レビューページの画像をクリックすると、Amazonのページにリンクします。
★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |

吉川晃司 / Double-edged sword
初回限定盤:UMCF-9515/7 4,200yen (tax in) 通常盤:UMCF-1023 3,000yen (tax in) / IN STORES NOW
“Double-edged sword”、それ即ち、“両刃の剣”。一方では大きな利益があるものの、他方では大害を伴う危険があることの喩えである。吉川晃司のデビュー25周年記念ニュー・アルバムのタイトルが『Double-edged sword』と聞いた時、「分のいいことと悪いことで迷った時は、分の悪いことに惹かれてるんだからそっちを取れ」というすべてを蹴飛ばしてマイナスに懸ける岡本太郎の生き方を即座に連想した。吉川もまた、一貫してすべてを蹴飛ばしてマイナスに懸け続けてきた表現者である。四半世紀前のデビュー以降の数年で権威的なスター・システムに対して内部から変革を起こし、傷だらけになりながらも躍起になって自身のアイデンティティの確立に七転八倒していた青の時代。更なるアーティスティックな表現を求めて布袋寅泰とタッグを組んだCOMPLEXの破格の成功、その成功に安住することなくひとりの表現者としてリスクを背負いながらより深淵なる音楽性を求め続けた20代後半。益々円熟味を増していった音楽の分野だけに飽き足らず、映画、ドラマ、舞台とあらゆる表現の世界へと果敢に身を投じていった30代。そして、不惑の40代に突入した吉川晃司は荒野に針路を取りつついよいよ奔放な創作活動に邁進し、避け方を知らんとばかりに傷だらけになりながらも、その傷の深さと角度によって放つ未曾有の輝きを心の拠り所として疾走を続けている。『Double-edged sword』はそんな天馬空を行く吉川の表現者としての矜持と今この瞬間の境地を余すところなく詰め込んだ作品なのである。先行シングル『傷だらけのダイヤモンド』を基軸とした本作は、前作『TARZAN』のディスコティークな世界観から一転、鋭利で重厚なギター・サウンドを全面的に配したダイナミックかつエネルギッシュなサウンドが作品前半の大きな特徴と言える。個人的には後半の『Checkmate in blue』、『南風honey』という小気味良い瑞々しさと爽快感を与えてくれる楽曲に惚れ込んだ。前作で言えば『Love Flower』や『Banana Moonlight』のような往時のブライアン・フェリーを彷彿とさせるヴェルヴェットな音像は今回、文字通り『Velvet』という楽曲に集約されている。同曲の充実振りを聴くにつけ、恐らく今の吉川はこの路線にどっぷりと浸かりたいのではないかと察する。
なお、本作の初回限定盤には最新ライヴ・アルバム『25th Year's Eve Live』(初CD化)とファースト・ライヴ・アルバム『ZERO』(1988年6月発表:デジタルリマスター復刻)という2枚のライヴ音源を特別収録。『25th Year's Eve Live』は昨年末に国立代々木競技場第二体育館で3日間にわたって行なわれたライヴから精選した15曲を収録。M-3の『Crack』でギターを弾いているのは先だって急逝したアベフトシであることを附記しておく。『ZERO』は当時、翌年に始動するCOMPLEXに備えて自身のソロ・キャリアを総括する意味を込めて発表された作品だった。その『ZERO』を今このタイミングで改めて収録する真意を推し量りたくもなるが、デビュー以来4年の間に連発されたヒット曲の数々(今聴いても恐ろしくクオリティが高い)を純粋に楽しむのが一番だろう。四半世紀を祝う記念碑的な作品としては実に申し分のない一枚である。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
SUPER BEAVER / 二つの旅路
ESCL-3266 1,020yen(tax in) / IN STORES NOW
常に成長を見せるSUPER BEAVERが、6月にメジャーデビューシングル『深呼吸』をリリースしたばかりだというのに、早くも第2弾シングル『二つの旅路』をリリースした。初めて会った時には、まだ10代のメンバーが何人かいた記憶がある。それがほんの数年前なのに、その頃から比べると彼ら4人とも音楽的にはもちろん、人間的にも成長をし続けているように思う。
