ギター バックナンバー

DISK RECOMMEND ('08年11月号)

LOFT PROJECTのスタッフがイチオシのCD・DVDを紹介!!
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★以下のジャケットをクリックすると、各レビューが読めます。

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No Regret Life / Wheels Of Fortune

AICL1965 3,000yen(tax in) / IN STORES NOW
歪に踏み続ける“運命の轍”と終わりなきレースの果て

今年8月にシングル『Can't Explain』が前作から約1年半ぶりのリリースとなったNo Regret Life。そして、『Can't Explain』から2ヶ月後、3rd.アルバム『Wheels Of Fortune』がリリースされた。これまでコンスタントにリリースしていたという印象があるだけに、ライブは変わらずにやっていたものの、1年半の間、どこか何か物足りなさを感じていたのは事実。次の作品を今か今かと待つ側にとっては、長い時間でもあり、それは作品に対する期待をより膨らませる時間でもあった。
『Wheels Of Fortune』“運命の轍”という和訳もできるこのタイトルから、彼らが試行錯誤していた1年半という時間は決して止まっていたわけでもなく、必然の時間であったことを知ることができる。ギシギシと音をたてながらも回り続けていた車輪は、歪ながらも確実に跡を残してきていた。もちろん整備されたレールの上を走っていたわけではない。脱線したり、修理をすることになったり、一筋縄ではいかない車輪を彼らは一生懸命回し続けていた。何の障害もなくスムーズに物事が進んでいても、人はどこかで不安を覚える。本当にこれで良いのかと何度も後ろを振り返りながらも立ち止まらないように、これで良いのだと思い込ませながら進んでいこうとする。しかし、立ちはだかる壁が高ければ高いほど何かに奮い立たせられるように策を練りながら這ってでも前に進もうとするだろう。作詞・作曲を手がける小田和奏は、前作より良いものをという思いで、なんとか車輪を転がそうとひたすら曲を書き続けていたのだそう。立ちはだかる壁と果敢に戦っていた。その結果、ノーリグの王道でもある8ビートを軸に、それぞれがちゃんと芯を持ちながら個性的な煌めきを放つ10曲ができあがった。3人でしか出せない音を、よりシンプルに且つダイナミックに。相反するものを巧妙に取り入れたサウンドから、どれほどの思いを込めて作品に取り組んでいたのかがわかる。1曲目の『ハルカカナタ』では8ビートを基本に、高音で歌い上げるサビも健在でノーリグの代表曲となること間違いなし。かと思えば、16ビートで激しいメッセージを叩き付ける『パラサイトシティ』のような曲もある。ここまで溢れるがままの感情を、ここまで吐露した曲というのはノーリグにしては珍しい。自分の生まれた年をタイトルにした曲が作りたかったという『1980』は、『Wheels Of Fortune』というアルバムの方向性を集約したような楽曲になった。最後の『ヨロコビノウタ』は、詞が表す情景はとても温かく、シンプルな構成でありながらも壮大な雰囲気を持った曲。アルバム3枚目にして、No Regret Lifeとして歩んできた道を垣間見ることができる作品であり、膨らみ過ぎた期待に応えてくれているようにも思う。ノーリグは現在3ヶ月にも及ぶ『Wheels Of Fortune TOUR 2008-2009』のまっただ中。1回1回のライブを全力で挑む彼らは、この先も終わりなどないレースの果てに向かって車輪を回し続けていくのだろう。


(Rooftop:やまだともこ)


ATORI / Scherzando

MBUR-4 (DDCZ-1555) 1,000yen (tax in) / IN STORES NOW

湘南藤沢発、めくるめく鮮烈のギター・ロックを奏でる男女混成4人組、ATORIが放つ初のミニ・アルバム。クセのある独特な歌声の男性ヴォーカル(Kaworu)とガラス細工のように繊細な女性ヴォーカル(Mina)によるハーモニー、ピアノを大胆に採り入れた個性溢れるアレンジ、そして丁寧に紡がれた芳醇なメロディと歌詞の世界観が高い中毒性を引き起こす。アルバム・タイトルの『Scherzando』は、音楽用語で“おどけて、たわむれるように、滑稽に”の意。そのタイトル通り、全体的に叙情的な作風でありながらもどこかおかしみのある箱庭的な佇まいがいい。ライヴでも人気の高い『Gradation』を始め、メロディックの開放感とエモ/ポスト・ロックの感情のうねりを絶妙のバランスでブレンドした、マイルドでありながらちょっと苦味のあるサウンドは一聴の価値ありだ。実はさり気なく予算が投じられているエンボス加工のジャケットにバンドとレーベルのひとかたならぬこだわりを感じる。来たるべきフル・アルバムの発表に期待。


