ギター バックナンバー

つばき×メレンゲ('10年3月号)

つばき×メレンゲ

祝! つばき結成10周年!!
変わらずに走り続けてきた三人の、第二章が今始まる!!


 2010年4月10日をもって結成10周年を迎えるつばき。現メンバーになって8年の間には事務所やレコード会社から離れたり、解散の危機もあり、それでもバンドを続けてこれたのは、多くの人との出会いや支えがあったからこそだろう。現在はメンバーのみで活動をしているというだけに、バンドとして多くのものを経験し、もっともっと精神的にもバンドとしても強くなっていくに違いない。10年とは言わず、15年、20年と活動を続けて欲しいと切に思う。
 今年は毎月10日につばき企画のイベントを開催し、これまで以上に精力的に活動をしている彼ら。結成の記念日でもある4月10日には、新宿ロフトで朋友のメレンゲを迎え2マンライブを開催!! 10年を迎えても、がむしゃらに走り続けるつばきの勇姿をぜひ見てもらいたい。今回はつばきのボーカル&ギターの一色徳保が、メレンゲの3人それぞれと対談を行なった。一色にとっては超ロングインタビューとなったが、疲れた顔を見せず取り組む姿は、この人柄が多くの人に愛されてバンドが続けられていることを物語っているようだった。長きに渡り両バンドを応援しているロフトプロジェクトの樋口寛子女史も参加し、当時から現在を語り尽くす!!(text:やまだともこ)

一色徳保×クボケンジ編

一色徳保×クボケンジ編



俺は俺で勝手に売れるから!!

── つばきは結成から10周年を迎えますが、振り返ってみてこの10年はどうでしたか?

一色:楽しい時期も面白い時期もいろいろあった10年ですよ。今思えば、バンドを始めた時期が一番ワクワクしていたような気がします。東京に来てバンドをやり出して、お客さんが10人から20人に増えだして期待感もありましたね。バンドをやっていく上で不安感があまりなかった。それが、21歳ぐらいの時。何も怖いものがなかったですからね。

クボ:僕もそうだったよ。

── 世の中のことがだんだん見えてきたのは、何年目ぐらいになるんですか?

一色:意外とすぐだった(苦笑)。フルアルバムを出した2004年ぐらいからは、だいたいこんな感じなんだって思い始めてましたね。事務所に入って、スタッフの方と一緒にやっていた時も楽しかったんですけど、バンドを始めた当初に感じていた何も考えない楽しみとは違ったんです。アドバイスしてくれる人がいて、アイディアがいっぱい出てきたので、それをひとつずつ形にしていくという作業もあり。

── メレンゲは何年になるんでしたっけ?

クボ:結成して8〜9年ぐらい。2002年かそのちょっと前にカセットテープで出しているから、それぐらいだと思う。メジャーデビューして6年目です。

一色:テープの時代だったのか。時代を感じるね。

── 時代ですね。今でこそ情報はネットからが主流ですが、その頃は次のスケジュールはライブでの告知とバンドが配っているフライヤーでしか情報がわからなかったりしましたからね。

一色:でも、昔からフライヤーは撒かなかったです。自分があれを撒いて何になるんだろうとずっと思ってた。ライブハウスのスタッフの人にも撒けって言われたけど。

クボ:俺も1回も撒いたことない。それだけがポリシーだった。バンドマンがフライヤー撒くなんて超ダセーって思ってたから(笑)。今まで言えなかったけど…。うちのメンバーは誰も撒いてないと思いますよ。SONG-CRUXの時は、全部樋口さんに任せてた。

一色:そこは僕らも一緒ですよ。スタッフが撒いていたと思う。物販は自分でもやったけど、フライヤーを俺が撒いても意味ないと思ってたから。

クボ:俺らがつばきと出会ったのは2003年ぐらいだったっけ? 最初に出会ったのは、CRJ-tokyoのイベントでネストだった記憶がある。ネストの後はロフトとかいろいろ対バンして。

一色:しばらくして、メレンゲと渋谷クアトロでイベント“初恋の空”をやって。(*1「初恋の空」はメレンゲとつばきの共催企画)

クボ:その時出演してくれたハックルベリーフィンやNANANINEはメジャーデビューしてて、すごく先輩のイメージがあったよね。それで一緒にやれたのはすごく嬉しかった。

── 最初はお互いどんなイメージを持ってました?

