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ELECTRIC EEL SHOCK / Sugoi Indeed
UICV-1003 2,400yen(tax in) / 10.07 IN STORES海外での活躍を取り上げられがちだった(実際、海外での活動が主であった)が、日本でもその名をじわじわと轟かせ続けて十余年、ELECTRIC EEL SHOCKの6thアルバム「Sugoi Indeed」の発売が今年10月7日に決定。半分日本語だが、直訳すると「実際、凄い」。”SELL-A-BAND”(ファンがバンドに投資するオランダのサイト)資金でレコーディングしたのが今年の2月。MCにも定評があるAKI(Vo&g)がライブで、今作品のキラーチューン『Out Of Control』の前に「次に出る、かもしれないアルバムに入る、かもしれない曲を今からやる、かもしれない」とよく言っていた。しかし、それらも伏線に過ぎなかった。ツインギター(実際、演奏しているのは1人)パートもさることながら、AxSxE氏(NATSUMEN,g)によるMIXでその鋭いサウンドに磨きがかかっている。昨今、「逆にかっこいい」などと言われがちなHR/HMシーンだが、このアルバムを聴けば「まっすぐにかっこいい」と誇りを持って言えること間違いなし。今後の活動の拠点は日本にしていきたいとインタビューで語った舌の根の乾かぬうちに「じゃ、僕らこれからヨーロッパツアーなんで」(実際、次の日本国内のライブは年末予定)と言って旅立ってしまった。2年ぶりにアルバムをリリースしたと思ったら、今度は日本にいない。いつでもどこでも、本当にSugoi人たちである。先月号の続きとして、今月号にも彼らのインタビューが掲載されています。アティ・バウ氏(プロデューサー)のことやその他諸々「実際、凄い」彼らの足跡を辿るのも面白いのでは?ヨーロッパツアー後、彼らがどんな成長を遂げて帰国するか、今から気になって仕方がない。
(下北沢SHELTER:石川 愛)
9mm Parabellum Bullet / Black Market Blues e.p.
TOCT-26819 1,500yen(tax in) / IN STORES NOW 9mm Parabellum Bulletが6月にリリースした『Black Market Blues e.p.』がとにかくイイ!! プレイボタンを押すと同時にサビがいきなり始まるこの感じは、曲の始まりを高らかに宣言しているようで、続くギターのメロディーは懐かしくもあり横にのれる気持ち良さもあり、ドラムのリズムは自然と体が鼓舞されるようで、拳を突き上げて縦にのるだけでない、これまでの作品とは一風変わったものでした。ロックも歌謡曲も取り入れ、一聴しただけではちょっと古いと感じなくもないですが、聴けば聴くほどどんどんハマってしまい、気付けばリリースされて数ヶ月が経った今、レビューを書いているぐらいなのです。何度聴いても、ブルースってこんな感じだったかなという疑問は拭うことはできませんが…。M-2には、『Black Market Blues e.p.』が初めて披露された、今年の4月1日に代々木公園野外ステージで行なわれたフリーライブの音源を収録。また、9mm Parabellum Bulletは、2009年9月9日と9が揃ったこの日に日本武道館で初ライブを行ない、その時に初披露された『Cold Edge』を9月30日にリリース。カップリングには、“999(アット ブドウカン)”のライブ音源が収録されています。
正直なところ、自分が9mm Parabellum Bulletにこんなにハマるとは思ってもいませんでした。
(Rooftop:やまだともこ)
DUCK MISSILE / BACK STREET
LKR-021 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW思えば、ラモーンズもピストルズもクラッシュも、最後までB級だったから最高にカッコ良かったんじゃないだろうか。90年代後半の日本のインディーズシーンには、そんなB級パンクバンドに狂喜乱舞するシーンがあった。そんなシーンの中核に位置し、特にヤバイ音を出していたのがこのDUCK MISSILE。解散から10年を経て再結成、前作の名盤『EXCELLENT EYES』からこちらも10年ぶりの新作。元々知っている人は、聴いたらビックリするんじゃないだろうか? 