ギター バックナンバー

浜辺シゲキ('09年5月号)

浜辺シゲキ

“HOP MUSIC”──それは体を踊らせ、心まで躍らせるプリミティヴな音楽


 ROCKIN' ICHIRO & BOOGIE WOOGIE SWING BOYSの初音源『HONEY MUSTARD AND ONION』から今年でちょうど10年、浜辺シゲキが到達したのは“HOP MUSIC”と自身が命名した躍動感に満ちたアコースティック・サウンドだった。ロックンロール、ロカビリー、R&B、ジャズ、バップ、ジャイヴ、ジプシー・スウィング…ありとあらゆるルーツ・ミュージックをその源泉としながら、無条件に体を揺さぶらせるリズムと心を弾ませる瑞々しい歌声が加味することで生まれる“HOP MUSIC”。アコースティックでありながら、ロックでポップでヒップなダンス・ミュージックだ。それは彼が試行錯誤の末に辿り着いた境地であり、揺るぎない音楽人生の指針でもある。その指針は、偉大なる先人から受け継いだ魂の音楽を次の世代へと伝承すべく未来の方向を指している。アコースティック・サウンドの新たなスタンダードとなる高いポテンシャルを秘めた音楽性を活路として、人と人を繋ぐ浜辺シゲキの音楽の旅はまだまだ続いていく──。(interview:椎名宗之)


自転車が自動車に負けたくない

──『Demo Session 00 2007 Autumn』という無料配布音源はあったものの、公式音源は『GROOVIN' HIGH』以来3年振りの発表となるんですね。

浜辺:そうなんですよね。あっと言う間だったような、そうじゃなかったような(笑)。でも、自分としては必要な時間だったと思いますね。

──本作『DO THE HOP!』に至るまでの3年間は、アコースティック・サウンドをバンド形態で表現すべく試行錯誤していた時期ですよね。

浜辺:『GROOVIN' HIGH』まではどんなアプローチができるのかという新しい挑戦がテーマで、自分の音楽をどこまで広げていけるかという可能性を見いだしていた時期だったんですね。そこをひとつの区切りとして、今度は自分の原点に立ち返ってみようと思ったんですよ。自分がギターを始めた頃や路上で弾き語りをしていた頃のピュアな気持ちを見つめ直して、アコースティック・ギター1本でどこまでやれるかを一度追求してみようと思って。ロックンロールを始めとする自分のルーツ・ミュージックを礎とした音楽をアコースティック・ギター1本で表現して、軽快なリズムで人の心をどれだけ躍らせることができるかに重きを置こうと。それが僕が今打ち出している“HOP MUSIC”という音楽なんですよ。そのスタイルで自分の持つポップ感を出しつつ、親しみやすさを持ち合わせながら更なる高みに達していきたいんです。

──その“HOP MUSIC”の熟成に3年間を費やした結果生まれたのが『DO THE HOP!』というわけですね。

浜辺:そうですね。それまで作ってきた楽曲を整理するために『Demo Session〜』を作って、自分のスタイルを振り返って改めて思ったのは、僕はこのスタイルが好きだし、これしかできないんだなということなんです。これしかできないということは確たる芯があるという強みでもあるし、そこで腹を括ったところがあるんですよ。ライヴハウスで共演するバンドが大音量と大音圧で演奏する中で、自分はそれほど大きくもない音量でどれだけお客さんを楽しませることができるか。それを今、新たな挑戦として自分に課しているわけです。

──アコースティック・ギターはごまかしの利かない楽器だし、剥き出しにならざるを得ないですよね。

浜辺:剥き出しになる分、プレッシャーも増しますしね。あと、自分の声質はアコースティック・サウンドのほうが合うんじゃないかという判断もあったんですよ。シンプルなサウンド・アプローチを突き詰めていくこともテーマとしてはあって、シンプルの極みで自分の音楽をどこまで伝えていけるかが今の目標でもあるんです。

──アコースティック・サウンドに魅せられる一番のポイントはどんなところですか。

浜辺:たとえて言うなら、アコースティック・サウンドは自転車で、エレキ・ギターは自動車やバイクなんですよね。ガソリンで動く自動車やバイクと違って、自転車は自分で漕がないと動かない。エレキは電気の力を借りられるけど、アコースティック・ギターは自分が弾かない限りは音が出ない。でも、アコースティック・ギターは電気が要らない場所でも音を届けられる。そこが僕の中では重要で、もしライヴ中に電源が落ちてもアコースティック・ギターなら演奏を続けられるじゃないですか。そこも大きな魅力のひとつですね。あと、必ずしも爆音ばかりが聴く人を興奮させるとは限らないし、輪郭がくっきり出た音を届けるほうが聴く人を鼓舞させられると思うんですよ。余りにも音が大きすぎて何をやってるかわからないライヴよりも、音圧的には物足りないけど伝えたい音がわかるライヴのほうが感じ入る部分が大きいんじゃないかと。それと何より、自転車が自動車に負けたくないって言うか(笑)。

