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クボ ケンジ(メレンゲ)×志村正彦(フジファブリック)('09年11月号)

クボ ケンジ(メレンゲ)×志村正彦(フジファブリック)

原点に戻って改めて見える景色
〜PREMIUM LIVE EVENT 2009 原点回帰〜


 新宿ロフトが西新宿から歌舞伎町に移転して10年。この10年間、多くのミュージシャンがこのステージに立ち、数々のドラマを生んできた。そして、この新宿ロフトで出会い、共に切磋琢磨し続ける2バンド、メレンゲとフジファブリック。お互いSONG-CRUX(LOFT PROJECTが運営するレーベル)でインディーズ時代を過ごし、飛躍的に成長を遂げ、今では多くのオーディエンスに支持されるバンドとなった。
 そして、2009年11月12日、遂にこの2バンドが新宿ロフトのステージに戻ってくる!! チケットは予約開始と同時に申し込みが殺到し、彼らの人気を裏付けていた。これまでにも様々な場所でライブを敢行してきた彼らが、今ロフトのステージに立ち、どんなライブを見せてくれるのかが非常に楽しみである。
 今回は企画者であり、両バンドのA&Rも務めていた樋口寛子女史(ロフトプロジェクト)がインタビューに参加し、当時を振り返りながら、バンドのこれまでとこれからをお話していただいた。(text:やまだともこ)


インディーズ時代の思い出

──新宿ロフトが西新宿から歌舞伎町に移転して今年で10周年になるんですが、新宿ロフトに初めて出演された時のことって覚えてます?

クボ:メレンゲで最初に出たのは、“midnightcharm〜happy voice night after party & NEW YEAR SONG〜”(2002年1月19日)だったような気がします。最初だから、友達とかに声をかけるじゃないですか? でも、東京に「イベントに出るから来て」と呼べる友達がそんなにいなくて、バー・ステージで深夜のイベントだったんですけど、とにかく人が呼べなかったみたいなという思い出があります。新宿ロフトに出たのは、僕らよりフジファブリックの方が先ですよね。

志村:“米騒動”(2001年11月17日)じゃないですか?

樋口:そうそう。clingonとかが出た時のオープニング・アクト。その当時は21歳ぐらいだったよね? 覚えてる?

志村:はい。ただ、この日は出演者のメンツが良かったというのもあるんですけど、フジファブリックだけでもお客さんをけっこう呼んだのにノルマを払った記憶がします。

樋口:そんなことない。もらってないよ(苦笑)。

──新宿ロフト自体は、出演される前からご存じでしたか?

クボ:地元に住んでいる時から知ってました。西新宿のロフトは、友達のバンドを見に行ったこともあります。だから、自分が初めて出る時は、すげーなって人のことみたいに思ってました(笑)。その頃、メレンゲは下北沢CLUB QUEか、下北沢シェルターかロフト以外、あまりライブハウスを転々としたことがなかったんです。

志村:それは贅沢だよ。俺達は、下北沢の屋根裏からやってますからね。

クボ:屋根裏も後に出たりしていますよ。

志村:でも、それは渋谷でしょ? 下北と渋谷は全然違うよ。フジファブリックは、高円寺のギアとか、下北の屋根裏とかに出ていて、ようやくぴあを扱っているロフトに出られたと。

樋口:2002年〜2003年のフジファブリックはいっぱいロフトに出ていた時期なんだよね。

志村:レーベルがSONG-CRUXだったし。

──SONG-CRUXに所属したのは何年になるんでしたっけ?

樋口:フジが2002年で、メレンゲが2003年。

クボ:『少女プラシーボ』(2003年9月5日)をリリースした頃からですね。

──新宿ロフトに見に行ったライブやご自身のライブで印象に残っているものはありますか?

クボ:“たま”の知久寿焼さんが僕らのイベント(“初恋サンセット「サーチライト」発売記念ライブ” / 2004年5月26日)に出演して下さった時は感動しました。あとスピッツがシークレット(“ATF&VINTAGE ROCK presents「RIDE ON TIME」sc.2” / 2004年8月3日)で出演された時。

志村:僕は……。ロフトって格があるなと思うんですよ。良いバンドが出れば出るほどパワーが違うなと思ったんです。他のライブハウスに才能がある人が出てもそんなにパワーを帯びないんですけど、ちゃんとしたライブハウスなので、才能がある新人とかベテランの人が出るとパワーがあるし、動員数もあるし、くるりが出た時はすごいパワーがありました。自分のライブになると、当時ロフトには年中出てましたからね。はい、またロフトです、みたいな。機材置いておいて良いですか? っていう感じでした(笑)。

樋口:2004年までで28回出演しているみたいですよ。何かあるとロフトでしたね。出演していた頃から考えると、ロフトスタッフもほとんど変わっていますよ。

志村:最近は出ても見てもないから、ひさしぶりにロフトに出演できるのは楽しみです。

家が近くて意気投合!?

