不器用な男の純真を唄う疾風怒濤の3ピース・バンド、
新たなる地平への旅立ちに向けて“レッツゴー・カウントダウン”!
高円寺を拠点に精力的にライヴ活動を重ね、武骨な男の純朴な心を唄った直情的な歌と燃え滾るようなパフォーマンスで絶大な支持を得ている3ピース・バンド、ロザンナ。前身バンドを経ての再始動から5年、『レッツゴー・カウントダウン』と題された初のフル・アルバムを満を持して発表する彼らは、このアルバム発売のカウントダウンを高らかに告げるべく、すでに昨年9月から高円寺club mission'sにおいて『レッツゴー・カウントダウン・スペシャル』なる自主企画を月一のペースで開催している。“5”“4”“3”“2”“1”と順を追って減っていったサブタイトルのカウントも、今月行なわれる同イヴェントのシェルター公演で遂に“0”だ。この“0”が意味するところは、今回発表されるアルバムが彼らにとってこれまでの集大成的内容でありながら新たな方向性を提示していること、つまりここからまた新たなスタートを切るということである。“0”の仏教上の理念は“空”に集約されると言うが、“空”の先には“宇宙”がある。図らずも収録曲の『カウントダウン』は地球を抜け出して宇宙へと逃避行するラヴ・ソングだが、まるで宇宙を駆け抜ける煌星のような輝きを放つロック・チューンの数々にまずは身を委ねて欲しい。気が付けばブラックホールに呑み込まれるが如く、中毒性の高い彼らの音楽に引き摺り込まれているはずだから。(interview:椎名宗之)
楽しさや格好良さの中に込めた“引っ掛かり”
──ファースト・シングルの『瞳の奥』(2004年11月発表)、ファースト・ミニ・アルバムの『運命』(2006年12月発表)とリリースはあったものの、今回初のフル・アルバムとなる『レッツゴー・カウントダウン』が完成するまでに意外と時間が掛かった印象を受けるんですが。
阿野善和(vo, g):そうですね。前回出した『運命』をじっくりと時間を掛けて広めたかったこともあったし。『カウントダウン』という今回のアルバムの中核を成す曲が出来て、そろそろまとまった音源を出したいと思ったんですよ。
大浪彰仁(ds, cho):あと、アルバムを出すならただ出したくないというのがあって。アルバムを出すタイミングに向けて『レッツゴー・カウントダウン・スペシャル』という自主企画を月一でやることで実際にカウントダウンをしていこうっていう、企画とアルバムのトータルで盛り立てていきたいと考えたんです。
──本作の収録曲は、すでにライヴではお馴染みの曲ばかりですよね。
阿野:だいたいはライヴでやってますけど、ライヴによく来てくれるお客さんでも初めて聴くような曲もちゃんと入れました。曲作りではいつもライヴを意識してるし、ライヴでお客さんをどう楽しませるかを大切にしてますけどね。
大浪:『運命』を出した辺りからそういう意識が強くなってきたんですよ。
阿野:ライヴもアルバムもようやく自分たちの理想に近づけてきた感はありますね。俺たちもお客さんも最初は手探りだったけど、ライヴの本数を重ねることによって互いに見えてきたものがあるって言うか。今度のアルバムも、今の時点で一番楽しめて格好いいものにできた手応えはありますね。
──収録曲を大別すると、平易な歌詞で問答無用にノレるナンバーと、余りにド直球なラヴ・ソングのふたつに分かれるのかなと思ったんですが。
阿野:基本的には純粋に楽しめる曲を作りたいんですよ。ただ、楽しめて格好いいんだけど、その中に何か引っ掛かりとなるような歌詞を盛り込みたい。そういう作風を目指してますね。刺々しさの中に楽しさを盛り込むのではなく、楽しさの中に刺々しさやキーワードになるような言葉を盛り込みたいんですよ。
──敷居は低く、間口は広くしておこうと。
阿野:そうですね。いろんな人たちに聴かせたいし、楽しんでもらいたいし。1月に高円寺のclub mission'sで『レッツゴー・カウントダウン・スペシャル“1”』をやった時にちっちゃい子がいて、その子も俺たちの演奏を楽しんでくれてたんですよ。いい感じでちびっ子にも伝わってるんだなと思って。
