ギター バックナンバー

ワタナベマモル MAMORU & THE DAViES('09年9月号)

ワタナベマモル

シンプルの極みを行く真心のロックンロール、
その集大成となる珠玉のベスト・アルバムが堂々の完成!


 以前、ワタナベマモルは「パブ・ロックとは何ぞや?」という問いにこう答えたことがある。「懐が深いこと。愛情やこだわりが詰まっていること」と。これはそのまま、ワタナベマモルが奏でるシンプルかつストレートなロックンロールにも言えることである。平易な言葉と一度聴いたら忘れない親しみやすいメロディ、肩肘の張らぬ歌声に至って明快なサウンド。これがワタナベマモルのロックンロールのすべてだ。これ以上分解しようのないシンプルの極みを行く音楽である。だが、その音楽にはオールディーズ・バット・ゴールディーズなロックンロールへの限りなき愛情と“いい歌を届けたい”という真心が十二分に込められている。もちろんマモル自身がそんなことを殊更に口にすることはない。彼はただ、「オイラはイカれたロックンローラー」と叫ぶだけだ。そんなぶっきらぼうでシャイな男が掻き鳴らす3コードのロックンロールをこれまでこよなく愛聴してきた人も、グレイトリッチーズの“グ”の字も知らない人も、MAMORU & THE DAViESの初のベスト・アルバム『ヒットパレード〜BEST OF MAMORU & THE DAViES〜』は必聴だ。キース・リチャーズがロバート・ジョンソンの音楽を称賛した時の言葉を拝借して言うならば、こうなる。ロックンロールがどんなにいいものか知りたいんだろ。だったらこれだよ、と。(interview:椎名宗之)


ベスト盤の選曲の基準は“いい曲”

──このタイミングでベスト・アルバムを発表する意図から聞かせて下さい。

マモル:以前から古い音源を録り直してリリースしようとずっと思ってたんです。ロフトレコードで出した音源とかも古いし、店頭にはもうほとんど売ってないから、今ライヴに来てる人は新しい音源を知ってても当時の音源を知らないだろうし。あと、去年『ヒコーキもしくは青春時代』を出してから曲が余り溜まってなかったもんだから、新しいアルバムを作る準備もできないし、ベスト盤を出すなら今がちょうどいいかなと思って。『ヒコーキ〜』からほぼ1年経ったし、今まで1年に1枚のペースでコンスタントにやってこなかったから、そのペースでしっかりやりたい気持ちもあったしね。

──過去の音源そのものを収めるのではなく、録り直すことが重要なポイントだったんですよね?

マモル:まず単純に原盤の問題がありますよね。でもそれ以上に、どんなミュージシャンでも古い音源って気に入らない部分があると思うんですよ。音的なこともあるし、いい曲とダメな曲があるって言うか。ロフトで出した2枚で言えば、『想像しよう』のほうが面白かったかな。そういうのを引っくるめて、今のほうが自分で録るぶん上手く整えられるから録り直してみたんです。

──選曲の基準はどんなところですか。

マモル:いわゆる代表曲って言うか、いい曲ですね。他にも入れたい曲があったんですけど、これ以上多いとちょっとダラけると思って。

──15曲ってかなりのボリュームだと思いますけど、精選された楽曲だし、演奏もいいので何度でも聴けますね。

マモル:それは良かった。いつもそこを一番気にするんですよ。僕もつまんないCDだと途中で聴くのをやめちゃうんで、そういうCDは作りたくないんだけど、自分のことだから100%客観的には見れないんですよ。

──それにしても、あの絶え間ない全国巡業の合間によくこれだけのアルバムをこしらえましたよね。

マモル:作業的にやることが多すぎて、結構大変でしたよ。ここ半年くらい、ツアーやってレコーディングやっての繰り返しで、他のことが一切できませんでしたからね。

──ブログによると、多摩川の河原にある眺めのいいスタジオでレコーディングされたそうですが。

マモル:歌は自分ちの近所にあるスタジオで録りました。家で音を録れる環境はキリがないところもあるけど、『ヒコーキ〜』を作った時も自分んちで作業をしたので、その辺の加減がわかってきましたね。最初の頃は何をどうしていいのかわからなくて、メチャクチャでしたけど。

