すべてを切り刻むスライド・ギターとぶっちぎりの狂奔リズムで黒く塗りつぶせ!
扉の向こうへ突き破る制御不能のロックンロール!
スリリングかつクレイジーな高森サトルのスライド・ギター、這うように粘り着く利果のベース、ただひたすら無軌道に叩きのめすマグのドラム。それらが三位一体となって混沌と狂気を孕んだ唯一無二のロックンロールを放射するのがムスタング・ジャークスの流儀だ。結成10年目にして発表される初のフル・アルバム『MOJO LIGHT』は、パンキッシュな直情さを体現するタテのノリと腰にクるヨコのノリが共存した特異なロックンロールが全編にわたって炸裂した逸品である。潔いほどにバッタバッタと切り刻むスライド・ギターと縦横無尽に薙ぎ倒すドラムの豪快さの一方で、ねとねとまとわりつくベースの肉感的な生々しさには抗し難い魅力があり、得も言われぬ恍惚感を聴き手に与える。その歪なバランスの妙が結果的にムスタング・ジャークスを凡百のバンドと一線を画すことに寄与しているのだ。他の何物にも似ていないこのバンド・サウンドの核心を突き詰めるべく、唯一のオリジナル・メンバーである高森とバンドに加入してまだ1年の利果に話を訊いた。(interview:椎名宗之)
今の3人だからこそ出せたフル・アルバム
──高森さんは結成当初からスライド・ギターを弾いていたんですか。
高森:スライドは最初から使っていましたね。中学生の時に友達の家で『クロスロード』というライ・クーダーが音楽を手掛けた映画を見て、凄ぇなと思って。あと、ジョニー・ウィンター・アンドの『ライヴ』とかが凄く好きで。で、彼らはどうやらオープン・チューニングというのを使ってるらしいぞと。それで何かでオープンGのチューニングのやり方を見つけて、楽器屋へ行った時にスライドバーを買ってきたんです。それ以来弾きまくっていたんですが、20歳の時に単車で事故して、左手首を折っちゃったんですよ。今も手首がうまく回らないんですけど、Fが押さえられなくなっちゃって。でも、オープンGは指1本で弾けるから、これは要するにスライドをやれってことなんだなと思ったんですよね。
──何やら運命めいたものを感じますね。当初からブルースに根差した音楽を志向していたんですか。
高森:ブルースは大好きだったんですけど、最初はもっとハードコアっぽかったんですよ。バンドをやるならパンクだなと思って。根っこにあったのは、ピストルズとライ・クーダーとジョニー・ウィンターをごっちゃにした音楽をやりたいという思いでしたね。
──パブ・ロック的な要素もムスタング・ジャークスの音楽からは感じますけど。
高森:パブ・ロックも好きですけど、のめり込んだことはないんです。ルー・ルイスとかは好きですけどね。J・ガイルズ・バンドとか、ハープの入った音が好きなんですよ。
──今回発表される『MOJO LIGHT』は、結成10年目にして遂に放たれるフル・アルバムなんですよね。
高森:そうなんです。ずっとメンバー・チェンジが激しくて、利果ちゃんでベースは4人目、マグ君でドラムも4人目なんですよ。今振り返ればですけど、これまでフル・アルバムが出せなかったのは今のメンバーが揃わなかったからだと思うんです。今の3人だからこそ出せた気がしますね。今なら出していい気がしたんです。
──高森さんが志向する音楽性を、今までは理想的な形で具象化できなかったということですか。
高森:バンドはあくまでバンドであって、俺のソロ・ユニットじゃないと思ってたんです。だからバンド名も変えずに以前からのレパートリーもずっとやってきたんですよ。ただ、メンバーが替わったら「前のメンバーみたいに弾いてくれ」みたいなことは一切なくて、そいつが一番活きるプレイを第一に考えてきたんです。今なら利果ちゃんとマグ君が一番活きるプレイを奏でられれば、俺自身も一番活きるプレイができるという実感があるんですね。特に、利果ちゃんが入ってからのこの1年はガラッと変わりました。黒いノリの出るベースが入ったのは初めてのことで、俺自身、凄く面白いんですよ。
