ギター レギュラーコラム

月刊・怒髪天 2009年11月号 通算65号[最終回]('09年11月号)

超大型与太奮戦記、愛と青春の旅立ち!
〜また会う日まで待っててくれよ!の巻〜

月刊・怒髪天

5年半に及ぶ大河スペクタクル公開与太話、まさかの大団円!
過去64回の素っ頓狂なチャレンジの数々を四役揃い踏みで大回顧!
誌面刷新する本誌へエールを送りつつ、最後までZUMEXをイジり倒して大ハシャギ!

構成・写真:椎名宗之


ZUMEXの成人病が人気を呼ぶ!?

増子:何はさておき、どういうこと?(笑) まずはそこからだね。見出しでデカく、「どういうこと?」って書いといて(笑)。

──まァ、オバマ大統領の“CHANGE”じゃないけど、本誌も刷新の時期が来たと言いますか…。僕も苦渋の決断だったんですけど。

増子:良く刷新してくれるならイイけどね。でも、この連載が終わったら大変だよ? 苦情のメールやハガキがガンガン来るよ。

清水:そのまま廃刊運動にまで発展していくからね(笑)。

増子:後のことは知りませんよ。僕は知にましぇん!(笑)

──それじゃ武田鉄矢ですよ(笑)。これを機に僕も引退しようかなとちょっと考えたんですけどね。

増子:そりゃダメだ(笑)。食ってかないとイカンから。俺達が新譜を出した時にインタビューしてもらわないと困るし。でもまァ、5年もやってきたからね。そろそろ俺達の足元を揺るがすニュー・カマーが出てきてくれりゃイイんだけど。

──これまで数々の企画に挑戦して下さいましたけど、振り返ってみて如何ですか。

増子:俺は何せいっぱいあるからねェ…(連載のコピーの束を見ながら)山手線一周のダジャレ巡り(2004年9月号)も凄かったな。あと、人ンちにお邪魔して晩ご飯をご馳走になったり(2005年2月号)。最初の頃のほうが常軌を逸脱してたよね。記念すべき第1回(2004年6月号)なんて、東中野のケンタッキーで企画の密談してるのをそのまま文字に打ち込む急造っぷりだったしさ(笑)。こうして見ると…2005年の7月号(M1号訪問・前篇)から俺はもうほとんどソフビの企画しかやらなくなってる(笑)。でも、この連載があったお陰で『QUANTO』で連載を持てるまでになったんだから有り難いよね。ホントにいろんな所へ行ったなァ…吉祥寺のJAP工房(2005年10月号)、残念ながら閉店になっちゃったけど市ヶ谷の『ひつじぐら』(2005年11月号)。ジンギスカンが最高に旨かったね。

──その頃になると増子さんが急激に忙しくなって、スケジュールの確保がなかなか難しかったですね。今はその時以上ですけど。

増子:そうだね。俺の髪型の変遷も面白いよね。ピンクドラゴンの山崎(眞行)社長とお会いした時(2006年1月号)は超リーゼントで、もはや氣志團だね(笑)。

上原子:ああ、クロワッサン時代だ(笑)。

増子:またこの髪型にしてみようかなァ。異常な評判の悪さだったからさ(笑)。イラストレーターの寺田(克也)さんとの付き合いもこの連載からだったね(2006年2月号)。未だにメールのやり取りをしてるよ。あと、足つぼマッサージ(2006年3月号)。これは是非坂さんに行って欲しかったなァ、超痛かったから。前厄のお祓いで行った靖国神社も凄かったね(2006年4月号)。せっかく行ったのに写真が全然使えなかったから。神聖なる本殿の中は撮影禁止、帽子禁止、素足禁止っていう(笑)。そうだ、楳図(かずお)先生とのお付き合いもここからだった(2006年5月号)。今や同じ整体に通っていて、俺と友康と3人でよく会うんだよ(笑)。

