今を刻み、今を生きる──。
刹那を胸に荒野をさすらうバンドの結成25周年という通過点
今年結成25周年を迎えるストリート・ビーツが放つ通算20作目となるオリジナル・アルバム『さすらいの歌』は、歌の持つ力と楽曲の魅力を最大限に引き出すという確たるアプローチのもとに生み出された至高の作品だ。ビーツの最高傑作は常にネクスト・ワンという自身の信条は本作においても見事に貫かれている。自らの生きる証として極めて真摯な姿勢で珠玉の歌々を紡ぎ出してきた彼らは本作において楽曲作りの手法を今一度見つめ直し、現在考え得る最良の布陣を迎えて現在持ち得る最大の力を余すところなく発揮した。与えられた状況の中で一心不乱に愛する音楽と対峙すること。心の糧となる音楽を生み出す以上はストイックにならざるを得ないということ。そんな極々真っ当なことをただ愚直に取り組んできたからこそ、彼らは聴く者の心を激しく打ち奮わせる魂の歌を数多く生み落としてこれたのだろう。現状に飽き足ることなく常にさすらい続けてきた彼らの道標なき旅において、この四半世紀という節目はあくまで通過点にすぎない。『さすらいの歌』という作品は、明日からまた刹那を胸に荒野をさすらうビーツの高らかな決意表明でもあるのだ。(interview:椎名宗之)
楽曲の魅力を最大限に引き出す
──本作では“楽曲の魅力を最大限に引き出す”ことを主眼に置いて制作に臨んだそうですが、その姿勢はデビュー以来一貫していたように思えるんですけれども。OKI(vo, g):もちろん一貫して根底に流れているのは“歌ありき”という姿勢だし、歌詞・メロディ・サウンドが三位一体となった音楽性を貫いてきたんですけど、今回はいわゆる歌モノとしての色合いを強めたかったんですよ。 ──“心に響く詩たち”をコンセプトに編纂された『裸心凛風』を発表したことで、“歌ありき”であることを再確認した部分はありますか。
OKI:順序としては逆なんですよね。『裸心凛風』の作業に取り組む時点で、次のオリジナル・アルバムは本作のような作風になるだろうという予感がすでにあったんですよ。だから『裸心凛風』のような詞に重きを置いた編集盤を先に出そうと考えたんです。 ──今回、『LOVE, LIFE, ALIVE』、『BEST MINDS』以来13年振りに山口州治さんをエンジニアに迎えていますが、これはどんな意図があったんですか。
OKI:歌の持つ力や楽曲の持ち味を最大限まで引き出すというプロデュース・ワークをやりたいと思っていたので、誰が適任かをSEIZIと話しながらいろいろと考えた挙げ句、州治さんと今一緒にコラボレーションしたらどんな感じになるだろうと思ったんですよ。きっと上手く行くだろうという目論見もあったし、狙っていた通りの仕上がりになったと思いますね。州治さんはアーティストが意図した音を可能な限り表現してくれる方で、自分の色を押し付けてくるようなことはしない。こちらの意図が明確であれば、意図した通りの素晴らしい音作りをしてくれるんですよ。 ──ビーツは楽曲の持ち味を、山口さんはビーツの持ち味をそれぞれ最大限に引き出したということですね。
OKI:そうですね。今回は楽器の音色、楽曲の意図や録り方を録りの段階から詰めて話をしていたんですけど、久し振りにそういう緻密な手法で臨みたかったんですよ。いつも以上にちゃんとやってみたかった。若いエンジニアだと俺たちに遠慮しがちだし、自分たちよりもキャリアのある人となるとだいぶ限られてくるし、そんなにいろんなエンジニアも知りませんから。音の質感を新鮮に響かせることも意識していたし、そうなると州治さんしかいないと思ったわけですよ。 ──『裸心凛風』の最後に収録されていた『そして、新しい風が』がハモンド・オルガンを採り入れたスケールの大きい楽曲として再収録されていますが、『裸心凛風』を発表したことの意義が改めてよくわかりますね。
OKI:あの曲が一番わかりやすいでしょうね。アコギと歌だけのシンプルなトラックをこういうふうにしたかったんだよ、っていう。これがあの曲本来の理想型だったんですよ。 ──山口さん同様、久々の共演を果たした難波正司さんのハモンド・オルガンは『悲しみの波を越えて』でも情感豊かに楽曲を盛り立てていますね。
OKI:あのバラードでも素晴らしい演奏力を発揮してくれましたね。難波さんは「こういう感じで弾いて欲しい」という俺たちの要望を伝えやすいプレイヤーなんですよ。 ──ロサンゼルス在住の難波さんにご足労願って、レコーディングの最後の2日間でまとめて鍵盤を弾いてもらったそうですね。