今作も、日々進化する彼らを感じることができる。表題曲でもある『二つの旅路』は、SUPER BEAVERの最大の魅力でもある一度聴いたら忘れることはないポップ性を持ったメロディーに、思わず拳を振り上げたくなるようなサビの爆発力。そして、等身大の彼らを映し出したリアリティーのある歌詞。“少年と大人の狭間で〜”というフレーズは、特に今の彼らをそのまま切り取ったようでもある。一言一言が力強く、頼もしく、背中をポンと押してくれるというよりは、一緒に歩いていくような作品である。2曲目の『サイン』は、ポップでロックなサウンドが多かった彼らには珍しい、スロウでじっくりと聴かせる曲。そして3曲目の『Conto'nroll』は、少し攻撃的な歌詞が乗り、ロック+ダンス・ミュージックでライブ感のある作品。ボーカルは前作でも明らかに進化していたが、今作はそれ以上に説得力が増していた。聴く人を笑顔にしてくれる楽曲だった。彼らの今後がさらに楽しみになる1枚だ。
(Rooftop:やまだともこ)
nil / SCOTOMA
NLCD-16 3,675yen(tax in) / 9.16 IN STORES
純粋なるロックンロールである。『SCOTOMA』(先入観)と名付けられたこのアルバムは「やっぱロックはこうでなきゃ!」と思わせるには十分な素晴らしい出来。ライブバンドnilならではのドライブ感は、ダビング一切無しの一発録りで、しかもファンを招待しての公開レコーディング。なにより極限まで贅肉を落としたかのように全11曲で39分39秒! コンパクトにまとめた印象は全くなく、むしろ濃密すぎるほど。まるでライブのセットリストをイメージしたような曲順の流れと、一発録りという手法もあり臨場感はハンパなく出まくって、ライブ盤かと一瞬耳を疑うほど。アップな曲とミドルな曲のバランスが素晴らしいくらい良く、テンションの上げどころと下げどころのツボがやはり百戦練磨のライブバンドならでは。Vo/G高野 哲いわく「ゴツい出来栄え」と言ったのも頷ける。とは言えいつものnilらしさはそのままに、タイトでグルーブ感たっぷりのリズム隊、Ba小林 勝とDr風間 弘行の絡みは絶妙。キレのあるギターをぶつけ、ユーモアたっぷりの詞を歌い叫ぶVo/G高野 哲。しかし、タイトルにもあるように、その「nilらしさとは…」などと先入観をもって聴いてしまわないほうが良い。それすらも凌駕するぶっ飛んだ内容だからだ。
9/13の千葉LOOKを皮切りにツアーが始まり、全国でこの素晴らしきロックンロールが爆音で鳴り響く事が非常に楽しみでしかたない(ロフト系列はないのですが…)。頭を空っぽにして踊り狂うことをオススメしよう。
(新宿LOFT:水野慎也)
松田聖子 / Pineapple
SRCL 20019〜20 2,980yen (tax in) / IN STORES NOW
松田聖子。1980年代に爆発的な人気を誇り、誰もが知っていたアイドル歌手。当時の他の女性アイドルと彼女の圧倒的な違いは、豪華な制作陣によるクオリティーの高い楽曲[制作陣の一部:松本 隆・財津和夫・大瀧詠一・呉田軽穂(松任谷由実)・来生たかお・細野晴臣・大村雅朗・南 佳孝・尾崎亜美・矢野顕子・佐野元春・甲斐祥弘・等]。そして最大の魅力は、それらの楽曲を軽々堂々と歌いこなしてしまう聖子の歌唱力と表現力。松田聖子ならではの唄い回しとリズム感、独特の声質・歌声(ヴォーカル・スタイルを含む)が楽曲をより引き立てています。デビュー当時の張りと伸びのある歌声も、シングル『天国のキッス』あたりがピークかと思われる“キャンディー・ヴォイス”と、後に云われることになる艶やかで耳に心地よい歌声も。来年デビュー30周年を迎える聖子の、80年代のオリジナル・アルバム全16タイトルが高音質仕様で再発売されたのを機に改めて聴くと、松田聖子という人はアイドルではなく“シンガー”だったのではないか、と思うのです。またアレンジやバックミュージシャンの演奏にも耳を傾けると色々な発見があり、面白いです。当時、ファンだった方も、シングルしか聴いたことのない方も、松田聖子を知らない世代にもこの機会に是非聴いてみていただきたいです。歌謡曲・アイドルポップスが全盛の時代に「松田聖子」は彗星のようにキラキラと輝きながら現れた至宝なのだ、と再確認できます。
(姪河カラー)
Prague / Slow Down【初回生産限定盤】
KSCL-1447〜KSCL-1448 1,400yen(tax in) / 9.09 IN STORES