(Rooftop編集長:椎名宗之)


a flood of circle / エレクトリック ストーン 〜Before the flood two

限定盤 RTC-007 200yen(tax in) 11.05 IN STORES

躍動する音のうねりと、鋭さを増した気迫漂うステージング。進化を続ける a flood of circleは無視出来ない位格好良い。全国各地で精力的に行われているツアー、そのライブが話題となり着実にファンを獲得している彼らの、3ヶ月連続リリース第2弾。今年の夏に行われた新宿ロフトでのライブの模様を収録した初のLIVE SINGLEとなっている。回を重ねる毎に広がりをみせる音の幅や、表現。呼吸音すらも音色に変えてしまうVo. 佐々木亮介の声はやはり存在感が大きく、強い。浴びるようにそれを体感出来るライブ音源のCD化を待ち望んでいたファンも多いはずだ。 静と動のコントラスト、起伏の激しい彼らの楽曲の中でも、今作『エレクトリック・ストーン』の鼓動は速い。焦りを促す緩やかな点滅から、脈々と這いずるように昇り詰めてゆくギターリフ。自分の中の化け物が加速する恐怖、唯一の平常心が不意に消えてしまいそうな光りを強く見つめている事の救い。不味くても、苦くても、飲み込んで消化する不摂生に光を射したロックン・ロールという音楽。それを体現しているa flood of circleは私にとっての光だ。良い音楽を聴くのは、おいしい水を飲んだ時の感覚に似ている。おいしい音を食べる、食べる、食べるー。


(新宿LOFT 岩波亜朱香)


ウッダードチアリ / シンボリック・エレファント

PEMY-003 PEM-009 2,300yen(tax in) / 11.19 IN STORES

遂にこの日を迎えた。まさに日本における貴重な存在を確立する瞬間だ。wooderd chiarie 1st Full Album『シンボリック・エレファント』。
こんなに美しくてはかないアルバムがあっていいのだろうか。前作『アルモニ・カフカ』から1年4ケ月の月日を費やして創られた11曲は、店舗限定先行シングル、『スプートニカ』(アルバム2曲目)も大好評だった彼等の自信作といえよう。神秘性とストーリー性を秘めた、まるで神話を聴いているかのような叙情的な詞世界と、伸びのよいVo.の声が、聴く者を魅了するに違いない。それは、1曲目の『MOONLIGHT』から、ラスト11曲目の『リビングの象』を全曲通して聴いてみると答えはでてくる。物語の序章的な感覚で始まる『MOONLIGHT』は、聴き手に何かを訴えかけているかのようだし、続くシングルにもなった『スプートニカ』では、彼等にしてはかなりポップな一面を魅せている。ギターのメロディが切なく響く『フラスコ』。まるで映画のサウンドトラックにも使用されそうな壮大なテーマの『blue』。マイブラ級の『musth』。挙げた以外も濃い楽曲が揃った内容は全てを通し聴いて感じてほしい作品である。間違いなく、<wooderd chiarie最高傑作>と、断言します!今作を引っ提げたライブなんかは、おそらく現実には戻って来れないのでは? この異空間、半端ないですよ。ストレイテナー、FULLARMORで活躍するホリエアツシ氏も絶賛の今作。永遠の冬のマスト盤。ぜひ。


(FTR)


嘉手苅林昌 / 沖縄の魂の行方

CK-324 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

今年の夏、沖縄に帰ったときに初めて久高島に行ってきた。久高島に神様が降りて来て琉球王国が作られたという、沖縄の原点というくらい貴重な島。そこで今までに見たことのなかった沖縄の文化(祭祀、御嶽など)を見て知るという貴重な体験をした。帰りにその島でお土産で買ったのが僕の好きな民謡歌手、嘉手苅林昌さんのCD。その内容が久高島の小学校を舞台に行われたコンサートが収録されたもので実際、音源を聴いてみるとあの島の自然な風景の中で歌う林昌さんが蘇って来る。特にナークニーという即興で歌詞を歌う民謡が好きで、この曲を聴くと曲が自然すぎるせいか今でも素の島でいる久高島を思い出せる。曲の中には林昌さんが語る島への思いが収録されたりカチャーシー(祭りなどで踊るときに使われる曲)の名曲『唐船どーい』などがあり、このCDを聴くと久高島の風景が蘇ってまた行きたくなる。このCDはこの島や民謡を、この先残して伝えていくことが大事なことだと感じさせる1枚の宝物です。