──では、クボさんと志村さんが初めて会ったのはいつになるんですか?

志村:“midnightcharm”じゃない?

クボ:僕たちが2回目ぐらいに出演した時か、フジが出演する時に樋口さんに誘われて見に行ったような気もするし。でも、初めて喋ったのはQUEのイベントで…。

志村:“闇鍋”だ!! 大森さん(現・フジファブリックマネージャー)のイベント。(“闇鍋Vol.7”出演:フジファブリック / メレンゲ / サンプリングサン / ART-SCHOOL)

クボ:その時のような気がしますね。フジは、樋口さんから“midnightcharm”に出演するバンドのテープをもらったので事前に聴いていて面白いなって思っていました。でも友達になりたいとかはバンドに対して思わないので、音源を聴いていいなと思っていただけですね。バンドの人と喋ったりもするんですけど、後々そこからまた会おうというのがない。だから、不思議な感じですよ、今は。

志村:僕も同じですね。同い年とか、同じような状況で活動しているバンドって、対バンしても仲良くならなかったんですけど、メレンゲは音を聴いてこれはかっこいい、センスが良いと思って、仲良くなりたいと思ったのが正直なところなんです。

──何の話で意気投合したんですか?

クボ:前に住んでた家が近かったんです。お互い原付なら5分ぐらいで着く場所で。だから、ゴハン食べに行こうよという話をした記憶はあります。それでも、ほとんどは行かなかったりするんですけどね。

志村:うん、行かない。だいたいその場限り。

クボ:でもなぜかお互い暇な時に行こうってなって、いつの間にかお互いの家を行き来するようになってました。

志村:俺がよく行ってたような気がする。

クボ:録音の機材をけっこう持っているという話をしたら、興味があると言うので「うちに来るか?」っていう感じで。

樋口:気付いたら仲良くなってるなっていう印象でした。一緒に仕事をしている時に思ったのは、他のバンドに対して志村くんは言葉を選んで話をしている気がするんだけど、クボくんに対しては言いたいことを言える関係だったような気がしますね。

クボ:だいぶ傷つくこともありましたけど(苦笑)。

志村:それは慕っているからですよ。今でも変わってないです。人としてもそうですし、音楽的にも専門知識がいっぱいあったので先をいっている感じはすごくしましたね。

クボ:いやいや(笑)。志村くんが機材を買うという時に僕に相談してきてくれるんです。だから、かなり同じ機材が揃っちゃうんですよ。

志村:好みが似ているんです。クボさんが使っている機材は間違いないというのがあって、信頼がおけるんですよ。

クボ:オタクでしたから(笑)。

──同じものなら借りようと思ってしまいがちですが…。

志村:自分のものは買わないと。

クボ:だから、すごい買うやつだなっていう印象でした。ポンポン買っていく。今でもそうですし。

──音楽の趣味も合うんですか?

クボ:ルーツとしては違うところもあると思いますけど、歌謡曲みたいな世界と感情的な歌詞を聴くところとかは通じているかもしれないです。

──年齢はおいくつ違うんでしたっけ?

クボ:僕が3つ上なんです。初めて会った時は志村くんが20歳ぐらい。僕は24歳で活動していた時は自分も若いと思っていたんですけど、志村と知り合ったら逆に自分は若いと思わなくなりました。

樋口:私も当時はダブルオーテレサがすごく若いバンドというイメージがあったんだけど、さらに若いバンドが出てきたなって思ってましたよ。

志村:ダブルオーにそれ言われたことある。

クボ:あと、ダブルオーは、「俺たちと対バンするバンドはどんどん売れていくんだよ」っていつも言ってましたね(笑)。

樋口:今でも言ってるよ。「あの人気は俺たちのおかげだ」って(笑)。

クボ:ダブルオーって、あの当時でイベントでも50人ぐらいお客さんを呼べるバンドだったんですよね。だから、一緒に出れば見てもらえる機会も増えるって樋口さんにも言われたことがありますし。

当時から先を見据えていた

──樋口さんに対して第一印象ってどんなだったんですか?