一色:メレンゲはやたら声が良いと思った印象がある。

クボ:つばきは3ピースなのに音圧が良くて、4人で演奏しているぐらい音がしっかりしているという印象でした。3ピースバンドにあんまり出会ってなかったのと、出会ったとしても音圧が足りないと思っていたんだけど、つばきは音圧もあったし、ギター教えて欲しいなって思ってました。

一色:と言ってますけど、その時はほとんど話とかしてないですよね。ふわっとしか喋ってないと思う。

クボ:ボーカル同士ってなかなか…。喋りたいというのはあるんですけど、同じ作詞・作曲をしている人だったし、どうも喋りづらかった。こうやって喋るようになった数少ない人ですよ。

一色:昔は特に、ボーカル同士が話しかけることもしなかったと思う。お互い若かったし。

クボ:看板背負ってます、みたいなムードはありましたね。

一色:オマエらとは違うし、一緒にすんなよって思ってた(苦笑)。メロコアのシーンとかって、レーベルでひとつシーンを作るとか、みんなで頑張ろうぜとか仲が良いじゃないですか。でも、俺らの世代ってそういう風潮は全然なかった。俺は俺で勝手に売れるからって(笑)。仲良くなったらすごい仲良くなるんですけどね。メレンゲとは、その後すごく自然に付き合っていくようになったんですよね。ただ、今もめちゃくちゃ仲が良いとかではないんです。

クボ:普段飲みに行くわけでもないし。

一色:でも俺は尊敬しているんですよ。

クボ:よく言いますわ。そんな話したことないじゃん(笑)。

一色:してるって、心の奥底で。クボ君の曲が素晴らしいとは当時から思っていたよ。なんでこういうメロディーが書けるのかなって今でも思うし。いつの間にか曲を提供する側にもなってたりして、そりゃそうだよなと思いますけどね。尊敬しているところもあるから、普通にワーッって仲良くはなれないけど、メレンゲの動向はいつも気にしてます。休止していた時は、クボ君どうするのかなとは思ったけど、ヤマちゃんやツヨシ君の方が心配しましたよ。電話してみようかなって。

クボ:ツヨシは心配されてたみたい。人が良いんですよ。…本当は悪いけど(笑)。

一色:本当に悪いです。

クボ:中身ねえけど(笑)。

樋口:でも、社交的だし人当たりが良いからね。

バンドはずっとうまくいってるわけじゃない

── ところで、4月10日がちょうどつばきが結成した日となりますが、その記念日にメレンゲを誘おうと思ったのは?

一色:好きというのと、ずっと昔から一緒にやってきてますからね。またメレンゲと一緒にやるのを見たいという声もちらほらあるし。

クボ:それはうちらも感じます。

一色:だから、この4月10日に一緒にやりたいなって思ったんです。バンドを10年やっていると、バンドも生ものなのでメレンゲもつばきも昔に比べて音楽的には変わってきてるけど、一緒にやれたらすごい楽しいなって迷ったあげくお願いしいます! って。せっかくの記念日なので、初対面のバンドを誘うというのもどうかなって思ったし。

クボ:10年の間に解散の危機ってなかったですか?

一色:あったあった。でも、メンバーが不思議と辞めたいって言わないんです。事務所やメーカーに在籍していた最後の方は、自分やスタッフのモチベーションが下がっていくのを感じて、こんなんじゃ意味がないと思った時期もあった。「このまま事務所にいてつばきを続けても良いんだけど、それなら1人でもやらせてくれ。ソロでも本気でデビュー狙うわ」って言ったら、メンバーがそれはどうかなって。他にも、辞めるかも辞めないかもって迷ってる時に、メンバーはやろうぜって言ってくれる。そういうのが、これまでの活動の中で2回〜3回あったかなぁ。だいたいベースの小川君が、やろうぜって言ってくれるんです。

クボ:そういうのって、あとになって感謝するよね。

一色:そう。あの時ナイス! って。でも、メレンゲもあったでしょ?