(Naked LOFT:上江洲修)


GRiP / BABY★LOVER

SFR-035 rpc-015BL 1,050(tax in) / IN STORES NOW

我らが兄貴、ゴンダタケシ率いるGRiPの新作が完成した。『BABY★LOVER』と題されたシングルは、今までの骨太ロックチューンを経由して、ダンスと愛をふんだんに注入し進化した、第二期GRiPの華々しいスタートを飾るにふさわしい曲だ。GRiPは3ピースで出来うるあらゆる側面を持ち、その多くの輝きをブレずに発信できる稀なバンドだ。そしてそれは3人のいびつな個性が融合された奇跡的に物だ。今回のシングルは表題曲『BABY★LOVER』というポップなナンバーと、続く切ないロックナンバー、そして『ハレルヤ』の様なとても大きい音楽がぎっしりと詰め込まれている。次作が楽しみでならない。


(新宿LOFT:大塚智昭)


GARY MOORE / BAD FOR YOU BABY

ER 20145-2 2,195yen(tax in) / IN STORES NOW

僕が彼と出会ったのはPUBTIME営業中のSHELTERだった。僕は1人でカウンターに座り想いふけっていた。その時の店内BGMがゲイリー・ムーアだったのだ! 店員さんに「これだれですか?」とたずねると「お客さん、ゲイリー・ムーアですよ。このギター泣けますやろ?」それが出会いだったんです。前作から約1年ぶりとなるアルバムなのだ! 今回の作品もゲイリーワールドに一発で持っていかれてしまうこと間違いなし! ハードロックに回帰とまで言われた今作、賛否両論だが間違いなく「ゲイリーハードロック」なのだと感じた!日本版の発売は10月22日からなのだが日本版だけのボーナストラック『Picture On Wall』が収録されているそうだ! 僕もこんな熱いオヤジになりたい。


(下北沢SHELTER:レスポールイイオカ)


Jack's Mannequin / THE GLASS PASSENGER

WPCR-13104 2,580yen(tax in) / IN STORES NOW

Something Corporateの中心人物アンドリュー・マクマホンのソロ・プロジェクト、Jack's Mannequin(ジャックス・マネキン)。  ずいぶん前だが、前作『Everything In Transit』をタワレコで試聴し、なんだか1曲目から引き込まれて、普段よっぽどじゃないとCDを買わない僕だけれども思わずそれを買った記憶がある。試聴ではなく自分の家でじっくり聴きたかった。来日が決定した時も仕事を休んでライブに行った。この一連の流れ。僕だけではないですよね? この流れの人、沢山いますよね?
そして、待望の2nd Album『THE GLASS PASSENGER』が出ました!! 生きる事は凄く大変で、彼はまぎれもない芸術家。過酷な人生を克服する人間のパワーは想像できない。奇跡のシンガーソングライター、前作と合わせて聴いてください。そして、来年の来日公演は仕事を休んで彼のパワーを体感しにいこう。


(新宿LOFT:佐藤 統)


ストライカーズ / PASSION

AZURE-03 1,800yen(tax in) / ライブ会場限定販売

バンド名をザ・ストライカーズからストライカーズに改名したのが今年の1月1日。そして、ストライカーズとしては初の作品となる『PASSION』がリリースされた。バンド歴何年も経過していながら、『PASSION』というタイトルを付けてしまうほど、彼らはバンドを初めて組んだ時と同じぐらい熱く燃えている。
Zepp Tokyoで観たTRFに感化されて全員でダンススクールに通い、武道館で見たTHE ALFEEに衝撃を受け、サポートギタリストだったマコトマンを含めた3人で毎日のようにハーモニーレッスンを行った結果、ダンスとトリプルヴォーカルハーモニーという最強の武器を手に、ロックバンドという枠を越え、ポップ・ミュージックを情熱的に鳴らすスタイルに進化した。この『PASSION』には、ストライカーズの“今”が暑苦しいほどに入っている。ジャケット写真のようなカラフル過ぎるほどのポップ・サウンドを聴かせ、歌いまくるボーカル…が3人。ライブに行けばひとつの楽しみになりつつある、疲労を一切見せる事なく歌いながら右へ左へと動き回る星野さん…のダンス。常に100%で体当たりするストライカーズ。暑苦しいけど、なんか気になっちゃう。なんか好きになっちゃう。そんなバンド。『PASSION』はライブ会場でしか買えないけれど、ライブに一度行ってしまったらきっと彼らの虜になってしまうだろう。