柔よく剛を制す“HOP MUSIC”

──つまり、プリミティヴな人力が発する音に深く共鳴するということですね。

浜辺:結局、音楽の魅力というのは人間力に尽きるんじゃないかなと。ライヴはその人が伝えられるものを生で見聴きできるところに不変的な醍醐味がありますけど、その中で僕が一番うまく伝えられるのはアコースティック・サウンドだと思うんです。軽快なリズムで踊らせることもできるし、じっくり聴かせることもできる。“HOP MUSIC”の中にはダンス・ミュージックもあればポップ・ミュージックもあるし、ロックンロールもありますからね。そこに自分なりのメッセージを乗せて伝えたい。僕は楽器から入った人間なので音から広がる言葉をそのメッセージに込めて、楽しませることに今は重きを置きたいんですよね。それがギッチリ詰まった作品が今回のアルバムだと思っているんですけど。

──“HOP MUSIC”とは言い得て妙な言葉ですよね。跳ねたサウンドに胸が躍るニュアンスもよく出ているし。

浜辺:ROCKIN' ICHIRO & BOOGIE WOOGIE SWING BOYSをやっていた頃から、跳ねた音っていうのが自分の大きな持ち味としてあったと思うんですよ。跳ねた音で聴く人の心まで跳ねさせたいし、バラードのような曲でも心を躍らせることができればそれも“HOP”なんじゃないかと思って。“柔よく剛を制す”という言葉があるように、使っている楽器やスタイルはアナログだけど、それを現代で新たなスタンダードとして開拓していければ剛強なものを制することもできると思うんですよね。その姿を見せられれば人に感動を与えることもできるだろうし。それを僕も見たいし、やりたいんだなというのを最近強く感じますね。

──バンド・サウンドを意識してなのか、全体的にギター・ソロは冗長になることなく至って簡潔ですよね。歌を際立たせるために必要最小限の音でまとめていると言うか。

浜辺:もっと弾けば良かったですかね(笑)。今回のアルバムで意識したのは、曲のいい部分を凝縮させてサラッと聴かせることだったんですよ。でもちゃんと残るものがあるっていう。だから1曲における尺もなるべく必要最小限に留めて、簡潔にまとめることに努めたんです。ライヴではまた違ったものになるかもしれないですけど。必要以上に尺が長くなると音楽でくどくど説明するような感じになるし、それなら潔くコンパクトに聴かせたほうがいいと思ったんですよね。

──簡潔にまとめるとなると、アレンジの難易度がグッと上がるんじゃないですか。

浜辺:ポイントは歌なんです。自分のルーツである弾き語りも、要するに歌を立たせるわけですよ。唄いたいことがひとつあれば、そこに何も装飾する必要のない曲もありますしね。歌の入った演奏ならば僕は歌がすべてだと思うし、そこに色付けをしていく演奏がやっぱり理想なんですよね。


10年間一貫した“心の躍る跳ねた音楽”

──BOOGIE WOOGIE SWING BOYS時代のリスナーには、『Faraway』や『Good Darling』といったメロディアスなナンバーがとりわけ新鮮に響くでしょうね。

浜辺:ソロを始めてから『GROOVIN' HIGH』まではそういうメロディアスな部分が立っていたと思うんですよね。そこを経過して、それ以前のBOOGIE WOOGIE SWING BOYSでは楽しいリズミカルな音楽を経過して…そんなひとつひとつの経験がこのアルバムに活かされていると思うんです。今まで培った素養を全部採り入れようというのではなく、今の自分を形作っているものとしてこれまでの素養が自ずと出ているんじゃないかなと。心の躍る跳ねた音楽は一貫しているし、BOOGIE WOOGIE SWING BOYSを好きでいてくれた人にも今回は楽しめるアルバムになったんじゃないかなと思いますね。