大浪:うん、あれは嬉しかったよね。
──ロザンナの楽曲には、一度聴いたら忘れない親しみやすさがありますからね。
阿野:曲作りの上で、キャッチーさはかなり大切にしてますしね。
──そのキャッチーさの中に何かしらの引っ掛かりを盛り込むというのは、たとえばアラブ音楽風のギター・リフが時折入る『アラビアディスコ』とかがその作風に当たるんでしょうか。
阿野:あれは単なる酔っ払いの歌ですね(笑)。俺はライヴハウスへ遊びに行くのが好きで、そこで酒を呑んで楽しくなっちゃって、気がついたら朝になってたっていう日常的な体験を元にしてます(笑)。隣りにいた黒人が悪魔の正体を見て、それは青い星に住む生き物なんだっていう歌詞は、俺たち人間こそが悪魔ってことなんですよ。悪魔を見たことのない人が悪魔の姿を描くとしたら、多分人間の姿を描くだろうなっていう。それがこの曲の“引っ掛かり”ですね。
ロザンナらしく作れれば何をやってもいい
──ロザンナの音楽性はすべて『激情のラン』の歌詞に集約されていると思ったんですよ。“爆音という嵐の中で あがいて見つけたメロディ鳴らす”、“愛という名の歌は真実 そいつを世界に響かせてんだ”という。
阿野:曲作りの期間とかライヴの数日前とかには、ああじゃない、こうじゃないとジタバタするんですけど、そういう悪あがきが積み重なってこそ歌なりライヴなりに繋がるんです。そこで表現している愛や情熱は嘘じゃないし、爆音を鳴らして叫んでいる時に心が躍るあの感覚を得たいがために、日々悪あがきをしながら生きてるんだぜって言うか。
大浪:『激情のラン』は特に、凄く等身大な感じの曲ですね。
──ノリの良い楽曲の一方で、『例えばもうすぐ太陽が』のように切々と唄い上げるスロー・ナンバーも堂に入った感がありますね。
阿野:この曲はロザンナとしてのライヴで最初に披露したものなんですよ。この3人でもう8年ほどバンドをやってるんですけど、バンドの名前だけを一度変えたんです。
大浪:1回のライヴの中で、解散ライヴと結成ライヴを同時にやったんですよ(笑)。「ロザンナです!」って名乗った直後、一発目にやった曲がこの『例えばもうすぐ太陽が』だったんです。
──華々しく再スタートを切る曲がこんな朗々としたスロー・ナンバーだったとは(笑)。
阿野:そうですよね(笑)。そのライヴからもう5年経ってるんですけど、ライヴでやるたびに「次の音源には入れて欲しい」というリクエストが多かったので、こうして収録できて良かったですね。初心に立ち返れる曲だし、今この瞬間を大切に生きることを唄った歌詞も純粋でいいと思うし。
──この曲に限らず、全体的に奇を衒うような言い回しを敢えて避けているように感じますね。
阿野:ストレートなほうが自分らしいし、ヘンに作り込んだものはらしくないと思うんですよ。以前はそういう表現もやっていたことがあったんですけど、やっぱりロザンナっぽくないんですよね。
大浪:歌詞もアレンジも、余り飾りすぎたくないんです。物事を伝えるのに回りくどいことをしたくないし、ドラム・セットもそんなにいろんなモノを使いたくないんですよね。スタジオで一度だけ、スネア、ハイハット、バスドラだけでやってみようと試したこともあって、それくらい常にシンプルでありたいと思うほうなので。
──でも、シンプルに研ぎ澄ませていくことの難しさは常に付きまといますよね。
阿野:簡単なようでいて凄く難しいですね。スカスカになるのが格好いいわけじゃなくて、シンプルさの中で厚みのある音を出すことが大事なわけですから。
──『アラビアディスコ』の“宇宙”や“青い星”、『例えばもうすぐ太陽が』の“太陽”や“星”など、天体の言葉が随所に出てきますよね。『流星ロマンティック』はタイトルにも“星”が盛り込まれているし、『カウントダウン』には太陽系の惑星が総登場しているし(笑)。