OKI:かなりタイトなスケジュールでしたね。無理を言って日本へ帰って来てもらって、実質的には一晩で弾いてもらったんですよ。14年振りの再会だったから1日目の録りはナシで話し込んで、2日目にまとめて弾いてもらいました。そんなムチャを頼める相手も他に知りませんしね。 ──山口さんと難波さんがビーツの作品に参加すると言えば、'95年に発表された『SPIRITUAL LIFE』をどうしても連想してしまいますけど。
OKI:そうでしょうね。難波さんの演奏がバンド・サウンドに幅や奥行き、深みを与えてくれたんですよ。それが結果的に楽曲の世界観を広げつつ明確にすることに繋がっているんです。
自分の出し得るものをすべて出し切る
──『さすらいの歌』、『遠い夏の匂い』、『一瞬の虹』といった楽曲に顕著ですが、全体的にアコギが絶妙な隠し味となっているのが本作の大きな特徴のひとつですね。OKI:そうですね。ビーツのフォーキーな要素っていうのは、こういうストレートなビート・ロックを奏でるバンドの中では独特なものだと思うんですよ。デビュー当時からその傾向は顕著だったんですけど、今回はそういうアプローチをするに相応しい楽曲が揃ったということですね。逆に言えば、そういったアコースティックを基軸とした楽曲が増えることで、ギター2本とベース、ドラムだけでシンプルに演奏した楽曲の色が引き立つわけですよ。そのコントラストを際立たせる意義もあるんです。 ──『そして、新しい風が』の『裸心凛風』ヴァージョンのように、ビーツの楽曲は仮に一切の装飾を排してアコギだけで奏でられても本来持ち得る魅力が損なわれないものばかりだと思いますが。
OKI:裸にひん剥いても恥ずかしくない曲を書いているつもりだし、バンドで表現することによってその曲がより活きるんですよ。だからこそ今もこうしてバンドを続けているわけです。 ──今回は、アレンジやリズム録りの途中で完成形が見えづらい曲でも敦さんと山根さんが確かな土台作りをして支えてくれたとOKIさんがブログで書いていらっしゃいましたよね。
山根英晴(b):確かに、アレンジの時点で“この曲はどこへ向かうんだろう?”と思ったことはありましたね(笑)。
谷元敦(ds):ただ、どんなギターや歌詞が乗ってくるかわからないにしても曲自体はあるわけだから、そこは自分なりに読み取るしかないんですよ。結果としてその読みが全く外れた曲もあったけど、それはそれ。予定調和は面白くないですからね。とにかく俺と山根は曲の土台をキッチリと支えるのが役目なんですよ。自分の出し得るものをすべて出し切るしかない。ただ、やりすぎな部分はちゃんと言ってもらってるし、そのやり取りの中で最大限のことをやってますけどね。 ──『BLOODY HEART』、『大切なあの街へ』、『遠い夏の匂い』、『一瞬の虹』といったSEIZIさんが作曲を手掛けた楽曲は従来にも増してメロディアスで、どれも素晴らしい出来ですよね。
OKI:うん、どれも出色の出来だと思いますね。 ──とりわけ、かけがえのない故郷・広島を唄った『大切なあの街へ』はすでにスタンダードの風格が漂っているようにも思えますし。
SEIZI(g, vo):(照れくさそうに)ありがとうございます(笑)。
OKI:『大切なあの街へ』に関しては、ああいう郷愁をテーマにした歌をSEIZIのヴォーカルでやれているのが大きな強みだと俺は思いましたけどね。
SEIZI:あんちゃんが唄う『MY HOME TOWN』というバラードがあって、俺も自分なりに『MY HOME TOWN』みたいな歌を作りたいと思ったんですよ。それがバラードではないにしても、自分にとって大切な街や大切な人達に対して感謝の気持ちを伝えたかった。その一方で、『一瞬の虹』は極々シンプルなラヴ・ソングとして書かせてもらいました。俺が詞を手掛けたのは今回その2曲です。 ──クレジット上は“OKI&SEIZI”となっていますけど…。
OKI:SEIZIが書いてきたものに対して、俺がメロディに乗る詞の形にまとめ上げた感じですね。こういう詞の共作はめったにやりませんけど、今回はそれだけSEIZIの思いが強かったということですよ。ただ、そういうクレジットのあるものがピックアップされがちですけど、今回このアルバムにおいてSEIZIが果たした仕事の中で言えばそれはごく一部なんですよ。全体のプロデュース補みたいな立場として、SEIZIは曲作りから最終ミックスに至るまで非常に重要な役割を担っていたんです。