──これまでのレパートリーも、曲の持ち味がさらに引き出されたんでしょうね。
高森:うん、そう思いますね。
──利果さんは過去にどんなバンドをやっていたんですか。
利果:いや、バンドらしいバンドはやってなかったんですよ。ベースを買ったのも3年ちょっと前のことですし。
──それであの粘りのあるリズムを生み出すに至るとは、天性の資質があったんでしょうね。
利果:学生時代にギターを少し弾いていたんですけどね。でもそれ以来、十何年も楽器には触れてなかったんですよ。もともと音楽を聴く時でもベースやドラムに注目して聴くことが好きで、ベーシストだとジョン・ポール・ジョーンズとかが好きです。あと、レニー・クラヴィッツの初期の作品のベース。もしかしたらレニクラが弾いているのかもしれないですけど。
──利果さんはどんな経緯で加入したんですか。
利果:ライヴを見る前に音源を聴かせてもらったんですけど、純粋に歌がとてもいいと思ったし、声も好きな感じだったんですよ。一緒にやれたら楽しいだろうなと思って、加入を決めました。
高森:今回のレコーディングが今年の1月で、利果ちゃんが入ったのが去年の7月だから、この3人になって僅か半年で録ったことになるんですよ。最初にスタジオに入った時、利果ちゃんは全然ベースを弾けなかったんですけど、ノリやタイム感はぶっちぎりに凄かったんです。あと、やる気も感じたし。スタジオに入ろうと電話した時に「とりあえずセッションをしよう」と言ったら「セッションはできないです」と言い返されたんですけど(笑)、すぐに「でも何とかします」と答えましたからね。
利果:こんなに格好いいバンドに入れるんだったら是非入りたいと思っていましたから。ムスタング・ジャークスに入る前は半年くらいしかバンド活動をしたことがなかったし、バンドをもっとやってみたいと思っていた時期だったんですよ。「セッションはできないです」と電話口で答えたら“アレッ?”みたいな反応だったので、ここで「何とかします」と言わないと「やっぱりいいや」と言われちゃうと思ったんです(笑)。最初にスタジオに入った時は5曲くらい覚えて行って、それを1回ずつ弾いて20分くらい音合わせをしただけなんですけど、それで「一緒にやろうか」と言われた時はびっくりしたんですよね。“私でいいのかな?”と思って。
“あっちの世界”へ行かなきゃウソだろ!?
──『MOJO LIGHT』を聴いて率直に感じたのは、アッパーで切れ味の鋭い性急さとねっとりと這うようなリズムが融合した時の得も言われぬ気持ち悪さなんですよ(笑)。気持ち悪いんだけどクセになる心地良さが凄くあって、中毒性と変態性が高いと言うか(笑)。この変態性が何なのかを今日は突き詰めたいと思っているんですけど。
高森:やっぱり黒い音楽…モータウンの跳ねた感じも好きだし、ブルースの聴いてると怖くなってくる感じも好きなんですよね。ロバート・ジョンソンも大好きですけど、ジュニア・キンブロウとかを聴いてると堪らない気持ちになるんですよ。
──ああ、なるほど。底なしの泥濘にハマったようなグルーヴとダーティーな歌声ですもんね。
高森:その一方で、現代的な解釈でルーツ音楽を奏でるカウボーイ・ジャンキーズも好きなんですよね。彼らはカナダ出身の白人ですけど、黒人のブルースではない、パンクを通った人間の黒さがあって凄く好きなんです。
