ギター バックナンバー

テルスター('10年1月号)

テルスター

ひねくれるだけでしか感情を表現できなかった横山マサアキが、初めて感謝を口にした!!


 テルスターが4年という長い時を経て、ようやくニューアルバムをリリースすることとなった。タイトルは『We Love You! You Love Us!』。ひねくれることでしか感情をぶつけることができなかった彼らが、よりによって“僕らはアナタのことを愛してます! だから、みんなは僕らことを愛してるはずだ!”と若干押しつけでありながらも、このタイトルを付けたことにまず驚いた。誰かと手を繋いで、一緒に何かを作り上げましょうなんて気持ちは皆無だと思ってましたから。しかし、時間が解決してくれるとはよく言ったもので、年齢を重ねると、人に対して感謝の気持ちを述べることもできるようで。そんな新たな感情が生まれたテルスターの最新作は、“ひねくれポップス”と言われたものとはちょっと違う。15年もの間音楽活動をしてきた中で培われた人間関係や様々な音楽が、皮肉を残しつつも表現された作品だ。
 今回はボーカルであり、作詞・作曲を担当する横山マサアキに真相を伺った。人間的にも、昔に比べたら少し変化をしたようにも思う。(interview:椎名宗之 / text:やまだともこ)


メンバーは最大の理解者

── 前作の『ある決意』は何年ぐらい前でしたっけ?

横山:2006年の5月にリリースなので、4年ぶりぐらいになりますね。

── この間に、横山さんは町田直隆&PK BATTLES、ストライカーズ、元LINKの柳井くんのバンドGRAPEFRUITSでベースを弾いたり、遊星横町のような企画バンドがありましたが、こうした活動がテルスター本体にフィードバックできた感はありますか?

横山:はい。この4年間音源を出さなかった理由を簡単に言うと、やる気がなかったんです。ライブは話が別ですけど、急かされて何も歌いたいことがないのに歌詞を書いたすることができなくて、こういうことがやりたくて、こういうことが歌いたくて、こういうことを感じたから、こういうことをみんなに伝えたいというビジョンが決まらないと一歩動かせない人間なんです。それで、2006年に『ある決意』を出した後、自分の中がからっぽだった。世の中に打ちつけたいものは何もないし、これは最高だと表現したいものもなくなってしまったんです。その時に、いろいろやってみるのもいいだろうって町田くんと一緒にバンドを組んだりして、少しずつテルスターでこういうことをやってみたいというビジョンが見えて、ようやく形に出来たという感じです。

── 端的に言うと、テルスターに煮詰まっていた?

横山:年中煮詰まっているんですけどね(苦笑)。あと、ライブハウス(新高円寺クラブライナー)を2005年に立ち上げて、僕は1年半ぐらい前に辞めちゃったんですけど、当時はライブハウスのことしか考えられなかったんです。面白いアイディアがあったらテルスターに生かそうじゃなくて、ライブハウスに生かそうって。だからバンドに対してのアイディアも出て来ないし、自分の音楽が後回しになっちゃったというのも正直なところです。

── また吐き出したい欲求が芽生えたのはいつ頃なんですか。

横山:テルスターとして何も歌う気持ちになれなくなった、というのもライブハウスを辞めた理由なんですけど、自分の歌でこういうことをやってみたいとか、こういう曲を書いてこういうふうに伝えたいと思ったのは、仕事を離れてからです。

── 千葉さんとか増沢さんは他にもいろんなバンドで活動していて、横山さんはテルスター純血主義を貫いてきましたけど、そういう縛りももう要らないと?

横山:縛っていたつもりはないんです。自分が作って自分が歌うとなると、自分のバンドしか考えられなかったんですよ。でも、ライブハウスの仕事をメインでやっている時も、新しいものを発したいという欲求があったんでしょうね。それが他にバンドをやることで、音楽的な欲求を引き出してくれたのかなって思います。初めてベーシストとしていろんなバンドをやった経験が、頑なだった自分の音楽感を少しやわらかくしてくれたし、テルスターをやろうという気持ちにさせてくれたのも大きいです。やってなかったら、作品が出てないかもしれないですから。

