocal.Keyboard)
中嶋奈津美(Guitar)
伊藤愛(Bass)
岩井智(Drums)
温かな春の気候のように、幸せを導く歌。
高らかに鳴り響くContrary Paradeの1st.ミニアルバム。
これまでにも良質な歌とメロディーを輩出してきたSong-CRUXから、正統派のポップスを歌うContrary Paradeの『ファンファーレ』が届けられた。Contrary Paradeは、聴く人が笑顔になる楽曲を聴かせ、どんな人の心にもスッと溶けるように入り込んでふわりとした温かな風を吹き込んでくれる。“ポップス”という言葉は好きではないが、これこそが大衆性があり聴く人を選ばない“ポップ・ソング”なのではないかと思った。
そしてContrary Paradeが、長年活動をしてきた関西を離れ、遂に活動の拠点を東京に移す。きっと、すさみきったこの街に、ぬくもりを感じる歌声を届けてくれるのだろう。今回は、お先に上京をしている女性メンバー3人を迎えてお話を伺った。(interview:やまだともこ)
ようやく進む方向が見えた
──ドラムの岩井さんだけは、今も関西に住んでいるんですね。
田中:今年の4月には出てくるんです。私だけ3年ぐらい前に出てきたんですが、今回CD(『ファンファーレ』)を出してもらえることになり、なっちゃん(中嶋)と愛ちゃん(伊藤)も上京して、ようやく4人揃って東京で活動ができます。
──やはり、みなさんにとってレーベルが決まったことは大きかったんですか?
伊藤:そうじゃないと、東京には出てこれなかったので…。
──『ファンファーレ』が、出来上がって手応えはどうですか?
田中:昨年の2月に自主制作で販売していたもののリマスタリングになるんです。なので、改めて聴いてみるとここを直したいとかは正直あるんですけど、一番最初に作った作品なので思い入れは強いですね。あと、当時の衝動みたいなものは充分に詰め込まれていると思うので、そこは大事にしたいと思っています。
伊藤:私は、こんなにちゃんとしたものになるとは思っていなかったんです。2日間で急いで録って、どうなるんやろうって思っていたので、正直ビックリしました。
中嶋:でも、こうやって形になり、良い作品ができたと実感してます。それと、自分らってこんな感じなんやってのもわかりました。
田中:目指すものが改めてわかった感じです。
──もともとこういう感じのものを作りたい、というイメージは最初からあったんですよね?
田中:これを録った時はぼんやりしていたんです。何も考えてなかったというか…、曲が出来たから録ろうみたいな感じで。出来てみて、自分らの作る音みたいなものはハッキリしてきた部分はあります。
──みなさんの作品って、カフェ・ミュージック的な雰囲気がありますよね?
田中:ライブも、そういうお店の方が私たちの雰囲気が出やすいのかなと思ったことはあります。ただ、大阪にはカフェのような雰囲気のお店があまりなくて、居場所がなかなか見つけられなくて…。
中嶋:今はモナレコードさんとかネイキッドロフトさんとか、下北沢440さんにも一度出演させていただいて。こういう雰囲気のお店って良いなって思いました。
──ところで、こういった伸び伸びとした歌声とかサウンドは、どんな方から生まれるんだろうとはすごく興味があるんですけど。
田中:なっちゃんと愛ちゃんは、とにかくすごいおとなしい。4人でいても私とドラムの岩井くんばかり喋っていて、2人はそれを聞いてる感じですね。
──伊藤さんと中嶋さんから見て、田中さんはどんな方ですか? 私の勝手なイメージとしては、休みの日に井の頭公園とかを散歩して、疲れたって言いながらカフェに入って自分なりの時間を楽しんでそうと思ったんですが…。
中嶋:そう見えるのに、そうじゃないんですよ。女の子と話すよりは、男の子と漫画の話とかゲームの話とかで盛り上がる方が楽しそうにしてますね(笑)。
田中:カフェとかは好きですけど、女の子が苦手なんです。この2人はさすがに付き合いが長いから慣れてますし、そんなに女の子女の子してるわけじゃないですから大丈夫なんですけど、今で言う森ガールみたいな子は会うと緊張してしまう…。
──曲の雰囲気と人柄って全然違うんですね。となると、音楽では違う自分を表現したいんですか?
田中:いや、こういう自分もいるんだと思います。小さい時から空想とか妄想とかが好きで。詞を書くようになったのは曲を書くようになってからなんですけど、内容とかはそういうものの延長になりますね。
──とてもストーリー性の高い詞になってますからね。
田中:このアルバムは特にそうだと思います。その時期に出来たのがそういう曲ばかりだったんです。
自分を励ます曲
──歌詞の中に“未来”や“空”、“明日”のような言葉がよく出て来ますよね。現実としても、その先を見ようとしているんだという印象を受けましたよ。
田中:この歌詞を書いていた時は、どうしようって悩んでいた時期だったんです。このままやっていけるのかなという思いが常にあって、それは今も変わらずにあるんですけど、大丈夫かなっていつも思ってました。でも音楽をやることを諦めきれなかったし、頑張らないとという感じもあって、励ますような歌詞になったと思います。
──自分を励ましたい、と。
田中:そうそう、そんな感じです。やらないと! って。
──それが東京に出てくる前ぐらい?