──本作は初のフル・アルバムですから、この9年間の集大成的な側面もありますよね。
高森:昔からやってきた曲もあるし、利果ちゃんが入ってから出来た『MOJO LIGHT』や『Mary Jane』みたいな曲もありますからね。ただ、利果ちゃんのベースになってからどの曲も別物になったと自分では思ってます。もちろん、曲自体の構成は変わってませんけど。
──ドライヴ感に溢れた『瞬き』やアルバムのリード・チューン的なブギー・ナンバー『(涙の)チューチュートレイン』を筆頭に、武骨でダイナミズムに満ちた曲がひしめき合う中で、アルバム・タイトルにもなっている『MOJO LIGHT』は異色中の異色ですよね。気怠くアーシーなムードが全編を覆う雄渾の一作と言えますけど。
高森:確かに作風は変わってますけど、一番今の3人らしい曲なんですよ。
──爬虫類のように終始うごめくベースの音が特に気持ち悪くて、個人的にも大好きなんですよね(笑)。
高森:そうですか(笑)。俺は今まであんなベースを弾けるヤツに会ったことがなかったんですよ。この曲をギターである程度作った時に「こんな感じでベースを弾ける?」と振ったら、もちろんすぐにはできなかったけど、次にスタジオに入る時までにはちゃんとできていたんです。音の鳴りも凄かったし、これは堪らないなと思って。
利果:自分では余りピンと来ていないんですけどね。すべてごく自然にやっていることですから。
──『MOJO LIGHT』というタイトルは、不自由な左手でスライドバーを操るスライド・ギターを象徴する言葉なんでしょうか。
高森:俺はスライドも好きなんですが、家でアコギを弾くのも好きだったんです。ただ、利果ちゃんが入るまで“それはそれ”だったんですよ。ムスタング・ジャークスとしてアコギの合う曲をできると思ったことがなくて。でも、もうムスタング・ジャークスがどうこうじゃなく、ただ純粋に自分自身がやりたいことをやってもいいんじゃないかと思ったんですよね。『MOJO LIGHT』みたいに従来にはなかった曲もやれるかもしれないと思えたし、実際にやれた。そんな万感の思いをこのタイトルに込めたつもりです。
──タイトルだけ聞くとどうしてもライトニン・ホプキンスの名作を連想してしまいますけど、『MOJO LIGHT』のアンサンブルには“MOJO”っぽく呪術めいた魔力みたいなものを感じますね。曲の主題である“月”も狂気を促す象徴のように思えますし。
高森:仰る通りですね。この曲に限らず、心から好きでシビれる音楽はすべて魔力があると思います。あと、どういう訳かこの曲を録っている時に満月をよく見たんですよ。それも何か関係があるのかもしれません。
──ジャケットに記されている“GOING TO THE OTHER SIDE”という言葉は『扉の向こう』の中にある“あっちの世界に行こうぜ”という歌詞と同義だと思うんですが、自分たちの音楽で聴き手を“あっちの世界”に行かせたいという思いは強いですか。
高森:芸術や表現というものは、“あっちの世界”に行かなきゃウソだろ!? という思いがありますね。
──ライヴでステージの上に立っている時は“あっちの世界”へ行きっぱなしですか。
高森:どうなんでしょうね。神話学を研究している人の話によると、踊り子が踊る時に一番いい状態というのは、自分自身の中に静かなる点だけがある時らしいんです。俺もそう在りたいですね。俺たちの音楽なんてしょうもないもんだと思うんですよ。そんなものの意図だとか思いだとか、くだらないし関係のないことなんです。ジュニア・キンブロウだって、自分の小屋でブルースを奏でていた時に何らかの意図や何かを求めることはなかったと俺は思うんですよ。