──“HOP MUSIC”の雛型とも言える1曲目の『Ho, Ho, Ho (do the hop)』から激しく心を揺さぶられますからね。

浜辺:バンド・スタイルのメンバーは僕と同じようにロックンロールやロカビリーを通過してきた人ばかりなので、ルーツ・ミュージックのニュアンスを伝えやすかったんですよ。でも、それだけじゃない“HOP MUSIC”としての新しさも出したかったし、そこに聴く人の心を鷲掴みにするような勢いも入れたかった。それらをバランス良くまとめられたんじゃないですかね。

──ブギウギ調の『Sandpiper』やジャジーな『Rat Swing』といった軽快な曲でも、アコースティック・サウンドだと歌が明瞭に聴こえるのがいいなと思ったんですよね。

浜辺:歌詞がわからないよりはわかったほうがいいし、ノレないよりはノレたほうがいいなと思って。

──歌に対するアプローチもこの3年で意識的な変化がありましたか。

浜辺:徐々に良い部分と悪い部分が客観的に見られるようになったし、改めてアコースティック・サウンドでアプローチした時に自分のヴォーカル・スタイルを理解することができたので、その発見が一番大きかったのかもしれませんね。基本的に唄い方は変わっていないと思うんですけど、肩に力が入っていたところが抜けて歌の強弱が少しずつわかってきたところもありますし。まだまだ発展途上ですけどね。

──本作を聴いても、ギターと寄り添う歌が徐々に具現化できてきたことが窺えますね。

浜辺:ギターも歌も、どちらも疎かにしたくないんですよ。ただ、“HOP MUSIC”という確固たるスタイルが出来たので、今後はギター1本のインストやギターを使わない歌があっても面白いのかなとは思っています。ギターを弾きながら唄うスタイルは変わらないものだし、そのスタイルに則した歌を唄っていくつもりではいますけど。軽くギターで爪弾くような曲でも、家でひとりで聴いても楽しめると思うし、DJがフロアで掛けても楽しめるんじゃないかと思うんですよ。それは歌が軸にあるからなんですよね。僕が初期のビートルズを好きなのも同じ理由なんです。ビートルズを入口としてチャック・ベリーに出会ったりロカビリーにハマっていったんですけど、初期のビートルズのようにドラムのリズムに歌が乗っているスタイルが一番の理想なんですよ。

──流麗なメロディが特徴の『Faraway』も『Good Darling』も、前者はスカのリズムが、後者は力強いビートがそれぞれ刻まれているところがいいですよね。決して甘さだけに流されず、ちゃんと“HOP”していると言うか。

浜辺:音がちゃんと“サウンドしてる”ところも突き詰めたいんですよね。インストでも何でも、主旋律のメロディが美しい曲は、仮にリズムの音がなくても聴こえてくるリズムの音が共通してあるように思うんですよ。リズムとメロディ、それに歌という2大柱を自分のサウンドとしてもっと色濃く出していきたいですね。

いろんな解釈ができる抽象画のような歌詞

──歌詞に目を向けると、どの曲も情景が脳裏に浮かぶストーリー性に富んだ作風が大きな特徴と言えますね。

浜辺:実体験に基づいた歌詞はほとんど書いたことがなくて、絵画的なものに惹かれる性格なんですね。もともと絵を描くことや映画を見ることが好きなこともあって、イメージする情景をキャンバスにスケッチしていくところから自分の表現が始まっている気がするんです。聴いていて映像が喚起されるような歌詞を書くのが僕らしい作風だと思うし、ある物語を構築して展開していくのが性に合っているんですよね。あと、映画でもハッピー・エンドで終わるものよりも、どこか情緒的だったり哀愁が漂っているもののほうが好きなんですよ。歌詞でもそういう感じのものを書くのが僕には合っていると思っていて、たとえば『Faraway』の歌詞の中でも月とそれを見ている自分との埋めがたい距離感を描いているんです。

──見えているのに手が届かないもどかしさと言うか。

浜辺:そこで手が届いてしまうと、情景がガラッと変わってしまうんですよ。あともう少しで手が届くのに…っていうもどかしさみたいなものにグッと来る良さがあるんですよね。

──月に手が届いたり、想いが伝わるのならば歌にする必然性もないでしょうしね。

浜辺:そうですね。絵が訴えかけるメッセージにしても、僕は写実画よりも抽象画のほうに惹かれるんですよ。抽象画って、見た人の感性によってどうにでも取れるじゃないですか。自分の書く歌詞もそんな抽象画のようにいろんな解釈ができるものにしたいんです。いろんな方向から見て欲しいし、聴いた人がその歌詞を読んで自分だけの物語を作り上げてくれると嬉しい。そういう意味では、僕は塗り絵で言う絵の黒い輪郭を描いたに過ぎないんです。あとは聴いた人がその絵に思い思いの色を付け足していって欲しいんですよ。

