ギター バックナンバー

ビイドロ('09年3月号)

ビイドロ

無駄だから最高な作用反作用のポップ・ミュージック


 ビイドロが実に3年半振りに発表するオリジナル・アルバム『冗談の王様』は“ロック”である。ギター・ロックもUSインディーもヘッタクレもない。徹頭徹尾“ロック”なのである。“ロック”とはその名の通り岩のようにデッシリと重く構えていなければならない。コケが生えないように転がり続けなければならない(あ、それは石か)。だが、本当にそうなのだろうか? 所変われば品変わる。土地が違えば、それに従って風俗、習慣、言語などが違うのは世の道理である。雄大な富士の山並は気高く美しいが、その山肌は岩だらけでゴツゴツとしている。そこには遠方から望む美しさのカケラもない。カメラの設置点次第で価値観はいともたやすく変化する。その脆弱さ、儚さに面白さが潜んでいるのだ。『冗談の王様』というアルバムで描かれているのは、そんなちょっとした発想の転換がもたらすパラレル・ワールドだ。月を眺めているつもりのあなたは、もしかしたら月に棲む兎から逆に見つめられているのかもしれない。盲信して思考停止に陥るくらいなら、無駄だから最高なビイドロの音楽に耽溺していたいものである。(interview:椎名宗之)


人間力に惹かれるようになった

──前作から3年半が経過した間に、リズム隊のおふたりがサポート・メンバーから正式なメンバーに昇格したのがビイドロにとって大きな出来事でしたよね。ずっと流動的だったバンドがようやく固まったと言うか。

青柳 崇(vo, g):そうですね。正直、固まった実感はまだないんですけど(笑)、バンドをやってて間違いなく今が一番楽しいので、それが固まったということなら固まったのかなと。以前は音楽性重視で、楽曲作りのためなら誰が演奏しようが関係ないみたいなところがあったんですけど、徐々に人間力みたいなものに惹かれることが多くなってきたんですよ。サポート・メンバーと正式メンバーではモチベーションも変わるだろうし、全員が同じ立ち位置なら4人で音楽を作る時も平等に力関係が演奏に注がれて、完成した楽曲に対しても同じ愛情の量を注げるわけですよ。そうなると次のステップへと繋がるだろうし、そのためにもまずはバンドを固めるところから始めようと思ったんです。ちょうど前のレーベルとの契約が切れたところだったし、これはいい修行期間だなと思って、ひたすらバンドの内側を鍛えることに邁進したんですよ。そうしたら、自分としても今までの作品と比べて段違いの充実感を得られたアルバムを作り上げることができたんですよね。

──そう、僕も今回の『冗談の王様』で一番強く感じたのは、有機的なアンサンブルに裏付けられたバンドとしての一体感なんですよ。以前はベータ・バンドやベックなどの影響下にある宅録サウンドをバンド・サウンドで肉付けしていた感じでしたけど、今度のアルバムは徹頭徹尾これぞバンド・サウンド! っていう感じで、肉感も骨太さも血の濃さも格段に増した感があるんですよね。

青柳:個人的にも宅録系の音楽を聴かなくなっちゃったんですよ。機械を操っているというよりも機械に操られているような音楽が多い気がして。ベータ・バンドとかも確かに格好いいんですけど、ライヴは肉体的でいいのに音源だとちょっと物足りなく感じるんです。僕はモデスト・マウスが昔から凄く好きで、ただ、一方で打ち込み的な視点から見るとかなりダメな要素の塊なんだけど、そういうヨレみたいなものが結局一番格好いいとずっと思ってたんです。だからこそ今までバンドという形態にこだわってきたんですよ。そこで改めてビイドロっていうバンドの存在意義を固める時に、個々人のクセみたいなものを執拗に直すことから活かす方向に働かせないと何にもならないと考えるようになったんです。

伊藤倫典(g, cho):劇的に変化したというよりは自然な流れでしたね。バンド・サウンドを重要視して、自分たちなりに追求しているのは確かですけど。それはやっぱり、エンタツ君(遠藤のこと)が入ったことによってバンドらしくなったことがかなり大きいんでしょうね。

岡田浩一(b, cho):エンタツ君にはいい意味でほんわかしたムードがあるから、それもいい作用をもたらしているのかもしれないですね。ちょっとしたムードメーカーみたいな感じと言うか。

青柳:そうなの? 本人にその意識は全然なさそうだけど(笑)。

遠藤達郎(ds, cho):じゃあ今日からムードメーカー担当ってことで(笑)。僕はもともとビイドロが大好きで、普通にライヴに通ってたんですよ。だから僕の好きなビイドロの良さを出そうという意識がサポートの頃から今日に至るまでずっとあるんですよね。

