USインディーを出自とする2組の盟友バンドが同時リリース&合同ツアーを敢行!
平成のクレイジー・ホースと異形の日本語ギター・パンク・バンドによるレコ発記念トーク・セッション!
平成のクレイジー・ホースことMOD LUNG〈モッド ラング〉の矢田圭伸が主宰するレーベル“POWER ELEPHANT!”から、自身のバンドであるMOD LUNGの3rdアルバム『RIVER SONGS』と異形の日本語ギター・パンク・バンドとして名高いWE ARE!〈ウィー アー エクスクラメーション〉の2ndアルバム『Treatment Journey』が同時発売される。MOD LUNGはサザン・ロックを主軸とした70年代の欧米のロックを分母に置いた武骨な音楽性を志向する一方、WE ARE!はパンク・ロックを基軸としながらもパンク・ロックの概念に囚われない独自のポップ・センスで自由奔放な音楽を紡ぎ出すというまるで両極端な両者であるが、その出自がUSインディーや日本のブラッドサースティ・ブッチャーズやイースタンユースといった“エモ”の文脈で語られるバンドであること、音楽的な変遷を経て現在は歌に重きを置いていることなど、共通項は実に多い。本誌では両バンドの最新作の発売を記念して対談取材を独占敢行、互いの音楽性から最新作の聴き所、今日に至る道程から今後の展望についてまでを洗いざらい語り倒してもらった。(interview:椎名宗之)
WE ARE!を聴いて日本語詞へ転向
──矢田さんが主宰する“POWER ELEPHANT!”は、今回発表される両者の新作に合わせて立ち上げたレーベルなんですか。
矢田圭伸(MOD LUNG:g, vo):いや、そういうわけではなくて、昔僕がやっていたTHIS WORLD IS MINEという今で言うエモコア・バンドのディスコグラフィを去年の夏くらいに出したのが最初のリリースだったんです。その後にSADDLESというカントリー・ロックっぽい音楽をやっているバンドの作品を出して、その次に何を出そうかと考えていた時にWE ARE!もレーベル先を探していたんですね。ずっと仲良くしているバンドだし、次に出すとしたらWE ARE!かなと思って。WE ARE!も行く当てがなくて困ってたみたいだし(笑)。
板垣周平(WE ARE!:g, vo):別に困ってたわけじゃないですよ(笑)。タイミングですよ、世の中すべてタイミング。
──両者の付き合いはかなり長いんですか。
矢田:もう10年くらいになります。僕と耕太はいろんなバンドを経て5年くらい前にMOD LUNGを始めたんですけど、WE ARE!は名前を変える前から数えると10年以上やってるんじゃない?
板垣:いや、そんなことはないですよ。
矢田:何でそんな頑なに否定するわけ?(笑)
板垣:だって、昭太が入ったのが21歳くらいの頃だから…。
小林昭太(WE ARE!:ds, cho):いや、まだ10代でしたよ。
板垣:あれ、そうだっけ?(笑) じゃあ、3人で始めてからちょうど10年くらいかな。
矢田:OJと僕は同じ大学に通っていて、最初は全然面識がなかったんですけど、OJがLOOKOUT!のTシャツを着ていたのを見て僕から話し掛けて、それからやり取りをするようになったんですよ。当時からお互いバンドをやっていたので、対バンをするようになったりして。
──矢田さんにお伺いしますが、エモコアを基点として70年代のサザン・ロックからの影響が色濃い音楽性へと変遷を遂げたのはどんな理由からなんですか。
矢田:大学時代はUSインディーやエモにどっぷり浸かっていたんですけど、3つほどエモコアと呼ばれるバンドをやって、どこかやり尽くした感があったんです。MOD LUNGを結成した頃がちょうどWILCOが出てきたくらいで、昔のロックをオルタナ的な解釈でできるんだなと思って。全然古くささもないし、パンクを通過した世代がやっているバンドがアメリカにはたくさんいることが判って、WILCO周辺のバンドをたくさん聴き始めたんですよ。昔からサザン・ロックとかが好きだったんですけど、パンクを聴いていた頃はそれをダサイものだと否定していたんです。でも、サザン・ロックの中でも骨太なバンドは今でも聴けることに気づいて。MOD LUNGの初期はもうちょっとインディー・ロックのテイストがあったんですけど、やりたいことがどんどんシンプルになっていって、今みたいにストレートなロック・サウンドになったんですよね。