クボ:休んでいた時にね。解散ライブとかはしたくないから、たぶんスルッと終わっていくかとしか考えてないという話もしていたんです。でも、とりあえずライブをやり始めようという話になって、やり出してからはそんな話はなくなりました。

一色:バンドって、必ずしもずっとうまくいってるわけじゃないですからね。歳が歳だからそういう話もちらつくけど、それを乗り越えた時が一番強い。気持ち的にも盛り上がっているから。俺らは今年相当盛り上がってますよ。毎月10日のライブ以外にもいっぱい入れてますし、4月からはレコーディングをする予定でいるし…。メレンゲも今相当盛り上がっているんじゃないですか? 次の作品もすごいものが作られるんだろうなって楽しみですよ。

クボ:次もうちらは変わりますよ。できているデモの中には、わりとライブも意識した曲はある。

一色:メレンゲの曲は基本的にはアップテンポの曲が多いわけじゃないから、ライブとかを意識した曲と言ってもワーって盛り上がるのがライブというわけじゃなくて、静かな曲をホールみたいなところで聴かせる感じでやってもいいと思うけど、そういう曲ってこと?

クボ:そっち系だね。そのすごい速いテンポの曲とかは全く意識してないです。俺がそれをやると、歌が全然届かないんだよ。サウンドだけでやるっていうものもやりたかったんですけど。

一色:サウンドが繊細だから、ミドルとかスローの曲で隙間が多くて、イントロとかに印象的なリフとかフレーズがあるというのが一番かっこいいですよ。だって、『underworld』とかめっちゃかっこいいよ。

クボ:俺もあれはすごい気に入っているんですよ。

一色:イントロとか、自分にはできないから尊敬するんです。どうやってやるんだろうって一瞬考えて、チャレンジしてみて無理だって諦める。ちょっとできても似てるだけだから。

クボ:でも葛藤しましたよ。バンドを始めた当時ってロックバンドが多くて、キーボードが入ってるバンドも少なかったし、だからと言って、ただのポップスバンドみたいな見え方は一番ダサイと思っていて、そこはすごく気にしてた。それと劣等感があって、みんなギターで曲を作るけど、俺はピアノでしか曲を作れないんです。だから、リフとかのバンド感を出したいとも思っていたし、そういうライブができる人は憧れだった。つばきみたいに3人で成立できるというのは理想でしたよ。

── その劣等感は今でもあるんですか?

クボ:今もありますよ。

一色:俺もありますよ。クボ君みたいな感じでやりたいです。

クボ:ないものねだりですよね。

一色:でも、俺がメレンゲのようなことをやってもメレンゲのほうが良いに決まってるし。

クボ:俺らもそう。メンバーとも、ライブバンドを目指してお客さんを増やす。ただ、ライブバンドを目指しすぎてもやってるヤツには絶対に勝てないから、違うやり方でうちららしさを出さなきゃなというのはよく話すんですよ。

一色:そうなるよね。俺らライブやり倒してますもん。3人だけでどこまでやれるんだって。

アニバーサリーは自分達への挑戦

樋口:つばきは1月から10日縛りでライブをやってるけど、毎回ソールドアウトなんだよね。

一色:みんなの力のおかげだけど、毎回売り切れると思わなかった。そうなると、見づらいっていう意見も出てきますけど、このパターンはもうちょっと続けようと思ってます。自力でここまでできるんだってことを見せつけてやりたい。やっぱり、事務所がなくなったりすると、今まで届いていたところに届かなくなるのも事実ですからね。

クボ:でも迷いはないでしょ?

一色:うん。みんなやる気満々だから。

樋口:若い子に見てもらいたいね。どちらのバンドを見ても思うけど、若い世代にはこんなに良いバンドがいるっていう情報が届いてないんだよね。知ればすごくハマる純粋な世代でもあるから。

一色:だから若いバンドとやりたいんです。

── となると、今年は両バンドともさらに精力的に活動をしていくと。

クボ:やるつもりです。

一色:やりますよ。これを精力的じゃないと言って何を精力的だと言うんですか(笑)。

樋口:当時から見てる側からしたら、どんなペースであれ頑張ってる姿をお客さんに見せてあげられるのはモチベーションが上がるし、続けることの大事さを若い世代に伝えてあげて欲しいというのはあるな。ロフトのイベントも高校生が「見に行きます」って何人か言ってたよ。