──『ヒコーキ〜』は70年代の音楽を意識した温かみのある音質が心地好い作品でしたけど、本作でもその音質が踏襲されていますね。

マモル:基本的に同じ録り方をしてますからね。歌がよく聴こえるのをいつも気に留めてはいるんだけど、僕の場合、すぐに大きくなっちゃうんですよ。パッと聴いた時にスッと耳に入ってくる感じとか、ライヴと違うので家とか車の中で聴けるテンションと言うか音のバランスをいつも大事にしてますね。ライヴみたいな激しい音もそれはそれで格好いいと思うけど、僕自身がそういう音楽を家でほとんど聴かないんですよ。と言うか、家では音楽をろくに聴かないですね、最近は。

──意外ですね。最近よく聴くCDは何ですか。

マモル:ジョージ・ハリスンかな。家でリラックスして聴けますから。

──本作の収録曲の中では『8月4日B級劇場』の歌入れがとりわけ難儀だったそうですね。

マモル:うん。自分の実力のなさを痛感しました。前はもっとテンポが早くて一本調子の曲だったんだけど、今回はロング・トーンと言うかベースが長いんですよ。それだけ歌が上手になった証拠なんだけど、そういうふうに唄うと凄く大変なんです。ライヴでは上手く唄えているつもりだったのに、意外と俺は音程が悪いんだなと思って(笑)。

──歌の表現力が増したことはご自身でも感じますか。

マモル:昔に比べれば、ちょっとはね。表現力とかそんな大袈裟なもんじゃないけど。

味わい深いジョージ・ハリスンのギター

──楽曲によってアレンジを変えてあるのは、今の視点を盛り込みたいがゆえですか。

マモル:いや、そういうのは考えてないです。単純に昔のアレンジが気に入らなかったり、日々のライヴでやってるから自然とアレンジが変化してきた部分もありますからね。どの曲もライヴでやり慣れてるから、録りは割とすんなりだったんですよ。リズムもすぐに録れちゃったし。一番時間が掛かったのはやっぱり歌かな。

──アコギを基調とした『荒川へ行こう』みたいにじっくりと聴かせる歌は唄うのが難しいのでは?

マモル:いや、そうでもないですね。歌録りには見切りがあるんです。基本的に僕はいつも3回しか唄わないし、そのトラックの中からまとめていくんですよ。3回唄えば大抵何とかなるんだけど、『8月4日B級劇場』だけは3回唄ってもダメだったんです。気に入らない部分を何回か唄い直したり、サビだけをもう1回パンチ・インしたり、結構大変でした。

──歌録りは、気持ち良く唄えてサウンドと馴染んでいればOKなんですか。

マモル:ホントはそうなんでしょうけど、突き詰めるとキリがないんですよね。今はデジタルの時代だし、パンチ・インがいくらでもできるじゃないですか。そうすると、このBメロはもっと格好良く唄えるぞみたいな気持ちになる。何回かそこだけ練習して、本来なら4回に1回の確率で上手く唄えるのを形にできちゃう。それでどんどん深みにハマっちゃうんですよ。聴いてる人にはどうってことがないんだろうけど、自分としては納得できる声を録りたいですからね。

──マモルさんの唄い方は一見ぶっきらぼうだけど何とも言えぬ温かみがあって、唄い込みのサジ加減が難しそうな気がしますけど。

マモル:でも、僕はほとんど脱力して唄ってるからね、やる気のない感じで(笑)。3回唄うと飽きてきちゃうし、集中力も続かないから、3回も唄えば充分ですよ。

──今回録り直すにあたって、過去の音源は聴き直したんですか。

マモル:うん。どうやって唄ってたのかとか、歌詞がどうだったかの確認でね。結構いい加減だから、ライヴで唄ってると歌詞も変わってきちゃうんですよ。何曲か聴き直してみたけど、面白かったですよ。悪くないなと思った。昔よりは自分の音楽を掌握できてると感じたし。

──ギター・プレイの面はどうですか。近年、堂に入った懐の深さを音の鳴りに感じるんですが。

マモル:どうですかね。ギターは30代の終わりくらいにかけて結構一生懸命練習したんですよ。一時は3人でやってたから練習せざるを得なくて、そのお陰で自分のボキャブラリーが増えたから多少上手にはなってると思いますね。