1曲目から高らかにバグパイプの音が鳴り響き、アイリッシュパンクかラスティックに転向か? と思わせるオープニングSEのようなインストナンバー。しかし、2曲目の『BACK STREET』を聴くと無性に嬉しくなった。シンガロングタイプのSKAパンク。これだよこれ! 変わってねぇなぁと思わず口に出してしまった。(初めて聴く人は5曲目〜のRARE TRACK集と聴き比べてみて下さい。ホントに10年以上前と変わってないから)3曲目の『RUSTIC BIBLE』は、何ともおおらかな曲。全曲英詞なのだが訳詞を見ながら聴くとDUCK MISSILEは良い詞が多い。特に男連中には響く言葉が詰まっている。この曲もシンプルながら良い詞だ。新曲ラストは、こちらも「らしい」感じの爆走パンクロック。再結成のコメントにも「何も特別じゃない」と語っていたように、変わる事なくただのストリートバンドである事の誇りと自信に満ち溢れている。こんなバンドに「素晴らしい」と言う言葉は似合わない。全てが「最高」だ。
(新宿LOFT:水野 慎也)
松井常松 / HORIZON〜20th ANNIVERSARY〜
QWCH-10011 4,200yen (tax in) / 10.21 IN STORESBOφWY解散後、常に独自の音楽性を追求してきた“Mr.ダウンピッキング”こと松井常松がソロ・デビュー20周年を記念して発表するメモリアル・アルバム。BOφWY時代に作詞を手掛けた『WORKING MAN』、『LIKE A CHILD』、『RAIN IN MY HEART』の3曲、『YOROKOBI NO UTA』や『抱きしめたい』といったソロ時代の代表曲、尾崎亜美が楽曲提供した『SHADOW OF THE MOON』など新旧織り交ぜた全10曲を収録したCDに加え、過去のPV作品を全網羅したDVDまでパッケージされたプレミアム作品である。目玉となるのはやはり、BOφWY時代のナンバーを松井自らがベースを弾きながら唄う3曲の“封印解除”楽曲だろう。ライヴ音源『Nylon nights』、“真のファースト・アルバム”とも言うべき『Lullaby of the Moon』と近年はアコースティック・ギターを携えてヴェルヴェットな歌声を聴かせる作品が続いたが、本作ではあの質実剛健なベース・プレイが久々に復活しているのも嬉しいところだ。また、吉川晃司、佐久間正英、織田哲郎、樋口豊(BUCK-TICK)、本田毅(PERSONZ)、人時(ex.黒夢)、西山史晃(ex.ROGUE、氷室京介バンド)、榊原秀樹(De+LAX)といった松井と縁の深い豪華なゲスト・プレイヤーが多数参加している点も見逃せない。過去20年間の集大成と21年目の未来が凝縮した記念碑的な作品として申し分のない一枚だ。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
メロン記念日×THE COLLECTORS / 青春・オン・ザ・ロード
TGCS-5828 800yen (tax in) / 10.21 IN STORES“メロン記念日ロック化計画”の第4弾コラボレート・バンドがザ・コレクターズであると聞いた時、ググッと体熱が上がった。ポール・ウェラーを心の師と仰ぐ僕にとって、日本のモッズ・シーンにおける先駆的存在であるコレクターズは当然の如くフェイヴァリット・バンドであり、'93年に発表された彼らの通算6作目のオリジナル・アルバム『UFO CLUV』は日本のロック史上屈指の大傑作と信じてやまないゆえ、“ロック化計画”に更なる深みと奥行きをもたらしてくれるに違いないとコラボ楽曲を聴く前から踏んでいた。もちろんその仕上がりは期待以上の出来。『This is 運命』や『お願い魅惑のターゲット』の系譜を継ぐ無条件にライヴで盛り上がれるアップ・テンポのロック・チューンを生み出すというのが今回の“ロック化計画”における大前提だったはずだが、コレクターズはまずその大前提を心地好く裏切ってくれた。ジャック・ケルアックの自伝的小説『路上』へのオマージュと思しき『青春・オン・ザ・ロード』と題された楽曲は、往年のブリティッシュ・ロックのエッセンスがふんだんに盛り込まれたミディアム・テンポの哀愁ナンバーなのである。モッズ御用達のヴェスパ(恐らく)で海岸線を走った夏の恋の終わりを主題としながら、大人になるための裁きを受けるべく彷徨の季節が終わりを迎える刹那の響きもニュアンスとして込められている。諸君、淡く切ないラヴ・ソングの至宝の誕生である。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