── 課外活動を通じて、テルスターを客観視できましたか。

横山:できましたね。

── 改めて、どんなバンドだと思っていますか。

横山:テルスターはテルスターでなきゃできない音楽をやってると思いますし、そう思わなければやってないと思います。やる価値がある音楽だと思うし、聴く価値がある音楽だと思う。そういう意味で、すごく価値のあるバンドだと思うから15年続けてきたし、それは自分の誇りでもあります。あと続けることが大事だと言う人もいますけど、僕はあまりそうは思わなくて続けたいから続けてるんです。嫌だったら辞めますし、毎日ラーメンを食べてる人に「ラーメンを15年も食べ続けてすごいですね」って言っても「好きだから食ってるんだよ」ってなりますよね。そういう感じです。

── テルスターは、横山マサアキという人間性をダイレクトに出すには格好のバンドですか。

横山:そうですね。結成から僕が主導権を握っていて、僕の美意識を貫いて、その美意識をメンバーが理解してバックアップしてくれるという形なんです。だからみんなで何か作り上げるというよりも、僕が思った世界をメンバーが理解して、もっと強力なものにしてくれるし、そこに安心を求めているというか、メンバーが面白いと言ってくれるものは絶対に面白いという自信もあります。

── そうは言っても、横山マサアキ&ヒズ・バンドにならないところが面白いですね。

横山:それがメンバーチェンジをしてこなかった理由でもあるし、メンバーは最大の理解者だと思っているんです。だから、まず出来た曲を誰に最初に聴かせたいと言うとメンバーだし、メンバーが面白いと思わなければ面白くない音楽なんだなって思いますから。僕が詞も曲も書いているんですけど、メンバーも横山マサアキ&ヒズ・バンドにならないものにするセンスが良かったんでしょうね。

── あんなに個性とアクの強い3人をよく束ねて牽引しているなと改めて思いますけどね。

横山:束ねきれてないですよ(苦笑)。3人ともテルスター以外にもバンドもやって、僕が作る曲に魅力がなければやらないだろうと思うんです。ライブハウスの仕事をしていた当時は、千葉が社長でしたからライブハウスの主導権は千葉でしたけど、テルスターになると自分の方が主導権を握らなければいけないところで自然にできたのは、自分の作る楽曲やテルスターの活動が面白いと思ってくれていると信じているし、横山のバンドだから一緒にやってやらなきゃなって思わせるんじゃなくて、テルスターでなければ感じられない感動をメンバーと共有することを大事にしなければいけないなと思ってやってます。

初めて感謝の気持ちが生まれた

── 今回のアルバム『We Love You! You Love Us!』は文句なしに会心の出来だと思いますが、僕がレコーディングに遊びに行ったのは随分と前のことだった気がするんですけど…。

横山:昨年の2月とか、長袖を着ていた時期でしたね(笑)。

── どうしてこんなに空いてしまったんですか?

横山:お客さんにここまで待ってもらったからには、本当に納得いくものを作りたかったんです。だから、録っては聴き、時間をおいてチェックしてをダラダラ続けていたら1年かかっちゃいました。その代わり、録り終わって聴いた時に、こうしておけば良かったと思うことがないです。完璧です。

── ここまで長いタームでアルバムを作ったのは初めて?

横山:はい。前のアルバムは3日で作れとかだったんですが、もうちょっとわがままに作ってみようかなと思ったんです

── それにしても、バンド界きっての皮肉屋・横山マサアキが『We Love You! You Love Us!』というタイトルをぶつけてくるとは思いませんでしたよ(苦笑)。

横山:らしくないですよね(苦笑)。さっきの話に戻ってしまうんですけど、なんでやる気がないのかと自分に問いつめてみたんです。それで、音楽をやりたいかやりたくないかを考えた時に、ワクワクできないなら音楽をやめちゃえば良いじゃないかって思ったりもしたんですが、15年バンドを続けてこれたのは周りのおかげだななんてこともしみじみ思ったわけですよ。単純にありがたいと思う新しい感情が湧いてきたんです。初めて、友達とかメンバー、音楽仲間や仕事の相手、家族に対して少し感謝の気持ちが芽生えてきて、それに最近ビックリしたんです。

── 僕も今、ビックリしました(笑)。

横山:(笑)なので、こういった新しい感情をテーマに曲が作れるんじゃないかなって。ただありがとうとか言うんじゃなくて、15年間皮肉な考え方をしていたのに、こういう人間でも感謝の気持ちに行きつくんだなってところを表したかったんです。

── 『まっすぐ帰れない人』は皮肉屋・横山マサアキの面目躍如といった世界だし、『ソウルミュージック』にも“アイ・ラブ・ユーなんて 歌えやしない”という横山さんらしいフレーズが健在ですが、皮肉屋だって誰かに感謝したくなる瞬間はあるだろうし、感謝と皮肉を描写するバランスもいいのかもしれませんね。