──お世辞抜きで修行の成果がよく出たアルバムだと思いますよ。ファースト・アルバムはシングルのコンピレーションだったし、考えてみればフル尺のオリジナル・アルバムって今回が初めてになりますよね。

青柳:そうなんです。このアルバムに入ってる曲は、2年くらい前からコツコツと録り溜めていたんですよ。毎月1曲はスタジオに入っては録るみたいな感じで。僕は冷静さに欠けるので、ある程度時間を置いて楽曲の見極めをするのが理想なんですよ。これだけ時間を置いてもいい曲だと思えるならバッチリだろう、みたいなジャッジで今回は作業を進めていけたので、そこは凄く良かったと思いますね。まぁ、リリースが決まってからは年末年始の休み返上で慌ただしかったですけど。ベーシックは全部あって、2、3曲新たに録ったんですけど、フリー・サンプラーに入れた『地平線をさかさまに』と『北極のペンギン』を除く本チャンの歌入れとミックスの作業が残ってたんですよ。12月にリリースが決まって、1月の終わりまでにその残りの作業を急ピッチで進めることになったので、これは参ったなと(笑)。演奏自体はじっくりと時間を掛けて作ったのに、歌だけしょぼいとマズイなと思って。でも、意外とやれちゃうものなんですね。最初はプレッシャーでしたけど、コツを掴めてからは楽しく歌録りもできたし。

単純明快で潔いロックの魅力

──時間を掛けただけあって、楽曲は本当に粒揃いだと思いますよ。

青柳:自分でもそう思います。今まではいろんなことを詰め込みたくて気持ちばかりが先走った感じだったんですけど、自分が本当に面白いと思ってることだけをやろうと思うようになったんです。その基準に当てはまらないものは、どれだけいい曲でもボツにして。それだけの意気込みで臨んだのに、メンバーに『地平線をさかさまに』を最初に聴かせた時はみんなポカーンとしてたんですよ(笑)。

──その“本当に面白いと思ってること”っていうのは具体的にどんなことだったんですか。

青柳:僕はゆらゆら帝国が大好きで、あの人たちの魅力が一本化してる感じを僕らなりにできないかなとは思ってましたね。昔は自分たちの音楽がロックと呼ばれることに抵抗があったんですけど、今はむしろロックと呼ばれたいくらいなんですよ。何と言うか、ロックという言葉は単純明快で魅力的だし、潔くて興奮する感じがあっていいなと思うんですよ。ギターの絡みがどうとかコード進行がどうとかそういうんじゃなくて、単純に「何かいいよね、ロックだよね」って言ってもらえるようなものを作りたかったんですよ。

──ロックって本来はいろんな音楽的ジャンルを呑み込んだ懐の深さがある音楽だし、『冗談の王様』にも幅広い音楽性が凝縮していますよね。『世界』に至ってはラップ調のヴォーカルまで聴けるし(笑)。

青柳:でも、ラップっていうのも余りよく判ってないんですよね。どういうわけか、「ソウルセットみたいだね」って対バンした人たちから共通して言われるんですよ。もちろんスタイリッシュな意味じゃなく、ガンガンに韻を踏まない感じがそれっぽいらしくて、ちょっと複雑な心境なんですけど(笑)。この『世界』は、ラインシックスっていうエフェクターで作ったループが元になってるんですよ。ギターの音だけでエフェクターを駆使してドラムとベースの音を作って、弾き語りでラップをやってみたんです。それをバンドで音を合わせたらどうもつまんなくて、自分の好きなリズム感だけでギターを弾いてたら、前よりもラップしやすくなったんですよね。その後に後半の怒濤の展開が作れて、それでやっと曲がバンドのものになったんですよ。だから、自分が捨てようと思ってた宅録感から始まった曲なんですよね。