上原子:そう、俺は特によく会うね。この間も隣り同士でマッサージを受けてたし(笑)。

増子:寒河江(弘)さんにフィギュアを作ってもらったのも嬉しかったね(2006年7月号)。頭だけだったけど(笑)。ホントにいろんなことをやってきたんだなァ…。

──新宿ロフトのフード・メニューも考案して頂きましたし(2006年8月号)。

増子:考えたねェ。友康の描いたキリン(伝説のほう)でポロシャツも作ったね。こう考えると長いよね。この時なんて俺、髪を下ろしてるもんな。

──『はじまりのブーツ』のPV撮影にお邪魔した時ですね(2006年9月号)。

増子:「ブーツはこうやって履いて…」って、両手をブーツに入れてボケてるね(笑)。こういうのは大事だから(笑)。この『〜ブーツ』の頃って、坂さんがハンパじゃない太り方だよね。

坂詰:エエ、まァ……。

上原子:その頃がちょうどピークだったんじゃない? 体も顔も全部がまんまるだったよね(笑)。

増子:ああ、ブッチャーズのレコーディングにも行ったなァ(2006年11月号)。あとこれね、坂さんと一緒に行った川崎大師の初詣(2007年2月号)。太ってんなァ、このオジサン!(笑) 坂さん、どうよこれ?

坂詰:あらッ! ヤバイですね、これは!

──その初詣の模様は映像でも押さえさせてもらって、後日プラスワンのイベントで流したんですよね。

増子:そうだったね。そうか、テイチクの本社でやった『D-stance』のインストア・イベントのレポート(2007年4月号)からカラーになったんだね。(坂さんの写真を見て)これ! 知らない人が写ってるよ! Mr.デーブマンいない?(笑)

──それ、道内の人しか判らないんじゃないですか?(笑)

清水:確かにヒドイな、坂さん。なんか、ウインナーみたいじゃん(笑)。

上原子:(しみじみと)坂さんデブだなァ…。顔がパンパンじゃない?

坂詰:パンパンノ助でございます!

増子:くだらねェな(笑)。超デブいよ、これは! バンドのビジュアル面に甚大な被害を及ぼしてるわ。これじゃ売れないよ(笑)。去年からライブの動員がガーッと増えてきて、その理由は何なんだろう? って話になったんだけど、やってることは別に何も変わってないんだよ。その原因を考えると、坂さんが痩せたことくらいしか思いつかないんだよね(笑)。

清水:坂さんがひとつ成人病になるたびに人気が出てくる法則だね(笑)。

上原子:坂さん、悪魔に魂を売るブルースマンみたいで格好イイね(笑)。

増子:ああ、これも楽しかったなァ、ロフトの社員のみんなと行ったサントリーのビール工場(2007年9月号)。『ルーフトップ』のイベント(砂の上のスジの眼)に合わせて、このページでヨウちゃんと健ちゃんと対談したこともあったね(2007年10月号)。例によって写真の俺は呑んで顔が真っ赤だけど(笑)。


“ブタ”が“ブッダ”になりました

──そして、2007年11月号からメンバーの持ち回り制になると。友康さんにはいきなりカレンダー作りに挑戦して頂きまして。

上原子:ああ、一発目がカレンダーだったっけ?

増子:あれは非常に絵心のある素晴らしいカレンダーだったね(笑)。

上原子:俺も1年間、部屋に飾ってたもんなァ。だんだん自分でも気に入っちゃってね。

増子:俺は未だに飾ってあるよ。シミの一発目はこれか。2007年の総括と翌年の展望(2007年12月号)。そして、その翌月は坂さんの回なのにシミとまちゃまちゃが乱入してると(笑)。これは出来たばかりの阿佐ヶ谷ロフトAだね。うわッ、この写真の坂さんもヤッバイくらいに太ってる!

上原子:コンパスで描いたみたいな顔してるもんね(笑)。

清水:この時なら実写版のアンパンマンができたよね(笑)。

上原子:頬の肉が盛り上がって目がちっちゃくなってるし(笑)。

増子:朝青龍だよ、朝青龍。もしくは、カタカナ2文字で言うなら“ブタ”だもん(笑)。

上原子:ゾッとするよね、この頃はまだ痛い風に蝕まれていたことを考えると(笑)。

増子:友康の2回目はフェイバリット・ギタリスト(2008年3月号)。このジミヘンはヒドイ絵だね(笑)。シミが好きな漫画を挙げたのは凄く面白かったんだよな(2008年4月号)。ずっと漫画ネタで続けて欲しかったくらいだよ。それに引き換え坂さんは、この機に及んでまだ食ってる(笑)。