SEIZIの果たした非常に重要な役割
──その辺りは本作を語る上で肝となるくだりになりそうなので、詳しくお伺いしたいですね。OKI:まず曲が出来て、敦と山根に伝えるためのデモを作りますよね。俺たちはパソコンを使わないので、リズムを作るにも生音でトラックを重ねていくんですよ。SEIZIがドラムを叩いて、俺がベースを弾いて。『さすらいの歌』は俺たちが録ったデモ・テープをベーシック・トラックとして敦と山根に渡しましたね。もの凄くヘタクソなストリート・ビーツなんだけど、楽曲としては最終的に形になったものと同じなんです。 ──ちゃんと楽曲の世界観が伝わったわけですね。
OKI:そういうことです。アレンジの詰めの段階では、「この部分はこんな意図があるからそれに見合うフレーズが欲しい」もしくは「そこまでベースを弾かずに空けておいてくれ、なぜならこんなふうに料理する予定だから」みたいなことを敦と山根に伝える。そうすると、たとえば敦が「こういうフレーズはどう?」とぶつけてきてくれるわけです。それを受けて俺が、「ああ、それもいいね。でも、そこは後で試してみたいことがあるから、申し訳ないんだけど置いておいてくれないか」と答える。そのやり取りの段階で、SEIZIが通訳をしてくれるんですよね。俺は感性に基づいた言い方しかできないところがあるけど、SEIZIはそこを具体的に譜割りを使ってリズムのふたりに伝えてくれる。特にドラムに関してですけどね。ベースに関しては主に俺が伝えてますから。以前からそういうやり取りはしていますけど、今回は今まで以上に濃密にそのやり取りができたんですよ。そうやってリズム・アレンジが済んでベーシック・トラックを録り終えてからが音を色付けするサウンド・ワークで、そこでもまたSEIZIが奮闘してくれたんです。主力はギターのアンサンブルですからね。今回はそんなふうにすべての作業を丁寧にやれたのが凄く大きい。 ──そうした作品作りに対するアプローチの変化は、何かきっかけがあってのことですか。
OKI:ここ4、5年同じ体制でやってきて、何となく結果が見えてしまうところがあったんです。そこを超えるところを目指したかったので、もっとストイックに仕事の鬼に徹してみたかった。いろんなアイディアを形にしたくても、いろんな縛りや条件があってできない時期も今までにあったわけですよ。でも今は、やりたいことができる状況を有り難いことに与えられている。だったら目一杯やれるところはやりたいと思った。ひとつひとつの仕事を薄まらせず濃密にやりたいんですよ。 ──その取り組みが『さすらいの歌』という至上の作品として結実したわけですね。
OKI:本当の意味でのチーム・ワークの成果ですよね。それぞれの役割をキッチリとやるという。それは俺たち4人は元より、難波さん、州治さん、マスタリング・エンジニアの中里(正男)さん、マネージャーの杉山(薫)ちゃん、ディレクターの庄司(有臣)君といったこのアルバムに携わったすべての人間の総合力なんです。その中でSEIZIが果たした役割が凄まじく大きかったことを言っておきたいんですよ。 ──そんなSEIZIさんの本来の役割であるギタリストとしての側面に目を向けると、『曇りなき空』の情感豊かなアウトロ、『BLOODY HEART』や『遠い夏の匂い』の印象的なリフなど、全体を通じてギター・ワークが冴え渡っていますよね。
SEIZI:作曲に関わったものは特に、早い段階からある程度の青写真がありましたからね。それが思惑通りに弾けると、他の曲でも妥協したくないと思うようになるんです。まぁ、それでもかなり四苦八苦しましたけどね。
OKI:現場の助監督からギタリストに戻ると、今度はプレーヤーとしての葛藤がいろいろと出てくるんですよ。俺から一番NGを出されるのはSEIZIですしね。「そのメロディが欲しいがために予めあのベースの裏メロを録ってあるわけだから、そこがなおざりになると今までの苦労が水の泡だぞ」っていうふうにね。
ビーツありきの『クローズZERO』の世界観
──『さすらいの歌』は映画『クローズZERO II』のエンディング・テーマに起用されていますが、そのPVも映画同様に三池崇史さんが監督を務めているんですよね。OKI:映画のオープニングとエンディングに俺たちが出演していて、実際の映画のシーンも挿入されているんですよ。 ──当然何度も同じ曲を演奏するんでしょうし、相当な忍耐と集中力が必要とされるんでしょうね。