横山:だから、感謝一辺倒で世界観を作るんじゃなくて、感謝の裏に憎しみとか皮肉とかもあって、その上で抱かせてくれたのも感謝ということですね。

── リード曲の『理解者』では“理解者はいないが〜”と歌っているぐらいですから(苦笑)。

横山:全然“We Love You! You Love Us!”ではないですよね。裏切りとか皮肉とかネガティブな感情を持っているからこそ、感謝の気持ちも言えるのかな。前は感謝を言うのも恥ずかしいので、皮肉を吐き捨てることでしか感謝ができなかったんですけど、皮肉を言うのも感謝をするのもすごくストレートにはなってきたかなという感じは成長した部分だと思いますね、音楽的にも人間的にも。

── 皮肉屋が放つ“We Love You! You Love Us!”という言葉の重さも感じますね。

横山:最初からアイ・ラブ・ユーを歌っている人は寛大な心の持ち主なのかもしれないけれど、僕はあまり信用ができないんです。その裏にはいろんな感情があって、それが見え隠れするような人間でいたいと思うし、“We Love You! You Love Us!”と言ってまとまるもんじゃないぞと、自分に言い聞かせた上でのこういうタイトルですね。

── 歌詞にもある通り、“デタラメだけど”。

横山:デタラメですね。でも、おっさんになったのか何なのか、そういう気持ちしか湧いてこないです。

── まるで仏様のようですけど(笑)。全体を通して聴くと、迷ったままでも前を向いて行くしかないと腹を括った潔さを感じますね。

横山:日々生活していて腹が立ったり、皮肉のひとつも言いたくなりますが、そういう気持ちも全部肯定したくなったんです。だから、“皮肉なんて言わないぜ”じゃなくて、皮肉を言い切りたい時もあるし、良いことも言いたい時もあるし、かっこつけたい時もあるし、かっこつけたくない時もあるし、素晴らしいと思う時もあるし、人間なんてくだらないと思う時もありますし。そういうのも全て素晴らしいという気持ちです。

── そんな言葉を、まさか横山さんから聞ける日が来るとは思いませんでした(笑)。『まっすぐ帰れない人』や『約束はしない』などに顕著ですが、音の質感も含めてここまでストレートな作風の曲は今までになかったんじゃないですか。

横山:ストレートになりましたよね。

── 迷ってない感じがしましたね。

横山:迷ったりすることもありますけどね。

── ひねくれることにも飽きたと言うか?

横山:飽きる時もあるし、飽きてない時もありますけど、今までは、ここはもっとひねくれなきゃいけないんじゃないかとか、“横山はこういう人間”っていうのに囚われていたのかな。期待されて嬉しい部分もあるし、期待に応えて充実する時があるし、期待に応えないで自然にやってもいいし、自分に課してたルールをあまり考えなくなったんでしょうね。

── 音楽をやる上で自由度が増した感じですね。

横山:感情が自由になりました。あと、人のことを許せるようになりました。

── 今日はらしくない言葉を連発してますけど(笑)。

横山:大人になったんでしょうね。

── 30代になったことも大きいんでしょうか。

横山:そろそろ35歳ですからね。年齢もありますし、自分の35年はバンドとか音楽とか出会いから人間が形成されているので、その中であった良いこと悪いこと悔しいことを全部含めて肯定したくなったんです。そういう経験があって今の自分がここにいて、音楽をやれていて、みんなに1枚のアルバムを届けられることができるということを考えた時に、本当にありがたいなと思ったんです。この気持ちを歌わなきゃだめだって。これを歌わないで音楽をやろうなんて、なんてわがままな人間なんだろうって。

── 今頃気づいたんですか!?(笑)

横山:遅いですよね(苦笑)。それまではその気持ちはなくはないですけど、そういうものを表現しようとは思わなかったんです。みんなわかってるじゃんって。そうじゃなくて、もう一度そういうことを表現したかったんですよ。


時代は変わらない、僕等は変わらない

── サウンドも時間を掛けただけあって、どの曲も密度の濃いアレンジになっていますね。あと、横山さんのルーツが窺える楽曲が多いのも本作における特徴のひとつだと思いました。『フリフリ2010』はタイトルからしてGSだし、一番笑ったのは『ソウルミュージック』。これ、ポリスの『ロクサーヌ』みたいじゃん! って(笑)。