──やよい食堂で大盛りグルメ(2008年5月号)。最後の晩餐ですね(笑)。

坂詰:超大盛りカレーにあんかけ焼きそば、今やネットで見るだけです…。

増子:マーミットの赤松(和光)さんとお会いした時(2008年6月号)は髪をかなり切った時だったんだな。これもかなり不評で、「鳥肌実みたい」って言われてガッカリ来たね(笑)。そして友康のバッティング・センター(2008年7月号)。このアストロ球団の格好、最高(笑)。

上原子:うん、あれは楽しかったなァ…。その後にボーリングにも行ってね。

増子:うわッ、こん時のシミ、髪長ェ! 美輪さんみたいだもん(笑)。

清水:ああ、浅草の花やしきへ行った時だね(2008年8月号)。本気で乗り物が怖かったよ。

増子:そしてこれ! 坂さん、急激にホッソリ来ました(笑)。

上原子:でも、まだ何か食ってるね?

坂詰:特盛りの野菜丼ですよ。2ヶ月で15キロ落ちた頃ですね(2008年9月号)。

上原子:まさにパーティー・イズ・オーバーだね(笑)。

増子:超大盛りカレーからわずか4ヶ月で激痩せだからね(笑)。泣けてくるなァ、これは。同じ笑顔をしてるのに、4ヶ月前のほうが俄然輝いてる。それがもはやシワシワのおジイさんだもん(笑)。ZUMEXのTシャツも作ったねェ。しかも、このシャツを作った途端に痛い風に吹かれたからね(笑)。イラストと実在の人物が余りに懸け離れることになっちゃったから、これはJAROに通報されてもおかしくないよ(笑)。そして、アクティブな友康は今度は釣りに挑戦(2008年11月号)。

上原子:市ヶ谷の釣り堀ね。あれも面白かったなァ…。この企画があって、後日お客さんから釣りの七つ道具みたいなものを貰ったんだよね。

増子:シミの受けた占いは面白そうで、俺も占って欲しかったな(2008年12月号)。

──何せ、「女の敵」と断定されましたからね(笑)。

増子:続いて坂さんは激辛料理を食べてるけど(2009年1月号)、「ピーク時から30キロ痩せた」って書いてあるよ。この連載は坂さんの哀しみの歴史だね(笑)。俺がいよいよオモチャに特化していく一方、友康はいろんなスポーツにチャレンジ。釣りの後はゴルフの打ちっ放し(2009年3月号)。

上原子:打ちっ放しはいろいろ勉強になったよ。日向プロとのツー・ショット、俺は結構気に入ってるんだよね。

増子:焼肉屋に飾ってあるような写真だもんな(笑)。そしてシミは家庭菜園(2009年5月号)。こうして見ると、それぞれがやっと方向性を絞れてきたんだよね。約1名を除いて(笑)。その除かれた1名はスタジオの個人練習(2009年6月号)。写真に写ってるグレッチは友康にあげるヤツだね。

上原子:このグレッチは今レコーディングで大活躍してるんだよ。誕生日にもらう予定なんだけど。

増子:シミの暑気払いイベントの記事(2009年9月号)にある終演後の写真はイイ顔してるよね。遺影になること間違いナシの笑顔だよ(笑)。

上原子:ああ、ホントだ。

清水:俺は常に仏のように笑ってるってことだな(笑)。俺の遺影の後はお坊さんが出てくるぞ。

増子:ああ、坂さんの陶板浴ね(2009年10月号)。本物の遺影が来たよ(笑)。

清水:メインの写真、ちょっと宙に浮いてるように見えるんだよね(笑)。

上原子:この坂さんの水分補給の写真、病床にいる患者みたいだねェ…。

増子:カラッカラだもん。ピラミッドで発掘されたミイラみたいだよ。“ブタ”が“ブッダ”になった感もあるけどね(笑)。

決して懐古主義になっちゃイカン!