perfect piano lesson / Wanderlust
ZNR-072 2,300yen(tax in) / 10.21 IN STORES 名は体を表すとはよく言いますが、『Wanderlust』をリリースする彼ら“perfect piano lesson”も、このバンド名がついているだけに美しいピアノの音色を聴かせるバンドだと勝手に思い込んでいました。でも、それは全くの思い違いだったようで、今作でも最後までピアノの音色が聴こえることはなく…。バンド名だけで判断してはいけなかったんだということを学びました。
今回リリースされる『Wanderlust』は、緊張感のあるギター、感情豊かで個性的なベース、キレのあるドラムで、「耳に残るメロディー」と「勢い」のある楽曲を聴かせてくれます。良い意味で、そしていろんな意味で裏切られた(笑)作品となりました。しかし、とても癖になる音楽であることは事実で、M-1『(leaving this planet on the) Sunday Night』は、湧き出るような雰囲気を持つベースから始まり、軽快なリズムを刻むドラムに鮮やかなギターと、バンドのアンサンブルが絶妙。また、交錯するツインボーカルがヘッドフォンの右から左へと流れ、洋楽も英詞の曲もほとんど聴かない私がメロディーの良さでグイグイと引き込まれていきました。全13曲(内ボーナストラックが1曲)が、個性的な光を放ち、アレンジの細部にまでこだわりを感じる珠玉の作品。曲が進むにごとに、もっともっと彼らの音楽に触れてみたいと思える1枚になってます。
(Rooftop:やまだともこ)
Briar / Briar NO.1
XQEE-1003 2,000yen(tax in) / 10.07 IN STORES結成10年を迎え、止まる事こなくROCK 'N' ROLLし続けてきたバンドBriar。東京のインディシーンで、POPでROCKな楽曲と、王道を行くROCK 'N' ROLL SHOWスタイルで、LIVEバンドとして動員を着実に増やし続けてきた彼等。ここ1年、更に活動を活発化させ、横道坊主や、ROCK 'N' ROLL GYPSIESなどとのLOFTでの対バンも記憶に新しい。そんな彼等のキャリア初となるフルアルバム『Briar NO.1』。プロデュースには、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)のソロ作品のプロデュースを手がけてきた篠原太郎氏(元ブレイカーズ、現 BRICK'S TONE)を迎え、そのマージービートなサウンドプロダクションと、西新宿時代のLOFTの空気を体感している彼等だかからこそ持ち合わせているバンド自身の厚みとGROOVEが融合し、これぞ“日本のROCK 'N' ROLLバンド”というアルバムに仕上がっている。
(加藤ともひろ)
WATCHMAN / Lotusize
IDCS-1029 2,415yen (tax in) / IN STORES NOWすべての表現というものは無から有を作り出す作業だといえるが、無/有のオンオフをどのように美しく配列するかが、その表現者の個性を左右する要なのだろう。エレクトロニカと呼ばれる音楽は、そのオンオフ(コンピュータで言えば0と1)の構造が単純であるがゆえに、それが幾重にも重ねられた時の全体像が、時に思いもかけない複雑な感覚を私たちに与えてくれる。1枚1枚の木の葉が広大な森を形成した時、人間はその一部として全体に溶け込んでいくかのような快楽を感じるのだろう。このWATCHMANの1stアルバム『Lotusize』を聴いた時に感じた印象はまさに自分が音の海の中を浮遊してく中で、自身が無となり全体としての有に融合するような不思議な感覚だった。かつてMELT-BANANAに在籍し、その後もCOALTAR OF THE DEEPERSやDMBQ増子真二など多くの感性豊かな表現者たちと共演してきたWATCHMANは、音とリズムという2つの信号を使ってあらゆる情感を表現してきたのだと思う。今作は、美しい旋律を持つミニマルな電子音を複雑に積み重ねながら、骨格となるリズムは生のドラムを使うという手法で作られており、初めて観る風景の中にどこか懐かしい記憶を呼び起こすものだ。最新のシンセサイザーと古い足こぎオルガンが同時に鳴っているような、そんな感覚とでもいったらいいのか。それにしても心地よい音楽だ。