──歌詞だけではなく、メロディからも映像が浮かんできますよね。ラテンの陽気なリズムを基調とした『Mr.Lee』は、海風の当たるテラスに夕陽が差し込む風景が目に浮かびますけど。

浜辺:思い描く情景は人それぞれでいいと思いますよ。ただ、この曲は“相棒”っていうのがひとつのテーマとしてあって、その“相棒”は恋人、友達、家族、ペット…と聴く人によってそれぞれだと思うんです。僕の場合はギターなのかもしれないし。そうやっていろんな人にいろんな物語を描いて欲しいし、いろんな絵を描いて欲しいんですよ。それが歌詞を書く時の基準としてありますね。

──あと、歌詞に選ばれている言葉がメロディに溶け込んでいるのも特徴的ですよね。余り強すぎない言葉と言うか、メロディに重きを置いた中から精選された言葉という気がするんですよ。

浜辺:それはメロディから曲を作っていることと関係しているんでしょうね。歌が呼んでくる歌詞っていうのがあるんですよ。適当にハミングしている時に“これはハマるな”という言葉がふと浮かんできて、その一言からイメージが膨らんでいったりして。そういうアプローチがメロディを侵食しない歌詞に繋がっているんじゃないですかね。個人的にはまずメロディを覚えて欲しいところがあって、それから歌詞を読んで“こういうことを唄っているんだな”と感じてもらえたら嬉しいですね。今後メロディを侵食してまでも伝えたい言葉がもし出てくるのであれば、それはそれでトライしてみたいですけど。きっとそれは“HOP MUSIC”の次なる段階なのかもしれないですね。

──ただやはり、シゲキさんの持ち味が存分に出ているのは『Doubt it, Believe it (Re-bop ver.)』のような「これぞ“HOP MUSIC”!」と言うべきナンバーですよね。

浜辺:そうでしょうね。今回のアルバムはソロになってからの作品の中でも自分のルーツが最も色濃く出ていると思うし、最も理想的にルーツ・ミュージックを咀嚼して自分のものにできた気がするんですよ。『Doubt it, Believe it』はフリー・サンプラーの中にも入れた曲なんですけど、アレンジやギター・ソロを変えて新たに録り直したんです。


音楽は人と人を繋ぎ、国境と時代を超える

──今年はROCKIN' ICHIRO & BOOGIE WOOGIE SWING BOYSの初音源『HONEY MUSTARD AND ONION』の発表から丸10年を迎えるわけですけど、『DO THE HOP!』はシゲキさんが辿ってきたこの10年間の軌跡が凝縮した作品だと言えますね。

浜辺:10年経っても自分の好きな音楽は変わらないし、10年を掛けて一周した円がさらに大きな弧を描くことになれば、僕が提唱している“HOP MUSIC”がより多くの人たちに響き渡ると思いますね。

──シゲキさんがこの10年間で培ったものは、『DO THE HOP!』の中でも細かいギター・フレーズやちょっとした歌のフェイクや息遣いなどに滲み出ているようにも思えますが。

浜辺:自分ではよくわからないんですけどね。指摘されて“こういうところがいいのか…”と思うこともありますし。常にテーマとしてあるのは、“良い音楽とは何だろう?”ということなんです。それをこれからもずっと探究していきたいですね。あと、自分が10代の頃にいろんな音楽を聴く扉の役割を果たしてくれたもの…それはビートルズだったりストレイ・キャッツだったりするんですけど、僕の音楽が聴く人にとってそんな扉になれば嬉しい。『DO THE HOP!』にもルーツ・ミュージックの要素がふんだんに盛り込まれているし、ネットで調べてルーツ・ミュージックのCDを聴いてみて欲しいんですよね。ロックンロールならチャック・ベリーやリトル・リチャード、ロカビリーならエルヴィス・プレスリーやジーン・ヴィンセント、ジャズならチャーリー・クリスチャンやウェス・モンゴメリー…といったように。みんなにもそうやって音楽の旅をしてもらいたいんです。そんなふうに自分の好きな音楽を次世代に伝えていけたらと思うんですよね。ちょっとおこがましいですけど、そんなことが微力でもできたらなと。僕自身、そういう音楽の聴き方をしてきたし、その結果今こうして音楽をやっていられるので。

──『DO THE HOP!』がロックンロール、ロカビリー、バップ・ヴォーカル、R&B、ジャズ…と、あらゆるルーツ・ミュージックの要素を採り入れながらも太い芯が1本通っているように聴こえるのは、ひとえに“HOP MUSIC”という独自の音楽性を確立できたからこそなんでしょうね。

