というわけで昨日は、ロフト・シネマの…というよりも巷ではエア・ギタリストとして知られる宮城マリオ君と一緒にフーを見に行ってきた。宮城君は先週末に我がロフトを退社したばかりである。積もる話もあったので、図らずも良いタイミングではあった。
フーの単独来日公演は結成以来44年間(まぁ、何度も解散と再結成を繰り返してるので厳密にはこんな歳月でもないが)で今回が初。キース・ムーンの死後30年でようやく叶った単独公演というのも何だか感慨深い。キースもジョン・エントウィッスルも鬼籍に入ってしまったが、ドラムがザック・スターキー(リンゴ・スターの息子)だったのは嬉しかった。ザックは確か父親ではなくキースにドラマを教わったはず。こういうところにもロックの魔法と言うかドラマを感じます。
それにしても、1曲目が『I Can't Explain』っていうのがシビレたなぁ。そこから畳み掛けるように連発される珠玉のナンバー。自分でも意外なほど唄ってて驚いた。今じゃ日常的に聴くことはないけれど、三つ子の魂ナントカですね。あと、ピート・タウンゼントが風車奏法をキメるたびに隣でエアギタリストの宮城君が本気でエアプレイしてくれるから笑えた。ある意味贅沢?(笑)
本来はバンドの花形であるボーカルなのに自分の中で今ひとつ輪郭がはっきりしなかったロジャー・ダルトリー、相変わらず顔は加藤茶似だし歌もヘタなんだが、生で唄う姿を見てようやく好きになれた気がする。ロジャーはあれでいいんだ、きっと。
フーと言えば個人的にはやはり『さらば青春の光』なわけで(知らない人は検索してね)、あの映画のクライマックスで流れる『Love Reign O'er Me』(間違いなく五指に入る好きな曲!)があんなに演歌ちっくな曲だとは思わなかった。これ、悪い意味でなく。モッズも演歌も形から入るから根っこは同じなのかも。俺も未だに何事も形から入りますから。『The Real Me』とか『5.15』とか、『さらば青春の光』に使われてた曲はやっぱり泣けた。だって60年代初頭のモッズのスナップや『さらば青春の光』の映像をモノクロに落としてガッツリ背後で流すんだもん。ありゃ反則だよ(笑)。あと、何かの曲のバックでスティーブ・マリオットの写真が一瞬映って、ただそれだけで泣けた。
そんなわけで、場外じゃ相変わらず楽しい違法グッズはやりたい放題に売りさばかれてるし(しかもかなり良い出来だったりする)、まるで中高生の頃みたいに否応なく気持ちが鼓舞するし、やっぱり海外のミュージシャンはイイなぁと思った次第。音楽を愛するピュアな気持ちが素直に蘇るものね。
俺と同様に古くさいロックが大好きな宮城君とライブを見終わって安酒呑みながら楽しく話ができたのも良かった。昔はああやって友達と大好きなロックについてああでもねぇこうでもねぇと知識を競うように話し合ったもんです。今も昔も、心を満たすロックは人を饒舌にさせるですね。
酔っ払って帰宅して、ひとりで呑み直しながら『さらば青春の光』のサントラを引っ張り出して聴く。やっぱりとても良い。ベルボーイ、と呟いてました、見事に。ははは。(しいな)