──何やかんやとこの5年半を駆け足で振り返ってしまいましたね。

上原子:俺は次に何をやろうかちょうど考えてたところなので、凄く惜しいよね。マリン・スポーツをやろうと思って体を絞ったのに…(笑)。個人的にはフェンシングとかをやってみたかったなァ。白いタイツを穿いてさ(笑)。

清水:俺は家庭菜園で収穫した野菜の写真を全部載せて、最後に数を数えようと思ってたんだよ。『今年の収穫』ってタイトルで。他にも企画として考えてたことがあるけど…終わるからもう言わない(笑)。

増子:そうだよ、まだやらなきゃいけないことがいろいろあったのになァ。坂さんはもう食べれなくなってやれる企画もなくなったから、坂さんの回だけなくす方向だったんだけどね(笑)。

坂詰:まァ、影で見守るだけでも良かったんですけど…。こうして最終回を迎えるのは僕も寂しいですよ。しかし、我ながら風貌の変化が著しい5年間でしたねェ。

増子:坂さん、痩せ始めの時に「これでモテる!」って言ってたからね。

坂詰:モテるにはモテたんですけど、最近さらにモテ度がアップしてきまして…。

増子:坂さんがモテてるところなんて全然見たことないけど?

坂詰:ありがとうございます。

増子:別にお礼を言うところじゃないから(笑)。

──この5年半というのは、バンドが右肩上がりの上り調子を始める時期と重なるように思えますけど。

増子:ずーっと上り調子だよ。今まで何の上りもなかったんだから、多少は上っとかないと。とは言え、ゆっくりゆっくりだよ? 有り難いことに今はいろんな媒体で連載をやらせてもらってるけど、この連載だけは俺、ライフワークだと思ってたからさ。まァ、俺達が卒業した後の誌面展開が心配ではあるね。最近はほら、アーカイブ的な記事が多いじゃない? ああいうのが増えるのは良くないよ、マジで。ハコ的にもそうなんだけど、アーカイブ的なものと新しいものをうまく融合させて面白いことをやっていかなきゃイカンと思うよ。そうじゃなくてもライブハウスが増えてきてるんだしさ。ロフトにはロフトの老舗たる立ち位置があるわけじゃない? でも、30年以上にわたって新しいことをやってきたからこそ今もロフトは残ってるわけだし、ブランド性を保ちながらも新しいことをガンガンやらなきゃ。決して懐古主義になっちゃイカン。ロック博物館じゃねェんだから。要するに、新しいバンドがどのライブハウスに出たがるかってことだよ。常に一番出たいと思われるハコとしてあり続けて欲しいからさ、ロフトには。そうじゃなきゃ困っちゃうよ。まァ、俺が困ってもしょうがないけど(笑)、ロフトがロフトたる所以ってそこじゃん。ねェ、坂さん?

坂詰:(険しい表情を作って)そうですねェ…歴史がありますね。

増子:今はその話じゃないよ(笑)。

──今やSHIBUYA-AXや赤坂ブリッツを即完させる皆さんにそこまで気に留めて頂いて、ホントに有り難い限りです。呼称は変われど、新春にはあの渋公へ進出されるという破竹の勢いですし。

増子:初のホール公演に感動を覚えることは余りないけど、あそこはドリフの聖地だからね。そこにはエラく感動してるよ。

──ああ、『8時だョ!全員集合』は渋公からの生中継が多かったですもんね。その翌日にシェルターに出演というのは、武道館の翌日にロフトに出演したARBを彷彿とさせますが。

増子:俺達、ロフト・グループにはかなり貢献してるんじゃないかなァ。ねェ、坂さん?

坂詰:してますねェ、貢献。

増子:出ました、秘技・オウム返し! しかも倒置法で(笑)。

──各々の企画については各自どう見ていましたか。

増子:楽しみだったね。「次、誰だっけ?」「何やるの?」っていつもみんなで話してたからさ。ただ、常に目を光らせておかなきゃいけない人が1人いるし、そこは神経を尖らせてたね。何しろ挙げてくる企画がビックリするものばかりだったから、そこは椎名君に助けられた部分がいっぱいあるよ。

──坂さん発信の企画で一番ぶったまげたものは何ですか。

増子:ドラムの個人練習だね。あれを聞いた時はホントに大丈夫か!? と思ったよ。そんなの記事にして、ドラムをやってない人が読んでも楽しいのか? と思ってさ。バンド以外のプライベート的なもので各人の個性を出せればイイなと考えていたから。友康ならスポーツ、シミなら漫画や家庭菜園、俺はオモチャっていう具合にね。そこで坂さんがどの方面に特化するか期待してたんだけどね。俺は健康とかエステ方面に行って欲しかったんだけどな。