一色:そういう世代にはぜひ見てもらいたいですよね。

クボ:“初恋の空”もAXも一緒にやって、良い意味であの頃の感じでやれたら良いと思うし、それプラス変わった感じにしたいですね。

一色:“初恋の空”の頃は、メレンゲもつばきも好きだった人が、時が経ちバンドのカラーも変わり、やっぱりつばき違うなとか、メレンゲ違うなって思っている人もいると思うんですけど、この何年間で変わった俺達も好きになれよぐらいの説得力のある演奏をお互いできるようになれば。一緒にやるのはメレンゲが復活したときのAX以来だからね。オールナイトのイベントにも遊びに来て下さいよ。

クボ:もちろん。何かできたらいいなとは思ってます。つばきの演奏で歌いたいな。

一色:つばきはいつでもスタンバっているので言って下さい。アニバーサリーと称した自分達への挑戦ですから。それが裏テーマです。



一色徳保×タケシタツヨシ編

一色徳保×タケシタツヨシ編



結局は人と人との繋がり

一色:メレンゲとして出会ったところはクボ君と話したので、俺とツヨシくんが出会った時の印象も聞こうかな。

タケシタ:つばきは、徐々に仲良くなって飲んだりしだして、小川くんが寡黙な人だったり、一色くんがアツイ男だったりっていうのがわかってきた感じですね。僕がメレンゲに入ってから1年ちょっとの間に、“初恋サンセット”にも出てもらったし、“初恋の空”も一緒にやったし、合同で企画をやったバンドってつばきぐらいですね。

── 当時は、メレンゲがつばきを誘うことが多かったんですか?

一色:俺らあんまりイベントしてなかったですからね。メレンゲもそんなにイベントしてないよね?

タケシタ:イベントはしてない。俺らの企画でつばきを呼んだのも1回ぐらいだけど、同じイベントに呼ばれて対バンをよくしたよね。あと、メレンゲの復活ライブの時に一緒にやってくれたのはすごく嬉しかった。この復活ライブの時に、一色君がクボ君に言ってたのかな。「いいよな、メレンゲは。休止してても復活したらお客さんが増えるんだもんな」って(笑)。

一色:すごい言ったね。そしたらクボ君が「つばきも活動休止すればいいじゃん」って言ってたけど、俺らが休止して増えるわけねぇだろって思いましたね(笑)。メレンゲってバンドとして特殊なんですよ。そこが尊敬するところでもあって魅力でもある。他に代わりが利かない。

タケシタ:つばきだって一緒でしょ?

一色:僕はずっとジャブ打ち続けている感じですよ。いつ倒れるかな、俺の敵…って。だからメレンゲがすごく羨ましい。東京でライブをやると言えば全国から集まってくれるでしょ。

タケシタ:たくさんの人に支えられていると実感してますよ。

樋口:今できることを精一杯やることが長く続ける秘訣の気がするね。20代の頃に感じていた焦りとか不安を越えての30代を迎えていると思うから、もっといろんなことに挑戦できるんじゃないかなって思うよ。

一色:まだまだたくさんあるけど、20代の紆余曲折は味わったし、今は覚悟を決めて音楽をやってるから良いライブができるんじゃないかって。こういう活動を続けてきたから、ライブハウスの人が応援してくれるし、いろんな人と知り合えたし、力も付けられるし。

タケシタ:結局は人と人との繋がりだよね。

一色:だから、どこかで恩返しをしたいんですよ。

樋口:いろんなライブハウスがある中で、この2マンはロフトを選んでくれたし、それがどこのライブハウスにしても最大の恩返しですよ。

マネをしたところでメレンゲにはなれない

── お互いどんなところに共感していますか?