浜辺:そうですね。自分が追い求めていた方向性をやっと手に入れられたし、どんなタイプの音楽をやってもブレないようになったし、これからまた新しい音楽の旅ができると思うんですよ。

──今後は自転車に高性能の変速ギアが付いたりしますか?(笑)

浜辺:電動自転車になるとちょっと困りますけどね(笑)。なるべく自分の足でペダルは漕ぎたいですから。まぁ、今まではサドルが盗まれたり、道の途中でタイヤがパンクしたりしてきましたけど、そういう修理は自分でできるようになってきましたね。やっぱり自転車に乗っている時に見える景色が僕は好きなんですよ。自動車や電車に乗った時とはまた違った風景が見えるし、自転車のスピード感がちょうどいい。それは音楽でも同じことが言えて、自分の可能性を引き出してくれるまだ知らない音楽と出会いたいし、出会えたらみんなにも伝えたい。要するに、人から人へと伝えていく音楽をやりたいんですよ。音楽は人と人を繋ぐものだし、国境も時代も超えるものですからね。こうして作品を残せるのは僕の知らない遠くの所にまで音楽を届けられる喜びがあるし、僕が死んだ後でも何らかの形で作品を聴いてもらえる意義があるんですよ。だから今回も作品を残せたことに大きな喜びを感じています。

──今は配信全盛の時代で、CDパッケージとして形に残ることなく音楽が消費されていくのは随分と味気ないなと個人的には思うんですけれども…。

浜辺:そうですね。1曲ごとにダウンロードして自分の好きなように編集できる世の中になっていますけど、ホントに好きな音楽であれば最初から最後まで一通り聴いてみたいといちリスナーとして僕は思うんですよ。便利で味気ないことに人はいつかきっと寂しさを覚えるんじゃないかという予感もありますし。人間は無駄なことに魅力を感じるものなんじゃないですかね。ウッドベースなんて無駄にデカい楽器ですけど(笑)、そこに魅力を感じるのは結局“ないものねだり”なんだと思います。便利になればなるほど便利じゃないものに惹かれていくと言うか。『Faraway』の歌詞みたいに、手の届かないものにこそ価値がある気がしますね。恋愛でも、好きな人が振り向いてくれるかどうかはわからない。わからないから知りたいけど、でも全部は知りたくない…そんな対象との距離感の中に心の揺らぎや感動があると僕は思っているんですよ。



DO THE HOP!

01. Ho, Ho, Ho (do the hop)
02. Sandpiper
03. Rat Swing
04. Faraway
05. Good Darling
06. Mr.Lee
07. Doubt it, Believe it (Re-bop ver.)
TRIPPIN' ELEPHANT RECORDS TERNG-086
1,500yen (tax in)
2009.5.13 IN STORES

★amazonで購入する

Live info.

レコ発TOUR『DO THE HOP!』
6月24日(水)名古屋 TOKUZO(ONE-MAN SHOW)
6月26日(金)広島 楽座
6月27日(土)福岡 ANDY
6月28日(日)宮崎 SR-BOX
6月30日(火)梅田 Shangri-La
7月1日(水)岐阜 CLUB ROOTS
7月3日(金)仙台 FLYING STUDIO
7月4日(土)下北沢440(ONE-MAN SHOW)

『DO THE HOP!』リリース前夜祭
5月12日(火)20:00〜 Apple Store, Shibuya
with:MABO [The88] / クスベシンヤ [Radio Caroline] / TONE [Tone Quartet]

disk union インストア・ライヴ
5月13日(水)20:00〜 disk union 下北沢店
*弾き語りライヴ。『DO THE HOP!』をお買い上げの方に特典アリ!

TOWER RECORD インストア・ライヴ
5月16日(土)15:00〜 梅田大阪マルビル店
5月17日(日)15:00〜 仙台パルコ店
5月23日(土)13:00〜 札幌ピヴォ店
5月24日(日)17:00〜 池袋店
6月7日(日)14:00〜名古屋パルコ店
*弾き語りライヴ。『DO THE HOP!』をお買い上げの方に特典アリ!

OTHERS
5月2日(土)新宿 Naked Loft(ワンマン・バンド・スタイル)
5月3日(日)新宿 紅布(ワンマン・バンド・スタイル)
5月23日(土)新宿 club DOCTOR(DJ)

浜辺シゲキ official website
http://www.rockin-blues.com

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