板垣:THIS WORLD IS MINEからの歴史をずっと見てきた立場から言うと、矢田さんの器用さには舌を巻きますね。好んで聴く音楽を素早く消化してバンドでやる巧みさと言うか。MOD LUNGは前作から日本語詞になったんですけど、今回の作品は前作以上に凄くいいんですよ。
──日本語詞に作風を移行したのはどんな意図があったんですか。
矢田:WE ARE!の前で言うのは恥ずかしいんですけど、WE ARE!のファースト・アルバムが出た時にちょっとやられたなと言うか、ショッキングだったんですよ。僕らも日本語詞にしたかったものの、どうしても演歌っぽくなってしまうところにためらいがあったんです。でも、WE ARE!のファーストを聴いて、英語でやってる場合じゃないなと痛感したんですよね。日本語で唄っているブッチャーズやイースタンユースのようなバンドと自分たちとを切り離して考えていたんですけど、そこにWE ARE!や赤い疑惑といった僕より少し若いバンドが凄くいい日本語詞を書くようになって、これは負けられないなと思ったんです。それですぐに日本語詞の曲を作って、セカンド・アルバムで日本語詞に転換したんですよ。
ギタリストの加入で自由度が増した両者
──WE ARE!は今回4人編成となって初のアルバムということですが。
板垣:ギターが2人いる編成というのがまず純粋に楽しくて、それが開放感に繋がって、結果的に伸び伸びとした楽曲へと発展していったんじゃないですかね。ポップな部分も出たと思うし。社長(矢田のこと)は「シブいアルバムだ」とか言ってましたけど(笑)。
井上耕太(MOD LUNG:b):うん、ポップな部分は凄く出てるよね。
──凄くポップですよね。『レジェンド・イン・ジ・オータム』なんて夢心地のあるポップ・ソングの極みだと思いますし。あと、『つむじ風』や『ゆうしてっせん』といった楽曲にはfOULからの影響を強く感じましたね。童謡のような歌詞とシンプルなメロディもそうだし、音の質感もLess than TVから出たfOULのファーストを連想したんですよね。
板垣:ああ、なるほど。意識しなくてもそういうのは出るんでしょうね。fOULには相当入れ込んでいたし、fOULのライヴには凄く影響を受けましたから。
矢田:実際、初期のWE ARE!は凄くfOULっぽかったんですよ。
板垣:トリオの最初のほうはよくそう言われてましたね。でも、今回は全く意識してなかったんです。むしろ80年代のニュー・ウェイヴとかR.E.M.とか、4人とも好きなあの辺の音楽を意識した部分はありますけど。せっかくギターがもう1本加わったんだからドラムを前に出して、敢えてスカスカめな音で行こうと思ったんですよ。そういう、ギターが絡んでいるのに隙間がある感じがfOULっぽく聴こえるのかもしれないですね。
──達さんの加入によって、唄うことに専念できた部分もあるのでは?
板垣:それはありました。ライヴだと特にその部分が大きいですね。
矢田:ギターを入れたのは俺らの真似だろ?(笑) こっちが先に4人編成になったからね。
板垣:そんなこと、1ミリたりとも頭の中になかったですよ(笑)。去年、まだ3人だった時に自主でシングルを出したんです。それ以降、アルバムを作れるくらいの曲は出来たんですけど、何か物足りなさを感じていたんです。そんな時にふと達さんの顔が頭に浮かんで、連絡を取ってみたんですよ。達さんのギターが凄く好きだったし。
矢田:達君はairport festivalというバンドを赤い疑惑のアクセルと一緒にやっていたんですよ。彼が入ると聞いた時点で、WE ARE!がさらに良くなることは判っていましたね。
──MOD LUNGがスライド・ギターを入れたのはどういった理由で?