──でも、内に秘めた思いの丈を吐き出すという感覚はありませんか。『MOJO LIGHT』の収録曲はどれも、四の五の言わずスライドの爆音で感情を吐き出しているようなところがあるように思えるんですが。
高森:どうなんだろう…そうですね、吐き出してるんだと思います(笑)。いや、自分のことはよく判らないんですよ、正直なところ。アルバムを出すにあたっていろんな人たちからコメントを頂いたんですけど、俺たちの音楽について自分で考えてみたこともなかったことを言葉にしてくれていて、ハズれた感もなかったし、凄く嬉しかったんですよね。
作品を出す以上はストイックでありたい
──『雨のベルリン』はサウンド的にはアッパーなれど叙情的な部分もあるという相反する要素が共存していて、歪さがあるのにこの上ない恍惚感がある『MOJO LIGHT』の作風と共通しているように思えるんですが。
高森:そういうのも、自分ではよく判らないんですよ。きっとそういうことなんだと思います(笑)。『雨のベルリン』ではドブロを弾いているんですけど、そのドブロは単車で事故った時に得た保険金で買ったものなんです(笑)。中学生の時にジョニー・ウィンターの『3rd DEGREE』というアルバムのジャケットに写ったドブロを見て、いつか手に入れたいと思ってたんですよ。今まで家ではずっと弾いてたんですけど、今回初めてレコーディングで使ってみたんです。
──収録曲はライヴ映えするアッパーな曲を主眼に置いて選んだ感じですか。スロー・ナンバーは『MOJO LIGHT』だけで、あとはミドル・テンポの『Shiny Moon』があるくらいですよね。
利果:単純に、レパートリーの中に遅い曲がないだけじゃないですかね(笑)。
高森:そう、利果ちゃんが入るまでは速い曲ばかりだったんですよ。
──じゃあ、『MOJO LIGHT』は本当に珍しいタイプの曲なんですね。
高森:ああいう感じの曲は初めてですね。
利果:だから、昔からムスタング・ジャークスを好きな方はかなりショッキングな曲だと思うんですよ。受け入れられる人とそうじゃない人がいるんじゃないかなと。
高森:でも、受け入れられる、受け入れられないはもう関係ないと思ってますけどね、俺自身は。
──僕は俄然、利果さん加入後のムスタング・ジャークスを支持しますね。『MOJO LIGHT』で聴かれる利果さんの艶やかなコーラスも凄くいいと思うし。
利果:私は基本的に唄うのが嫌いで、自分の声には凄くコンプレックスがあるので、そう言って頂けるのは不思議な感じがしますね(笑)。
高森:利果ちゃんにはコーラスを入れて欲しかったし、俺も凄くいいと思ってるんですよ。レコーディングしてもらったのが東高円寺にあるロサンゼルスクラブで、そこに10年以上付き合いのあるPAの女性がいて、その子が田舎に帰る前にこのアルバムを録ってもらったんです。その子はポイントを押さえたアイディアをいろいろ出してくれてたんですけど、『MOJO LIGHT』を録る時に「イヤじゃなければ、ペチャペチャと音が入るけどマイクに近づいて囁くように唄って欲しい」と利果ちゃんにリクエストをしたんですよ。それが凄く効果を上げてると思いますね。
──ヘッドフォンで聴くと、凄く淫靡で生々しい音をしていますよね。
高森:そう、あのペチャペチャした音は利果ちゃんが口を開け閉めした音なんですよ。
利果:しかも、ミックスでその部分の音をどんどん上げられたんです(笑)。
──そんなエピソードからも、バンドの変態性を帯びた側面が窺えますね(笑)。『そんなに心配いらないぜ』でも利果さんのコーラスが入っていますけど、武骨な音に女性の柔らかい声が入るのは一服の清涼剤のようだし、萌えポイントとしても有効だと思いますよ(笑)。