一色:作品です。声もすごく良いし、自分が持ってないものをたくさん持ってるから憧れるし尊敬する。作品で言ったら、『ユキノミチ』の頃はすごく好き。新しい曲だと『underworld』はすごいいい。ああいうのはできないし、マネしようと思っても無理。マネしたってメレンゲにはなれないから。『heavenly days』も好き。でも、最終的に惹かれるのは人柄ですね。

タケシタ:俺らもそうだよ。つばきって音楽も人も裏表がないから。自然に話もできるし、だから好きなんです。

一色:たぶん10年ぐらいバンドを続けている人たちに、かっこ悪いバンドっていないと思うんです。だから、それ以外のところでと考えると人柄に惹かれる。クボ君もあんなんだけどすごい好きだし。

タケシタ:あんなんだけど(笑)。

一色:クボ君は気を遣うよ。そういう雰囲気が出てる。ひさびさに会って、「オーッス」とか言っても無視されんじゃないかと思うことがある(笑)。

樋口:クールな感じがするけど、アツイ人だよね。

一色:アツイのはわかるけど、心のどこかではそう思ってる(笑)。そういうパワーがすごくあるんです。

タケシタ:人見知りだからね。

樋口:でも、つばきとかメレンゲの世代のバンドって、人情の厚い人が多いよね。

タケシタ:昔からずっと見に来てくれてる人なんて、本当にありがたいなと思いますよ。

樋口:私も昔からメレンゲもつばきのライブも何回も見に行ってるけど、いつ見ても刺激を受けるし、発見もたくさんあるし、いつでも新鮮なんだよね。すごくバンド力があるんだなって思うよ。仕事柄いろんなバンドにたくさん出会うのに、つばきとかメレンゲのライブは見に行きたくなる。最近40代のバンドが長年やっててヒットチャートに入ったとか話を聞くことがありますからね、そういうのはすごく夢があるし、この2バンドにもその力はある気がするよ。

タケシタ:Queの店長の二位さんが言ってましたけど、「つばきとやるみたいだね。そういうのいいよね」って。前によくやってたバンドと一緒にやることによってお客さんが戻ってくるだろうし、お客さんも増えるし、こういうのは良い動きだと思うよって。

樋口:あとは、さっきも言ったけど若い世代の子たちにも見てもらいたいよね。自分達が影響を与える側の年齢にもなってるし、30代になっても気持ちは若くても良いけど、10代の子からしたら先生より年上だったりするから。

タケシタ:いつの間にか歳を取ってるから、まだ心構えができてないという部分はあるんですけどね(苦笑)。

最高のライブだけをやろう

── それぞれ尊敬している部分ってどんなところですか?

一色:ツヨシくんのベースも好きだし、コーラスも良いし。あとステージ映えするよね。背もバランスよく高いから。あれで低かったら、また違う見え方になったんだろうね。そういう意味でもバンドって奇跡がないと続かないから、メレンゲは続いていく要素があるんだと思う。

タケシタ:俺、ボーカルの人でここまで話す人っていなくて、ゴーイングは高校の時からの友達でボーカリストとしての友達というわけではないから、メレンゲのメンバーとして出会って仲良くなったのは一色君ぐらいじゃないかな。やっぱり打ち上げでも楽器毎で集まっちゃうことが多いから。

一色:他のパートだと、よっぽどのことがない限り話題って難しいよね。メレンゲは特に難しいと思われるかも。クボ君に何話したらよいかわからないし。

樋口:クボ君は、レーベルで出すことになったから打ち解けてくれたけど、最初は目を見て話してくれないし、ライブ終わるとすぐ帰っちゃうし…。一色君は当時から、担当していた方も含めて社交的で挨拶がきちんとできる人だったから残っていけるっていうのもあるよね。

一色:人柄と人格のみで残ってるみたいになっちゃった…。

── 10年近くやってると、メンバー間ってどういう付き合いになるんですか?