矢田:3人だと演奏の面でどうしても限界があったんです。それで、凄く弾けるギタリストを探している時に大地君という僕より7、8歳下のギタリストを大学の後輩から紹介されたんですよ。ライヴを見に行ったら本当に巧くて、ラップ・スティールを弾くことを勧めたら1ヶ月くらいでマスターしたんです。僕よりも70年代の音楽に詳しいし、まさに適任だったんですよね。
耕太:大地君が入ったことでバンドの方向性がより絞れてきましたね。WE ARE!に達君が入った時も思ったんですけど、今までになかった色が加わるとバンドはガラッと変わるし、ライヴがラクになりますね。
矢田:そう、負担が減ったんですよ。ギターも適当にコードを弾いていればいいだけだし。
板垣:それ、問題発言じゃないですか?(笑)
矢田:いや、歌に集中できるってことだよ(笑)。信頼できるギタリストが入ったわけだからさ。
耕太:練習じゃ結構ネチネチ言ってるけどね(笑)。
矢田:まぁ、言ってるけど(笑)、大地君は打てば響くギタリストだからね。
歌を聴かせる部分がお互いの共通項
──『地下街』が顕著な例だと思いますが、サザン・ロックのテイストと歌モノの比重が極めて理想的なバランスで一体化しているのが『RIVER SONGS』の大きな特徴ですよね。
矢田:そうですね。WE ARE!との共通項も歌を聴かせる部分にあるんでしょうし、だからこそ音楽性は違えど今もこうして彼らと繋がりを保てているんだと思います。
──『スウィート ホーム ヒロシマ』は矢田さんの故郷である広島を主題とした曲ですが、レーナード・スキナードの『Sweet Home Alabama』へのオマージュも込められていますよね。
矢田:そのまんまじゃんって話ですけど(笑)。いやぁ、売れるといいんですけどねぇ…。
板垣:それ、話が全然繋がってないでしょ?(笑)
──『サンダーロード』は2曲ぶんのアイディアが詰め込まれていたり、ドゥービー・ブラザーズの『Jesus Is Just Alright』を彷彿とさせる部分もあったり、とてもユニークな曲だと思いましたが。
耕太:異なる2曲を組み合わせる作風は昔からありますよね。
矢田:そうだね。シンプルにはなりつつもちょっと捻りたい部分がやっぱりあって、それは出自がエモコアだからだと思うんです。エモコアってどこかに捻りを入れたいというところから生まれた音楽だし、そういうのが残っているんでしょうね。
──エモコア出身のバンドが『グリーングラス』のようなアコースティックを基調としたカントリー・ソングを唄っているのが驚異ですけど(笑)。
矢田:アメリカだとMINOR THREAT周辺のバンドのメンバーが40代、50代になってカントリーを唄っているんですよ。バンドをやめてソロになって弾き語りで何を唄うかと言えば、子供の頃から聴いていたカントリーになるんでしょうね。そんなことを日本人である自分たちがやっても様にならないのは重々承知なんですけど、それでも日本人的にやるにはどうしたらいいか試行錯誤して、5年くらい掛かってこういう形になっているんですよね。日本人なのにアメリカ人の真似をそのままやっても面白くないと思ったんですよ。日本人って車でも何でもそうですけど、アメリカの文化を採り入れてアレンジを加えて、それをさらに良くする力があるじゃないですか。要するに、日本は戦争に負けたけど、高度経済成長期は凄かったんだぞっていう話ですね(笑)。
板垣:何だそれ(笑)。全然話が広がってないじゃないですか(笑)。
──『終戦』という曲がアルバムの最後にありましたけど。
矢田:戦争が終わった後の日本の雰囲気を出したかったんですよ。終戦直後から日本を復興させていった日本人の力強さに僕はリスペクトしている部分があるんです。つまり、親の世代のことですね。僕らみたいに裕福な世代が出てきたけれど、終戦直後とどちらが本当に幸福なのかは判らないと言うか。明確な反戦のメッセージを込めているとかは全くないんですけど、そんな雰囲気のことを唄いたかったんですよね。
──そんなMOD LUNGとは一転、WE ARE!は内なる心象風景や物語性に富んだ情景を歌にする作風ですね。板垣さんの言葉の選び方も独特であったり。