OKI:忍耐と集中力と体力ですね(笑)。普通にPVを作る以上にカメラワークにも凝っているし、かなり突っ込んだ状態で何テイクも撮るっていう感じですからね。
SEIZI:ただ、良くなかったから何度も撮るわけじゃなく、もっと良い素材を押さえるために何度も撮るわけだから凄く建設的なことなんですよ。NGで撮り直すなら疲れ果てちゃいますけどね(笑)。
山根:前回の撮影はカメリハがあったんですけど、「ビーツは大丈夫だな」ということで今回はいきなり本番撮りだったんですよ(笑)。前回も途中からテスト撮影がなくなったんですけどね。 ──『さすらいの歌』の歌詞は、『クローズZERO II』の制作サイドから「こんな感じにしてくれ」みたいなオファーを受けて書き上げたんですか。
OKI:いえ、特に映画の内容を意識して書いたわけではないです。前回『I WANNA CHANGE』と『ETERNAL ROCK'N'ROLL』が起用されて映画の世界観と合致して、三池さんがメガホンを取って描く『クローズZERO』シリーズの世界観はビーツありきだというところで今回もオファーをして下さったので、自分たちが今一番伝えたいことを歌にしたまでなんです。もちろん、楽曲的には映画に映えるようなドラマティックで熱いアップ・ナンバーにしようとは思いましたけどね。だから、映画とリンクしつつも今のビーツにとってメイン・テーマとなり得る曲にしようと考えたんです。最初は映画の内容に合わせて、少年性をテーマにした甘酸っぱい感じの詞を書いていたんですよ。でも、そうじゃなくてもっと大人目線でいい、主人公の少年たちをもっと突き放してくれて構わないというのが映画の制作サイドの意向だったんです。 ──『さすらいの歌』は、結成から25年が経った今なおまだ見ぬ明日に向かってさすらい行くビーツの姿を凝縮させたような歌ですよね。
OKI:ビーツで唄っていることのメイン・テーマですよね。どんな生き方をしていても、刹那を胸に抱いて荒野をさすらうんだという。 ──昨年末、『裸心凛風』のツアー終了後からわずか数日で本作のベーシック・トラック8曲とトラック・ダウン済み1曲を仕上げたそうですが、その完パケの1曲が『さすらいの歌』だったんですか。
OKI:そうです。『さすらいの歌』だけ前倒しで取り掛かっていましたからね。ただ、その『さすらいの歌』も最終的には年が明けて2月にミックス・ダウンし直したんですよ。作業を進めていく過程でもっと見えてきたものがあって、州治さんが自ら「もっと良くなるからもう一度やらせてくれ」と言って下さったんです。 ──ミックス・ダウンは5日間連続で行なうハード・ワークだったそうですね。
OKI:確かに異常な集中力を必要としましたけど、とても充実した時間でしたよ。改めて州治さんの熱意と力量に惚れ惚れしましたし。 ──『悲しみの波を越えて』のように壮大なバラードも決して甘さに流されない気骨あるサウンドになっているし、そこはビーツと山口さんががっぷり四つに組んだ成果のひとつなんでしょうね。
OKI:そう言ってもらえると嬉しいですね。今言って下さったようにバラードでも甘いままでは終わらせたくないし、ストイックさや固い質感をいいバランスで含めたものにしたいんです。情緒に走りすぎるのもどうかと思うし、どこかザラついた質感だったり、心がささくれ立って掻きむしられるような感覚はやっぱり残しておきたいんですよね。それでいて温かみや優しさを内包した音楽をやっていきたいんですよ。
この世界が壊れても独りきりじゃない
──『悲しみの波を越えて』はLPで言うところのA面の最後を飾るような節目の曲でもありますよね。OKI:まさにそういう意識ですね。前半は2曲目の『曇りなき空』から割とミドル・テンポの曲が多くて、詞もちょっとヘヴィなものが多いじゃないですか。そこへまるで光が射すようなアレンジの『悲しみの波を越えて』が来て、後半への橋渡しをするわけです。文字通り悲しみの波を越えて以降、終盤へ行くに従ってよりポジティヴな方向へ突き進む構成にしようと意識したんですよ。 ──確かに、アルバムの前半は重いタッチの楽曲が並んでいますね。