一色:俺らの場合は、女性がいるから、付き合ってるんじゃねえの? ってすごい言われる。でもそれはどうでもよくて、家族みたいな感じ。会ったら喋るけど、メールで連絡を取るぐらいだし。メンバー全員で飲みに行くというのは、バンドを始めた当時もあまりなかったですね。打ち上げでいつも飲んでますから。今年の1月に11箇所回って11回やった時はバカなんじゃね? って思いましたよ。ただ、最近3人でやっていて、できるだけケンカしないようにしようって思った。最高のライブだけをやろうって。スタッフがいなくてワンクッションがない分、ケンカをするとめんどくさいことになるし(笑)。

タケシタ:僕らは、近づいたり離れたりみたいな感じですね。会わない時期もあれば会う時期もあって。

一色:活動休止してた時期なんて会わないよね。バンドってあくまでもバンドだから、ライブをやって繋がれる。フラストレーションが溜まっていてもライブをやるとなくなるし、ライブって大事なんだなって思う。そこで、少し強引だけど4月10日のライブはね、メレンゲしか見なくなった人も、つばきしか見なくなった人も、もう一回見てやっぱり良いなと思ってくれたら嬉しいですよね。そのためには良いライブをしないとですね。

── バンド側は気付けば10年経ってたという気持ちもあるかもしれないですけど、聴く側は10年続けてくれてありがとうっていう気持ちだと思いますよ。だから、10年とは言わずにこれからも続けてもらいたいです。

一色:俺らは続けて行く気満々ですよ。やりますよ、体力が続く限り。続けていて得られるものってたくさんありますからね。

── 4/10はセッションとか何かはあるんですか?

一色:ないです。イベントに出てもらえるだけで十分なので、セッションとかは望んでないです。オールナイトもやりますから。1日を通して楽しんでもらえればと思います。



一色徳保×ヤマザキタケシ編

一色徳保×ヤマザキタケシ編



他のバンドを経験したことで得られるもの

一色:クボ君、ツヨシ君と続き、バンドのことは話し尽くした感があるので、パーソナルな話をしたいんですが、休止していた間にヤマちゃんは別のバンドのバックでドラムを叩いていたけど、そういう活動をすると精神的に成長するという部分はあった?

ヤマザキ:最初の方はプレッシャーがすごくてビビリまくっていたよ(苦笑)。バンドに出会って3本目のライブが、さいたまスーパーアリーナだったから。

樋口:そういう経験を経て、自分がメレンゲのドラマーとして戻ってきて、どう向き合えたらと思えた?

ヤマザキ:前まではどっちかと言うともっと楽曲至上的な印象があったけれど、ボーカリストと曲を作ってる人が何を考えているかを、より深く掘り下げて演奏なりをする方向にシフトチェンジしました。なんでクボ君はここでこういうアレンジしたのかとか、こういう音を欲しているのかとか。ライブ見る時もそう。前まではドラマーだからつばきの奈穂ちゃんをメインに見てた節もあるけど、最近はボーカルとドラムのやりとりを見るようになった。

── ドラマーとボーカリストの立ち位置って、どういう違いがあるんですか? 他のバンドと積極的に交流を図ろうとするのがリズム隊というイメージはありますが…。

ヤマザキ:ドラムって意外と繊細な人が多いかな。人によるからなんとも言えないけど、人の目を気にするから、ボーカリストの顔色も窺うし、歌いづらそうだったら気になるし。

樋口:ボーカルが調子悪そうだと思ったら、気遣ってあげることはある?

ヤマザキ:それはあるよ。体調悪いなと思ったらタイム感をいつもよりゆったりとしてあげるとか。

一色:そんなのできないですよ。歌いづらそうだったらタイム感遅くするなんて普通できない。

ヤマザキ:でも、奈穂ちゃんもできるよね?

一色:いや、聞いたことないですよ。俺が歌いにくそうだと思ったのを終わってから「今日歌いにくそうだったね」って言って、それで終わり。

樋口:でもちゃんとわかってるんだね。

一色:ずっとやってるから。ドラムだって客席は見えていると思うけど、フロントマンのほうが最前から後ろまで見てるじゃないですか。俺はお客さんの感じを見て合わせるじゃないけど、煽ったり煽らなかったり気にしてライブをやることはある。でも、ドラムはちょっと違って、全体を見つつプレイヤーにも意識してる。クボ君だって煽ったりしないけど、歌っていてお客さんの感じはわかるから、この感じだったらこういう風に歌おうとか、こうやってライブをしようとかって思ってるんじゃないかなぁ。聞いてみないとわからないけど(笑)。そういうのはライブ中のボーカルとドラムの違いですかね。ドラムも客席を見て感じることがあるかもしれないけれど、それよりもボーカルを見て感じて、今日はこういう感じでいくんだというのを感じてることも多い気がしますね。