──本作でもギターがいい音の鳴りをしてますよね。決して大技をかますわけではないんだけど、さり気なく滋味に富んだ響きをしていると言うか。

マモル:まぁ、テクニックもそんなにないほうだし、ジョージ・ハリスンが好きですからね。

──『死ぬ程に生きてみる』を録り直すにあたって、イメージの参考としてジョージの『オール・シングス・マスト・パス』を聴き込んだというのが興味深いですね。

マモル:ダブル・トラックでギター・ソロを弾いたりして、一生懸命真似してみたんです。ジョージの音楽を聴いてると、2回同じことをやってるなと思ったから。

──マモルさん自身の解説によると、歌詞が泥臭いからサウンドはせめてポップにしようとしたとのことですが。

マモル:ロフトレコードから出した時もそうしたかったんですよ。でも、短時間じゃなかなか上手く行かなくて、結局泥臭くなっちゃってね。

──ジョージの弾くしみじみと味わい深いギターのポイントはどんなところにあるんでしょうか。

マモル:どうでしょうね。まぁ、懐が深いギターだとは思う。“もうこれしかない”っていうフレーズを独特のトーンで弾くんですよ。口で言えるような簡単なフレーズなんだけど、ジョージが弾くと独自の味わいが出て、自ずといいものになる。それが完璧なんです。あと、ジョージはスライド・ギターが上手いんですよね。だから今度はスライド・ギターを練習しようと思ってます。


『今週週末来週世紀末』を作れて自信が付いた

──『オイラの部屋へおいでよ』のバッキングはチャック・ベリーと言うよりもビートルズの『ロール・オーヴァー・ベートーヴェン』だし、『二人で歩いた』は『すてきなダンス』っぽさに加えて『イット・ウォント・ビー・ロング』の要素もあるし、マモルさんの楽曲は全般的に『ウィズ・ザ・ビートルズ』率が高いですよね。

マモル:うん、そうですね(笑)。『ウィズ・ザ・ビートルズ』だけじゃなくて、初期のビートルズが全般に好きですからね。放っておいても自然とそんなアレンジになるんですよ。どうしてもビートルズっぽいアレンジがお里として出てしまう。今ではもう意識もしてないくらいです。

──初期のビートルズ・サウンドのどんな部分に一番グッと来ますか。

マモル:ドラムが聴こえないとか、ギターの音がショボいとかかな。あと、音圧が凄いとかね。

──表題曲の『ヒットパレード』はツアーに明け暮れるマモルさんの音楽人生を凝縮させたような楽曲ですが、これまで未発表にしていたのが惜しいくらいの名曲だと思うんですよ。

マモル:『ヒコーキ〜』の時も収録候補としてあったんだけど、漏れたんですよね。自分で言うのも何だけど、僕の書く曲はいい曲ばっかりだと思ってるんで、それを全部入れるわけにはいかないんですよ。

──『ヒットパレード』はビーチ・ボーイズへのオマージュがふんだんに盛り込まれて、聴いていると胸が鼓舞されますが、ビーチ・ボーイズっぽいテイストは珍しいケースですよね。

マモル:うん。ここ何年かですよ、割と真剣にビーチ・ボーイズを聴くようになったのは。最近もまた好きでよく聴いてますし。やっぱり『ペット・サウンズ』とかあの辺の時期が凄く好きですね。

──ビーチ・ボーイズって最初は「“海・空・太陽”だろ?」みたいな感じでナメて掛かってしまいますけど、徐々にその凄さが理解できるようになってきますよね。

マモル:そうそう。最初はよくわかんないんだけど、自分で音楽をやってると凄いなと思えてくる。コーラス・ワークの美しさとか表面的な部分も凄いけど、ブライアン・ウィルソンが変態なところとか、そういうのが意外と聴くきっかけになるんですよ。あんなに爽やかな音楽をやってるのに、ドン詰まりに暗くて変態だし(笑)。“海・空・太陽”っていうのは自分の中での妄想で、実際にはサーフィンができなかったりね。そういうのが凄く面白いと思って。

──『グッド・ヴァイブレーション』のようにかなり込み入った構成の楽曲も、内に狂気を秘めた人間じゃなければ生み出し得ないと思うんですよね。

マモル:そうだね。ちょっと常人じゃ成し得ないと思いますよ。あそこまで透き通った曲も他にはないと思うし。ビーチ・ボーイズが好きになったのはその辺なのかな、わからないけど。

──『今週週末来週世紀末』は“ファミコン、ビデオにフロンに酸性雨”、“ベルリン、アメリカ、ペレストロイカ”という20年前に時代を彩った言葉が歌詞にありますが、楽曲自体に古臭さは微塵もないし、何度聴いてもいい曲ですね。

マモル:曲の構成自体は簡単で、コードも4つくらいしか使ってないんだけど、いい曲なんですよ。まぁ、相当古い言葉を使ってはいますけどね(笑)。今の若い人は“ペレストロイカ”なんて言っても何のことだかわかんないだろうね。そういう20年前の言葉を差し替えて唄い直せば? って友達から言われたんだけど、そこは変えなくていいやと思って。『今週週末来週世紀末 2009』とかにするのも格好悪いし。“ペレストロイカ”の意味がわかんなくたって歌の良さ自体は変わらないし、普遍性のある歌だと思ってますからね。

──こういうシンプルでつい鼻歌で唄いたくなるような曲を作るのは至難の業なのでは?

