心のひだに深く沁み入る12篇の歌が浮き彫りにした“愛おしさの不思議”
紛うことなき傑作である。前作『Imprint****』で和製ネオ・ギター・ポップの金字塔を打ち立てたpolyABCが放つ3rdフル・アルバム『wonder of dear』は、至上のメロディ・センスを武器とした楽曲のクオリティ、有機的なアンサンブル、瑞々しく艶やかなヴォーカル、作品全体に貫かれたコンセプト、そのどれを取っても過去随一の逸品である。polyABCの代名詞でもある、得も言われぬ昂揚感が訪れる快活なポップ・チューンにもいつも以上の期待をしてもいいと思う。ただしこのアルバムが優れているのは、そうした春の陽光にも似た明るさよりも真冬の凍てついた夜空を想起させる憂愁の色が濃いところである。それはまるでこの季節に舞い散る雪のようであり、彼らが発する音の素粒子は雪の結晶のような形をしているのではないかと思うほどだ。澄みきった冬の夜空に吐く息は、儚くも遠い彼方へと消える。そんな儚いものほど僕らはなぜか惹かれてしまう。確たる理由も見当たらないのに心を奪われる“愛おしさの不思議”を、彼らは誰しもが口ずさめる平易な12篇の歌にしたためた。そのどれもが五臓六腑に深く沁み入る銘酒の如き一級品だ。しなやかに、そしてしたたかに酔えるのだ。やはりこのアルバム、どれだけ控えめに言っても紛うことなき傑作である。(interview:椎名宗之)
バンドを一気に加速させたワタナベの加入
──前作と本作の一番大きな違いは、バンドが新たな布陣になったことですね。
アベマサト(vo, g):そうですね。去年の春にこの“べい”ことワタナベコウイチが正式に加入しまして。彼はkuhのタダ(ヨシフミ)君と一緒にU.M.N.C.っていうインスト・バンドをやっていて、キャプテンハウスのオムニバス『worth one's salt』にも参加していたんですよ。べいは人気者だから他のバンドからもいくつかのオファーがあったみたいなんですけど、何とか僕らを選んでくれまして。
ワタナベコウイチ(ds):いや、そんなエラそうな感じじゃないですよ!(笑)
アベ:いやいや。僕はべいと一緒にやりたかったのに、「他にもいくつか誘われてるから、すぐにイエスとは言えません」って言われちゃいましたから(笑)。
ダイカイリョウ(g):そう、態度保留のまま何ヶ月も放置されたしね(笑)。
ワタナベ:いや、全然そんなつもりじゃないですって!(笑)
コバヤシノリコ(vo, syn):じゃあ、最終的に私たちを選んでくれた理由は何なの?
ワタナベ:うーん、何だろう…(と、しばし考え込む)。
アベ:ほら、そこで即答してくれないと俺たちが凹むじゃん!(笑)
ワタナベ:いや、言葉ではとても言い表せないってことですよ!(笑)
──まぁまぁ、いきなり仲間割れしないで下さい(笑)。参加することが畏れ多い部分もあったんじゃないですか。
ワタナベ:そうですね、はい。まさか一緒にやれるとは思わなかったので。trademarkのがまゑさんから直接電話をもらってpolyABCがドラムを探してると聞いたんですけど、最初は僕にはとてもできないと思って、自分が如何に不適格かをその電話で30分くらい延々と話してました(笑)。
アベ:めんどくさいヤツだな(笑)。
──ダイカイさんはpolyABCに加入してもう3年近く経ちますよね。
ダイカイ:それくらいになりますね。みんなとはもともと面識もあったし、メンバーがかなり面白い人たちだったので(笑)、参加してみようと思って。入ったのは『Imprint****』のレコーディングの途中からなんですけど。
アベ:僕がリョウを誘ったのは、その小汚いルックスが理由なんです(笑)。ギターが弾ける弾けないはさておき、まずこのルックスがヤバいだろうと思って(笑)。彼はもともとtrademarkのメンバーで、ドラムのオーチリを介して連絡を取ったんですよ。正式にギターを入れようと思ったのは、キャプテンハウスに移籍するのがきっかけだったんです。それまでは、今FREAKYFROGをやってるumuとかいろんなヤツにサポートで参加してもらってたんですけど。
──正式にギタリストを加えたのは、アベさんが曲作りをもっとトータルな視点で見ようとしてのことですか。
アベ:そういう部分もありますね。曲作りも演奏も、一から十まで全部自分で考えるのに飽きちゃったと言うか。ギター以外にも、昔はドラムのパートも自分で叩いてましたから。リョウはtrademarkのライヴでそのプレイを見てたし、彼ならイケると思ったんですよ。いい顔してるしね(笑)。
──それにしても、『Imprint****』からわずか2年ちょっとでこれだけの作品を発表するなんて凄いスピード感ですよね。メンバーの変動があればもう少し時間が掛かりそうなものなのに。
アベ:そうなんですよ。べいが入ったことで一気に勢いづいたんです。今さら言うまでもなくべいは凄くいいドラマーだし、早く彼と一緒に新しい曲を作ろうと思って。最初はまず今までの曲をべいに覚えてもらったんですけど、それを合わせてるうちに“これは曲が作れるな”と実感したんですよ。それはこの3人の総意で、こりゃ早速録っちまったほうがいいなと思って。新曲は全然なくて一から作ったんですけど、そのスピードも早かったんです。曲を作り始めて3ヶ月後くらいにはレコーディングに突入しましたからね。
自分たちの嗜好に忠実であろうとした
──それほどまでのスピード感は、結成以来初めてのことなのでは?