(Rooftop:やまだともこ)


TIALA VS NEMO SPLIT / Fatherfucker's Operation

CH-15 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW

いや、初めて観た。先日、NEMOの『シンカイシャク55355』のレコ発イベントが、最近イイ感じのライブが多いO-nestで行われて、それを観に行った時でした。その日は6バンド位出演するイベントで、ライブは5階のメインのステージと、6階エントランスというかバーというかの方で行われていて、TIALAは6階の方でライブをやっていたのですが、これが良かった。6階はステージも無いし照明もフツーの、あまりハウスっぽくない感じで、下手をするとシラけた感じになりそうなシチュエーションなんですが、曲が進むに連れて、お客さんを巻き込んでいって、最後大盛り上がりというライブ。理想的な感じで、バンドの勢いを感じました。その日はNEMOも出ていて、こちらもバンドとしてイイ意味で破壊的で、曲が壊れるギリギリの所をついているような姿勢が感じられました。そんなライブを見た後にこのCDを聴きました。NEMOはライブで見たようにギリな感じと、TIALAはライブの時にも思ったんですが、NATION OF ULYSSESってライブは見たことないけどこんなだったのかなあ、と思わせるダンサブルなハードコア。最近、若いバンドでも80年代DCハードコアみたいな音を出すバンドが出て来てうれしいです。


(LOFT RECORDS/TIGER HOLE:オオサワシンタロウ)


DOES / 陽はまた昇る

KSCL-1315 1,020yen(tax in) / IN STORES NOW

前回のシングル『曇天』もまだ記憶に新しいが(ちなみにオリコン初登場3位を記録したらしい!)早くも2008年、第2弾シングルが到着した! 前回の『曇天』はライブでテンションがあがるような楽曲だったにも関わらず、今回は切なさを極める力強くもしっとりとしたナンバーになっている。と言いつつもあのDOES独特の哀愁やDOES流ロック精神は全く持って抜けていない。ロックナンバーの影に隠れる、奥深くに浸透した“シミ”を感じます。それは男の勲章なのか? アーティストとしての深みなのか? もしくはその両方なのか? はたまた両者とも違うもっと大きなモノなのか? 前作のときにも言ったような気がしますが、彼らにはものすごい深い場所で隠し持った何かを感じますよね! その何かを唄や楽器に込めて表現しているのだろうが、まだまだ未熟者な僕にはその深いところまで掴みきれません。でも毎回それをCDやライブで探し続けるのが楽しくてたまりません! 皆さんもライブやCDでDOESの“なにか”を探してみてはいかがですか?


(新宿LOFT:HxGxK)


NATSUMEN / ONE×MORE×SUMMER×SHIT!

RESI-2015 1,000yen(tax in) / IN STORES NOW

ふとした時に知った“NATSUMEN”復活のニュース! 突然の活動休止宣言から約2年。復活なんて当分先だろうなぁ〜なんて思っていたら、突然の吉報! またNATSUMENのライブを見る事が出来るんだー! って思うとすごくアガった。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPANをはじめ、LIQUIID ROOM ebisuでのワンマンライブを大盛況にした実績を持つ集団。またこれから事件とでも言うべき、歴史を重ねて行く彼らに期待したい。シングルじゃ物足りない気がしますが、大分濃い作品なのでご心配なく。聴けば聴くほどライブに行きたくなるオマケつき(笑)。来年の夏は野外で聴く事が出来るかな。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