──それか、超常現象方面ですかね(笑)。

増子:俺は坂さんにやって欲しい企画、いっぱいあったよ。キティちゃんみたいなキラキラしたネイル・サロンやド派手なメイク、あとは日焼けサロンとかさ。テレヅメならぬクロヅメ、デラデラに黒光りするクロヅメクロヒコ(笑)。

──メンバー全員のキャラクターが立っているからこそ持ち回りでも為し得た企画だったと思うし、その意味でも怒髪天の特異性を改めて痛感しますね。

増子:有り難いことだよ。ここまでよくやらせてくれたと思うし、やれて良かったよ。ただ、一番最後が坂さんの陶板浴っていうのがね(笑)。

清水:よりによって宙に浮いた仏様だからね(笑)。

増子:しかも、π(パイ)ウォーターとかインプラントとか訳の判らない話ばっかり(笑)。



ZOOMY、ロフトに苦言を呈す!

──皆さんが今後の『ルーフトップ』に対して望むことは何かありますか。

上原子:『ルーフトップ』に載ってる他のバンドのインタビューを読むのが俺は好きなんだよ。レコーディングの裏話とか、同じくバンドをやってると気になるものだからね。そういうディープな記事が読めるのは『ルーフトップ』くらいなものだと思うから、そこはこれからも伸ばして欲しいよね。

増子:俺もそう。セレクトもディープで、気になってるバンドは必ずチェックするし。雑誌はどこでも読めるじゃない? ネットはパソコンを立ち上げないと見れないからさ。坂さんは?

坂詰:さらに発信源として光り輝いていって欲しいですね。バイブレーションをドンドン発射するような…。

清水:何の発信源?(笑)

坂詰:その、熱いストリートの活動の…。

増子:それを言うなら、ストリートの熱い活動の…じゃないの?

坂詰:エエ、そうとも言いますね。『ルーフトップ』は昔よく読んでいた『ミュージック・ライフ』みたいな感じがありますよね。隅から隅まで読めるし、ロック魂が受け継がれているのを感じます。

増子:完膚無きまでに当たり障りのない発言だね(笑)。

坂詰:ちょっと“ロックでもない魂”でしたか?

増子:本気でろくでもないよ(笑)。

──ちなみに、坂さんはこの連載以外の本誌の記事に目を通して下さったことがあるんですか。

坂詰:もちろん!

増子:またそんなこと言って。字がちっちゃくて読めないでしょ?(笑)

清水:そうだよ、俺だって苦労してるんだから(笑)。俺はそうだな、これからの新しい力をドンドン汲み上げていって欲しいね。俺達オジサンを捨ててさ(笑)。

増子:そう、“老兵は死なず、ただ去り行くのみ”だよ。…って、最後にもの凄い恨み節で終わったりしてね(笑)。言ったらさ、やっとロフト・グループに対して多少なりとも恩返しできるレベルにまで来たわけだから、そこは残念だよね。やっぱりアレだよ、『ルーフトップ』はサブカルのエッセンスを取り戻したほうがイイと思う。『ルーフトップ』からサブカル的な要素を抜いて独立させたのが『ルーフトップ★ギャラクシー』だったわけじゃない? あれをもう一度合体させたような誌面がイイんじゃないかな。今やロフトの根幹がプラスワン的なものになっている気がするし、新宿ロフトの存在感が弱まっていることに対しての危惧はあるね。正直言って、プラスワンのスケジュールのほうが読んでて面白いしさ。単行本の『ロック・イズ・ロフト』に載ってる昔のスケジュールを見ると、“うわ、スゲェ!”って見たくなるライブがいっぱいあったじゃない? バンドは増えてるハズなのに、今はそういうブッキングが少ないよね。その部分での吸引力が今のロフトにはもっと必要だと思う。だって、新宿ロフトと言えば俺達の中じゃ日本一のライブハウスなんだから。『ルーフトップ』はそんなロフトから出ているフリー・マガジンなんだし、大御所的にならずに常に攻めの姿勢でいて欲しいよね。

──精進します。そう言えば、桃屋の『辛そうで辛くない少し辛いラー油』のCMを見たウチの席亭(平野 悠)が、「増子のCM見たぞ! お前、何であの連載を本にしないんだよ!?」ってある日いきなり怒鳴り込んできたんですよ。それまで怒髪天のことなんて大して関心もなかったくせに(笑)。

