スカした時代に罠を仕掛けろ!
“永遠の17歳”YOU-DiE!!!が贈る、次世代のロックを担う気鋭バンドが一堂に会した究極のコンピレーション・アルバム!!
敬愛してやまない怒髪天のレパートリーに『ロクでなし』という不滅のナンバーがある。この歌詞の中にある“どちらにしようか迷ったら どっちがROCKか? コレで決めるゼ!”というフレーズを僕は生きる指針として日々活用している。“どっちがROCKか?”。これを選択の基準にさえすれば大抵のことは間違いないし、仮にスットコドッコイな結果になったとしても納得が行く。それは10代の多感な時期にロックンロールという魔物に刻まれたばかりに背負ってしまった業のようなものなのである。
長いキャリアを積んだロック・バンドの滋味に富んだ奥深さと凄味ももちろん素晴らしいし、共感し得る部分も個人的には多々あるのだが、ロックンロールの出自はやはりティーンエイジャーの抑えがたい衝動に端を発するものであり、その意味でロックンロールは常に傷つきやすい10代のためにあると言える。この場合の10代とは言うまでもなく実年齢を意味するのではなく、ティーンエイジのスピリットを未来永劫身に宿したロックンロールをこよなく愛するあらゆる世代のことを指す。日夜新たなユース・カルチャーを発信し続けるライヴハウスを拠り所とした本誌を精読してくれているあなたもきっとそうだろう。
時代の半歩先を読む敏感なアンテナを絶えず張っているであろうあなたならきっと気に入ってもらえるコンピレーション・アルバムを紹介したい。『FACTORY』『ELVIS』のプロデューサー、『BLACK LIST』『ロッケンロー★サミット』『69★TRIBE』のオーガナイザー、そして万力、YOU-DIE!!!&ザ・リーゼンツのギター&ヴォーカルとして知られるYOU-DIE!!!氏が深い愛情をもってコンパイルした『69★TRIBE 〜Cupid Honey Traps〜』がそれだ。「“0”から“1”の瞬間に立ち会いたい。なぜならば、その瞬間にすべてのエネルギーが詰まっているから…」と語るYOU-DIE!!!氏もまた、“どっちがROCKか?”を生きる指針とする生粋のロックンロール原理主義者であると僕は思う。だからこそ、氏の慧眼によって選ばれた『69★TRIBE 〜Cupid Honey Traps〜』の参加面子にも至極納得ができる。次世代のロック・シーンの勢力地図を大きく塗り替えるであろう全15組のバンドは皆、“0”を“1”に変える圧倒的なポテンシャルを有しているからである。2009年における日本のアンダーグラウンドなロックの極めて良質な部分がこのアルバムに凝縮していると言っても過言ではない。音楽に限らず、どの分野でも未来有望な新人が出てこないのは不幸なことだが、このコンピレーション・アルバムを聴くと日本のロックンロールは明るいと実感できる。今最もヒップなロックンロールを知りたければ、これほど最適なアルバムは他にないと断言したい。そして、このアルバムをきっかけに各バンドのオリジナル作品にも是非触れて欲しい。彼らこそが明日のロックンロールを切り拓いていく真のイノヴェーターなのだから。(text:椎名宗之)
01
Veni Vidi Vicious
Juliet
良介(vo, g)と健(g, cho)の入江兄弟を中心に2005年4月に結成。バンド名は言うまでもなくTHE HIVESのアルバム・タイトルに由来(昨秋、そのHIVESの来日公演のサポート・アクトに抜擢されるも、まさかの来日キャンセル!)。2007年12月にThe Mirrazとのスプリット・シングル『NEWROCK E.P』でmini muffよりデビュー。昨年10月に発表されたファースト・アルバム『IRIE RACKIT』が各メディアで高い評価を受け、一躍その名を知らしめる。今年2月に行なわれたThe Mirraz、QUATTROとの3マン・ツアー『常勝』での圧倒的なステージも記憶に新しいところ。
02
毛皮のマリーズ
REBEL
今年4月に発表されたサード・アルバム『Gloomy』がオリコン週間アルバム・チャートで初登場51位にランク・インするなど、益々その勢いを加速し続けているロックンロール・リヴァイヴァルの旗手的存在。『Gloomy』発表直後に志磨遼平(vo)が大阪でのライヴで第3・第4腰椎横突起骨折という事態に陥ったが(彼らのライヴが如何に壮絶かが窺えるはず)、『毛皮のマリーズがやってくる!ゲス!ゲス!ゲス!JAPAN TOUR 2009』は一部の日程を延期したものの、6月6日に渋谷CLUB QUATTROで行なわれるワンマンまで鋭意断行される予定。まさに不死身のロックンロール、これぞ真の“REBEL”ミュージック!