板垣:今回の作品に入った曲で言うと、歌詞を書き留めてすらいないんですよ。まずメロディがあって、それに合わせて唄いながら出てくる言葉を選ぶと言うか。テレコにも録らないし、覚えていられるくらい強い言葉だけを採用しようと決めてたんです。そうすれば言葉も研ぎ澄まされていくし、みんなが口ずさめる歌にもなるかなと思って。
安っぽくもどこか寂しさのある言葉が好き
──アルバムの終盤に据えられた楽曲は特にセンテンスの短い歌詞が多いですね。
板垣:短いセンテンスが好きと言うか、歌を繰り返すのが好きなんですね。みんなが曲を覚えて口ずさんだりすることで歌詞の意味が人それぞれに変わってくるのがメロディと言葉の関係性として僕は好きで、みんなに楽しんでもらえるように幅のある歌詞のほうがいいと思ったんです。言葉を言い切った歌詞のほうが個人的にはアガるんですけど、そうじゃない部分を僕たちは今追求しているので。
──『PAIN part II』では女性の視点から歌詞が描かれていますね。
板垣:『ボーイ ミーツ ガール』もそうですね。曲の主人公が女性っぽいなと思ったので、そんな感じでまとめてみたんです。
──板垣さん自身の内面を抽出するというよりも、曲ごとに主人公を想定して、その主人公に物語を唄わせる表現法なんですね。
板垣:最近は特にその傾向が強いですね。もともとそんな感じだったんですけど、これも達君が加入したことでいろんなことが作用した結果なのかなと。曲の主人公がまずいて、いい感じだなと思えたら言葉が降りてくると言うか。
──今回のアルバムの中では『ダンデライオン』が白眉ですね。浮遊感に溢れたメロディ・ラインが掛け値なしに素晴らしいし、歌詞も秀逸で。
耕太:そう、『ダンデライオン』は凄くいいよね。こういう曲を聴くと、前よりも攻撃性が弱まった気がするけど。“この歌は何かを批判しているんだろうな”みたいなところが前はあったじゃない?
板垣:そうかな?
昭太:内側の人間としては余りそうは感じませんけどね。
村上達(WE ARE!:g):でも、ディフェンスよりはオフェンスだったよね。
矢田:そうだね。オフェンスだった気がするよ。
耕太:それが今回は女々しい感じがよく出てると言うかさ。悪い意味じゃなくて。
──湿度の高い歌詞と硬質でカラッとした音の質感がちょうどいいバランスだと思いましたけどね。
板垣:ああ、なるほど。
──『Treatment Journey』というタイトルも詩的で独特な造語ですよね。
板垣:響きを大切にしたかったんですね。ネイティヴの人に確認したら「そんな言葉はない」と言われましたけど(笑)。なくたっていいし、実際にある言葉と造語の間のギリギリのところを狙いたいんですよ。僕は安っぽい単語が凄く好きなんです。“ビックカメラ”とか(笑)。
耕太:それ、値段的に安いって意味じゃないの?(笑)
板垣:そうじゃなくて、ネオンサイン映えするカタカナ英語が凄く好きなんですよ。ただ安っぽいだけじゃなくて、どこか寂しさもあるみたいな感じと言うか。捨て看板に書いてある決め台詞みたいなのがね。
──レーベル・オーナーとしては『Treatment Journey』をどう聴きましたか。
矢田:プリプロの音を聴いた時は心配だったんですけど、完成盤を聴いて素晴らしいと思いましたね。ただ、これは聴く人にとってちょっと偏差値が謎すぎるんじゃないかと。たとえば、偏差値50の大学生が読む文学や音楽があるとしたら、今売れているものってマーケット的に偏差値55くらいのものを狙って出している気がするんですよ。消費者にちょっと背伸びをさせてると言うか。でも、この『Treatment Journey』は背伸びしても手が届かないところに存在するんじゃないかなと思って。一般の人がこの作品を理解して「良い」と言ってくれるかどうかが個人的にはちょっと不安なんですよ。でも、周囲からは「凄くポップになった」という声も多いんで、これまた謎なのですが…。
人のやっていることはやらないのが基本
──売るための秘策を何か講じますか(笑)。
矢田:女性の視点に立った『PAIN part II』を宮崎あおいさんみたいな人がカヴァーしたら、100万枚は行くんじゃないですかね(笑)。ああいう可憐な女性が“今日から私グレてやるのよ”って唄えば、世の日本人男性のほとんどは心を掴まれますよ(笑)。