増子:えげつないなァ、相変わらず(笑)。俺、悠さんのそういうところが割と好き(笑)。でも、世間ってそういうもんだから、リアクションとしては正しいんだよ。悠さんも乗り気みたいだし、作ろうよ、単行本。加筆してみたりさ。

──単行本用の取材をいくつか付け足しても面白いですよね。

増子:打ち上げで韓国料理屋に行ってみたりね! …って、そんなのばっかり(笑)。坂さんは肉が食えないから、サンチュしか与えないけど(笑)。

坂詰:思い切って、本場の韓国へ行くのもイイですね!

──さすが山師、そういう時だけは進んで発言しますね(笑)。じゃあ、単行本化の方向で是非。我々からすると「単行本にさせてもらってイイんですか?」という感じですからね。

増子:いや、そんな何も変わらないよ。俺達はこの連載を毎月楽しみにしていただけなんだから。これでガーン!と売れて、坂さんがいきなりイヤなヤツになったら話は別だけどさ(笑)。

坂詰:ちょっとなってみましょうかね? ゴミとかをバンバンぶん投げながら歩いてみたり…。

増子:それはイヤなヤツじゃなくて、ただマナーの悪いヤツだよ(笑)。

坂詰:イヤなヤツになるのは基本的に向いてないから、ムリだと思うんですよね。疲れていそうな人が電車にいたら肩を揉んじゃうタイプですから、僕は。



大人の楽しさを忘れちゃいないか?

──坂さんの話はさておき(笑)、せっかく4人勢揃いなので近況についてお伺いしたいのですが。

増子:今はレコってるよ。次のアルバムはスッゴくイイ! 今までの作品を全部ナシにしてもイイくらいイイよ。とにかく只事じゃないから。友康のチャレンジは遂にガチャピンを超えたね(笑)。

清水:今回は水中で録ったり、飛行機から飛び降りながら録ってるから(笑)。

──なるほど。ヒマラヤ登頂以上のチャレンジだと(笑)。

増子:坂さんも白い手袋をして「大変ですぞ、これは!」ばかり言ってるから(笑)。

──それ、ムックじゃないですか(笑)。

増子:とにかく絶対ビックリすると思うよ。今までの曲選びは“らしい”っていう部分と自分達がどこまでやれるかが基準としてあって、そこからハミ出そうとしながら新しいチャンレンジをしてきたんだけど、今回はその根本がまるっきり違うから。最初に曲がいっぱいあって、その中で俺達がやる・やらないではなく、純粋に曲としてイイものを選んで手繰り寄せていく作業をしている。だから、とんでもなくアーバンなコードの曲とかもあるんだよ。友康が作ったイイ曲を俺達がどこまで怒髪天のレベルまで引っ張ってこれるかがキモになってくるだろうね。

上原子:俺が30曲くらい作って、会議を開いてみんなで曲を選んだんだけど、“エッ、これを選ぶの!?”みたいな曲をみんなが「やりたい」って言うのが面白かったね。長くバンドをやっていると、出来上がりがある程度想像のつく曲が多くなってくるんだよ。でも、今回選んだ曲は想像のつかないものばかりなんだよね。まるでゴールが見えないし、ボールが転がってどこへ行くんだろう? みたいな感じだから、今はレコーディングが凄く面白い。

増子:友康もシミも、「今度のは面白くなる!」「凄いのが出来る!」って言う回数が凄く多いんだよ。1人だけノーコメントを貫く人もいるけど、何をやらされているのかさっぱり判らないんだろうね(笑)。

──間もなく発売されるニュー・シングル『オトナノススメ/武蔵野流星号』は原点回帰と言うか、この4人が揃った頃を彷彿とさせる歌心に溢れた楽曲だなと思いましたけど。

上原子:純粋に歌モノをやりたかったからね。縦ノリと横ノリというタイプの違う歌モノをね。

増子:『オトナノススメ』はドリフ的な掛け声をやりたかったのもあるし、“大人っていうのは楽しいものなんだよ”っていうのをガキどもは元より大人に対しても伝えたかったんだよ。“大人の楽しさを忘れちゃいないか?”って。

──そうした歌の主題は増子さんが普段からよく話していることだし、ブレが全くありませんよね。

増子:そりゃそうだよ。いつも思っていることを歌にするなんて当たり前じゃない? それを当たり前だと思わない人は、歌のモチーフをロック的なものとロック的じゃないものに振り分けちゃってるんじゃないかな。常に考えていることがロック的であれば、歌にブレがないのは当たり前だよ。ねェ、坂さん?

