何より、メンバーの喋りにジッと耳を傾けるお客さんの反応に何とも言えぬあったかみを感じて、とても清々しい気持ちになれたのが個人的には大きな収穫だった。類は友を呼ぶじゃないけれど、メンバーのあったかい人柄があんな素敵なファンを生むんだろう。それもこれも皆、REDЯUMのメンバー4人の人徳なんだろうな。極々当たり前の話だけど、最後はやっぱり“人”なんだよなぁ。
このトーク・ライブを実現・成功させるために、自身も大のREDЯUMファンであるロフトプラスワンの田実君と新宿ロフトの大塚店長が裏で奔走していた。彼らもまたREDЯUMの音楽とメンバーの人柄に魅せられた人間である。損得勘定は一切なし、REDЯUMのためなら一肌でも二肌でも脱ぐという心意気だけでイベントに参画していた。ウチの店舗スタッフは彼らのように熱いのが多くて、手前味噌になるけれどそこは大いに胸を張れるところである。
この未曽有の不況の煽りを受けてライブハウスの動員も全体的に冷え込んでいるが、お客さんや出演バンドとの繋がりを大切に育んでいけば必ず活路は見いだせると思う。逆に、現状に胡座をかいて単なるハコ貸し然となっているライブハウスはいずれ淘汰されるだろう。そこに人と人の繋がりが生むあったかさは皆無だからだ。
僕らのような音楽系活字媒体もそうだ。CDパッケージのセールスが激減する中で、各社メーカーはまずプライオリティの低い活字媒体の宣伝費を削る。はっきり言って、ウチもいつまで続くか判らない。そんな厳しい状況の中でも死守しなければならないのは、愛読してくれる読者の皆さんや各社メーカーに携わるスタッフとの絆だと思っている。
同業他誌に比べて圧倒的に広告収入の少ない万年赤貧の本誌だが、真っ向から読者と向き合って内容の濃い誌面作りに徹すれば必ず道は拓けると信じている。広告ばかりが膨れ上がって読者不在のなおざりな誌面作りをしている媒体には腹が立つが、羨ましいとは思わない。や、正直ちょっとは羨ましいが(笑)、それも収入が増えればもっとページを増やして面白いことができると思うからである。
いずれにせよ、何事も人と人との繋がりやその摩擦から生まれる何かを心の拠り所に据えて、一歩一歩着実に歩を進めるアナログなやり方しか僕はできない。もちろんそれでいいとは思っていないけれど、活字を通じたコミュニケーションこそがすべての原点であることだけは忘れたくない。(しいな)