03
黒猫チェルシー
黒い奴ら
神戸の高校在学中の2007年3月に結成されたガレージ・ロックンロール・クァルテット。2008年に日本テレビの深夜番組『音燃え!』に地元のライヴハウスの推薦で出演し、他の学生バンドとは一線を画す格の違いを見せつけた。今年4月にバンド名を冠したファースト・ミニ・アルバムを名門・DECKRECレーベルより発表したばかりで、現在は都内を中心に精力的なライヴ活動を続けている。また、ヴォーカルの渡辺大知は今年の夏に公開される映画『色即ぜねれいしょん』(みうらじゅん:原作、田口トモロヲ:監督)の主役に抜擢され、岸田繁(くるり)や峯田和伸(銀杏BOYZ)らと共演を果たすことでも脚光を浴びている。
04
The John's Guerrilla
SHOOT THE RADIO
輝かしい60年代後半のサイケデリック・カルチャーを分母に置きつつ、今日性に富んだハイブリッド感覚を加味した極めて知的刺激性の高い独自の音楽を志向/試行する4人組。その音楽は人間の内に秘めた無限の可能性を揺さぶり起こし、聴く者に意識の覚醒を促すという意味において確信的な心のゲリラと呼ぶべきもの。昨年6月、我がロフトプロジェクトが擁するインディペンデント・レーベル“CRUX”からファースト・シングル『SHOOT THE RADIO / SHADOW DISCO』を発表。“我流のNEW PSYCHEDELIC”なるコンセプトを掲げ、目下ライヴハウス及びクラブ・シーンを中心に熱狂的支持者が急速に拡大中。
05
Levelload
Yellow Fever
日本人のMariko(b, vo)とイギリス人のTony(g)の2人から構成されるイギリス在住のユニット。THE WHITE STRIPESを彷彿とさせるガレージ・サウンドを基軸として、エレクトロ・パンクからブロッキーなダンス・ロックまでを自由に行き来する幅広い音楽性が魅力。過去に本国イギリスの自主レーベルよりシングルをリリースしていたが、ここ日本でも昨年2月にフル・アルバム『Yellow Fever』をリリースし、その独特なポップ・センスが高い評価を得ている。本国ではTHE HORRORS、NEIL'S CHILDREN、THE KBCといったアート・ロック系バンドとのライヴをこなし、ジワジワと人気を広げているとのこと。
06
Buffalo'3
Red Shoes Gaze
今年4月に待望のファーストEP『6//CITY』を発表したばかりの3ピース・バンド。USインディー直系のオルタナティヴ・ロックと日本のアンダーグラウンド・ロックからの影響が随所に見受けられる音楽性が大きな特徴。ヴィンテージ感が漂う鋭利なサウンドと野太いビートに疾走するグルーヴ、さらにその上に2000年代以降のUKロックの影響を感じさせるリズミカルなギター・サウンドとカオティックな爆音ノイズを乗せ、爽快にぶっ飛ばす様は徹頭徹尾ロック! “東京のNEW ROCK”を標榜し、都内を中心に各地のライヴハウスやロック・バー、クラブ等で精力的に活動中。
07
BUGY CRAXONE
FAST
1997年5月、札幌市にて結成。1999年3月にシングル『ピストルと天使』でビクターエンタテインメントよりメジャー・デビューを果たす。2003年に自身のレーベル“ZubRockA RECORDS”を設立し、独自の活動を展開しながら数々の充実作を発表。2007年に怒髪天の増子直純が主宰するレーベル“Northern Blossom Records”へと移籍し、『Good morning, Punk Lovers』、『Hello, Punk Lovers』と立て続けに会心のミニ・アルバムを発表し、新たなファンを獲得し続けている。すべてのPunk Loversに捧げる至上のロックンロールは結成から12年を経た今なお不変。
08
QUATTRO
HEY