──それが見事にバンド・サウンドとして蘇生したと。中盤にツェッペリンみたいにヘンに重いギター・リフが入りますよね。

青柳:ああ、あれをツェッペリンって言ってもらえるのは嬉しいなぁ(笑)。

──しかも、終盤には珍しく青柳さんの絶叫ヴォーカルまで聴けて。

青柳:ライヴだと昔の曲でも割とそういうふうに唄ってるんですけど、レコーディングになるとなかなかそうはならなかったんですよね。

──歪みまくったフィードバック・ノイズの『台風』と、どこか和の情緒を感じさせる『季節に願うなら』の連なりは本作における大きな聴き所のひとつだと思ったんですけど。

青柳:その2曲がこのアルバムの中では一番古いんですよ。『季節に願うなら』の頭の歌詞に“台風”という言葉が出てくるので、歌に入る前に台風っぽい演奏をすれば面白いんじゃないかと思って、友達の企画に呼ばれた時に作ったのが『台風』だったんです。フリー・サンプラーの時は1曲として入れたんですけど、繋がっているよりもインスト的なものがあるほうが聴く人も仕切り直せる感じで聴けるんじゃないかということで、急遽2曲に分けることにしたんです。『季節に願うなら』にある和のテイストは、80年代の歌謡曲が好きな僕の嗜好が出てると思いますね。ちょっと湿度の高い感じって言うか。僕はメロディを作為的に作ったことがないんですよ。思い浮かんだフレーズを順に繋げていくだけなので、こんな意図があったからこんなメロディになったみたいなことは言えないんです。

──『地平線をさかさまに』や『ボクロボ』には風刺的な歌詞がさり気なく盛り込まれていますよね。

青柳:ようやくそれがバランス良くできるようになったんですよ。以前から試みてはいたんですけど、今以上に未熟でなかなか伝わりづらくて。メンバーは激しく同意すると思うんですけど、僕は普段からずっと怒ってるんですよ(笑)。歌詞もそんな感じになりやすくて、昔ならここまで書いちゃマズイかな? と思っていたようなことも、もういいかなと思って。ただ、これ以上皮肉めいたことを歌詞にすると、自分が音楽として出したいポップ感をはみ出てしまう気がするんです。言葉だけが突出しても演奏が面白くないとダメだし、今くらいのバランスが理想ですね。

君の心と記憶は本当に一致しているか?

──『冗談の王様』というのも、きっと何らかのカリカチュア的なものなんですよね。

青柳:結局は自分を含めたみんなのことだったりするんですよ。今って、2ちゃんねるとかで隙あらば誰かを叩くとか、ネットの世界を中心に人を見下す風潮が強まっていると思うんです。散々見下し合った末に、最後に誰かの上に立ったヤツの勝ちみたいな図式でひとつの物事が収束していくと言うか。イヤな流れだなとは思うけど、間違いなく僕もその世界の一員なわけで。そんなことを自分なりの視点で歌詞にしてみたんです。

──“僕はペンギン”と唄われる『北極のペンギン』ですが、宇多田ヒカルの『ぼくはくま』に対抗したわけではないですよね?(笑)

青柳:『ぼくはくま』自体知らないです(笑)。この歌詞の“僕”は物語の中の“僕”であって、自分自身のことじゃないんですよ。『ボクロボ』の“僕”もそんな感じなんです。何物かの姿に自分の思ってることを投影すると言うか。その曲の中で伝えたい概念をどのスタイルで伝えたらいいのかっていうのはいつも凄く考えてるんですよ。こういうことを言いたいんだけど、どのやり方にすれば言いたいことが一番伝わるんだろう? って延々と考えた末に、ペンギンかな? っていう(笑)。真ん中のギター・ソロが北極っぽい感じもしたし。

──最後のコーラスのほうが北極っぽさがあったように感じましたけど(笑)。

青柳:そこは曲が出来上がった後に入れたんです。メンバーに“オゥ!”ってペンギンっぽい鳴き声を言わせたんですよ(笑)。

──ビートルズで言えば、ジョン・レノンは一人称の“I”を、ポール・マッカートニーは三人称の“He”や“She”を多用した作風じゃないですか。青柳さんの場合は、ポールのように自分ではない第三者を主人公に据えた作風に近いのかもしれませんね。

青柳:なるほど。確かに、僕はポールのほうが断然好きなんですよね。

──『磁石』のサウンドもユニークですよね。フィードバック・ノイズは鳴り響いてるし、リズム・パターンはコロコロ変わるし、最後までやりたい放題なんですけど(笑)、これぞまさしくバンド・サウンドって言うか。

青柳:今回の収録曲の中で、それまでに作ってた感じの曲から一番大きく切り替わったのがこの『磁石』なんです。前までの僕だったらもっとサビを派手にしたと思うんですけど、敢えてこのままやるのが一番格好いいんじゃないかと思って。でも、最初にメンバーに持っていった時は「ちょっと地味だね」みたいな反応で、余り理解を得られなかったんですよ(笑)。そこを判ってもらうまでが結構大変だったんですよね。

