バンドのボーカルから役者の道へ
1997年から2000年までHAIR CUTSというバンドのボーカルとして活躍されていた大橋智和さん。現在は役者として活躍する傍ら音楽活動も継続中です。
今回も、オトコマエさんがいらっしゃるというウワサを聞きつけて取材場所にお邪魔したんですが、短髪にラフな洋服(2ショット写真でご確認下さい)が似合っていて、気さくな雰囲気もありましたし、とても素敵な方でした。しかも“人見知り”だとおっしゃってましたが、カットするのがもったいないぐらいたくさんお話を聞くことができました☆
大橋さんは、11月から始まる舞台“まつもと市民芸術館芸術監督 串田和美プロデュース2009 エドワード・ボンドの『リア』”に出演が決定しています。さらに活躍の場が広がりそうな予感。楽しみです。
☆ ライブとは違った、生の芝居の良さも感じてもらいたい
バンドのボーカルから役者になったきっかけは何だったんですか?
「フリーになった時に、たまたま“役者をやってみないか”というお話をいただいて太田プロに入ることになりました」
それまでに、お芝居の経験はあったんですか?
「HAIR CUTS時代にWOWOWのドラマ『DUET』に出演させていただいたんですけど、その時は音楽に夢中だったので演技なんて面白くないって思ったんです。その後にもいくつかお芝居のお話をいただいたんですけど、興味がないからお断りしたんです。でも、音楽も役者も表現者ということで共通する部分があるのかなと思い、役者で培った経験が音楽活動に返せるんじゃないかと思ってやり始めたんです」
バンドは自分の言葉で自分の気持ちを表現しますが、役者さんは与えられたセリフを自分なりに解釈して表現するじゃないですか? 最初は与えられた言葉を言うことに対して抵抗はなかったですか?
「特に抵抗はなかったです。…というよりは、初めは右も左もわからなかったので、監督さんに“なんでそんなのもできないんだ!”って怒られたりもしました。それでも役者も続けられているのは、楽しいと思っているからでしょうね」
今、役者として活動を始めて数年経ちましたが、その間にテレビも舞台もいろいろ出られてますよね?
「毎回ドキドキですけどね(苦笑)」
どの時が一番ドキドキします? 顔合わせの時ですか?
「人見知りなので、初めてご挨拶をする時が一番緊張します。でも、以前出演させていただいた『恋する妊婦』という舞台の時は、ストーリーのことを考えると役者同士やスタッフさんとのコミニュケーションが絶対に必要だと思ったので、みなさんと話をするように心がけていました。バンドの時は、同じイベントに出ていても話をすることもないまま帰ることもあったんですけどね」
舞台となると、それこそ全員で作り上げていかないとですからね。舞台を通して仲良くなった方とかいらっしゃるんですか?
「『恋する妊婦』はみなさんと仲良くさせていただきました。全公演が終了して時が経ってからも、ご一緒させていただくことが多いんですよ」
ところで、音楽はステージ上で即興で曲を作ることがありますけど、舞台では即興でセリフを言うわけにもいかないですよね。
「舞台でもアドリブでやる方はいらっしゃいますけどね。僕はまだその余裕がなくて(苦笑)。アドリブではないですけど、『恋する妊婦』で荒川良々さんと絡むシーンの時に、もともとセリフで不安だったところなんですけど案の定本番でスポーンと飛んじゃったことがあったんです。頭が真っ白になってしまい舞台経験もないからどうしたら良いかわからなくて、苦し紛れに“あれだよ、ほら”って言ってたら、良々さんが次のセリフに行くようにうまく繋げてくれたんです。長くやっていらっしゃるから経験もあると思いますが、心から感謝しましたし今でもすごく尊敬しています。いつかそういう役者になりたいです」
大橋さんとしては、テレビと舞台ではどちらの方が自分に合っていると思いますか?
「テレビと舞台は全く別物ですから。音楽で言うと、レコーディングとライブとの違いのような気がします。撮ったものを繋げてひとつのお話にするという意味では映像がレコーディングで、舞台がライブ。舞台は本番に入ればライブと一緒で楽しいんですけど、それまでに何回も何回も稽古をして体に染みこませて役や舞台を作りますよね。自分のセリフだけでなく、相手のセリフも頭に入れておかなければならないし、寝言でもセリフを言ってしまうぐらい追いつめられることもあって苦しいと感じることもありますけど、達成感は舞台のほうがあるかもしれません」
何ヶ月ぐらい前から稽古には入るんですか?
「公演の日数によって違うと思うんですけど、1ヶ月稽古して本番1ヶ月という時もありますし、僕はまだ経験していないですが個人でお稽古をして本番の2〜3日前に合わせるという劇団もあるみたいです」
1ヶ月なり1週間なり、ずっと同じテンションでいなきゃいけないというのも大変そうですよね。私なら精神的に負けてしまいそうです。
「そうなんですよね。あと、舞台もライブと一緒で、回を重ねるごとにどんどん変わっていくんですよ。音楽は特にその時の気持ちで変わるものですけど、舞台も初日から千秋楽までの間にセリフひとつにしても変わっていく。舞台からはけた時に演出家さんから“思ったんだけど、次のセリフに○○って言葉を足してみよう”っていうこともありますから」
大橋さんは長い期間の舞台の方が好きですか?