2006年に結成されたばかりの、22歳のスリーピースバンド“Prague”(本当の事を言うと、初めてバンド名を見かけた時は“プラグエ”だと思っていたが)、Pragueと書いてプラハと読む。Pragueを一言で表すと、ジャンルがあってないようなバンドだと思う。小さい頃から聴いていて自然と身に付いているというブラックミュージックを根底に、ロックもポップもダンスミュージックもあらゆるジャンルを吸収し自分たちなりの解釈で表現する。本誌インタビューでドラムの伊東が、「漠然としているんだけど、こういう雰囲気の曲にしたいというのはあって…」と何度も言っていたが、その漠然とした感覚こそが一番良いものではないかと思う。それは自然と体が反応する音であり、聴く者の心にスッと入ってくるものなのだから。
今回デビューシングルとなる『Slow Down』では、未来に不安を感じていても前に向かってゆっくりでいいから進み続けるという真っ直ぐなまでの歌詞から、いろいろと模索しながらも進化をし続けるだろう彼らを想像させる。そして、ライブで聴いた『Slow Down』があまりにも心地よかったことが忘れられなくて、10月14日に下北沢SHELTERで行なうRooftop企画イベントに出演のオファーをさせていただいた。彼らの未知なる可能性に触れて頂きたいと切に思う。
(Rooftop:やまだともこ)
ワッツーシゾンビ / WE ARE THR WORLD!!!
ROSE-89 2,100yen (tax in) / 9.05 IN STORES
大仏(ビッグブッダ)ロック・シーンの道祖神ことワッツーシゾンビの、渾身の3rdアルバムがついに登場。豪華ゲスト満載の前作とはうってかわって、今回はメンバー3人+池永正二さん(あらかじめ決められた恋人たちへ)プロデュースによる、新生ワッツーシゾンビ…否、ワッツーシゾンビ凝縮エキス含有率倍増音源といった塩梅。わかりやすい耳慣れた言葉なのに相変わらずオリジナリティが溢れている。彼らの心の奥底と各々の楽器の中でゴゴゴと煮えたぎる熱い塊が勢いよく、かつリズミカルに襲ってきたと思ったら、アルカイックスマイルで見守られていた。CD1枚聴く間にも、斯様な小さいレボリューションが起きているのである。日常の小さな「あれ? おや? んんん?」の答えが出るヒントが隠されているといっても過言ではない。皆々さんに、毎日何かしらレボリューションが起きているよ、気付いたほうが面白いよ、という問題提起。立て続けにアンサー・ソング。“悩む”ではなく“自分で考える”ということがいかに大切か改めて気付かされる1枚である。音が格好いいのは言わずもがな。演奏に関しても日々成長する彼らは、自分だけで大きく(大仏の大)なったのではない。聴いてくれる人がいるからこそ、一緒に邁進できるのである。あなたが今手にとられている本誌に、ワッツーシゾンビの最新インタビューが掲載されています。そちらも是非。
(下北沢SHELTER:石川 愛)
レス・ポール / The Very Best of Les Paul and Mary Ford
IMPORT / 1,223 (tax in) Amazon、ETC.
最近はなぜか偉大なミュージシャンの訃報が続いているが、さる8月13日、また一人の音楽家がヘヴンズドアーの向こう側へ行ってしまった。エレキギターの父と呼ばれたレス・ポール。94歳だった。レス・ポールと言えば、彼がギブソンと組んで完成させたエレキギター「レスポール」があまりにも有名であるが、他にもオーバー・ダビングやアナログ・ディレイなど、今では当たり前になっている技術をいくつも開発している。そして、レス・ポールは偉大なる発明家であると同時に非常に優れたミュージシャンでもあった。1930年代から活躍するレスは、50年代にはパートナーである歌手のメリー・フォードと共に『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』や『Vaya Con Dios』などのヒットを連発し、また2人の名を冠したテレビ・ショーはアメリカの人気番組でもあった。生涯現役だったレスは、死の直前まで毎週N.Y.のクラブでライブを行っており、昨年はその模様をドキュメントした映画「レスポールの伝説」が公開されたばかりだった。伝説と呼ばれるギタリストと言えば、B.B.KING、クラプトン、ジミ・ヘンドリックスなどが筆頭にあがるのだが、レス・ポールこそが彼らを導いたギタリストなのだ。レス・ポールの演奏を聴いたことのない人は是非この機会に彼の音源に触れてみて欲しい。超絶テクニックを軽々と披露しながらも歌心に溢れた彼のギタープレイは、ロックの本流を教えてくれるだろう。
(加藤梅造)
asphalt frustration / fauvizm
ORG-002 / 1,000yen(tax in)/ LIVE会場限定NOW ON SALE!!