pigstar / ground 0

XQEP-1002 2,000yen(tax in) / 11.05 IN STORES

前作のシングル『君=花』から約半年ぶりとなるpigstarのnew mini album『ground 0』がリリースされる。今作は、地に足を着け、人生の重みを踏みしめるように前へ前へと進む様を想像させる。1曲目の『FLOST I』は美しいピアノに乗せて、これからやって来る未来に多くの期待を抱いている様を表現し、『yours』では立ち止まっている人の背中をポンと押してくれるような優しい楽曲。“今 歩き出した君は誰よりも強い人”というフレーズは、これから立ち止まることがあった時にふと思い出すだろう。『青星』(シリウス)は躍動するダイナミックなサウンドに、じっくりと心に染みこんでくる歌詞。『Sheep Song』はピアノの旋律と友則氏のメッセージが絡み合い、温かな楽曲となっている。最後の『FLOST II』は、『FLOST I』と同じピアノのメロディーでありながら、未来に向かったものではなく、自分の後に続くものへ何かを残したいという願いが込められ、通して聴くと小説を読み終えたような、8つのストーリーで構成されているようにもとれる。
このアルバムの2日後の11月7日には、TVアニメ『純情ロマンチカ』のオープニングテーマに起用されている『衝動』もリリースされる。異なる表情を持った2つの作品を聴いてもらいたい。


(Rooftop:やまだともこ)


B.I.G JOE(MIC JACK PRODUCTION) / COME CLEAN

IDMCD-011 2,940 yen(tax in) / IN STORES NOW

前作『THE LOST DOPE』から3年、いまだオーストラリアの牢獄に居ながらもB.I.G JOEがセカンドアルバム『COME CLEAN』をリリースした。言わずも知れた札幌代表MIC JACK PRODUCTION(以下MJP)のリーダーとして2年前のMJPのセカンドアルバムにおいても圧倒的な存在感を示していた。また、昨年にも牢獄仲間EL-SADIQとのユニットB.I.G JOE-N-ELSADIQとしてミニアルバム『2 WAY STREET』をリリースしている。DJ BAKUとの共作『I AIN'T GANGSTA』も記憶に新しい。これらの仕事の数々を見るだけでも、下界に住むMCよりも圧倒的なハードワークである。彼が何者か? 実物を見た事がない人がほとんどだろう。遂に来年にはその姿を現す。来るべきその時まで、このアルバムの内容は十分すぎるだろっ!


(K.KUDO)


fam / the quiet before

PDCJ-2004 PR-003 2,000yen(tax in) / IN STORES NOW

とうとうfamの待望の1st.アルバム『the quiet before』が発売しちゃいました!! famの良さはなんといっても静と動が造り出す絶妙なバランスでしょう。 口説いように説明すると、陰と陽の絶妙なバランスです! アルバムの内容は正にライブのセットリストの様です。  挨拶代わりの『peace and some serenity』から始まり、『name』まで駆け抜けるように流れ、ライブでもお馴染み『can't crush my feelings』で畳み掛け、『over』では、エモさを存分に引き立ててくれるでしょう。『the quiet before』の完成度の高さにもう絶句です。素晴らしい最高のアルバムの完成です。そうです!!この一枚でfamのほとんどが理解できるでしょう。ですが、famはそんなに甘くはありません。彼らの気迫に満ちたライブで汗を流し、満点の笑顔で笑えて、初めてfamの素晴らしさを理解したと言えるのてはないでしょうか? 『the quiet before』を是非とも手に取ってレジに向かい、famをライブでもCDでも濃厚に味わって下さい。


(新宿LOFT:omi)


ミラーボールズ / 創世記

RCSP-0009 2,310 yen (tax in) / 11.5 IN STORES

人は孤独な存在だと思うが、その孤独な感情が抒情する時、人は詩という表現を生み出した。作者の孤独な魂を表現した詩は、時にそれを読んだ複数の人たちの心を震わせることがある。孤独な魂と魂が共鳴する時に生まれるのが歌なのではないだろうか。北脇恵子と森真二の2人によるグループ「ミラーボールズ」が歌う詩は、そのようにして生まれてきたものだろう。歌に共感できるから、人間は孤独な中でも生きていける。
「花になる事に決めた。僕、花になる事に決めた。あの子の好きな花教えて」
人と人が決して一つになれないからこそ、このような詩がわずかに孤独を癒してくれる。でも深入りはできない。
「ここは大人の世界だ。実に寂しい所だ」
ミラーボールズの歌を聴いている間だけでも純粋でいれるような気がする。9曲目の圧倒的に美しい曲『フレア』で聴こえる口笛のメロディーを信じたいと思う。


(加藤梅造)