クボ:最初の駆け出しのバンドを排出するのが上手い人という印象と、目を見てくれないといつも思ってました。

志村:僕も同じです。あと、声たけぇ! って思ってました。

クボ:テンションは高かった。それと、ライブの後に、「残ってなさいよ」とか「ちゃんと他のバンドと喋りなさいよ」とかけっこう言われた記憶があります。

志村:あ〜。なんか当時を思い出すわー。

クボ:そういうこと言われてたよね。「なんで帰ったりするのよ!」とか、まだSONG-CRUXに所属していた時期でもなくて他のレーベルだったのに、すごく言われてた(笑)。

樋口:でも、SONG-CRUXに所属して一緒に仕事をするようになってからは、どちらのバンドも濃い付き合いをさせていただきましたよ。

志村:当時大変でしたよ。僕が仕事をしていたライブハウスにまで電話をかけてきてましたからね。

樋口:連絡が取れないんだもの。いつも職場に電話をしていた気がする。そうやって濃い付き合いをしていく中で、遠方にもツアーに行ったりとかしたんだけど、フジはすごくやんちゃだったよ。今でも覚えているのは宇都宮のライブの時に、インディーズの1枚目(『アラカルト』2002年10月21日リリース)を出した後だったからタワーレコードに挨拶に行こうって行ったら、エスカレーターのそこには決して足は乗せないであろうとことに乗せて、みんなで一列になって降りたりしてた。

志村:身に覚えがある(笑)。

クボ:メンバー全員で?

樋口:志村くんがやり始めるとみんなやるから。あと宇都宮のレコード屋の同じ階に楽器屋があって、鍵盤をダンダンって叩いて降りるとか、小学生みたいだなってすごく思っていた。挨拶しに行くっていうのに、そっちに無邪気になっていて(笑)。未だに宇都宮に行くと思い出しますよ。

──その頃、樋口さんと一緒にやることによって、バンドとしてこうなりたいという理想像に近づいて行ったんですか?

クボ:はい。ツテが多いので、いろいろな人をセッティングしてくれたり、僕らと対バンしないような人とくっつけてくれたり、他のバンドには環境がうらやましいってすごく言われていたんです。いいよね、そういうイベントにいっぱい出られてって。

樋口:自分の中の未来予想図じゃないけど、そういうのがはっきりしていたから動きやすかったというのがあるかもしれない。お任せしますよっていう人じゃなくて、こういう人とやりたいというようなことをちゃんと言ってくれていたから。フジの時は、SONG-CRUXの第一弾だったからわからないなりに当たって砕けろっていう印象があって。

志村:先は見れていた感じはありますね。2000人キャパを目指して。

樋口:フジは、遠くをちゃんと見ていた人たち。今を一生懸命だけではなくてちゃんと先を見ていたというのもあったし、私は相性が合った気がしますね。いろいろな人と仕事をしてきて思いましたよ。

念願の2マンが遂に実現!

──ところで、ちょうど5年前の2004年11月号でお2人が対談をしているんですけど、「5年後もこうしたことをやれるといいね」とおっしゃっているんです。ちょうど5年後が今月号になるんですが、どちらのバンドも活躍されている状況で対談が形になり、イベントまで開催されるということは奇跡に近いですよね。

樋口:改めてその時のインタビューを読み返してみて、まさに5年後の今こうやって形になることがすごく感慨深いですよ。

志村:同世代で残っているバンドってメレンゲしかいないんです。

クボ:あと、つばきとかぐらいかな。今でもやってる人なら。同じ時期に活動していたバンドはいっぱいいるんですが、辞めてしまったバンドもいるし、気付いたらヒューっと抜かれてしまったバンドもいるし。

志村:俺達は、8年ぐらい厳しい時期がありましたからね。

クボ:悶々としている日々は多かったですね。CD出したとしてもそこまでインディーの頃って生活が裕福なわけでもないし。

──私としては個人的に、この2バンドが今ロフトの同じステージで見られることはすごいことだなと純粋に思います。

クボ:自分らでもそう思っていますよ。ロフトはひさびさだし、ロフトでやりたいなって思うこともあるんですけど、誰とやったら楽しいというのはあまり思い浮かばなかったんで、フジとできるのは嬉しいです。すごい長い時間やれたら良いですけどね。

──今回も樋口さんの熱烈オファーで。

樋口:新宿ロフト10周年でやるのが意味があるなと思い、何年越しで叶ったイベントです。歌舞伎町でロフトが10年も続いていることも奇跡だし、ロフトが出会いのきっかけにもなっているから。他の大きなホールとかでやっちゃったらおもしろくなかったんだけど。

志村:えー!!

──この2組ならホールでもできるけど、ロフトでやることに意味があるってことですよね?

クボ:いや、樋口さんがAXとかに転勤していたら、AXに呼んだはずだ!!