60〜70年代のロックやサイケをルーツに感じさせながらも、鮮度の高い輝きを放つ楽曲を収録したデビュー・アルバム『Calm before the dawn』を2004年7月に発表、翌年の『FUJI ROCK FESTIVAL '05 ROOKIE A GOGO』への出演を果たして一躍脚光を浴びた5人組バンド。同年11月に自身のバンド名をタイトルに冠したファースト・アルバムを、昨年10月にセカンド・アルバム『Square of Circle』をそれぞれ発表。後者はエンジニア/プロデューサーにTHE STROKES、8otto、nhhmbaseなどの諸作品で知られるヨシオカトシカズを迎えて制作され、その評価を不動のものとした。
09
THE BAWDIES
I BEG YOU
かの大貫憲章氏から「最初にビビッと来たのは、これが日本人のヴォーカル?! って思わずのけ反った歌声だ。凄いブラックなソウル感!ミッチ・ライダーかヴァン・モリソンか。とにかくシビれた」と大絶賛を受けた若き4人組。LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIによるプロデュース楽曲を含むメジャー・ファースト・アルバム『THIS IS MY STORY』を先月末に発表したばかり。敬愛する50〜60年代のリズム&ブルース/ロックンロールを自身のルーツ・ミュージックとして育みながら、極めて今日的な感性でオリジナリティを確立。世界基準の最新型ロックンロールを奏でる新進気鋭のバンドとして幅広い層から熱い注目を受けている。
10
RAT
Lenny
2003年に名古屋で結成された、ヴォーカル&ギターの浜田健嗣を中心とした比類なきロックンロール・バンド。その凄まじいまでの鬼気迫る歌声と切なさに溢れたメッセージは聴く者の心を激しく揺さぶる。2005年8月にファースト・ミニ・アルバム『鈍い陽射し』を発表した後、2006年5月に上京。2007年6月6日(ロックンロール!)にファースト・フル・アルバム『Rollin' & Tambourine』を発表して以降は『69★TRIBE』の常連バンドとしてその名を着実に知らしめていった。今年に入ってからは自主企画『Loverock Show!!!』を始動させ、サード・ミニ・アルバム『ピストルとダイヤモンド』を今月発表するなどフルスロットルな活動を展開中。
11
クロワニ
血みどろランデブー
2006年12月に結成。富家イチロウ(vo, g)がバンド名を考えていた時に黒いワニのポロシャツを着ていたからという単純極まりない理由でクロワニと命名。2007年6月にファースト・ミニ・アルバム『アリゲーターは飛べない』を発表し、同年7月に代々木ザーザズーで初のワンマン・ライヴを開催。2008年8月にセカンド・ミニ・アルバム『エンドレスなサーカス』を発表、屈強なサウンドとメロディアスな旋律が絶妙なバランスで融合したロックンロールで人気を博す。同年10月に下北沢シェルターでワンマン・ライヴを敢行し、“一番好きなライヴハウスはシェルター”とロフトプロジェクト的には非常に嬉しいことを言ってくれる未来有望な存在(ヨイショ)。
12
ザ50回転ズ
たまにはラブソングを
今さら説明は不要であろう、浪速の気狂いロックンロール・トリオ。富田林の“大阪ロックンロール少年院”に収容されていた“徳島の酔いどれ”ことダニー(g, vo)、“出雲の妖怪”ことドリー(b, vo)、“浪速のドラ息子”ことボギー(ds, vo)の3人が奇跡の出会いを果たして2004年に結成。2006年1月に『50回転ズのギャー!!』を発表して鮮烈のメジャー・デビュー。それ以降、強烈なヴィジュアル・インパクトと壮絶なライヴ・パフォーマンスで国内外を問わず絶大な支持を得ている。2008年には『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌を担当するミュージシャン5代目として抜擢された。最新作は今年1月に発表されたサード・アルバム『50回転ズのビックリ!!』。