高森:確かに萌えポイントですね(笑)。と言うか、純粋に凄くいいと思います。『そんなに心配いらないぜ』みたいに利果ちゃんが入る前からあった曲は、どこにどんなものを入れようが全部お任せだったんですよ。それで自分では考えもしなかった効果が生まれて、新鮮な驚きがあったりもしたんです。
──高森さんのヴォーカリストとしての凄味も本作では存分に堪能できますよね。ムスタング・ジャークスみたいな音楽は歌詞の意味がどうこうよりも、『Mary Jane』で聴かれる“Ah”や“Mn”といった行間のフェイクが大切だったりするじゃないですか。その部分にこそ真のブルース・フィーリングが宿ると言うか。僕は『Mary Jane』のフェイクに高森さんの持ち味がよく出ていると思うんですよ。
高森:フェイクは大事ですよね。エタ・ジェイムズとかを聴いていても、“ウワァァァ”と声を発するところにグッと来ますからね。
──歌詞の面で重きを置いているのはどんなところですか。
高森:言いたいことがあれば言えばいいと思うんですけど、それは詞じゃないと思うんです。絵画に喩えて言うと、俺は抽象画が好きじゃないんですよ。描く対象がちゃんとあるのに、そうじゃなく描くものが好きになれない。でも、マーク・ロスコやジャクソン・ポロックといった描く対象のない抽象画家の絵は大好きなんですよ。自分の歌詞はそんな感覚に近いのかもしれません。
利果:サトル君は雰囲気に酔うとか、そういう自分のことを意識しすぎた表現が苦手なんじゃないですかね。抽象画の持つ奇をてらった雰囲気だけで安直に好きなることってあるじゃないですか。そういった雰囲気ではなく、サトル君は絵そのものに力があるものに惹かれるんだと思いますよ。
──小手先で作ったメッキのような表現には惹かれないということなんでしょうね。
高森:いい加減なことはやっちゃいけないと思うんですよ。ドアーズとかストゥージズとか、自分が好きで聴いてきた音楽はどれも表現と真摯に向き合っていたし、自分も作品を世に出す以上は真剣でありたいんです。
ぶっちぎりでいいものは必ず支持されるはず
──音作りの面で今回特に気を留めたところというのは?
高森:俺は1本のテレキャスをもう十何年も使ってるんですけど、そのテレキャスに合うアンプを作って頂いたんです。どういう音が欲しいんだと訊かれて、大好きなピストルズの『NEVER MIND THE BOLLOCKS』みたいな音が出るようにして欲しいとリクエストしたんです。その結果、フェンダー・ツインリヴァーブのブラックフェイス時代の回路で、ミッドブーストを付けてもらったんですよ。その音が自分ではとびきり好きなので、ギターに関してはそのアンプから出る音のまんま録ってくれとお願いしました。ベースもドラムもプレイは申し分ないから、そのまんまの音を録って欲しかった。
利果:私はいつも通りの音が出てくればなと。普段出してる音が一番いいと思っているので。それよりも、私はレコーディング自体初めての経験な上にどれも一発録りだったので、終始ドキドキしていましたね(笑)。
高森:録り自体は1日設けたんですけど、ドラム、ベース、ギターの音は12曲録って3時間も掛かってないと思いますよ。12曲を一通り録った後に休憩を入れて、調子に乗ってもう一度12曲録ったんです。だいたいのテイクはその調子に乗った2回目の録りを使ってますね。ドブロやアコギは次の日に重ねたんですけど。
──まるで新聞を作るみたいな早さですね(笑)。まぁ、冗長に録るのもらしくない気がしますけど。
高森:それまでに各自練習もしてましたからね。月に7、8回くらいしかスタジオには入れないんですけど、練習自体は好きなんですよ。
利果:1回しか録ってないのは『MOJO LIGHT』だけだったよね?