樋口:それはないよ。バンドの原点はちゃんと見ていますよ。だから、今回は実現できると思うと格別の思いがあるし、e+のプレオーダーが予定枚数をはるかに超えたことは彼らの力も感じられて単純にすごく嬉しいなと思っています。

──ロフトには何年ぶりの出演になるんですか?

樋口:“SONG-CRUX祭り”(2005年6月17日)以来じゃない?

クボ:そこでフジとやって以来ってことですよ。

樋口:フジはその後にシークレットで一度出演しているけれど、そこを抜いたら祭りぶり。

──どんな感じにしたいとか構想はできています?

志村:両方のバンドのお客さんが満足して帰れるようなライブにできたらと思っています。

クボ:いつもとは違う感覚でライブをやったり、曲の演奏とかもあの頃の感じをうまく成長した形でやれたらいいなと思っています。

──タイトルが“原点回帰”ですけど、初心に戻るような気持ちになりそうですね。

クボ:初心に戻るのかはわからないですが、前向きな気持ちでやるんじゃないですかね。懐かしがってやるという感じではないと思います。

志村:ないです。決して懐かしさを楽しむだけじゃなくて、また次を見据えて頑張りたいです。

クボ:それ、完全に俺が言ったよ。

志村:…はい。また5年後に一緒にできたら面白いですよね。

クボ:5年後って言ったら、僕37歳ですよ。

志村:俺34歳か…。

樋口:2人は、いつまでも20代のイメージがありますよ。志村くんは、いつもリュック背負っているイメージがあるし。

志村:リュックは変わったけど、それは変わってない。

クボ:変わってないところは何も変わってないですからね。趣味とかもすごく変わったわけではないし、お互い音楽以外にそんなに趣味がないし。

──この5年間でバンドの状況はすごく変わりましたね。シーンも立ち位置も。

樋口:ロフトに出ている若いバンドが、絶対に見に行きたいですって言ってましたよ。

クボ:ホントですか?

樋口:それぐらい下の世代にも影響を与えるバンドになっているってことなんですよ。

──刺激を与える側になってますから。

クボ:そんな気全然ないんですけどね(苦笑)。

──フジは海外でレコーディングをされたり、変化はありましたよね。そして、あと数年で志村さんも30代に突入しますが、30歳になってもっと面白いことができるんじゃないかっていう気持ちはありますか?

志村:はい。これからだと思っています。

──メレンゲは?

クボ:僕はプロとしてもっと磨いていきたいというのはありますね。曲の作り方とか、今まで青春の感情みたいなところで作っていたものを、30歳を越えたのでテクニックを付けてやっていきたいなと自分では思っていますけど。それが、良いのかどうかはわからないですけど、自分の中では今までと全然違う作り方をしていきたい。

──そうすると、また5年後お互いがどうなっているかも楽しみですね。

志村:真価が問われるのはこれからですよ。

──5年後また一緒にできたら面白いですね。

クボ:そうですよね。

──では、最後にロフトのライブへの意気込みをお願いします。

志村:10周年おめでとうございました。フジファブリック。

クボ:これからもまたロフトにふさわしいバンドになっていきたいと思っています。ロフト出身として。

──最近ロフト出身って言ってくれるバンドが少なくなってきていますからね。

志村:僕らはロフト出身ですからね。まだまだ理想は高く持っていて今は途中経過なので、もっともっと磨いていきたいです。


『SHINJUKU LOFT 10th ANNIVERSARY 〜PREMIUM LIVE EVENT 2009 原点回帰〜』

11月12日(木)新宿LOFT
OPEN 18:30 / START 19:00
前売 ¥3,500(D別) / 当日 未定
フジファブリック / メレンゲ
※お土産つき
【発売】PIA・LAWSON・e+・LOFT 10/17〜
問:新宿LOFT 03-5272-0382

Live info.

メレンゲ
11月14日(土)東放ミュージックカレッジB2「Live Hall CROSSROAD」“深呼吸”
11月21日(土)渋谷CLUB QUATTRO“serial TV drama 2nd Album『SPACE OPERA』RELEASE TOUR”STAR TOURS!!”
11月28日(土)福島アウトライン“U-ONE MUSIC presents SPECIAL Live『一花』-ichika-”

http://www.merengue.jp/


フジファブリック
11月1日(日)明治学院大学 学内体育館 ※学園祭
11月2日(月)龍谷大学 深草キャンパス 常設ステージ ※学園祭
12月13日(日)Zepp Tokyo“'09三大博物館”
12月28日(月)〜31日(木)幕張メッセ国際展示場1~8ホール、イベントホール“COUNTDOWN JAPAN 09/10”

http://www.fujifabric.com/

posted by Rooftop at 15:00 | バックナンバー
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