OKI:誰しも曇りなき空を見上げる日もあれば、どしゃ降りの夜もあるっていうことですね。そんなふうに心が打ち砕かれる時もあるけれど、決して太陽は砕けない。どれだけ打ちのめされても這いつくばって前を向こうよ、っていう。それがビーツの世界観なんです。 ──『太陽は砕けない』は紛うことなき名曲ですね。萎えた心を奮い立たせてくれる力強いメッセージが歌詞に込められていて。
OKI:何の迷いもなく言い切ってますからね。“だから下を向くなよ、上を向こうよ”って。ちょっと子供じみた言葉かもしれないけど、敢えてそうしたんですよ。途中で色気を出してひねた言い回しも考えましたけど、結局そのフレーズに戻しました。
谷元:俺はそのフレーズに胸を衝かれましたけどね。凄く引っ掛かる言葉だと思いますよ。
OKI:まだちょっと薄曇りなの? みたいな感じで終わらせてもしょうがないわけで、言い切るのが大事だったんですよ。誰しもが胸に計り知れぬ痛みを抱えている中で、俺たちは音楽を通じて人を元気にしてナンボだと思うし、俺たち自身も音楽が心の支えになっていますからね。 ──最後を飾る『世界に二人きり』は前半の『悲しみの波を越えて』と対を成すもうひとつの壮大なバラードであり、もうひとつの“さすらいの歌”でもありますね。
OKI:そうですね。この曲もバラードと呼ぶには音の質感が凄くザラッとしていて、終末感や虚無感が曲の世界観としてあるんですよ。でも、“この世界に二人きり さすらいゆく”という歌詞にある通り、決して独りきりじゃないことを信じようというメッセージを込めたかった。“二人きり”の相手が誰なのかは聴き手のイメージ次第だし、もしかしたら二人以上の仲間なのかもしれないし、そこは委ねます。俺としては最後にそういう広がりのある終わり方で“to be continued...”にしたかったんですよ。 ──なるほど。僕はてっきり恋人と“二人きり”なのかと思いましたが、その相手が生涯の親友でもいいわけですよね。
OKI:そこは好きなようにイメージしてもらえればいいと思います。『世界に二人きり』の“世界”がどんなものなのかも人それぞれ違うだろうし。 ──そしてこの25周年をもひとつの通過点として、ビーツの“さすらい”はさらに続いて行くと。
OKI:もちろん。他に替えの利かないライフワークですから。
SEIZI:思い返せば、泥舟のように沈まずによくぞここまでやってこれたなという感慨もありますけどね。
OKI:これだけ声高に不況が叫ばれている中で、現在進行形で作品を作り続けていける状況があるのは有り難いことですよね。バンドというひとつの生命体として今この瞬間を歌に刻み込められるわけですから。25年間ずっとその繰り返しでやってきたし、この先も同じように今を刻み、今を生きていきたいですね。
さすらいの歌
01. さすらいの歌
02. 曇りなき空
03. BLOODY HEART
04. 大切なあの街へ
05. HARD RAIN BLUES
06. 悲しみの波を越えて
07. 遠い夏の匂い
08. 一瞬の虹
09. 太陽は砕けない
10. そして、新しい風が
11. 世界に二人きり
VICTOR ENTERTAINMENT Inc. VICL-63281
3,000yen (tax in)
2009.4.01 IN STORES
Live info.
25th ANNIVERSARY TOUR 2009“さすらいの歌”
4月3日(金)赤坂 BLITZ〈EVENT〉
4月11日(土)熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
4月18日(土)福岡 DRUM Be-1
4月19日(日)姫路 Beta
5月9日(土)さいたま新都心 HEAVEN'S ROCK VJ-3
5月10日(日)仙台 CLUB JUNK BOX
5月16日(土)大阪 BIGCAT
5月17日(日)浜松 MESCALIN DRIVE
5月24日(日)つくば PARKDINER〈EVENT〉
5月30日(土)札幌 KRAPS HALL
6月13日(土)名古屋 CLUB QUATTRO
6月14日(日)京都 MUSE
結成25周年記念LIVE@HIROSHIMA
6月20日(土)広島 NAMIKI JUNCTION
結成25周年記念LIVE@TOKYO 2DAYS
6月27日(土)新宿LOFT
6月28日(日)新宿LOFT
THE STREET BEATS official website
http://www.thestreetbeats.com/