アベ:ホントにその通りです。trademarkのがまゑちゃんがサポートでレコーディングに参加してくれることになったのも、さらに勢いづいたひとつの要因ですね。だから彼女には凄く感謝してます。
──がまゑさんは『kissani*mon chat』と『tikkaus...』の2曲をコバヤシさんと共作していますね。
アベ:がまゑちゃんとノリちゃんは凄く仲が良くて、よく共作してるんですよ。
──『Imprint****』はひとつの到達点とも言うべき傑作アルバムだと思いましたが、今回の『wonder of dear』はいともたやすくそれを乗り越えた感がありますね。これ、お世辞抜きで掛け値なしの逸品だと思いますよ。
アベ:そう言ってもらえると凄く嬉しいです。実際、僕自身も今回のアルバムが一番いいと思うんですよね。
──全体的に、ただ明るかったり、ただ華やかだったりするだけではなく、決して甘さだけに流れずに憂いの要素もちゃんとあるじゃないですか。光と影、明と暗、寒と暖という相反するものが絶妙なバランスで寄り添っていると言うか。
アベ:嬉しいですね。自分たちのイメージもまさにそんな感じなんですよ。リスナーに支持されるpolyABCの曲って、軽いタッチでかわいいタイプが多いんですよね。それがちょっとシャクで(笑)。
──ははは。本作で言えば、『Innocent paint』や『sugar stock』のように疾走感に溢れた胸躍るナンバーが支持を受けていたということですね。
アベ:そうなんですよ。
──でも、今回は冒頭の『wonder of dear』からして雪が舞い落ちる情景が目に浮かぶメロディアスなミドル・ナンバーだし、それに続く『flamingo knee lounge lake』と『atmosphere』の2曲は適度に憂いを帯びたしっとりとしたナンバーで、従来のリスナーはいい意味で面喰らうと思うんですよね。こうした作風の変化は、ひとえにメンバーが様変わりした結果なんじゃないかなと思って。
コバヤシ:確かに、それもありますね。
アベ:やっぱり、その時のメンバーだからこそできることってあるじゃないですか。僕はその時々のメンバーをイメージしながら曲を作ったりもするし、こういうモードの変化は今のこの4人だからこそだと思いますね。あと、今回は聴いてる人のことをどうこう考える前に、まず自分たちが本当に好きな音楽を忠実に作ろうとしたんです。レコーディングに入る前に4人でどういう作風にするかを徹底的に話し合ったりもしたし。
──タイム感の上でもヴォーカルとドラムの関係性は緊密かつ重要なものだと思うんですが、ワタナベさんの加入によってコバヤシさんの節回しも若干変わってきたんじゃないですか。
コバヤシ:そこまで意識はしてないですけど、唄いやすくなったと言うか、痒い所に手が届くようになった気はしてますね。それもあって、すんなりと曲の世界に入っていける感覚はありました。曲作りの上でも、これまで以上に全体を通して自分の色を出せるようになったと思います。あと、がまゑさんと一緒に曲を作ることでまた違った自分を引き出してもらえましたね。
──『answer call』みたいな曲を聴くと、ドラムが変わったことを特に強く感じますね。従来のpolyABCにはない手数の多さだと思うし。
ワタナベ:すいません、余り多くしたくはなかったんですけど(笑)。なるべく歌を殺さないように心懸けてはいたんですが、それでもやっぱりやりすぎたかなと思って…。
コバヤシ:いや、全然やりすぎてないよ(笑)。
ワタナベ:前のドラムの人とは系統が全然違って、僕はあんなにタイトで速く叩けないですから。polyABCに参加するのをためらったのも、僕が叩くことでバンドのイメージを変えてしまうんじゃないかっていう不安があったからなんです。しかも、マサトさんからはリハの時に「べいの8ビートって何か気持ち良くないよね?」って言われて凄く傷ついたし(笑)。
アベ:はははは。ごめん、ごめん(笑)。
各人に任せることで得たレコーディングの面白さ
──頭の3曲で叙情的なアコースティック・ギターを奏でているのはアベさんですよね?