「そうかもしれません。寝言で言ってしまっているぐらいなので、公演中は早くラクになりたいって思う瞬間もあるのかもしれませんが、1週間で終わっちゃうのはもったいないし、何より寂しいですよ。11月から始まる白井晃さん演出の“まつもと市民芸術館芸術監督 串田和美プロデュース2009 エドワード・ボンドの『リア』”は1ヶ月弱ありますし、今からすごく楽しみにしています」
ベテランの方々がたくさん出演されますし、楽しみですよね。台本はもう読み始めているんですか?
「いただきました」
セリフはどうやって覚えています?
「ぶっちゃけて言うと、全く入らないんです(笑)。役者の友達に悩みを打ち明けたこともあります。何回も読むしかないんだよって言われるんですけど、トム・クルーズさんの場合は音声で台本をもらって、聴きながら頭に入れるらしいんです。それで、僕ももしかしたら音楽をやっていたのでそのやり方が合っているのかもしれないと思い、家にあるMTRにセリフを一通り入れて聴きながらやってみたら、比較的聴いたほうが覚えられましたけど、あとは集中力の問題ですね(苦笑)。何回も歌っていると歌詞が体に染みついていくのと同じで、音として覚えたほうがふとした時にセリフが浮かんで来たりするんですよ。聞いたところによると、他の役者さんは動作で覚える方もいらっしゃるみたいです。どうしても詰まるセリフがある時に、このセリフを言う時は耳の後ろを掻くとか頭を触りながら言うとか。詰まった時にその動作をするとセリフが出てくるらしいので、そういう覚え方も試してみようかなと思っています」
ライブのツアーではないですが、舞台も1ヶ月続くこともありますし、体力作りや健康にも日頃から気をつけているんですか?
「普段から体を動かしているからたくさん食べても全然太らないし、意外と腹筋が割れてるんですよ」
ホントですか? 見せてください。
「いやいや」
そういうフリじゃなかったんですか(笑)?
「いや…(苦笑)」
今度の『リア』も1ヶ月続く舞台ですし、それなりに体力がないとやっていけないですよね。
「体力作りもこれからやっていかないとですよ」
舞台に入る時は、ちゃんとした体力作りを始めるんですか?
「ストレッチをしたりして体を柔らかくしておいたほうが怪我もしないし、あとは発声も始めたほうがいいかなと」
舞台にかける意気込みって毎回ありますか?
「意気込みというわけではないんですが、舞台は準備期間が長いのでちゃんと役を作り上げてから臨みたいです。映像とかだったら3日前に台本をもらって、読んですぐに演じることもありますが、一ヶ月もあればすごく作り込むことができますよね。それは楽しみです。どこまで変わるんだろうって。しかも元がシェイクスピアの作品で、笑いがない芝居だと言われているのですごく緊張してます」
では、最後に読者の皆さんとファンの方々に今後の野望やメッセージをお願いします。
「これを読まれている方は音楽ファンが多いと思うので、ライブハウスには行くんだけど芝居は見に来たことがないという人は、一度生の芝居を見に来て欲しいですね、ライブとは違う生の面白さがわかるかもしれないと思います。そして、僕自身は音楽も芝居も手を抜かず頑張って行きたいなと思っています」
INFO
まつもと市民芸術館芸術監督 串田和美プロデュース2009
エドワード・ボンドの『リア』
2月にシアタートラムで上演した『ピランデッロのヘンリー四世』に続き、「現代における演劇の再生」を掲げる、串田和美×白井晃プロジェクト。第4弾となる今回は、イギリスの劇作家エドワード・ボンドがシェイクスピアの『リア』を下敷きに書いた作品。もう一つのリア王伝説に乞うご期待!
公演期間:2009年11月20日(金)〜2009年12月06日(日)
劇場:シアタートラム
全席指定:一般5,500円
学生・シルバー[65歳以上]:5,000円(ぷれいす・劇場チケットセンターのみ取扱い、年齢が確認できるものを要提示) / 友の会会員割引:5,200円 / 世田谷区民割引:5,300円
チケット取扱い:劇場チケットセンター 03-5432-1515 / ぷれいす 03-5468-8113 / 電子チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:397-744)/ イープラス / ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:38433)
演出:白井晃
出演:串田和美/緒川たまき/久世星佳/村岡希美/水橋研二/あさひ7オユキ/真那胡敬二/藤井びん/原金太郎/内田紳一郎/三松明人/草光純太/大橋智和/弓削智久/斉藤悠
【国内ツアー】12月17日(木)〜20日(日)まつもと市民芸術館 / 12月23日(水・祝)びわ湖ホール
ファンレターの宛先
〒160-0004
東京都新宿区四谷3-12 フロンティア四谷2階
株式会社太田プロダクション 大橋智和さん宛
http://www.ohtapro.co.jp/ohta_pro/profile/OhashiTomokazu/
音楽活動に関してはコチラ→http://www.myspace.com/kyadumakya