(加藤梅造)
嵐 / 「5×10 All the BEST! 1999-2009」
JACA-5202・03 3,200yen(tax in) / IN STORES NOW気が付けばデビューして10年。バレーボールの応援テーマソングから始まって、嵐はいつの間にか確固たる「嵐」という地位を確立していた。バラエティ番組やドラマ、映画等、目覚ましく活躍する彼らだが、やはり5人で踊り歌っている時が最も格好良い「嵐」なのではないだろうか。超個人的に、デビュー当時世代ドンピシャ(高校1年)だった私は、DISC1を聴く度に、文化祭で踊ったなとか、木更津キャッツアイハマったなとか、思い出が走馬灯の様に甦るわけで。DISC1〜2へと曲順を追っていくと、そのまま嵐のアーティストとしての成長も聴き取ることができる。こんなにも輝きを増しながら成長できるアーティストは希有である。10年前も今現在も、嵐は日本を代表するアイドルとして突っ走り続けている。この先5年後、10年後、アーティスト・アイドル・タレント・俳優…として嵐はどうなっていくのか、益々楽しみである。それにしても超イケメンという訳でもなく、一見ポワーンとしていて頼りなさげなのに、実は5人の中でもズバ抜けて歌唱力のある、最もアーティスティックなリーダー・大野君を発掘したジャニーさんは、やっぱり凄い。
(鈴木由子)
NEW STRIKE ZIPPER / All Is Not Lost
EKRM-1127 2,100yen(tax in) / 10.02 IN STORESファン待望、ガールズバンドNEW STRIKE ZIPPER のファーストフルアルバム『All Is Not Lost』。女性6人のバンドで、ドラムのKANIさんは、ロリータ18号のTOBUさんの妹分だそうです。さすが、1曲目からテンション高い! です。女の子の友達と飛び跳ねながら、お楽しみの時間を過ごしているような気分になる、ポップでメロディックな作品。ちょっとくらい羽目外してもいいじゃんね! って。かと思えば、物悲しい曲もあり、アコースティックで始まる曲もあり、盛りだくさん。濃い1枚です。コーラスが可愛くて綺麗で、ミーンマシーンを思い出しました。でも、可愛いだけじゃないんだ! と思わせる、ボーカル2人で奏でる力強いラップ調の部分も。やっぱり女の子だけっていいなって感じます。わたしの一押しの可愛くてかっこいいガールズバンドです! 10月25日からは、アルバムの発売を記念したツアー“All Is Not Lost TOUR 2009-2010”が始まります。一発目は新宿ACBです。全国のニューストファンの皆様、お楽しみに!
(Naked Loft:セラ)
200MPH / 200MPH
STD7 2,200yen(tax in) / 11.6 IN STORES正直、この手の音を言葉にするのは苦手だ。「スゲェ! 何だこれ!」以上の意味を持たせることが困難だ。200MPHとしては、スプリットやDEMO音源はあったものの、正式なリリースは結成12年目にして初となる。ジャンルが細分化されたシーンの中で、何処にも属せない、属すことの許されない、文字通り説明不能。ツインDrとBassが叩きだす殺人的なグルーブ。ロック、ハードコア、メタル、グランジ、何でもござれで絶妙に絡みまくる2本のGt。鉄壁のバンドアンサンブルに乗る声は、文学的ともとれる言葉を語り、叫ぶ。人間の暗部か、それを通りこした人間の理想を願うような、そんな言葉。比べられるものではないが、MARS VOLTAやDISCHORD系のハードコアが好きな人にはたまらないだろう。全8曲で約40分弱の枠の中に、これでもかと言うくらいに濃密な音のブラックホールに吸い込まれる。次元が違うと言う表現が1番しっくりくる。日本のアンダーグラウンドシーンに、この規格外のバンドが存在することは世界に誇るべきである。
(新宿LOFT:水野 慎也)
FOE / DO NOT KILL'EM