阿野:『カウントダウン』はそういうのを意識して作りましたけど、他の曲は無意識なんじゃないですかね。『流星ロマンティック』に関しては、これまで5年間やってきて新しいロザンナがやっと見えた感があるんです。こういう余りにキャッチーすぎるポップな曲を今までは避けてきたところがあったんですけど、『カウントダウン』のように自分らしいユーモラスな曲が出来て、ポップな感じの曲もやれるんじゃないかと思って作ったんですよ。その結果、意外とハマッたなっていう。
──それはやはり、年の功もあるんでしょうか(笑)。
阿野:そういうのもあるかもしれませんね。昔なら、こういうポップな曲は一度ライヴで試しても“ナシだな”ってボツにしてたと思うし。
大浪:昔はみんなのやってるようなことをやりたくなかったですからね。名前を変える前は、みんなが余りやらないマイナーで跳ねてる感じの曲をやってたりもしたし。でも、ロザンナになって以降、いいものなら別にやったっていいじゃないかと思うようになって。自分たちがやってみたいことで、それがロザンナらしく作れるのであれば、別に何をやってもいいんじゃないかって。その意識の変化が顕著に表れているのが『流星ロマンティック』だと思います。
最後に“0”になってまた何かが生まれる
──前身バンドとロザンナとの一番大きな違いはどんなところなんですか。
阿野:曲調ですかね。メロディの明るさだったり、歌詞の内容だったり。前はもっと内省的な感じで、表に向けて唄ってなかった気がします。
大浪:『瞳の奥』はロザンナとして再出発してからすぐに作った音源だったから、前身バンドのニュアンスがまだ残ってると思うんですよ。その後に作った『運命』はだいぶ変化してきた音源なので、その2枚を聴き比べれば違いが判ってもらえるんじゃないですかね。
──ということは、『カウントダウン』が生まれたことがロザンナにとってある種のターニング・ポイントだったのかもしれませんね。
阿野:そうですね。『カウントダウン』は『運命』のレコ発の時からライヴでやってた曲で、その頃はまだ次の作品の幹となる曲とは思っていなかったんですけど、ライヴを重ねていくごとにバンドの方向性を示すような曲だなと思って。じゃあこの曲を軸として新曲を作っていこう、企画もやってみようっていう流れになったんです。
──“カウントダウン”は物事がピークに達する直前の昂揚感を象徴したものと言うか、ロックの本質の一面を捉えた言葉のようにも思えますよね。
阿野:確かに。最後は“0”になるんだけど、そこから何かがまた生まれると言うか。
大浪:僕らの中で“カウントダウン”と言えば、爆弾かスペースシャトルの発射かなと思って。
──だからイントロに宇宙船の打ち上げらしきカウントダウンが入っているわけですね。
大浪:そうなんです。
──このアルバムでバンドがようやく“0”になれた、つまり本当の意味でようやくスタート・ラインに立てたという意味が込められているような気もしますけど。
大浪:ああ、それはありますね。この5年間の集大成でもあり、ここからが始まりなんだっていう。
阿野:『カウントダウン』をライヴでやる時は、お客さんが“5、4、3、2、1…”の掛け声に合わせて手を掲げてくれるんですよ。それがだいぶ定着してきて嬉しいですね。
大浪:その“3”の時の手の形が独特で、『まことちゃん』の“グワシ”みたいなサインなんです(笑)。お客さんの間では“『運命』サイン”と呼ばれてるんですよ。前に出した『運命』って曲をライヴでやる時のキメのサインなので。
──凄く一体感のあるライヴなんですね(笑)。
大浪:そこは目指してるところですね。できればヘヴィ・メタル御用達のメロイック・サイン超えをしたいですけど(笑)。
──ただひたすらノリの良さを追求したような『マッハマン』では、そんなメロイック・サイン超えを目論む大浪さんがヴォーカルを担当されていますよね。“おいらがバチを持ったなら”なんていう歌詞まで出てくるし、まるで大浪さんのテーマ曲みたいな感じですが(笑)。