──フレーズやリズム・パターンを各自に振ることは余りなかったんですか。

青柳:今回のアルバムが一番振ってますね。前のアルバムは結構ガッチガチに指定してたんですけど、今回はセッションから出来てる曲もありますからね。スタジオで5分間くらい演奏してたら凄くいいベースを岡田君が考えてくれて。それが1曲目の『ステレオ』なんですけどね。それに対応して遠藤が僕の好きなドラムを叩いてくれたので、“これはイケるな”と思ったんですよ。それで3人に練習しててもらって、その場でガーッと歌詞を書き上げたんですよ。ものの30秒くらいで出来たんです。

──“君の心と記憶を裏腹に接着したのはいったい誰だ”という歌詞もいろんな取り方ができますよね。

青柳:新自由主義的な部分に対して思うことはありますね。あと、何度も聴いてるからその曲がいいと思えてしまうことって結構あるかなと思って。何年か経った後に、“ああ、何で俺は『猿岩石日記』なんて買っちゃったんだろう?”って思ったりすることってあるじゃないですか?(笑) 実際に『猿岩石日記』は買ってないですけど(笑)。そういうのに躍らされることが楽しい場合もあるんですけど、どうしても疑問を持ってしまうんですよ。世の中に出回るCDや本は、それを生み出した人の思いがそのまま反映されているとは限らない気がして。いろんな人を介して生み出されるわけですから。自分で音楽を作るようになると余計にそんなことを考えるんですよね。そういうことを含めて、君が心の中で思っていることと君の記憶の中にあることは一致してるの? っていう。そういうのって簡単に裏返っちゃうんじゃないの? そういうのをちゃんと吟味してるの? っていう気持ちがあったんですよ。『ステレオ』と『地平線をさかさまに』はほとんど同じことを言ってるだけなんです。『ステレオ』は“ステレオタイプ”の“ステレオ”で、その固定観念は自分で自信を持って主張できるのか? って言いたいわけなんです。

──記憶も後から容易にねつ造できますしね。

青柳:そうなんですよ。後から解釈づけることも可能ですから。


退屈なことと最高なことは紙一重

──『ステレオ』の他にも、各パートのフレーズから完成に至った曲はありますか。

青柳:『きみの電気』もセッションで出来た曲ですね。30〜40分続けてたセッションの後半が凄く良くて、その部分を使いました。最近はセッションから出来る曲が多いんですよ。家で曲を作るとエネルギーがなくなる時があると言うか、この面子が揃って、ある程度の音量を出せる所で曲を作りたいっていう気持ちが凄くあるんですよ。たとえば、伊藤のアーミングは素晴らしいんですよ。それを僕が自分でやろうと思ってもできない。そういうのは岡田君も遠藤も同じことで、やっぱりこの4人で鳴ってる音で曲を作らないと納得が行かないんです。そう思うようになってからは家で曲を作れなくなっちゃったんですよね。

──最後を飾る『史上最大の計画』は、“無駄だから最高なのさ!”というフレーズが耳に残りますね。

青柳:僕の大好きなモデスト・マウスは、凄く最高だけど凄く退屈でもあると思うんですよ。退屈なことと最高なことって紙一重の状態って言うか、共存してるなと思って。この曲の歌詞は、鳥の目線で書いたつもりなんです。多分、鳥は自分のことを鳥だと思ってないですよね。だって、“鳥だから鳥らしくいなきゃ!”とは思わないでしょう?(笑) そういうふうにいられるのが、自分が最高に楽しいと思うことに辿り着ける近道なのかなと思って。物事にはいろんな人間が関わっていたり、いろんな障害物があるから直線距離でゴールまで辿り着けなくて、人間は右往左往するわけじゃないですか。でも、鳥のように何も考えずに目的地まで辿り着けたらバッチリなんじゃない? っていう。そうじゃないと、好きなことなんてやれないんじゃないかと思って。

──『史上最大の計画』=バンドをやり続けること、なんでしょうね。

青柳:うん、そういうことです。

──その計画も、今回のアルバムでかなりいい所まで来たんじゃないかと思うんですが。

青柳:まぁ、今までの中では段違いに充実してますけど、今はもう次にやりたいことがたくさんあるんですよ。まだ『冗談の王様』も発売されてないのに何ですけど(笑)。オバケを題材にした曲や延々喋りっぱなしの曲とか音源にしたい曲がたくさんあるし、世間との摩擦係数の高さを唄いつつも気に入ってもらえる感じの曲が出来そうな予感があるんです。

──それはひとえに、この『冗談の王様』で大きな手応えを得たからこそですよね。

青柳:そうですね。今まではいつもとっちらかってたけど、ある程度ひとつのテーマに絞った作品も作れるんだなと思って。そのためにはこの4人の結束が固くないとダメなんですよね。って、何だか最初の話に戻っちゃいましたけど。