13
カルガモネンド
中央線茜色行
2005年に京都で結成されて以来、強烈なキャラクターとレトロなサウンドで“これぞ昭和歌謡に対する最新型オマージュ!”と音楽関係者から高い評価を得た3ピース・バンド。ギター&ヴォーカルのムロの強烈なハイトーン・ヴォイスとマニアックなファズ・ギター、ベースのDAIのドライヴ感溢れるプレイ、変態ドラマー・ボヤッキー吐子魔302号室のファンキーかつ歌心溢れるリズムが絡み合う個性的なサウンドが魅力。今年1月には待望のセカンド・アルバム『ラストダンス』を発表し、来たる6月5日には新宿レッドクロスにて初の東京ワンマン・ショーを敢行するなど勢いづいてる。同じ京都出身の代表格バンドである騒音寺や片山ブレーカーズの後を継ぐバンドという評価もアリ。
14
moja
Hello
masumi(ds)とharuhiko(b, vo)から成る男女デュオ編成。新世代のロックンロール・バンドの中でもその奇異な編成と独自のサウンドですでに熱い注目を浴びている。2007年に開催された世界規模のバンド・バトル『GBOB』において日本国内で優勝を獲得し、その後ロンドンで開催された世界大会においては惜しくも3位に終わったものの、その様子を見た各国のライヴ・イヴェンターから高い評価を得た。その流れでカナダで開催されたフェスに出演し、GBH、PENNYWISE、BLOC PARTYらと競演を果たすなど、ワールドワイドな活動を展開中。今年2月に待望のファースト・アルバム『moja』を発売したばかり。
15
ミドリ
あんたは誰や(ライブ at 日比谷野音)
他の追従を許さない壮絶なライヴ・パフォーマンスと鉄壁のアンサンブル、セーラー服姿でギターを掻き鳴らしながら唄う後藤まりこ(vo, g)の一挙手一投足が観る者に強烈すぎるインパクトを残す大阪発ハードコア・パンクロック・バンド。2003年7月結成。2007年11月に『清水』で衝撃のメジャー・デビューを果たし、2008年5月に発表した『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』は未だに息の長いセールスを保持している。今年の3月には初のシングル『swing』を発表し、現在は『ミドリ、ワンマン、2009春。』と題された全国ワンマン・ツアーを鋭意敢行中。その追加公演として、来たる6月6日には2度目となる日比谷野外大音楽堂でのライヴが開催決定。
69★TRIBE 〜Cupid Honey Traps〜
Compiled by YOU-DiE!!!
Sony Music Associated Records AICL-2005
2,500yen (tax in)
IN STORES NOW
Live info.
MUSIC DAY 2009 69★TRIBE 〜Rock Till You Die!!!〜
『69★TRIBE 〜Cupid Honey Traps〜』レコ発記念
2009年5月4日(月・祝)代官山UNIT
LIVE ACT:ミドリ、黒猫チェルシー、ザ50回転ズ、The John's Guerrilla、THE BAWDIES、Veni Vidi Vicious、QUATTRO、BUGY CRAXONE、クロワニ、Buffalo'3、moja、RAT、Levelload(from LONDON)、カルガモネンド…and more!!
OPEN 11:30 / START 12:00
前売り ¥3,500 / 当日 ¥4,000(いずれも1DRINK別)
info.:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
Cupid Honey Traps official website
http://www.cupidrecordings.com/