大浪:ツアー中はいつも僕が運転するんですけど、ついスピードを出しすぎちゃうんですよ。そんな僕を題材にして阿野っちが書いた曲なんです。最初は普通に阿野っちが唄っていたんですけど、ライヴでもっとお客さんと盛り上がりたいよねっていう話をしていく中で、僕が題材なんだから僕自身が唄うのが面白いんじゃないかっていう話になって(笑)。自分がリードを取るのは全くの初めてだったんですけど、ヴォーカルは大変だなと思いましたね。最初にマイクに向かって本気で唄った時、体力を消耗しちゃって最後まで唄いきれなかったですから(笑)。
阿野:俺からすると、あれだけドラムを激しく叩きながらよく唄えるなと思いますよ。まぁ、歌声は見かけとだいぶ違って可愛らしいんですけど(笑)。
大浪:こんな風体なのに、まるで声変わりを忘れたかのような歌声になっちゃって(笑)。『カウントダウン』で3人で唄ってるところも、妙に可愛い声が入ってると思ったらそれは間違いなく僕です(笑)。
どれだけ心が揺れ動こうと明日はやって来る
──『カウントダウン』に顕著ですが、コーラス・ワークもロザンナの音楽における重要な要素のひとつですよね。
阿野:そうですね。『運命』まではそれほど意識的でもなかったんですけど、今回は結構チャレンジしてますね。
大浪:コーラスに限らず、今度のアルバムではいろんなことにチャレンジしてるんですよね。今の自分たちのベストを出そうという目標はいつも変わらないんですけど、『運命』の時は自分たちのベスト=ライヴだったから、ライヴの定番曲をライヴっぽい感じで作ったんです。今回はそこからもうちょっと手を広げて、ギターを重ねてみたり、コーラスを入れてみたり、今までは絶対に入れなかったタンバリンとかのパーカッションを入れてみたり、僕らなりにいろんなアプローチをしてみたんですよ。
──ちなみに、今後ベースの竹田(博美)さんがヴォーカルを取るようなことは?
阿野:彼は照れ屋な男なんで、どうですかねぇ。竹田と言えば、古くからやってるはずの『例えばもうすぐ太陽が』のベース・ラインをずっと間違って弾いてたことが判明して(笑)。ライヴではギターで上だけ被せてるところがあったんですけど、音源では下のコードも入れてみようと思って弾いたら、竹田が全然違うベースを弾いてたんです。ライヴをやりながら、どうも唄いづらいところがあるなと思ってたんですよ(笑)。でも、それまでずっと気がつかなかったのは、竹田の弾く躍動感のあるベースがハマッてたからなんだろうと思って。
──ライヴでお馴染みの曲を音源にするのは、どこで腹を決めるかで意外と悩みそうな気もしますね。
阿野:確かに、ライヴのまま形にしても音源としてどうかと思うし、余りいじりすぎてもお客さんも戸惑うだろうし。
大浪:かと言ってライヴ感も損ないたくないし、難しいですよね。
阿野:『カウントダウン』で言うと、ギター・ソロが終わったところがひとつの煽り所なんですよね。そこを入れるかどうかも迷ったし。
──『カウントダウン』や『流星ロマンティック』のように勢いでひた走る曲ならまだしも、『明日に向かって撃て』のようにミディアムで聴かせる曲は特に難しそうですね。
阿野:『明日に向かって撃て』はまだライヴでもやってない曲なんですよ。やり慣れてないぶん、どこにゴールを置くかが難しかったですね。
大浪:ミドル・テンポの曲は今までにないタイプで、新しいロザンナを提示する象徴的な曲だと思うんです。こういう新しく進化した曲が今後のライヴで新たに受け入れられたら嬉しいですよね。
──“夕焼け沈み 陽はまた昇る/目背けても これは確かさ”という最後の歌詞が聴き手の背中を押してくれますよね。
阿野:『流星ロマンティック』の中にも“明日が欲しいと言うのなら/闇でも光 信じなきゃ嘘さ”という歌詞があって、幸せになりたいと思うのなら、背中を丸めてないでギラギラ行こうぜっていう意味を込めたかったんです。それと同じように、強く望むことはあるけれど、いざ行動に移したら失敗することがあるかもしれないっていう心の葛藤や揺れ動く心情を『明日に向かって撃て』の最後では唄っているんですよ。どれだけ心が揺れ動こうと、それでも明日はまたやって来るんだっていう。いつだって明日は自分次第なんだって言うか。
──カントリー&ウエスタン調の『お前が欲しい』も、新しいタイプの曲なのでは?