7月30日の代々木公園野外STAGEでの“FIVE ON THE MOVE”。久々の晴れ間から、夏を味わい、おいしいビールと共に存分に楽しんでいたFIVE ONの面々達。身内ノリを大幅に飛び出してしまう所(笑)が彼等世代なのかもしれない。まさにその日からLIVE会場限定で販売されている『fauvizm』。ここ数年の間での環境の変化から、念願のスタートラインに立ったというか、新たなasphalt frustrationとして、門出にはふさわしい“FIVE ON THE MOVE”のFREE LIVEだったと思う。サポートも含めて6人、新生asphalt frustrationが奏でる音は、メロディー重視は変わらずだが、相当POPである。何よりもこのシングルを聴くと、BANDをして楽しい!! という気持ちが見えてくるようである。『Weekend』のストレートすぎる歌詞からも迷いは感じられない。既にLIVEではお馴染みでアスフラ御得意ともいえる、踊れるビートに良質メロディーが乗っかる『Stay'n Back』。今までとは違うニュアンスともいえる『Low!Low!』や『Bylon』はシンセを中心に展開していき、LIVEでも盛り上がりそうである。
紆余曲折を経て、ようやく自分たちの場所を見つけたような、そんな芯の強さと何よりも状況の良さが伺える。同時に、今後の展開に期待してしまうワンアクションである。音源を手にしていない方は、LIVE会場へ急げ!!
(下北沢SHELTER:平子真由美)
GOMA & The Jungle Rhythm Section / AFRO SAND
WRCD-44 2,800yen(tax in) / IN STORES NOW
ディジリドゥー×ドラム×パーカッション×パーカッション。前作から2年の時を経てGOMA & The Jungle Rhythm Sectionが帰ってきた。まさしくJungle Rhythm。GOMA氏のディジリドゥーが神秘的かつ扇情的なメロディーで先導すると、後ろからは超強力なリズム隊が圧巻のグルーヴで聴くもの全てを飲み込んで行く。僕らはただ黙ってそのグルーヴにされるがままにしておけばいいだけ。気付いた時には汗みずくになって身体を揺り動かしていることだろう。そこには歓声と嬌声以外に言葉は存在しない。
GOMA氏の念願でもあったオーストラリアレコーディングが敢行された今作。「自分のディジリドゥーが本場でどのように受け止められるのか不安もあった」と語ったが、付属のDVDに収められているツアードキュメンタリーを見れば、その答えは明らかだ。9月からは自身初となる自主企画ツアーが行われる。このグルーヴで踊らずに夏は終われない。
(Asagaya/Loft A:ヤマサキケント)
坂上弘 / 千の風になる前に
VICB-60044 / 2,300yen(tax in) / IN STORES NOW
自分はどう老けて行くんだろうか。妻も子供もいない自分はそんなことを考えて眠れなくなったりすることがあります。
金も夢も無くなり、看取ってくれる家族も遊んでくれる仲間もいない老後…怖い。そう頭では思いつつ、何もせず。日々確実に老いていく今の自分に、焦ったり呆れたり。正面をまともに見られない生活の中、88歳にしてファーストアルバムをドロップしたシンガーソングラッパー坂上弘は、天に抜けるような声で私に言ってくれました。「ガンバレ!」と(収録曲『人にやさしく』より)。ちゃんとアンテナ張って生きてりゃ、なんか不思議な巡り合わせでトンでもないことが起こりうるんだと。
超一流のミュージシャンに超本気で遊んでもらった坂上さんは、88歳とは思えない圧巻の声量でそれに応えてます。夏の午後のような力の抜けたいい感じのトラックと相まって、ブルーハ―ツの『DUGOUT』を彷彿とさせる仕上がりに。ジャケとイメージが違いすぎなのも湯浅さんの作戦なんでしょうか? しかしマジでいいスよこれ。
(LOFT/PLUSONE:サイトウワタル)
D.W.ニコルズ / マイライフストーリー
初回盤 AVCH-78007 500yen(tax in) 通常盤 AVCH-78008 840yen(tax in) / 9.09 IN STORES
胸を張って、「僕達メジャーデビューします!」とMCで高らかに宣言していた彼らのメジャーデビュー盤が遂にリリース。希望に満ちあふれた表情と歌でD.W.ニコルズが全音楽ファンに宣戦布告!