田中:出てきてからですね。私は出てきてから。
──歌詞もそうですが、もうひとつの魅力として、歌の力とかというのはすごくあると思うんです。歌声に惹きつけられるんです。
田中:ありがとうございます。地声は低いですし、音域も狭いので意識してひっくり返したわけじゃないんですけど気付いたらこうなってたという感じなんですよ。この作品が出来て、ボイトレに通い始めました。
中嶋:近くで聴いていて、この作品がきっかけというか、このあとから変わったという印象はあります。
田中:これまでは、ちゃんと歌おうと思えば思うほどどうして良いのか全然わからなかったし、声の出し方もわからなかった。ライブでも発声練習とか準備とかを知らないので、そのまま歌っていたんです。地声じゃないので音程が取れない時もあるし、すごい不安定だったんですよ。だから、調子が良い時と悪い時の差がすごくて、そういうものって全員のテンションに関わるから、歌は練習しないとあかんなってボイトレに行こうと思ったんです。
──そうだったんですか。CDを聴いて歌声も素敵だし、アレンジもボーカルをうまく立たせてるなと感じていました。
中嶋:アレンジは、私が歌を聴きたいので自然にそうなるんだと思います。と言っても、当時はまだ細かく考えきれてないので、そう聴こえてるならありがたいです(笑)。
──アレンジを引っぱっていくのは、主に田中さんになるんですか?
田中:ギターもベースも弾けないし、ドラムも叩けないし、だいたいは投げっぱなしで「やって」って(笑)。細かいところで、こんな感じのフレーズというのはあまり伝えられないです…。
──こんな感じのフレーズでというのは、具体的にバンド名が出たりするんですか?
田中:スピッツが好きなので名前は出してしまいますが、やりすぎるとそのままになってしまうので、みんなのアレンジでなんとかContrary Paradeの形にしてもらっています。
音楽でやっていこうと腹を括った
──今結成して6年近くが経ち、その半分は東京と大阪という離ればなれの活動でしたが、それでも活動を続けて来れたというか、それぞれが思うContrary Paradeの魅力はどんなところですか?
伊藤:曲の良さだと思います。
中嶋:私も曲の良さだと思います。そこが一番の魅力ですね。
──メンバーの仲の良さというか、メンバー同士の繋がりも続けられる理由の気がしますね。
田中:なっちゃんとは10年ぐらいの付き合いになるんです。大学の頃から一緒にやってるから。
伊藤:私は、出会ったのが17歳の時でした。
田中:ここまで一緒だと、言葉が足りなくてもわかってくれるというのはあります。こういう感じっていうのがうまく説明できなくても、わからんけどわかった気がするみたいな。それでやったら、すごいはまるっていうことがよくあります。
──伊藤さんが17歳の時からとおっしゃってましたが、10代から20代を過ごしてきたとなると、その間にお互い音楽に向き合う姿勢とかが変わってくるんじゃないですか?
田中:最初は大学のサークルからなので、ほとんど遊び感覚だったんです。その延長でダラダラやってたんですが、今のメンバーになってライブを定期的にやるようになり、上京して今私たちの担当をして下さっている新井さんと知り合った頃からちゃんと考え出したというか、どうしたいみたいなものが固まってきた感じです。このCDを作って、音楽でやっていこうと腹を括ったんです。
──今後どうなっていきたいみたいなものはあります?
中嶋:いろんな人に聴いてもらいたいです。
──この歌声とこの歌は届く気がしますね。そして、この歌声を生で聴きたいなって思います。
田中:それはすごく嬉しいです。
伊藤:私は早く4人で東京に住んで、たくさん曲を作ってライブがしたいです。楽しくやっていると良いものがでてくると思うので。それにプラスして、たくさんの人が聴いてくれたら嬉しいです。
──新曲は出来ているんですか?
田中:曲は定期的に作ってます。いつでも作れるように、五線譜を持ち歩いて曲が浮かんだら書き留めて、歌詞も浮かんだら携帯に入れてはいるんですけどね。まだまだたくさん作っていかないとですよ。
──早い段階で発表できるかもしれないと。
田中:できるようにがんばります。ライブではやってる曲もあるんですけど、また次の作品を作りたいので。
──ライブもけっこうあるんですよね。4月5日には下北沢440でレコ発もありますから。
田中:この日は、レコ発でもありますし、仲が良いバンドにたくさん出てもらうんです。タイトルが「Contrary Parade&rabuka presents さながらジャンボリー “Spring has come!”」なんですけど、タイトル通りワイワイ楽しくできたらいいなって思います。
1st mini album
『ファンファーレ』
1. ジュブナイル
2. ドリフター
3. 世界のかけら
4. 鳥になれなかった
5. 魔女見習い
6. ビバムジカ
RTSC-018 ¥1,500(tax in)
Live info.
3月12日(金)東京代々木・Zher the ZOO
YOYOGI 5th Anniversary〜It is HERE〜 “ VIVA! MUSIC!! ”
w) PLATON / phonoport
3月28日(日)京都三条・VOXhall
ミナワpresents
『アワイロニカTOUR FINAL』
w) ミナワ / viridian(from.名古屋) / カルマセーキ / MILKBAR
4月5日(月)下北沢440
Contrary Parade&rabuka presents さながらジャンボリー “Spring has come!”
w) rabuka / SiMoN / 月球
4月9日(金)大阪 アメリカ村 digmeout ART & DINER
friday night cafe
w) 月球 / chocolatre
Contrary Parade official website
http://www.contraryparade.com/