阿野:まだライヴでも1回くらいしかやってない曲ですね。この曲のアレンジも俺たちにとってはチャレンジのひとつでした。
大浪:“お前が欲しい”っていうキーワードが最初にあったんですけど、それにマッチするアレンジを突き詰めるまでに試行錯誤したんですよ。
──『お前が欲しい』と『セリーヌ追ってどこまでも』は阿野さんのストーリー・テラーぶりが楽しめる楽曲ですよね。
阿野:自分としては、どちらかと言えば『例えばもうすぐ太陽が』みたいに心情を吐露するような歌詞のほうが書きやすいところはあるんですけど、こういうストーリー性のある歌詞もやり甲斐がありますね。『セリーヌ追ってどこまでも』は、リスボン、マドリード、ロンドン、パリ…と、地球上を回る歌なんですよ。その極致が『カウントダウン』だったりするんです。地球を回り回って、最後は宇宙へデートしに行こうぜっていう。
大浪:ほとんど妄想みたいなものですけどね(笑)。
──ヘッドフォンで聴くと、世界の地名を唄われる部分が右往左往するのが凝ってますよね。
阿野:レコーディング中にふと、左右に振ったら面白いんじゃないかと思って。
大浪:その部分は、“いいね!”ってみんながハマッたアレンジのひとつなんです。
聴き手がいなければ唄い手も成り立たない
──曲にもよると思いますが、アレンジを詰めるのは割と時間が掛かるほうですか。
大浪:ライヴの前にいつも詰めてはいるんですけど、もっとああしたい、こうしたいっていうのがその都度意見として出るので、その意味ではずっと未完成のままなのかもしれないです。『セリーヌ追ってどこまでも』も前のバンドの頃からやってる曲なんですけど、アレンジは全然違うんですよ。基本的にはいいアレンジが思いついたらどんどん試していくスタンスです。
──個人的にも掛け値なしの名曲だと思うのが、アルバムの最後を飾る『嘘っぱちの無いメッセージ』なんですよね。まさにロザンナの代表曲と呼ぶに相応しい出来だと思うんですけれども。
阿野:嬉しいですね。バンドの状態でライヴでやったのはまだ2、3回なんですけど。曲が出来たのは一昨年の年末で、その直後はアレンジも演奏もどうもしっくり来なくて。各人がこの曲に対して強い思い入れがないと形にはできないと思ったんです。俺はソロで弾き語りのライヴもやっていて、その時のMCでよく言うのが、唄い手である自分たちもみんなのように聴いてくれる人がいなければ成り立たないってことなんですよ。俺たちの生きてる意味っていうのは、あなたがいるから唄っていられるってことなんだと。そういう意味を込めていつも唄ってるんですよ。
──なるほど。『嘘っぱちの無いメッセージ』の歌詞そのものですね。
阿野:そうなんです。だからこの歌詞にある“お前”は、お客さんひとりひとりのことでもあるんですよ。そのコミュニケーションに嘘があっちゃいけないし、嘘っぱちの無いメッセージでなくちゃダメなんです。
大浪:この曲は同じようなコード進行をずっと繰り返し使っていて、メロディだけ変わっていく展開なんですけど、淡々と演奏するとダメなんですよ。やってるフレーズは同じでも、歌詞に込められた思いを汲んだ上でドラムを叩いたりベースを弾かないと曲が全く活きてこないんですよね。こういう曲のテンポ感やニュアンスも僕らにとっては比較的新しい試みで、阿野っちの弾き語りをバンドではどうしても超えられない難しさがあったんです。それが曲を寝かせていた話に繋がるんですけど、リハーサルを重ねていく中で何とか作り上げられたかなと。今後ライヴをやることでもっともっと良くなっていくだろうし。
──こうして初のフル・アルバムを完成させて、今持ち得る力のすべてを出しきった感はありますか。