RIGHTNING-V / For oneself, For you, For now

RCSP-0010 1,600yen(tax in) / 11.05 IN STORES

メロコア界にまたまた新生誕生か? 関西を中心に勢力的に活動をし、メロコア界に新風の如く現れたRIGHTNING-V(ライトニングボルト)。今年6月にリリースした1st.シングルが通販サイトindiesmusic.comの週間セールスチャートでNo.1を獲得したと思いきや、KICK ROCK MUSICのパンクロックコンピ盤『PUNK ROCK SOUNDTARCKS Vol.6』にも参加し、その勢いはとどまる事を知らない。そんな彼等の1st.ミニアルバムがいよいよ全国へと発信される。
メロディックの極みともいえる痛快なギターサウンドとポップで巧みな歌声にグッと引き込まれたかと思えば、曲それぞれが斬新だったりする。勢いがある風に見えて、メロコア黄金期に育った彼等から発せられるこの作品には、情熱をも感じられるのではないだろうか。11/22から彼等の地元、心斎橋新神楽を皮切りにレコ発TOURも行われる彼等の今後の動きに注目したい。


(下北沢SHELTER:平子真由美)


lynch. / Ambivalent Ideal

初回限定盤:MWRE-010 1,575yen(tax in) 通常盤:MWRE-010B 1,050yen(tax in) / IN STORES NOW

4月2日に6th Maxi Single『Adore』をReleaseしてから約半年。ついに7th Maxi Singleが10月15日に発売された!『Ambivalent Ideal』と『DOZE』の2曲が収録されており、更に初回限定盤を手に入れると『Ambivalent Ideal』のPV DVDが付いている。このPVはぜひ見てもらいたい作品です。ゾクゾクしますよ!
新曲を聴き、曲が綿密に創りこまれているというか、曲の雰囲気というか、構成というか、音の使い方というか、、、語学力が乏しい私には、上手く言葉で表現出来ず、伝えきれないのが悔しいところですが、とにかく「凄いっ!!!」更に奥が深くなっていき、聴けば聴く程、いろいろな音が発見でき、ワクワクしたりもする。そして、よりdarkな部分を感じられる曲達だと思いました。
この曲達をLIVEでどう創り上げるのか、表現するのか、歌い上げるのか、今からとても楽しみです!! 10月24日に恵比寿LIQUIDROOMにてSOLD OUTワンマンLIVEを終えているlynch.。(ここからONEMAN TOUR 08『THE DIFFUSING IDEAL』がstart!)このREVIEWが掲載されているRooftopが出ている時には私はこのLIVEを見終えているんですが、どう感じたのだろう…。きっと○○に違いない!! 早くLOFTのステージでまた『lynch.』のLIVEが観たいです☆


(新宿LOFT副店長:河西 香織)


V.A. / Our Aurasian Things!

AUR-12 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW

誰も知らない秘境に今もある村。今夜は其処の、お祭りお祭り。
…満月の明かり、松明の温もり、村人たちのウタに誘われて、地下で鼾をかいていた動物達も静かに土をどけて集まってきた。
…きっと、みんなが夜通し唄ったのはこんな音楽だったのではないかな。なーんて想像させられる、エキゾチックな歌の数々。
レーベルOFF NOTEとライブハウス浦添GROOVEが企画し、総勢35組のミュージシャンが仕上げた当作。各々の手段で、「マイ・フェイバリット」をテーマに参加しています。僕が気に入ったのは2枚目7番、大工哲弘さんの『うたううたうたい』です。ちなみにNaked LOFTでは関連イベントを企画中です。叶えばきっと素敵な夜に成る。


(Naked LOFT:上里環)


V.A. / 週刊真木よう子オリジナルサウンドトラック

NFCD-2712 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

このCDを手に取ったときから衝撃は始まってました。色っぽすぎるジャケット!! そして参加アーティスト!! SHINCO(スチャダラパー)を筆頭に塚本功さん(slymongoose)渡辺俊美さん(ソウルセット)等、豪華な面子が参加!! なんといってもスライの新曲が入ってるという素敵な1枚。1曲目から艶っぽく真木さんが歌い上げ、7曲目のメルヘンっぽく流れたり、13曲目のなにか迫ってくるかんじだったりと、普段とはちょっと違う一日な感じで時間が流れます。音が綺麗で面白い音も聴けてそして上手い! 特に10曲目、15曲目は必聴。
それにしても、真木さん、ミステリアスな色気ですね。皆様もこのCDを聴いてより、艶がでること間違いなしです。私、これを聴いてオジサマにハートを盗まれました。