高森:そう、あれはワン・テイクだった。今までは気合いでやり抜くことが多かったんですけど、そういうのがもうどうでも良くなっちゃって。そんなことよりも、ありのままを出すことを大切にしたかったんです。だから今はバンドをやるのが楽しくてしょうがないんですよね。
利果:こうして1枚アルバムを録り終えてようやくムスタング・ジャークスを客観視できるようになったと言うか、やっぱりこれでいいんだなという手応えは凄く感じましたね。
──本作を完成させて以降、ライヴに対する向き合い方も変わりましたか。
高森:以前は媚びるとまでは行かないまでも、お客さんのために何かをするという意識が強かったんです。でも、このメンバーになってからは自分たちがやりたいことを素直に出せるようになった気がしますね。今はお客さんに対して何かを求めることがなくなったと言うか。自分が好きで見に行くライヴでも、何かを求められるのがイヤなんですよ。拍手をしたければもちろんするし、ただそれだけのことですね。
──エンターテイメント性に重きを置くことはプライオリティとして低いですか。
高森:疎かにしてるわけじゃないけど、今はそうかもしれません。ちゃんと意味があることなら魅せるアクションも採り入れようと思いますけどね。たとえば、ピート・タウンゼントのウィンドミル奏法(右腕を風車のように回転させる弾き方)は凄く格好いいですけど、あれは単純にいい音を出すためのものなんですよ。
──ウィンドミル奏法は皆さんもライヴで採り入れていますよね。
利果:ライヴだけじゃなく、レコーディングでもやっていたんですよ(笑)。
高森:そうなんです。振り上げて弾くほうがいい音が出ますから。
──もしかして、高森さんはレコーディングでも上半身は裸だったんですか。
高森:もちろん(笑)。昔からギターを弾く時は裸にならないと調子が出ないんですよ。まぁ、このところ冬場だけは服を着るようになりましたけどね(笑)。
利果:上半身ばかりでなく、今はいい意味でバンドの鎧が脱げた気がしているんですよ。プレイの面はもちろん、ライヴでのアクションにしろ衣装にしろ凄く自由度が高いし、今はそれがいい化学反応となって作用しているので。ただ、ヒリヒリした緊張感みたいなものがメンバー間にはちゃんとあって、自由度の高さとストイックさのバランスがいいテンションを生み出していると思うんですよね。
──本作をきっかけとして、ひとりでも多くムスタング・ジャークスのライヴへ足を運んでくれる人が増えれば嬉しいですね。
高森:たとえばの話、全盛期のジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスがブッキングでレッドクロスに出たとしたら、絶対に客が増えると思うんですよ。俺はそこを目指したい。ぶっちぎりでいいものは必ず支持されるはずなので。ただ、バンドの内面を磨き上げるだけでチラシを配るのをやめるかと言えば、もちろんやめませんけどね。USハードコアのDIY精神は凄く好きだし、それはいつまでも忘れたくない部分ですから。
MOJO LIGHT
01. 瞬き
02. (涙の)チューチュートレイン
03. 扉の向こう
04. MOJO LIGHT
05. 裸足のあの娘
06. 雨のベルリン
07. Mary Jane
08. 左手はそのまま
09. ブガウガルー
10. そんなに心配いらないぜ
11. Shiny Moon
12. サボテン街
ROLLER☆KING KAWA-1001
2,100yen (tax in)
2009.8.05 IN STORES
Live info.
2009 MOJO LIGHT TOUR
8月8日(土)愛知:岡崎 WHISKY BAR
8月16日(日)東京:新宿 red cloth[ROLLER☆KING NITE ムスタング・ジャークス『MOJO LIGHT』Release Party]
8月29日(土)大阪:難波 ROCK RIDER
9月5日(土)愛知:名古屋 SONSETSTRIP
9月12日(土)愛知:吉良 RODEO
9月13日(日)静岡:清水 JAM JAM JAM
9月18日(金)東京:新宿 red cloth
9月20日(日)奈良:NEVER LAND
9月21日(月)大阪:難波 ROCK RIDER
9月26日(土)神奈川:横浜 BUZZ ATTITUDE
10月11日(日)新潟:WOODY
10月12日(月)宮城:仙台 enn
10月17日(土)大阪:緑橋 戦国大統領
10月24日(土)東京:新宿 club Doctor
10月31日(土)富山:SOUL POWER
11月1日(日)新潟:三条 ROCKET PINK
11月8日(日)金沢:VANVAN V4
11月22日(日)大阪:三国ヶ丘 FUZZ
11月27日(金)東京:新宿 red cloth[MOJO LIGHT TOUR 2009 FINAL『プレイボーイ☆ナイト』vol.40]
MUSTANG JERX official website
http://www18.ocn.ne.jp/~m-jerx/