インディーズ時代に1st mini album『春うらら』、2nd mini album『愛に』をリリースし、着実に実績を積み上げて来た彼らのデビュー盤はとても力強く、真っすぐな歌に仕上がっている。プロデューサーに寺岡呼人氏を迎えた『マイライフストーリー』の歌詞がグッときたなぁ〜。言葉の語呂合わせが楽しい1曲。私が初めてD.W.ニコルズを聴いた時の印象が「真っすぐで、存在感のある歌声だなぁ」と思ったのだが、全くぶれていない。またカップリング曲には、とても良い表情で歌うように演奏する『キポン』が収録。先月新宿ロフトでのライブイベントに出演してくれた時に歌ってくれたのですが、その時のライブの光景が聴く度に思い浮かびます。
まだ彼らの歌に触れた事がない皆様! 初回盤はナイスプライスの500円ですので、この機会に是非触れてみてください。これからの活躍に期待大!
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)
pertorika / あまやどり
300yen / IN STORES NOW
こんにちわ。ジメジメと蒸し暑い日が続いてますね。今回はそんなジメジメを吹き飛ばす、春風の様に爽やかな一枚、pertorika(ペルトリカ)の2枚目となるCD『あまやどり』を紹介したいと思います。前作までは女性ボーカルだったのですがメンバーが脱退し、今回からはGt三井拓郎さんが歌も担当しています。雰囲気ある甘い声で以前より楽曲が締まったように思います。実はこのバンド、SHELTERの遅番「オショウチータ」こと大内君がドラムを叩いてます。彼の戦車のような肉体から繰り出される力強くも繊細なドラム、肉まんのような顔からは想像もつかない程キレイなコーラスボイスには目を見張るものがあります。
『あまやどり』に収録されている楽曲は4曲。その中で筆者がオススメしたいのが2曲目の『tsuki no shita』です。歌声とピアノ、美メロの応酬に次ぐ応酬。そこにオショウのドラムが加わり全体をまとめ上げ、オシャレで優しくて小躍りしたくなるような曲に仕上がってます。一度聴いたら忘れられなくなり、思わず鼻歌を歌ってしまいます。『あまやどり』はpertorikaライブ会場の物販、またはpertorikaのホームページでお買い求めください。『あまやどり』でジメジメをぶっ飛ばせ!!
(下北沢SHELTER:おっちょこボーイ)
PLATON / TOKYO YOUTH!
OMOCD-0064 2,000yen(tax in) / IN STORES NOW
首を長くしてずーっと待っていたPLATONの新譜。約3年半降りのアルバムは、PLATONという世界で一つしかないジャンルを確実に形成したかの様だ。そして少年のようなハイトーンボイス、胸にキュンとくるグッドメロディは私の期待をやっぱり裏切らない。
音楽の楽しみ方って人によってそれぞれだけど、私的PLATONの楽しみ方は車を運転している時。以前、彼らの1st album『シーサイドアフターヌーン』を聴きながら運転していたら、作品の途中で目的地に到着してしまいそうだったので、遠回りして向かった事も(笑)。今回もそんな作品に間違いなくなるでしょう(笑)。『TOKYO YOUTH! 』を聴く度に楽しくもあり、少し大変だった2009年の夏を思い出すんだろうな。
最後に、こういったバンドが音楽を長く続ける事自体が私に光をもたらせてくれる。『TOKYO YOUTH! 』を通して彼らの素晴らしい人間力に触れる事が出来良かったです。
(ロフトプロジェクト:樋口寛子)
永野 / 目立ちたがり屋が東京でライブ
CCRR-8842 3,675yen(tax in) / 9.18 IN STORES NOW
「見たことないけど」
そう、実際僕も見たことなかったんですが、というか実を言うとお笑いへの興味が本当に薄くて、正直このレビューの話が来たときに絶対、何も書けないな〜〜なんて思ってたんです。ところがどっこい! 最高っす! 素人発言かもしれませんが全部意味がわかりません。スパイダーマンを見たことないのにスパイダーマンのモノマネをすると言って、完全にマイケルジャクソンのモノマネしてるし、13日の金曜日を見たことないけどジェイソンのモノマネをすると言って、ジャッキーチェーンが乗り移ってるし! わかりづらいシュールな一面と誰でもわかりえる一面が見事にバランスを保ち絶妙な笑いを生んでいます。なんだかお笑いにハマってしまうきっかけが生まれた気がします。
しかも、彼のキャラがいいですね! 正直カッコいい訳ではないし、でもどこか懐かしいような、クラスに絶対ひとりはこう言う人いる! というような親しみやすいあのキャラクターから出るこのシュールなネタがたまらなくツボでした! あくまで肩の力を抜いて寝っ転がって見ていただきた一作でしたね!