ヤマザキ:僕、ボーカリストとこういう会話をしてる時が一番好きなんですよ。人によって全然違うから。ボーカリストの中には、他の楽器に自分のテンションを追い越されるのを嫌がる人もいるし、引っ張り上げて欲しい人もいるし。

一色:基本あまり気にしないんですけどね。俺はいっちゃうけど。

ヤマザキ:そこに奈穂ちゃんが押してあげる感じだ。

一色:そうだと思う。

樋口:メレンゲが休止して、リスタートしたあとのライブを見た時に、すごく変わったと思った。本当に歌を聴いてる人のドラムなんだと改めて感じましたよ。

一色:ヤマちゃんは歌をたたせるドラマーですね。この年でそんな下手くそなヤツはいないし、みんなタイプが違うけど、ヤマちゃんはここがすごい、ここがうまいっていうのがある。メレンゲはやっぱりクボ君の歌があって、ヤマちゃんのアレンジとか隙間とか空気感とかですごい曲が生きるんだよ。

ボーカリストはドラムが好き

── ドラムを始めて何年ぐらいになるんですか?

ヤマザキ:20年ぐらい。小学校6年生の時から。

一色:もうドラムしかできないね。

ヤマザキ:後戻りが利かなくなってるよ(苦笑)。

一色:いいね、潰しがきかない感じ。音楽でしか行けませんって。

ヤマザキ:“drum or die”だもんな。

樋口:思うんだけど、ボーカリストってドラマーに期待と注文をしている人が多いよね。

一色:ボーカリストは全員ドラマーに求めてる。曲を持っていって聴かせて、まずこういう感じにしてくれねえ? ってドラムに言いますから。

ヤマザキ:そう!

一色:どの楽器も重要ですけど、バンドを続ける上でドラムは重要ですね。だって一番音が大きいし、ボーカリストは確かに目立ちたがり屋だけど、ドラマーもなかなか負けてない。あと、ボーカルの人ってドラムが好きなんだよね。バンドのクッションにもなるし、言いたいことをわかってもらわないと困るし、わかってくれるし。つばきの場合、俺とベースが困ったら奈穂ちゃんに頼りますね(苦笑)。女性だから余計に精神的支柱になっているんです。

── 無理な要望でもある程度受け入れてくれる、と。

一色:受け止めないかも知れないけど言っちゃう。

ヤマザキ:逆に言ってもらってるのはありがたいことだと思ってる部分もあります。期待されてなかったら言わないもんね。

一色:クボ君って明らかにバンドの核になっているし、楽曲のアレンジまでちゃんと作り込んでるから、この曲があまり良くならないのはアレンジのせいだろうって、アレンジをすごく重視してると思う。俺は逆で、曲によって違うけど勢いで作りたい場合もある。言ってしまえばメンバーの手癖でも良くて、また似たようなのを持ってきやがってっていうのも嫌いじゃない。だから、あそこまで徹せられるのは尊敬する。1曲ずつアレンジまでやるって大変ですからね。

── こうじゃないパターンもあるみたいなのもある?

ヤマザキ:クボ君が作ってきたものに答えを出してから、こういうのもありますよっていうやり方はします。

一色:クボ君が言ってたのは、自分でもアレンジをガッチリ決めてない時があるんだけど、メンバーが弾いてくれたのがすごく良かったら「そんな感じ、俺もそう思ってたんだよね」って言うんだって。

ヤマザキ:考えてなかったことぐらい、こっちも気付いてるんだけどね(笑)。

一色:だから、さすがのクボ君でも、そういうことがあるんだって思いましたけど。うちは、リハ中俺1人が喋っていて、2人が言うのは曲に対して良い意味での文句というか意見だけですから(笑)。でも、たぶんこういう感じだろうっていうのもわかってくるんですよね。

ヤマザキ:おもしろいね。バンドはいろいろあって。

いつか自分の曲で叩いて欲しい

── ヤマザキさんは、一色さんの後ろで叩いてみたいという気持ちってあるんですか?