横山:テルスターを始めた時に、『アウトランドス・ダムール』の疾走感があってシンプルで歌心があってというのが好きだったんです。15歳から音楽を始めたんですが、ポリスも好きですし、デキシード・ザ・エモンズに在籍していた時期もあったのでスパイダースも好きですし、自分が好きだった音楽を全部詰め込んだんです。今までは、聴いてきたものを自分のバンドに反映させることはなかったんですけど、今はそういうのも自分の血となり肉となっているので全部出そうかなって。

── 横山さんは音楽の知識が豊富だから、引き出しが多い分だけ“今これをやったらかっこ悪いだろうな”という自制心が今まではあったんじゃないかと思うんですけど。

横山:こうやったらこう見られるんじゃないかとかはありましたけど、今回は「『ロクサーヌ』がかっこいいから『ロクサーヌ』やろう」みたいな(笑)。

── 潔いですね(笑)。『恋と政治のBGM』は個人的にも好きな曲なんですけど、この曲だけmono仕様にしたのは?

横山:この時はビートルズを聴いていて、『ウィズ・ザ・ビートルズ』みたいな感じをやりたかったんです。

── 終わり方が『イット・ウォント・ビー・ロング』みたいですしね。

横山:僕がビートルズを好きな部分って、4拍目から食って入る感じのものが多いんですよ。だから『WILLY WILLY DANCE』もそうなんですけど、そういうのを散りばめているつもりです。

── そう言われてみれば、『理解者』も意表を突く節回しでユニークですね。

横山:サビの終わりなのに2番の歌い出しになってるところですね。でも、それでいてちゃんとポップソングになってないとダメなんですね。

── そういう意味で言えば、『理解者』はすごく良く出来た曲ですよね。革新的なことをやりつつも全体的にはポップで。かと思えば、ボブ・ディランを彷彿させる『時代は変わらない(The Times They Aren't A-Changing)』。皮肉屋的視点は健在だけど、ハーモニーがとにかく美しい。

横山:ボブ・ディランの『時代は変る』も保守的なものに対しての皮肉を歌った歌で、そしたら僕がやることは保守もいいぜという、根っからの皮肉屋が出ちゃいましたけど。

── オバマが大統領に就任したり、日本でも民主党の政権交代が実現したりと新しい風が吹いているのを僕は実感していますけど、それでも時代は変わらないと?

横山:時代は変わらないと言うより、僕等は変わらないということが一番大事なんです。バンドでも音楽でも、やるときに環境のせいにしたくないんです。そういうんじゃなくて、いつの時代でもワクワクするものに人は気持ちが動くものだし、そういう意味で時代は変わらない、本質は変わらないんだよということを歌いたかったんです。時代は変わっていると思いますよ。15年前には考えられなかった携帯電話だって、今ではみんなが普通に持ってますし、僕自身、20歳が35歳になったわけですからね。肉体的にも考え方も変わってますし。そういうものを含めて、時代は変わる、環境は変わる、世の中は変わる、でも僕等は変わらない、変われない。変われないからこそ時代は変わらないっていうことを言いたかったんです。

── 掴もうとすればするほど核心がするりと逃げていくのは、テルスターと言うか横山さん独自の資質ですよね。

横山:言いきってそうで言い切ってなかったりとか。

── 『約束はしない』でも、“約束はしないけど、愛することは素直に認めたい”と言い切っているじゃないですか。腹の括りも感じられるし、サウンドも質実剛健な感じだし、やっぱり音楽性も歌詞の世界観も変化してきているのを感じますね。

横山:自分ではよくわからないですけど、表れているのかなって思います。

── 音録りでとりわけ気に留めた点は?

横山:僕等が最初にアルバムを作った時代は、今のようなプロツールスではなくて、デジタルのテープなんだけど、もうちょっとめんどくさい作業だったんです。だけど今は一行歌ってそれを貼り付ければ曲になっちゃう。昔は毎回全部歌わなきゃいけないし、パンチインする作業はありましたけど貼り付けるという作業がなかったんですよね。そういう意味で自由度が増えた代わりに、生々しさは減っている気がします。だから、今回は生々しさを残して録りたかったんです。ポップソングというか歌謡曲が好きなので、ポップソングと肩を並べて聴けるものがいいんです。音楽に詳しい人も良いですけど、普段GReeeeNを聴いてる人が、こういう世界もあるんだって入れる窓口でいたいと思っているんです。僕よりも音楽が詳しくて、造詣深くてすごく細いことをやってる人はいっぱいいると思うので、そういう人に対する橋渡しみたいなことができれば良いと思うし、それができたらすごく嬉しいです。テルスターをゴールにする必要はないですから。

── ご自身では納得の出来なんですよね?