──あと、忘れちゃいけないのが本作のジャケットですよね。手塚治虫のパロディ漫画でも有名な田中圭一さんが本作のためにイラストを手掛けて下さったという。

青柳:僕は18の時から田中さんの漫画を読んでいたので、凄く嬉しかったですね。打ち合わせに行った時はマジで震えましたから。何と言うか、田中さんの作品からはかわいげと人間愛の間にあるものを個人的に感じるんですよ。絵柄だけじゃなく、発想とかギャグも含めて。単に辛辣だったり、単に下品だったりするギャグ漫画が多い中で、田中さんの漫画には凄く愛情が溢れてるんですよね。かなり鬼畜なことを描いていても、最終的には愛情の深さが見て取れるんですよ。世の中を批判はするけれど、決して憎くてやってるわけじゃないって言うか。

物事は一方向だけじゃない

──遠く離れた星からロボットが地球を眺めているという構図も何やら意味深ですね。

青柳:最初は『磁石』をシングルで出そうと考えてて、そのジャケット案として考えた構図なんです。『磁石』って、月からもうひとりの自分を見てる歌なんですよ。一方から見るとキレイな景色だけど、違う一方から見ると生ゴミが溢れてると言うか。見てるけど見られてもいる、照らしてるけど照らされてもいるという、眺める対象物とそこにいる自分の関係性を歌詞に込めたつもりなんです。要するに物事って一方向だけじゃないよねってことで、『ステレオ』のテーマと似てるんですよね。固定観念にとらわれずにいろんな見方をした上で、自分が一番力強く信じられるものを吟味して掴んでその先に行こうっていう。ジャケットを広げてみてもらえば判るんですけど、原画は横長なんです。ロボットのいる星が月に照らされてる幻想的な感じがいいんですよね。と同時に星の表面は荒涼としていて、サヴァイヴしなきゃいけないっていう絶望感もある。その一方で、いつかは向こうの星に行けるかもしれないという期待感もある。どっちかに偏らない感じが凄くいいなと思ったんですよ。

──本作を皆さんのお好きなグルメにたとえるとしたら、どんな料理になるでしょう。

伊藤:カレーですかね。具材に何を入れても美味しく飲み込めるので。納豆を入れてもいいし、ジャガイモが入っててもいいし。

青柳:最初に納豆が来るっていうのはどうなのよ?(笑)

遠藤:僕は概念としてのラーメンですね。豚骨とか味噌だとかそういうんじゃなくて、言うなれば“美味いラーメン”ですよ。だって、「“美味いラーメン”はちょっと…」って言う人はいないじゃないですか?(笑) パンチがあるとか量が多いとかじゃなく、“美味いラーメン”に勝てるラーメンなし! って言うか。

──今ひとつイメージが浮かびませんけど(笑)。

遠藤:敢えて挙げるなら、お母さんが作ったチャルメラとかですね。「母ちゃん! これチャーシューじゃなくてハムじゃん!」っていう感じの(笑)。

岡田:僕は日本人として蕎麦を挙げたいですね。ちゃんといいものが出来上がったので、誰でも美味しく感じてもらえると思うんです。よくラーメン屋とかで食べ方を強制する店がありますけど、そんな野暮なことはしません。ネギを入れたって、ワサビを入れたって、絶対に美味しく食べられるはずですから。

青柳:僕はもんじゃ焼きだと思ったんですよ。もんじゃ焼きって結局、出汁の味わいですよね。ベビースターを入れようが明太子を入れようが、最終的には出汁の味で美味しさが決まると思うんです。具材のヴァリエーションはあるし、何を入れてもいいし、どんな食べ方をしてもいいけど、根本的にはウチの出汁美味しいでしょう? って言うか。どんな食べ方をしても、どんな聴き方をされてもいいですよ。一度手を離れたらそこは潔くありたいですね。ただ一言、「買って!」って言いたいです(笑)。



冗談の王様

01. ステレオ
02. 冗談の王様
03. 地平線をさかさまに
04. 北極のペンギン
05. 台風
06. 季節に願うなら
07. 世界
08. ボクロボ
09. 磁石
10. きみの電気
11. 史上最大の計画
P-VINE RECORDS PCD-21022
2,205yen (tax in)
2009.3.06 IN STORES

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Live info.

『冗談の王様』リリース記念ライヴ
5月7日(木)渋谷o-nest
info. o-nest 03-3462-4420

ビイドロ official website
http://www.biidoro.net/

posted by Rooftop at 14:00 | バックナンバー
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