マモル:20年前に出来た時は“俺って結構才能あるな”って思いましたからね(笑)。少ないコードと面白い言葉でいい曲を作れたことが自信になったんですよ。この曲を作れたことは僕の音楽活動の中で割と大きなことなんですよね。

“ロックと河原”は心の原風景

──『今週週末来週世紀末』のオリジナル・ヴァージョンはアコギのみの演奏でしたけど、今回のようなドラム、ベース、エレキを加えたフル・ヴァージョンもまたいいですね。アレンジが変わっても楽曲本来の持ち味や芯にあるものが変わらないのは全体を通じて言える気がしますけれど。

マモル:そうですかね。まぁ、同じ人間がやってますから(笑)。ムリして作り込んでいなければそれほど大きく変わらないのかもしれないですね。

──2曲目の未発表曲である『DO THE DAViES』はバンド唯一のインスト・ナンバーですが、バカバカしいコーラスとは裏腹に(笑)ブッカー・T.&MG's風のグルーヴィーなサウンドがシビレますね。

マモル:結構ふざけて作ったんだけど、演奏すると楽しいんですよ。ああいうインストを一回どうしてもやってみたかったんです。

──逆に、なんでこんなに格好いい曲が今までになかったんだろうと思ってしまいますけど。

マモル:完全にブッカー・T.の世界だし、こういうふざけたパロディはやっちゃいけないような気がして(笑)。ライヴでやるぶんにはいいんですけどね。でも、どうしてもこんな遊びを音源でもやりたかったんですよね。

──3曲目の未発表曲である『ささやかなパーティー』は『ヒコーキ〜』の時に録音されながらも収録されなかった曲だそうですが、確かにこの曲を入れると『ヒコーキ〜』の構成がトゥー・マッチになるような気がしますね。

マモル:最初はもっとメンフィスっぽいサウンドで、『ヒコーキ〜』に入れるかどうか迷ったんですよね。結局“今回はいいや”って見送ったんだけど。今回のヴァージョンは自分でドラムを叩いたんですよ。あれくらいのテンポなら僕が叩くぶんにはちょうどいい。あれ以上早いと叩けません(笑)。

──『荒川へ行こう』の解説で「“ロックと河原”は僕の中で切り離せないもの」と言及されていますが、その感覚はよくわかりますね。そこに夕暮れの情景が加わると胸を締め付けられる要素が三拍子揃いますし。

マモル:何なんだろう、シミったれた中年オヤジのエレジーですかね?(笑) 大きな河原とその向こうに見える高速道路とか、ああいうのは心の原風景と言うか、僕にとっては大事なものなんですよね。

──わかりやすい言葉で聴き手に情景を想起させる作風は一貫していますよね。

マモル:そこは意識してますね。平たい言葉を使うっていうのは。

──マイナー・コードが琴線をくすぐる『二人で歩いた』も夕暮れ感のある逸品ですね。この『二人で歩いた』然り、『8月4日B級劇場』然り、ぶっきらぼうな男のロマンティックな歌詞に個人的にはグッと来るものがあるんですが。

マモル:こんなむさ苦しいオヤジなのにね(笑)。まぁ、『8月4日B級劇場』みたいな歌詞は今じゃなかなか書けませんよね。何で書いたんだろう…若気の至りもあるのかな。

──過去の音源を聴き直して、歌詞の作風が変わってきたことも感じましたか。

マモル:当時と『ヒコーキ〜』の時とはまたちょっと違いますよね。今ならこの言葉は絶対に使わないなっていうのが感覚的にあるし。『ヒットパレード』は『ヒコーキ〜』と同じ時代の曲だから作り方は同じですけど。

──いざ唄うと照れ臭い歌もあったりしますか。

マモル:まじまじと思えば照れ臭く感じる歌詞もありますよ。ライヴでは普通に唄ってますけどね。『8月4日B級劇場』は言葉の流れがオシャレなんで恥ずかしくはないですけど、『二人で歩いた』はちょっとこっ恥ずかしいですよ。マジメに考えればね。なるべくマジメに考えないようにしてますけど(笑)。