横山:はい。何回も何回もやって、納得いかないからもう1回やりたいって。歌も演奏もうまいわけではないので苦労しましたけど出し切りました。

── ここでまたからっぽになった感じですか。

横山:そうなんです。今はこれをみんなに届けたいし、伝えたいという気持ちだけですね。これをリリースして掴むものがあればそれを歌いたいと思うし、掴めないかもしれないし、そもそも音楽をやる理由がなくなってしまうかもしれないし、掴めないから楽しめなくなっちゃうかもしれないし。

── 逆に言えば、それだけ達成感のあるアルバムということですよね?

横山:はい。

── これだけクオリティーの高い楽曲をオーディエンスの前で歌うと、楽曲にまた違った魂が吹き込まれて、どんどん成長していくんじゃないかなと思いますよ。

横山:それも楽しみですね。



今日の自分があるのは、これまで知り合った人のおかげ

── 今回は“LOFT CIRCUIT 2010”と銘打って、ロフトグループの5店舗すべてでイベントを開催して頂きますけど、これは僭越ながらロフトに対する愛情の深さと捉えていいんでしょうか。

横山:15年音楽を続けてきて、ロフトがなかったらここまでやってなかったんじゃないかなって思うんです。テルスターだけでなく、GRAPEFRUITSの柳井くんはLINKの時にタイガーホールからCDをリリースしていたり、15年続けてきていろんな人と知り合っていろんな話ができたのもロフトなんです。お客さんと話しながら飲むスペースもありますし、打ち上げでもたくさんの人と話をしてきましたし、そういう出会いが今日の自分を作ってくれているので。恩返しなのか迷惑返しなのかはわからないですけど、ロフトを回りたかったんです。

── ありがたいことに、“supported by Rooftop”という言葉まで冠に付けて下さって。

横山:それこそ、昨年リリースもなかったのに、1年間遊星横町でお世話になりましたから。遊星横町がなかったら、今回のアルバムが作れなかったので感謝を詰め込みました。

── 遊星横町で得たものを具体的に言うと?

横山:一番勉強になったのは、10年以上音楽活動をやってキャリアもある4人が、ライブハウスのオーディションに出て初心に戻ったというか、池袋サイバーに行った時はライブハウスの階段を下りるのが怖かったぐらい緊張感があったんですよ。ピュアな気持ちになりましたよ、もう一回1からがんばってやってみようかなって。

── 中堅バンドにもなれば経験値が上がって、鮮度の高いことはなかなかできなくなりますからね。そう考えると、ここ数年の助走モードはテルスターの仕切り直しをするために必然だった気もしますね。

横山:そういう意味では必要な時間でしたね。ライブハウスの経営もそうだし、他のバンドでベースを弾いたり、全部が自分の中では繋がっているし、だからこそ感謝する気持ち生まれましたし。

── 今年で結成15周年、向こう10年はどんな音楽活動をしていきたいですか。

横山:それが全く考えられないんですが、自分の気持ちに正直にやらなければいけないなと思っています。ただ、音楽が大好きだから15年やってきていることは確かです。

── そこで、「音楽だけは僕の人生から拭い去れません」と絶対に言わないところが横山さんっぽいですね。自分の感情に対して常に真摯で、嘘は決して付かないのが横山さんの流儀のように感じます。

横山:嘘は付かないけど、フワッと皮肉を言う感じですね(笑)。皮肉はスパイスですから。皮肉があるから言い切る言葉が生きてくるし、感動もできると思うんです。感動するものとかの裏には絶対に皮肉が含まれていると思っています。椎名さんは『アンヴィル(夢を諦めきれない男たち)』見ました?

── まだ見てませんけど、同業者の評判は凄くいいですよね。

横山:すごく感動して、2009年で一番面白かった映画なんですけど、『アンヴィル』みたいにはなりたくないって思うんです。50歳でボーカルの主人公が弁当を配達しているシーンで、「俺は知っている、今より悪くならないことを」って言うところから始まるんですけど。

── 絶望的なバンド・ストーリーなんですか?