板垣:いや、全然掴まれないと思いますけど(笑)。
──でも、『Treatment Journey』には初期のスピッツみたいなテイストもある気がしましたけどね。
耕太:ああ、それは俺も少し感じたな。
──もちろん、USインディーのザラッとした質感はあるんですけど。
板垣:音楽的な影響は洋楽のほうが圧倒的に大きいですからね。邦楽はライヴ体験と言うか、現場で見て凄く影響を受けていますけど、そういう人たちもアメリカの音楽の要素を巧く採り入れているわけで。自分たちの考えるポップを100%突き詰めても、USインディーのザラッとした感じは残ると思うし。
村上:子守歌に近いもんね、PIXIESとか。
──USインディーやハードコアといった出自は両バンドの共通項でもありますしね。
矢田:好きなバンドも似てるし、よくライヴを見に行く日本のバンドも近いですね。
──それがこれだけ両極端な音楽を志向しているのが面白いですよね。
矢田:そうですね。僕もかなり天の邪鬼で、人のやっていることはやりたくない、周りのバンドがやっていないことをやりたいというのが根本にありますから。
──そのやりたいことのひとつが『外は暑いのに』という遠藤賢司さんのカヴァーであったと。
矢田:あの曲は自分の心情と重なる部分があって、凄く好きな曲なんですよ。エンケンさんの圧倒的な人間力みたいなものに惹かれる部分もあるし。
──合同ツアーもあることですし、互いのライヴの特性を挙げて頂けますか。
板垣:OJ、今言っとかないと何の発言も載らないよ?
尾崎“OJ”彰(WE ARE!:b):そうっすねぇ…MOD LUNGはいつもステージ上で酔っ払ってるイメージがありますけど(笑)。
村上:この間のGARDENでのライヴは音の分離が凄かったんだけど、それでも音がちゃんと塊として届く感じがあって、それが凄く良かった。細部まで聴こえるんだけど、ちゃんと固まっていると言うか。
耕太:ああ、そこは結構目指しているところかもしれない。
昭太:うん、それはちゃんと出ていると思いますよ。
矢田:達君の発言に乗っかっただけじゃないかよ(笑)。
板垣:MOD LUNGは4人になってからの一体感が凄いと思いますね。メロディと楽器が伸び伸びしてるし、ライヴでの佇まいも凄くリラックスしてて、俺たちみたいにトゲトゲしてないですよね。“ブッ殺す!”みたいな感じが全くないし(笑)。矢田さんは前からそんな感じでしたけど、その優しい感じが今はお客さんとの距離を縮めてる気がします。
耕太:でも、時々殺したくなることもあるけどね(笑)。そういう心理状態のほうがいいライヴができたりするから。
板垣:“ブッ殺す!”と“みんなで楽しもうぜ”の間のちょうどいいところにいるんじゃないですかね。“楽しもうぜ”に寄りすぎてもいないし。
MOD LUNGは自由を一番感じられる場所
──アコギが絶妙な隠し味になっている『多摩リバー ボート ソング』みたいな曲をライヴで聴いたら心地良いだろうなと思いますけどね。
矢田:どうしても生活があるので、ライヴはただ純粋に、存分に楽しみたいんですよ。人生において一番自由を感じられる瞬間みたいなものがMOD LUNGという場所だと思っていますし。
──かつてfOULがそうだったように、音楽と生活の両輪が不可欠という考えが矢田さんにもありますか。
矢田:いや、これでWE ARE!がブレイクして、レーベルに専念できれば嬉しいですよ。
板垣:ブレイクするのはMOD LUNGじゃなくて俺たちなんですか?(笑)
矢田:WE ARE!はライヴも飄々としたところがあるからさ(笑)。余り物怖じしないから、どこへ行っても安定感のあるいいライヴを見せてくれるしね。ライヴが始まって、自分たちの世界観を作り上げるのも早いし。WE ARE!が3人だった頃は、今よりもギリギリな感じがあったんですよ。ひとりでも気を抜いたらそこで終わりですから。4人になって以降は包み込んでくれる懐の深さがありますね。
昭太:今はライヴが純粋に楽しいですからね。4人になって練習や曲作りが大きく変わったわけでもないんですけど、達さんが入ってリズム隊もまた別の視点で臨むようになった気がします。
──今後、双方のバンドに期待するところは?