往生際の悪いのがロックンロール

──『死ぬ程に生きてみる』はどうですか。

マモル:最近はまた平気になったけど、ちょっと考えると余りにも赤裸々っぽくてね。

──そうなんでしょうね。剥き出しの感情の一歩手前で抑えるシャイネスみたいなところがマモルさんの書く歌詞の特徴のひとつだと思うし。

マモル:今なら『死ぬ程に生きてみる』みたいな歌詞は作らないかもしれないです。あそこまで赤裸々には行かずにどっかでふざけちゃうって言うか。でも、わかりませんけどね。またこれから変わるかもしれないし。もっと開き直って、凄くストレートな歌詞になったりしてね(笑)。

──でも、『期待はずれ』の歌詞みたいに、マモルさんは落胆しきることなく最後に必ずオチを付けたがる傾向にありますよね(笑)。

マモル:オチは付けたがりますね。そういう部分を好きになってもらえたらいいんですけど。人間ってそんなに格好良くねぇんだぞって言うか、それが僕は音楽をやっていく上でひとつの大事なことだと思ってるんですよ。言いたいことなんてホントは何もないし、米喰って寝てりゃいいんです。そんなにエラそうなことを言ってもしょうがないしね。でも、たまにはちょっと大きいことも言ってみたい。そういうことの繰り返しなんじゃないですかね。

──その“大きいこと”っていうのも、政治的なことや思想的なことが背景にあるわけではないですよね。

マモル:うん。単純にその時に思ったことですよ。大きなことも言えば、情けないことも言う。言いたいことをバンバン言えばいいんですよ。

──『死ぬ程に生きてみる』の“買ったばかりのコンバース おでんのシミをつけたよ”っていう情けない歌詞にこそリアリティがあると思うんですが。

マモル:その部分がまさに今なら使わない言葉なんです。昔なら使えたけど、今は“おでん”はねぇだろ!? って思うし(笑)。店の場所まで特定できちゃうしね、絶対“せっちゃん”だろ!? って(笑)。

──“9回裏 無死満塁 絶体絶命のピンチ”と唄われる『百戦錬磨のオトコ』のモデルは、野茂英雄か江夏豊ですか?

マモル:そうです。そのふたりをモデルにしてるんですよ。野茂をメインでモチーフにして、そこに『江夏の21球』っていうノンフィクション小説の要素をちょっと加えてあるって言うか。“9回裏 無死満塁”っていうくだりは『江夏の21球』ですね。“でかいケツ”って言ったら野茂しかいませんよね(笑)。野茂は誰にも媚びないし、ロックンローラーみたいで大好きなんです。江夏はとにかく『江夏の21球』が好きで、野球のことしか考えられないところがいいですよね。

──音楽のことしか考えられないマモルさんと相通ずる部分がありますね。

マモル:まぁ、もっと身を入れて宣伝しなくちゃいけないとかいろいろあるんだけど、音楽をやってないよりはやってるほうが楽しいしね。

──野茂は意外とあっさり現役を引退しましたけど、江夏は日本での野球生活を終えた後に36歳でメジャー・リーグに挑戦して、最後まで足掻き続けたじゃないですか。往生際の良し悪しでは正反対ですよね。そう考えると、最後の最後まで諦めの悪い江夏のほうがロックンロールっぽくないですか。

マモル:ロックンロールは諦めが悪いほうがいいです。死ぬまで諦めないほうがいい。ホントは凄く女々しくて、往生際の悪いのがロックンロールなんだと僕は思ってますからね。



ヒットパレード
BEST OF MAMORU & THE DAViES

01. ヒットパレード
02. 今週週末来週世紀末
03. ロックンローラー
04. 8月4日B級劇場
05. ノーテンキ
06. 恋をしようよ
07. DO THE DAViES
08. 荒川へ行こう
09. オイラの部屋へおいでよ
10. 二人で歩いた
11. ささやかなパーティー
12. 死ぬ程に生きてみる
13. 想像しよう
14. 期待はずれ
15. 百戦錬磨のオトコ
MAGIC TONE RECORDS / ROLLER☆KING MAGI-0004
2,625yen (taxin)
2009.9.16 IN STORES

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Live info.

◆『ヒットパレード』発売記念ライブ
◇ワタナベマモル弾き語りライブ

9月13日(日)清水 船橋舎
9月22日(火・祝)米子 Bar Hasta Latina
9月23日(水・祝)出雲 Pub LIBERATE
9月25日(金)高知 J's Bar
9月26日(土)高松 ミュージック・イン・グランドファーザーズ
◇MAMORU & The DAViES
9月20日(日)神戸 バックビート
9月21日(月・祝)大阪 ロックライダー
9月30日(水)新宿 レッドクロス

MAGIC TONE RECORDS official website
http://www.magictone-blues.com/

posted by Rooftop at 12:00 | バックナンバー