横山:いえ。まだスターになれると思っているんです。50歳のバンドがヨーロッパツアーに行ってお客さんが2人とかで、自分はここまでピュアにはなれないなって。

── ところで、新代田FEVERで行われる大感謝祭は縁の深いバンドから15周年をお祝いされるという、これまたテルスターらしくないイベントですよね(笑)。

横山:たまには御神輿に乗っかろうかなって。そういうことをやってみたかったんです。こんな機会もなかなかないので。それと、今回手書きのテルスター新聞を作ったんです。インターネットが普及していますけど、前は毎回チラシをコピーして、それを頼りにみんながライブを見に来たりしていたから、その気持ちになれたらと思って。ライブ会場で始まるまでに見て、こんなくだらないものを折り込んでるんだって思ってくれるだけで、何かできたのかなって思えます。

── 15年間支え続けてくれたオーディエンスやリスナーに思うところは?

横山:「なんで出さないんですか?」って業を煮やして去っていった人もいるだろうし、「出ないから嫌いになった」って思う人もいるだろうし、「いつ出るんですか?」と期待して待っていてくれる声は支えになったし、待ってくれてたみなさんには絶対に届くものだと、待った甲斐はあったというか、なぜこれだけ時間がかかったのかというのも聴いてもらえばわかるようになっていると思うので、そういう意味ではすごく感謝しています。

── 従来のファンは気味悪く感じるんじゃないですか? 横山が感謝なんて言葉を使い出したぞ、って(笑)。

横山:おっさんになったなって思われると思いますけどね。でもよくよく聴いてみると全然感謝してないですよ。お祝いの熨斗が付いていたのに、開けたら15年間履き古したパンツが入っていたみたいな感じでしょうね。でも、嬉しいですよ。自分の音楽は自分じゃなきゃ作れないですから、みんなを巻き込んで何かひとつ物事が動くというのはすごく嬉しいです。それに対してはありがとうございますという感じです。僕等がすごいお金を生むわけではないですし、経済的に動かせるわけではないですけど、そこで面白いと思ってくれる人がいて、その人の中のワクワクする気持ちが湧いてくれたらそれが一番嬉しいし、求めているものはそれだけだし。いろんな立場でいろんなことがありますけど、そういう感じですね。期待していてください、ライブも面白いと思うので。



We Love You! You Love Us!

BACA-026 / 2,100yen (tax in)
2010.1.27 IN STORES

★amazonで購入する

Live info.

テルスター結成15周年&CDデビュー10周年&NEW ALBUM
『We Love You ! You Love Us!』発売記念プロジェクト〜LOFT CIRCUIT 2010 supported by Rooftop


【ROUND 1】2010年1月20日(水)阿佐ヶ谷LOFT A
『テルスターNEW ALBUM 「We Love You! You Love Us!」発売前夜記念トークショー』
〜テルスター自身が語る「History of テルスター」&アルバム先行試聴会!

【ROUND 2】2010年1月24日(日)新代田FEVER
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜大感謝祭2010」
<出演>テルスター / Bacon / ストライカーズ / The JFK / Y.U.G(植木遊人グループ) / 町田直隆&PK BATTLES / No Regret Life / Natural Punch Drunker / [opening act] 遊星横町
※出演全バンド、テルスターの楽曲を1曲カバーします!

【ROUND 3】2010年2月9日(火)下北沢SHELTER
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜発売記念スペシャルライブ」
<出演>テルスター ...and more

【ROUND 4】2010年2月18日(木)新宿Naked LOFT
『テルスターNEW ALBUM「We Love You! You Love Us!」発売記念リクエスト大会』
<出演>テルスター(アコースティックセット)
※テルスターがリクエストにお答えするアコースティックセットライブ!

【ROUND 5】2010年3月18日(木)新宿LOFT PLUS ONE
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜裏・大感謝祭トークショー2010」
〜感謝祭2010出演バンドが語る「テルスター秘話」&テルスター楽曲カバー映像大公開!
<出演>テルスター / 星野概念(ストライカーズ) / 町田直隆 / 植木遊人 / ...and more

【FINAL ROUND】2010年4月8日(木)新宿LOFT
テルスターTOUR2010「We Love You! We Love Us!〜TOUR FINAL」
テルスターワンマンライブ

テルスター official website
http://www.badnews.co.jp/telstar/

『We Love You! You Love Us!』特設ページ
http://blog.livedoor.jp/telstar_15th/

posted by Rooftop at 10:00 | バックナンバー
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