坂詰:その通りです。当たり前田のおせんべい!

増子:…坂さん、それ何年も言ってるけど、笑ってる人見たことないよ(笑)。だから要するに、格好イイ・格好悪いで分けてると思うんだ。普段はこう考えてるけど、その考えを歌のモチーフにしたら格好悪いからやめよう、とかさ。どんだけ自分のことを格好イイと思ってんだ? って感じだけど。ねェ、坂さん? 当たり前田の何ですか?

坂詰:当たり前田のビスケット!

──おお、変化球が飛んできましたね(笑)。

増子:良くないほうに曲がったね(笑)。

清水:さァ、次はどう来るかな?

増子:俺はデッドボールが来ると思うけどな(笑)。坂さん、どう?

坂詰:当たり前田のドンパッチ!

増子:ははははは! 古いなオイ! でも、それはちょっと面白い(笑)。

清水:面白かったから、今の部分はカットで!(笑)

増子:まァ、最後の最後まで話がとっちらかっちゃったけど、そういうのもこの連載らしくてイイよね。これで『ルーフトップ』がなくなるわけじゃないし、要望があればまた連載をやりたいとも思うしね。2月にアルバムが出る時はまたインタビューもして欲しいしさ。終わりがあってまた始まる。それが世の常だからね。それが当たり前田の…坂さん、何ですか?

坂詰:当たり前田のオールレーズン!

増子:…ダメだこりゃ(笑)。

怒髪天 information オトナノススメ 初回版 オトナノススメ

◇ニュー・シングル『オトナノススメ c/w 武蔵野流星号』、11月4日(水)発売! 初回生産限定盤には6月に赤坂BLITZで行なわれたライヴ映像とマル秘映像を収めた80分のDVDも収録!(初回生産限定盤:TECI-193/税込3,000円、通常盤:TECI-194/税込1,000円) そして…ニュー・アルバム『オトナマイト・ダンディー』、2010年如月にリリース決定!

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Live info.

◇IN STORE
『オトナノススメ』発売記念トークイベント&握手会『オトナヲススメルトーク』
11月3日(火・祝)タワーレコード梅田NU茶屋町店6F イベント・スペース(増子のみ)
11月4日(水)タワーレコード新宿店7F イベント・スペース
11月15日(日)タワーレコード仙台店 店内イベントスペース(増子のみ)

◇EVENT
11月14日(土)水戸LIGHT HOUSE(水戸LIGHT HOUSE 20th Anniversary“SION アコースティックLive 2009〜SION with Bun Matsuda〜”)
11月16日(月)HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2(HEAVEN'S ROCK HOT ATTACK)
11月24日(火)千葉LOOK(千葉LOOK 20th ANNIVERSARY〜6x9=53days〜)
12月19日(土)CLUB CITTA'(LONDON NITE X'mas Special 2009)

◇BLOSSOM
11月29日(日)高松DIME(デリバリーブラッサム:with ガガガSP)
12月1日(火)広島ナミキジャンクション(デリバリーブラッサム:with ザ50回転ズ/UNISON SQUARE GARDEN)
12月3日(木)福岡DRUM Be-1(デリバリーブラッサム:with ザ50回転ズ)

◇FESTIVAL
12月29日(火)・30日(水)インテックス大阪(FM802 STILL20 ROCK FESTIVAL“RADIO CRAZY”)
12月31日(木)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベント・ホール(rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN 09/10)

◇新春ワンマン2DAYS公演
1月16日(土)渋谷C.C Lemonホール(オトナだョ!全員集合“一富士 二鷹 サントリー”)
1月17日(日)下北沢SHELTER(オトナ真剣ゼミナール“SHELTER留学”)

◇春の野音ワンマン決定!
4月17日(土)日比谷野外音楽堂(リズム&ダンディー“Dメン2010 日比谷より愛をこめて”)

怒髪天 official website
http://www.dohatsuten.jp/

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