阿野:そうですね。アイディアも技術的なこともすべて詰め込めたし、間違いなく今までにない作品になったと思いますね。もう少し時間が経てば“こうしておけば良かった”みたいな部分も出てくるのかもしれないけど、今の段階では本当に素晴らしいものが出来たという気持ちでいっぱいです。
大浪:今の時点で僕らのできることは精一杯やりきれたと思ってます。ただやっぱり、曲はまだまだ披露してないものがいっぱいあるので、ちょっと気が早いけど次の作品作りに取り掛かりたい気持ちも強いですね。
阿野:そうだね。このアルバムが出来たことで、今はまた新しいアイディアがいろいろと浮かんでるし。その意味でも、ロザンナにとっては凄く大きな存在のアルバムですよ。
大浪:僕はレコーディング中から凄くテンションが上がってて、それが今もずっと続いてるんですよ。だから早くライヴでもアルバムの曲を披露したいし、多分それだけじゃ解消しきれないので、次の作品作りでも同じテンションのまま突っ走っていきたいんですよね。
──今日までずっと、“5、4、3、2、1”の“1”のままなんですね(笑)。
大浪:幸いなことに、まだ“0”で完結はしてませんけどね(笑)。
──我が下北沢シェルターで行なわれる『レッツゴー・カウントダウン・スペシャル“0”』を皮切りにツアーも始まりますね。
阿野:シェルターは一昨年の8月に『運命』のレコ発でもお世話になったし、またやれて嬉しいですね。
大浪:去年の夏前くらいに、シェルターに毎週何かしら出演することがあったんですよね(笑)。たまたまシェルターで企画をやってたバンドが立て続けに呼んでくれて。
阿野:その時期だけは「俺たちのホームはシェルターだ!」ってMCでも言ってました(笑)。
大浪:まぁ、僕らは恐らく昼の部のオーディションは受かってないと思いますけど(笑)。
阿野:でもホント、今度のシェルターは楽しみですね。ちょうど今構成を練ってるところで、いい流れの曲の連なりを思いついた時の昂揚感ったらないですよ。アルバム同様にこれまでの集大成でありながらも新たな方向性を見せられると思うし、是非期待していて欲しいです。自分がお客さんの立場でも充分に楽しめる要素をふんだんに詰め込むつもりなので。
first album
レッツゴー・カウントダウン
01. カウントダウン
02. 流星ロマンティック
03. 激情のラン
04. アラビアディスコ
05. 例えばもうすぐ太陽が
06. マッハマン
07. 明日に向かって撃て
08. お前が欲しい
09. セリーヌ追ってどこまでも
10. 嘘っぱちの無いメッセージ
SOL BLADE KHCM-3504
2,500yen (tax in)
2009.2.11 IN STORES
Live info.
レッツゴー・カウントダウン・スペシャル“0”
2月12日(木)下北沢SHELTER
出演:ロザンナ(ONE-MAN)
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV. 2,000yen+1drink / DOOR. 2,500yen+1drink
info. SHELTER:03-3466-7430
レッツゴー・カウントダウン・スペシャル TOUR '09
2月12日(木)下北沢SHELTER(ONE-MAN)
3月1日(日)大阪SOCIO
3月2日(月)神戸STAR CLUB
3月3日(火)岡山PEPPERLAND
3月6日(金)名古屋SONSET STRIP
3月7日(土)京都ARCDEUX
3月13日(金)三重CLUB CHAOS
3月31日(火)滋賀B-FLAT
4月1日(水)大阪DICE
4月11日(土)滋賀U-STONE
4月18日(土)古河Spider
4月20日(月)仙台enn
4月25日(土)柏616
......and more!!
ロザンナ official website
http://banban-banban.com/