アベ:アコギは全部僕が弾いてます。あとのユルユルしたギターがリョウです(笑)。僕は自分で曲も作ってるので演奏も割とスムーズだったんですけど、リョウは凄く悩んでたんじゃないかな。
ダイカイ:アコギで作られたデモを聴くと、もうこのままでいいんじゃないかと思うんですよ(笑)。デモの完成度が余りに高いから、ここから先どうしたらいいんだろう? っていつも凄く悩むんです。
ワタナベ:うん、それは凄くよく判りますね。『wonder of dear』のデモを聴いた時は驚愕しちゃって、別にドラムを入れなくてもいいんじゃないかと思ったし(笑)。
アベ:でも、そのデモにある曲の原型をちゃんと崩してくるし、ちゃんと自分のスタイルで臨んでくるじゃない? リョウもべいも、自分のやりたいアプローチがちゃんとある人間だからこっちも安心してできるんですよ。そこが今までのpolyABCの歴史の中で一番大きなことですね。ほぼ完成したと思われるようなデモに自分の思いの丈をどう入れ込むかは凄く難しいし、それをちゃんとできるかどうかが一番大事なんです。ふたりともそこを七転八倒しながらも食らい付いてきたから、とても頼もしく感じましたね。
──そういう摩擦係数の高さこそがバンドの醍醐味だし、それがなければ人力で音楽をやる意味もないですよね。
アベ:そうですよね。だから今回は作ってて面白かったんですよ。今までなら曲のイメージを含めて何から何まで全部自分で考えるところを任せることができたから。各々の役割をしっかりやり遂げることがちゃんとできたし。
──アベさんが司令塔としてトータル・プロデュースしていたpolyABCが、各自に機能を分担させたことでこれだけ充実した作品が生まれたことがとても興味深いですね。
アベ:そこなんですよ。だからこそ作業が凄く楽しかった。すべてをひとりで考えていると、どうしても自分のイメージを超えられないんだと思います。でも、このふたりにはちゃんと世界観があるんだから思いきって投げちゃえ! っていう。それに、実際投げても「そりゃねぇだろ!」っていうハズレも余りないんですよ。だからやっぱり、なるべくしてこの4人になったような気がするんですよね。
ダイカイ:それがスピード感のアップにも繋がったんでしょうね。今までなら10掛かったことも、その半分で済んだって言うか。
──『Innocent paint』で随分と肉食っぽいコーラスが聴こえるなと思えば、BEEFの岡田洋介さんがゲスト参加しているんですね(笑)。
アベ:洋ちゃんは、べいが加入する前にpolyABCのサポート・メンバーをずっとやってくれてたんですよ。あと、僕と一緒にナイスマーブルスをやってたウチの兄貴(阿部幸一)も僕らのサポートでドラムをやってくれたりして。洋ちゃんも兄貴も、人がなかなか言いづらいことをズバッと言ってくれる性格で、客観的にpolyABCを見て凄くいい影響を与えてくれたんです。凄く協力的だったし。だから今回のレコーディングにもそのふたりに来てもらって、あの地獄のようなコーラスを入れてもらったんですよ(笑)。洋ちゃんとは一緒にバンドをやってた時期もあって、その頃からこういう地獄のコーラスをやって欲しいと思ってたんです。だから個人的にもそれが凄く楽しかったですね。
──清々しいコバヤシさんの歌声と肉食獣のような岡田さんの歌声が合わさるなんて、一見凄く食い合わせが悪そうですけどね(笑)。
コバヤシ:それが意外と合ってるんですよね、不思議なことに(笑)。
ダイカイ:でも、頭からずっとアルバムを聴いてると、その岡田さんの声が出てきてちょっと驚きますよね(笑)。
アベ:僕自身のキャリアはpopcatcherから始まってるし、もともとがパンクの出なんですよね。インディー・パンクには絶対的な影響を受けてるし、どんな音楽をやろうとインディー・パンクへの思いは忘れずに持ち続けていたいんですよ。だからいつもNOFXのウォレット・チェーンを身に付けてたりするんですけど(笑)。『Innocent paint』には自分のそういう思いを込めて作ったんですよ。だから洋ちゃんやウチの兄貴のコーラスが欲しかったんですよね。