AVCD-23902 2,800yen / IN STORES NOW我らが鋼鉄の兄貴、FOEの新作。會田茂一としての活動は、木村カエラや新垣結衣のプロデュースや、最近ではいとうせいこうとユニットを組んでみたりと活発なアイゴンだが、FOEとしては7月に噂のガールズ・デュオ・バンドStoned Green ApplesとのスプリットEPをタワレコ限定で出して以来、フルアルバムとしては実に3年ぶりとなる新作だ。デジタルな雰囲気のインストナンバー『PYRAMID OF THE QUEEEN!!!』からスタートし、2曲目『DO NOT KILL'EM』でアイゴンの歌声が加わると、もう完璧にFOEの世界観にどっぷり。変拍子のドラムにのってギュインギュイン硬質のギターがとってもカッコE。『DANCE,DANCE,DANCE』や『STROBE LIGHT』なんて、あからさまなダンスナンバーあり、しっとり聴かせるナンバーありと、ソリッドなのにその妙なポップ感覚はニクイ。メタル+メランコリック=メタリカルがテーマという今作。その男汁タプタプのメタリカルをどうぞ。
(ASAGAYA/LOFT A ヤマサキケント)
フォークシンガー小象 / 小象のひとりぼっちの四畳半コンサート第1集 小鳥
CDSOL-1315 2,400yen / 10.07 IN STORES 自分が小学6年生の時、女たらしの軟派野郎で格好がやけに派手で、みんなの気を引こうと一発ギャグやホラばかり吹いている同級生がいた。いわゆる学校のクラスに一人や二人いる目立ちたがり屋だ。その目立ちたがり屋は、やる事なす事低クオリティーなのに、何故か女子には人気があって、典型的にもてない男子だった僕は、本気を出したら、自分の方が面白いはずなのにといつも嫉妬していたものだ。しかし、卒業文集で、将来生まれ変わったら何になりたいという欄に、その目立ちたがり屋が「小鳥になりたい」と書いているのを見たとき、認識は180度変わり、嫌悪は愛に変わった。
目立ちたがり屋は特有の哀愁と弱さを持っている。そもそも彼らは、寂しくて弱いから目立ちたいのだ。フォークシンガー小象とは、表舞台で俳優として活躍している大堀こういちが、売れない時代遅れのフォークシンガーになりすましたキャラクターの名前だ。そんな彼が出すファーストアルバム『小鳥』。ここには目立ちたがり屋しか持っていない、美しい悲哀が詰まっている。
(Naked Loft:小柳元)
miscorner/c+llooqtortion / view for voices
STD-06 1,995yen(tax in) / 10.10 IN STORES SECRETA TRADES。相変わらずやってくれる。何てものをリリースしてくれるんだ。miscorner/c+llooqtortionがDischarming man 蛯名啓太さん、Naht SEIKIさん、小谷美紗子さん、lostage 五味岳久さんとのコラボレーション。すげー! でも想像が全くつかない。つくわきゃない。
ハードコア、エレクトニカ、アバンギャルドノイズ…挙げていったらきりが無いほどの多方面に、衝撃を(見た目どーり)叩きつけたmiscorner/c+llooqtortionってゆーのは、(僕は勝手に)昨年リリースされた1stアルバムで既に完成されたものだと思っていた。それこそ計算しつくされて作られた芸術作品と言って良いものだったと思う。それでいてヴォイニッチ手稿(オーパーツね)の様に甘美な魅力の詰まった解読不能さという相反する二面性を持った化け物だったわけである。そこにさらに才能、魅力、孤高…これも挙げて尽くす事の出来ない面々の歌声を投入? 聴いてビックリ。あのトラックに歌をのせるだけでも凄いのに、さらっと。それでめちゃくちゃいい。信じられない体験を無理やりさせられた感覚。でも一番信じられないのは、真っ向からオリジナルインストを収録し、その上首を縦に振らざるを得ない状況を作り出したmiscorner/c+llooqtortion本人達であろう。驚愕。
(下北沢shelter:ピラミッド(古代遺跡ね))
森ゆに / 夏は来る
XQFL-1012 1,890yen(tax in) / 10.07 IN STORES APOGEEで第五のメンバーとしてキーボードとして活躍したり、『ほぼ日刊イトイ新聞』では音楽を担当する等、多岐に渡る活動をしている、森ゆにのソロデビュー作品『夏はくる』。
ピアノの重たい音で始まるかと思いきや、澄んだ歌声がじわりじわりと包み込み、まるでひとふきのミストのよう。また彼女が描く歌詞が、まるで物語を読んでいるかのように言葉1つ1つを聴き入ってしまう。風、雲、空、海、雨…沢山の自然のキーワードが出てくる。そんな言葉使いにも注目です。
人によってそれぞれの音楽の聴き方があるかと思いますが、私は彼女の作品は夜寝る前だったり、お風呂に浸かっている時に聴いています。自分にとってのリラックスタイムは、激しいロックよりも、しっとりとしたポップスがあっているようです。またピアノに沿った弦楽器の音が何とも心地よく、今日も小さな幸せに感謝して眠る事が出来ます。うまく言えないけどそんな作品。そして、近いうちに彼女がピアノに向きあう姿を見てみたいです。