(阿佐ヶ谷ロフトA:伊勢茜)


V.A. / Coa Records Anthology

COAR-0054 1,890yen(tax in) / 11.12 IN STORES

早いな。私がCoa Recordsと出会ってからもう10年という月日が経ったんだ…。変わらずCoa recordsは流行に左右される事なく、末永く聴いてもらえる誰かの大切な1枚となる作品を今も作り続けている。世の中に媚びる事なく、自分達が信じたものを常に発信して来た10年間に男気を感じます。いつの時代も私の憧れであり、尊敬出来るレーベル。そして色んな音楽を教えてくれたレーベル。後にも先にもこんなレーベルに出会える事はないだろう。そんな出会いに感謝出来る奇跡の1枚。


(SONG-CRUX:樋口寛子)


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怒髪天
全人類肯定曲

COCP-35161〜2 3,150yen(tax in) / 10.01 IN STORES

NO MUSIC, NO LIFE.

TEI-11 500yen (tax in) / 11.05 IN STORES[タワーレコード限定販売]
安っぽいヒューマニズムと極北にある等身大の人生讃歌

目下最新作にして最高傑作『LIFE BOWL』以来1年振りのリリースとなる怒髪天のニュー・シングル、一挙2タイトル。シミさんがタイトルを命名したという『全人類肯定曲』もタワーレコード限定販売となる『NO MUSIC, NO LIFE.』も、それぞれ1曲入り500円という採算度外視の気っ風の良さにまず拍手。良質なバンドの良質な楽曲を安価で提供しようとするメーカーの気概に感服だ。そしてその気概に呼応するかのように、2曲とも素ン晴らしく志とクオリティの高い楽曲なのだから諸手を挙げて万歳三唱である。現メンバーが揃って今年で20年を迎えるキャリアであるにも関わらず、この底知れぬ馬力と柳の如きしなやかさはどうだ。「イイ曲じゃなければ出さないよ」とヴォーカルの増子直純はいつもサラリと言ってのけるが、こうもスイスイとクオリティのアヴェレージを上げられると唖然とするほかない。
『全人類肯定曲』は、過去最高にシンプルかつベタでありながらも過去最高に重いテーマを扱ったナンバー。不景気の出口は未だ見えず、目を覆いたくなるばかりの暗澹たる事件や事故は絶えず、気が付けばうっかり溜息を漏らしてしまうことの増えた昨今である。そんな重苦しくのし掛かる時代の閉塞感を、彼らは至って平易な言葉とシンプルなメロディでこう明るく言い放つ。“生きてるだけでOK!”と。“今日も生きてる、コレでひとつ勝ちだぜ!”と。これぞまさに、安っぽいヒューマニズムとは対極に位置する等身大の人生讃歌である。音楽のない人生を牛肉抜きのスキヤキや残高ゼロの通帳などに喩えた『NO MUSIC, NO LIFE.』はライヴでも問答無用にノレるナンバーだが、重いテーマを敢えて軽やかに唄い上げるスタンスは『全人類肯定曲』と相通じている。シミったれた気持ちをシミったれたまま表現するなど愚の骨頂と言わんばかりの“NO MUSIC, NO LIFE.”の大連呼だが、それを言うなら怒髪天の音楽がない人生なんて気の抜けたコーラみたいだ。カラッカラに渇いたノドに流し込むコーラのように、怒髪天の音楽は僕らに大いなる刺激と潤いと爽快感を与えてくれるのだ。
“OK”と“NO”という相反する言葉を全面に配した両ジャケットの潔さもまた良い。『全人類肯定曲』のジャケットには、よく見ると下のほうにアリが潜んでいる。まるでRCサクセションの『ハード・フォーク・サクセション』(フォーク時代の名オムニバス)のジャケットで浮き彫りになっていたハエのようだが、僕にはこれも怒髪天からのメッセージのように感じる。イソップ寓話になぞらえるならば、我々は夏の盛りに歌を唄って遊び惚けるキリギリスにはなれない。“働けど働けど我が暮らし楽にならざり”の身としてはなりたくてもなれないし、冬を乗り切る食糧を貯めるためにあくせく働くアリでいるより他にない。しかし、そんな愚直さの果てにこそ大輪の花が咲くことを、他でもない怒髪天自身が身を持って体現しているではないか。活動再開から来年で早10年、アリはアリのまま、ありのままでいいのである。


(Rooftop編集長:椎名宗之)


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