聴く人次第でどんな意味にも取れる言葉
──ゲスト絡みの話で行くと、さっきも話題に出たがまゑさんの客演も聴き所のひとつですよね。『kissani*mon chat』は、紙をちぎる音やグラスの氷をかき回す音がリズムを奏でているのがとてもユニークな曲ですけれども。
コバヤシ:がまゑさんも私もずっとああいう実験的なことをやってみたかったんです。『kissani*mon chat』っていうのはフィンランド語で“私の猫”っていう意味で、ふたりとも猫が好きだからそういうタイトルにしようと思って。
──『tikkaus...』で聴かれるふたりのハーモニーはとてもよく溶け合っているし、凄く相性がいいですよね。
コバヤシ:凄く合うと思いますね。昔、イヴェントで一緒に曲を作ったことがあったんですけど、その時も唄ってみたら凄く合うなと思ってましたから。
アベ:今までだったら、こうしてゲストを呼んでいろんな試みをやることなんてとてもできなかったと思うんですよ。
コバヤシ:そう、今までできなかったことを今回は洪水の如くやってみた感じですから。
アベ:『tikkaus...』みたいにピアノを使った曲なんてあり得なかったしね。あれはノリちゃんが考えたフレーズをがまゑちゃんが弾いてくれてるんですけど、ふたりだけでいい具合に共作してるんですよね。がまゑちゃんが参加してくれた2曲に関しては、僕ら男衆3人は全くの蚊帳の外だったんですけど(笑)、そういう試みも新鮮で面白かったですね。
──『tikkaus...』とはどんな意味なんですか。
コバヤシ:これもフィンランド語で、キルトとか布のパッチワークのことを“tikkaus”って言うらしくて。
──アルバムにおけるいろんな試みを布片になぞらえて、それらを縫い合わせてみたら美しい布になったという意味にも取れるし、まるでアルバム全体を象徴するような言葉ですね。
アベ:キレイにまとめて頂いて(笑)。でも、実際そういうことなのかもしれませんね。
──深い静寂の世界を歌に封じ込めたかのような『dwarf』や、アベさんがメイン・ヴォーカルを取る静かな小品『weekender』のように、じっくりと歌を聴かせる曲に説得力が増したことも本作における大きな特徴のひとつですよね。
アベ:こういう聴かせる感じの曲をやっとできるようになりましたね。普段自分が好んで聴くような曲をなんで形にできないのかなとよく思うわけですよ。それは技術的なことや年齢的なこともあるんでしょうけど、僕らの場合はこの4人になって、然るべきタイミングが来たからようやくできるようになった気がします。
コバヤシ:でも、1枚目のミニ・アルバムでも最初のフル・アルバムでも、そういうアコースティック調の聴かせる曲は入ってたんですよ。ただやっぱり、そういうタイプの曲はライヴでは余りやれないし、ただの明るいバンドと思われがちなんですよね。上っ面の部分だけしか受け取られないと言うか。それが凄くシャクで(笑)。
──ああ、やっぱりシャクなんですね(笑)。
コバヤシ:でも、今回作った聴かせる曲を気に入ってもらえたら、前のアルバムに入ってた同じタイプの曲も再確認してもらえるんじゃないかと思うんです。
──歌詞についても伺いたいんですけど、コバヤシさんの書く英詞はとても平易な言葉を使っていますよね。『answer call』はとりわけそれが顕著なんですが、これはシンプルかつ多義性のある言葉を使うことで聴き手のイメージを増幅させる意図があるんですか。
コバヤシ:そういう部分は意識してますね。意味を限定して提示するよりも、聴く人次第でどんな意味にでも取れるようにしたいんですよ。全部が全部説明がついちゃうとつまらなくなると思うし。
心の奥底にまで入り込む音楽を作りたい
──アルバム・タイトルにもありますけど、“wonder”な部分は残しておこうという?