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)
RIGHTNING-V / MY SONG
RCSP-0016 1,785yen(tax in) / 10.21 IN STORES 関西メロコア・シーンの新世代ともいえるRIGHTNING-Vが、約1年振りに2nd mini ALBUMをDROPさせる。販売限定シングル『Someday』がかなりの話題を呼んだ彼等。これまで以上の疾走感とテンポから繰り出される、新世代メロディックに拳を! ともいえる彼等の2nd mini ALBUMは、LIVEで盛り上がること間違い無し! というぐらいの攻めの8曲入り。美しいメロディーと切なさを兼ね備え、まさに押し! ともいえる1曲目の『PROMISE』に心を掴まれたかと思えば、サビで転調する彼等らしい曲ともいえる『Living way』。巧みなコーラスとRIGHTNING-Vらしさともいえるギターのリフが炸裂され、BAND名通りに電撃ショックを与えてくれる『Believe it』。ミドルテンポの中でも絶妙なバランスの『YxMxHx』。エモーショナルな要素ともいえる『Dear My Friend』。極めつけのラストは、何と言ってもOASISの名曲『WHATEVER』のカバーである。とにかく早い(笑)! その中にも彼等らしい痛快さが響き渡るのだ。
レコ発TOURも10月20日から全国30カ所以上で開催される。TOURで成長した未知なる可能性を、音源と共に体感して欲しい。
(下北沢SHELTER:平子真由美)
RED BACTERIA VACUUM / Dolly Dolly,make a epoch
LTSF-001 2,500yen(tax in) / 10.16 IN STORES 世界を股にかけてその強烈なキャラクターを発信するガールズパンクバンドRED BACTERIA VACUUMが、自主レーベルを立ち上げ、フルアルバムを完成させた。
意外なリードトラック、シャッフルビートからそのヘンテコながらポップな世界観を持つ、このバンドのひねた雰囲気を感じるホラーサンバで、アルバムはスタートする。その多面性を表現するかのように、ヘビーな楽曲に女性らしい悩みを赤裸々に歌う『Diet』、ひたすらビートに乗せてポジティブなメッセージを歌う『Freedom』、気持ち悪い? くらい素直に、でもホントに訴えたいワードは英語で叫ぶ名曲、その名も『恋愛ミュージック』、そして個人的にとてもはまったのは、5曲目の『COLOR』。WEEZERを彷彿させるような頭に残る泣きメロが心地よく、その歌の世界を聴くと、人を想う気持ちを女性独特の大きな愛で凛として包み込んでいる。何回聴いてもスっと入ってくるこの曲は、自分の中で今年の何度も再生する曲になるだろう。
全編通して思ったのは、そのガールズパンクのイメージから、ひねくれていつも意地悪で小悪魔の様なバンドに見えるが、実は日常のあらゆる普遍的な事を自分と同じく等身大に表現している、気持ち良い作品だった。
(新宿ロフト店長:大塚智昭)
waffles / balloner
wfls-0004 2,800yen(tax in) / 10.04NEST公演〜ライブ会場限定にて発売 今夏Naked Loft主催のライブイベントに出演していたwafflesのライブを久しぶりに拝見。その日のライブはとにかく言葉が入ってくるものだったし、個人的には色々とあった夏の事を思いながら聴いてしまったものだから、余計に染みました。ライブが終わった後は素敵な曲だったなぁとしばらく呆然(笑)。毎日の様に色んなライブを見て、色んな音楽を聴く様な生活を送っていますが、この作品は自然と手を伸ばしてしまい、繰り返し何度も聴いてしまう。色んな経験をした大人であったり、今まさに青春真っ盛りの若者も楽しめるし、どんな人にも胸キュンしちゃうんじゃないかな(笑)。そんな魔法が宿っていると思う1枚。
完全自主となる本作品は、そんじょそこらのメジャーバンドには全然負けてなく、とても完成度と純度が高い作品。歌詞とメロディーが相思相愛。この1枚をきっかけに旧譜も聴いてみたいと思います。
P.S.happy talkにてミニインタビューしています。
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)