ヤマザキ:ドラマーとして、一度一緒にやりたいボーカリストではありますよ。

一色:僕も叩いてもらいたいです。30歳になったら1枚ぐらいソロアルバムを出そうって真剣に考えていて、まだ実現できてないんですけど、もしソロを出せる時が来た時に、ぜひ1曲叩いて欲しいって思ったんです。

── 10年近く同じメンバーでやっていると、悪い意味じゃなくて他の人だったらどうなるんだろうという気持ちにはなりますよね。

一色:うちのメンバーも他で叩いたり弾いたりしてますからね。いろんな人とやるのは良いことだと思いますよ。真ん中につばきの活動があって、それがブレなければいいんじゃないかと。だから、いつかヤマちゃんとやりたい。そんなメレンゲは、4月13日からSHIBUYA BOXXで4ヶ月連続のワンマンがありますけど…。

ヤマザキ:全力でやりますよ。前のライブが1月16日だから、3ヶ月ぶりぐらいになりますからね。意気込みとしては、いろいろ考えているところなんですけど、テーマがすごい明確になってきているから、そこに向けて何をしたらよいかとか今からほどよい緊迫感があります。

一色:メレンゲが4ヶ月も連続でライブをやったら相当精力的に動いているように見える。メレンゲすごい!って。そういう意味でズルイなってと思う(笑)。だって、2年ぐらい休んでて、帰ってきたー!! みたいになってたけど、今思えば休んでただけだぜって話ですからね。それが、月1でワンマンやってたらね。

── 山が動いたぐらいの…。

一色:こちとら毎月やってるっちゅーねん。でも、それぐらい代えの利かないバンドってことなんですよね。で、その3日前にはロフトの2マンがあって…。

ヤマザキ:すごい楽しみ。酸欠覚悟で臨みますよ。

一色:おかげさまでソールドアウトもしましたし。

ヤマザキ:よろしくお願いします。

一色:こちらこそお願いします。良いイベントになるのはわかっているけど、楽しくできればいいなと思います。体調管理をしっかりして。お互い楽しみながら頑張りましょうね。


Live info.

4月10日(土)新宿ロフト
つばき 10th Anniversary 「正夢になった夜」 〜結成日編〜 with Rooftop

OPEN 17:30 / START 18:30
ADV ¥2800 / DOOR ¥3300
つばき/メレンゲ

4月10日(土)新宿ロフト
つばき 10th Anniversary 「正夢になった夜」 〜番外編〜 with friends

OPEN / START 23:30
ADV ¥2500 / DOOR ¥3000
一色徳保(つばき)/ 小川博永(つばき)/ 岡本奈穂子(つばき)/ マスザワヒロユキ(テルスター/ザ・ガールハント)/ ピストン大橋(ウラニーノ) / nano sound museum / 関谷謙太郎&ヨシムラヨウヘイ(UNDER THE COUNTER)/ 永友聖也(キャプテンストライダム)/ 海北大輔(LOST IN TIME)/ 大岡源一郎(LOST IN TIME)/ 他
※250名限定ライブ!!!

つばきライブインフォ
3月4日(木)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
“YU-JI ROCK TOWN 2010”
W)plane / e-sound speaker / あすなろ

3月10日(水)下北沢GARAGE
“つばき 10th Anniversary「正夢になった夜」vol.3 〜VS編〜with i-Radio”
W)セカイイチ
SOLD OUT!!

3月21日(日)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
とちぎテレビ “Rock to the Future”

W)Dirty Old Men / アンダーグラフ / American Short Hair

http://www.tsubaki-net.com/

メレンゲライブインフォ
“ONE MAN 4series 〜起承転合”

4月13日(火)SHIBUYA BOXX ※ワンマン
5月13日(木)SHIBUYA BOXX ※ワンマン
6月13日(日)SHIBUYA BOXX ※ワンマン
7月22日(木)SHIBUYA BOXX ※ワンマン
7月17日(土)富士急ハイランド・コニファーフォレスト“フジフジ富士Q”
フジファブリック / 奥田民生 / PUFFY / 藤井フミヤ / スカパラホーンズ / 氣志團 / 片寄明人(Great3,Chocolat&Akito) / 和田唱(TRICERATOPS) / 安部コウセイ / クボケンジ(メレンゲ) …and more!!

http://www.merengue.jp/

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