コバヤシ:『wonder of dear』、要するに“愛おしさの不思議”をテーマにこの12曲をまとめた感じなんですよ。
アベ:別に誰かに教え込まれたわけでもないのに、自分の好きなツボっていうのがみんな必ずあるじゃないですか。なぜこの音が好きなんだろう? なぜこの人にこんなに惹かれるんだろう? なぜこのカップの色や形が好きなんだろう? …そういう、自分が愛おしく感じるものはどこからやって来るんだろう? という不思議。そんな不思議さを12曲の歌で表してみたと言うか。
──なるほど。その“なぜか惹かれる”ものが“無垢な絵”や“アメンボ”、“猫”や“キルト”だったりするわけですね。こうしてこの4人が集ったのも“wonder”のように思えますけど。
アベ:趣味も全然合わないし、聴いてきた音楽も違うし、全くもって“wonder”ですよね(笑)。
──アベさんが作ったメロディにコバヤシさんが英詞を付ける際に優先するのは、意味よりも聴き心地の良さだったりしますか。polyABCの歌の中毒性の高さは、コバヤシさんの瑞々しく伸びやかな歌声とは別に言葉の選び方にも大きな一因があるように思えるんですよ。
コバヤシ:そうですね。意味ばかりが先行して耳障りの良くない言葉は意識的に使わないようにしてます。サビには印象的な言葉を使いたいので、なるべく判りやすい言葉を選んでますね。日本人だから英語を使うのも限界があるんですけど、その限界の中でも何とか印象づける言葉を探してます。その一言でなるべくたくさんの意味を取ってもらえるように。
──やはり日本語詞だと直接的すぎますか。
コバヤシ:今は英詞がいいですね。
アベ:昔はずっと日本語詞だったし、どうしても英詞じゃなきゃダメってわけでもないんですよ。むしろ僕ら3人は日本語詞でもいいとすら思ってるんですけど、そこはノリちゃんのこだわりがあるので。
コバヤシ:日本語は唄いにくいんですよ。英語なんで全然できないのに(笑)。単純に英語の響きのほうが好きだし。
アベ:音楽の聴き方は何通りもあるし、日本語の歌詞と自分の人生を照らし合わせて感銘を受けるような聴き方もあるとは思うんです。そういういろんな聴き方がある中で、僕らは聴こえてくる歌詞でその曲の印象を決めるよりも、そこに流れている音楽として印象づけたいんですよ。だからこそメロディを凄く大切にしてるんです。
──それこそ、“atmosphere”のような音楽を目指しているわけですよね。
アベ:そうなんです。シチュエーションに応じて聴き分けられる音楽よりも、その場の景色や空気に馴染むような音楽を作りたいんですよね。
──つまり、普段の生活に寄り添うような音楽ということですね。
コバヤシ:そう、そういう音楽を作りたいと昔から思ってるんですよ。
──聴き手自体も、聴かれる時間帯も選ばないような。
ダイカイ:それでいて、メロディはちゃんと耳に残るっていう。
アベ:そうだね。ただ流れていっちゃうようじゃダメだし。誰かの心の奥底にまで入り込むような音楽を目指して作ったのが今回の『wonder of dear』なんですよ。表面的な口当たりの良さの一歩先まで踏み込みたかったと言うか。その理想に近づけたかなと思うのが『atmosphere』という曲なんです。今までいろんな曲を作ってきたけれど、もしかしたら一番好きかもしれないっていうくらい気に入ってるんです。
ダイカイ:『atmosphere』は僕も好きなんですけど、何かスッキリしないんですよね(笑)。そういうモヤモヤした感じがたまらないって言うか。
コバヤシ:だから、それが“wonder of dear”なんだよ。モヤモヤした気持ちが残るのに、どういうわけか惹かれてしまう。“愛おしさの不思議”って、きっとそういうことなんじゃないかな。
wonder of dear
01. wonder of dear
02. flamingo knee lounge lake
03. atmosphere
04. answer call
05. Innocent paint
06. Pond skater
07. dwarf
08. kissani*mon chat
09. Esperanza
10. sugar stock
11. weekender
12. tikkaus...
CAPTAIN HAUS RECORDINGS CHRS-019
2,500yen (tax in)
2009.2.18 IN STORES
Live info.
“wonder of dear”release tour
2月28日(土)静岡富士 POWER[with:kuh / herpiano / KAKA (openning act)]
3月1日(日)岡山 CRAZY MAMA 2nd Room[with:kuh / substance]
3月21日(土)仙台 PARK SQUARE[with:retolighter / trademark / etc...]
3月22日(日)熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1[with:trademark / etc...]
5月30日(土)高円寺 CLUB LINER
...and more!!
polyABC official website
http://www.polyabc.com/
CAPTAIN HAUS RECORDINGS official website
http://www.captainhouse.com/