(新宿LOFT:HxGxK)
LISTEN UP / bathrooM
TKT-1003 1,800円yen(tax in) / 9.09 IN STORES
何気なく流れている音楽、それがふとした瞬間に身体に染みこみ心に触れている、そんな瞬間がたまにある。そんな優しくもしっかりとした意志のある音楽を奏でる4人組、LISTEN UPと言うバンドの新作『bathrooM』が届いた。そこに詰め込まれた音楽は、大切な人と自分の内面に向き合うアコースティックな雰囲気の『exist』から、その名の通り前のめりなギターのリフレインで押し、日常の葛藤を描く『riff』。アルバム1曲目を飾る切ないくらい素直に誰しもが持つ弱音からの希望を歌う『泣き星』。そしてエンディングにふさわしい自分へ向けた大人の子守歌のような、ここまでの楽曲の幅広さを締め、また明日を迎えるべく、今日を終える歌『眠れない夜にうたうウタ』。タイトル『bathrooM』は、毎日訪れる場所。毎日が毎日の繰り返しの様に見えるけど、ふと湯船につかって今日の一日を考え直すと、様々な感動と後悔があって、でも明日の事を思ってワクワクしたり…。我に帰る場所、毎日帰る場所で、そこでの感情を歌うストーリーが詰まっているアルバムなのだなぁと、全て聴いて思った。
(新宿LOFT店長:大塚智昭)
RADIOTS / FOREVER RULES
2,415yen (tax in) / 9.09 IN STORES
「本当にRADIOTS!?」そう思わせられるようなバグパイプの音色から入ったイントロ。やはりこいつらはただ者ではない。かつてPUNKの代名詞とも言われてきた彼らにも関わらず、カテゴリーにとらわれず、むしろ自らで自らの音楽をカテゴライズしているようにも感じる。彼らの歴史はニュージェネレーションの積み重ねであり、彼らの歴史がPUNKなのである。そう確信させてくれる今作は、定番のPUNKサウンドから冒頭でも話したようなバグパイプの音色、NUTS & MILKやSCHOOL JACKETSを想像させるような軽快な西荻PUNKサウンドから、日本人とは思えないようなギターリフとメロディ。とにかく彼らの音楽は自由であり、そこに確固たる精神があり何物にも屈しない彼ら自身の姿勢が音にも表れている。
もちろんRADIOTSの音楽は好きだが、僕はそれよりも彼らのその精神姿勢に惚れているのかも知れない。男だったら天下とってナンボだし、平民のままで存在し続けることなんて面白い訳がない。それを声高らかに叫ぶのではなく、人それぞれの表現の中で彼らこう言った表現の仕方を選んでいるのだろう!そういう意味ではやっぱりワビサビの効いた生粋の日本人なんですよね! 惚れるぜ兄貴!!
(新宿LOFT:HxGxK)
ローリークック / It's a beautiful day
LLR0002 1,800yen / IN STORES NOW
沖縄のロックンロールバンドTHE WALTZでボーカル&ギターを務めるローリークックによるソロ作品が、前作『カメジロー』と共に全国発売となりました。
今作は「僕らの一生なんてゴッホが瞬きをしてる瞬間くらいかも」しれないが、世界に一人の「君」で出会えたこと、日常の中の喜びを歌った鮮やかなコーラスから始まります。が、次の曲から状況は一変。「誰も歌えなかったオキナワ」を叫び続けます。一部の言葉だけ拾ってもそう、「悪の一味」「鉄の暴風」「村八分」そこまで言わなくてもという程に乱暴にぶつけます。しかし『It's beautiful day』というタイトルに偽りはなし。荒んだ世界に遊ぶ一人の天使、とでも例えましょうか、対照的に全曲通して現れる可愛い女の子の影が聴き手の心を救ってくれます。
沖縄にまつわる音楽を探せば必ず彼に当たるローリークック。僕は彼のソロ作品を聴いたのは初めてだったのですが、ここから聴く人にも、往年ファンにも嬉しい『なまけ者のバラッド』もボーナストラックとして収録されています。
(Naked Loft:上里環)