耕太:OJがメイン・ヴォーカルの曲をやって欲しいね。
板垣:それはないです(笑)。
耕太:メンバーが増えて引き出しが増えた感が凄くあるから、これからも聴いたことのない曲をいっぱい作って欲しいですね。さっき『ダンデライオン』がいいって話がありましたけど、あれは昔の曲なんでしょ?
板垣:そう、あれはハタチか21の頃に書いた曲なんです。
耕太:そういう底知れなさがあるから、つくづく目が離せないんですよ。
板垣:MOD LUNGは勢いのあるロック寄りになってきてて、今回のアルバムには音楽的な工夫も垣間見られたので、矢田さんの職人芸を次回の音源で聴きたいですね。もっと作り込んだ音源と言うか、土煙の立つような感じばかりじゃなく、カラフルな音源も聴いてみたいです。
矢田:先立つものがあればね(笑)。僕は、この『Treatment Journey』をきっかけとして大きなチャンスを掴んでもらえればレーベルのオーナーとして冥利に尽きますね。今のWE ARE!は、ブッチャーズが『kocorono』を出したり、イースタンユースが『孤立無援の花』を出した時くらいの年齢だと思うんですよ。いわゆる名盤とされる作品ですよね。そんな1枚にこの『Treatment Journey』がなるとしたら、ブッチャーズやイースタンユースに次ぐ世代の代表格になってくれるんじゃないかと思っていますね。MOD LUNGも負けていられないし、2バンドとも人が聴いたのことない音楽をやっているつもりなので、どんな手段でもいいから僕らの音楽を是非一度聴いて頂きたいです。
MOD LUNG
RIVER SONGS
POWER ELEPHANT! POW-04
1,890yen (tax in)
2009.8.06 IN STORES
WE ARE!
Treatment Journey
POWER ELEPHANT! POW-05
1,890yen (tax in)
2009.8.06 IN STORES
Live info.
◇WE ARE!
WE ARE! presents“Treatment Journey TOUR”
9月22日(火・祝)下北沢SHELTER
act:WE ARE! / bloodthirsty butchers / herpiano (静岡)
open18:30 / start 19:00
adv. 2,000yen (+1drink) / door 2,500yen (+1drink)
info. SHELTER:03-3466-7430
◇MOD LUNG
MOD LUNG presents“RIVER SONGS発売記念フェスティバル”
11月3日(火・祝)下北沢ERA
open 18:00 / start 18:30
adv. 2,000yen (+1drink) / door 2,500yen (+1drink)
rock stage:MOD LUNG / THE BITE / BEAT CARAVAN / SADDLES / THREE MINUTE MOVIE
folk stage:THE GUITAR PLUS ME / BROKEN COUNTRY GIRLS
info. ERA:03-5465-6568
◇合同レコ発
POWER ELEPHANT! presents“WE ARE! & MOD LUNG 合同レコ発”
11月7日(土)吉祥寺WARP
open 18:30 / start 19:00
adv. 1,500yen (+1drink) / door 2,000yen (+1drink)
act:WE ARE! / MOD LUNG / toddle / BED (京都)
info. WARP:0422-22-3514
MOD LUNG official website
http://www.modlung.com/
WE ARE! official website
http://www.weareexclamation.com/