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No Regret Life:Special Live Report('08年11月号)

Special Live Report No Regret life

悲鳴を上げながらも車輪を転がし続けるNo Regret Lifeの1年振りのワンマンライブ


8月にリリースされた1年半ぶりの音源となるシングル『Can't Explain』を記念した、これまた1年ぶりのワンマンライヴとなる『No Regret Life One-man Live "Can't Explain"』。頻繁にリリースしてきたノーリグが、決意を持って篭ったこの1年余。ライヴはやっていたとはいえ、彼らの冠のライヴ、しかもワンマンという、ノーリグだけが堪能できる場所は久々だ。しかも会場は、ノーリグが数々の瞬間を刻んできた、所縁のある下北沢シェルター。ドラマティックなライヴが繰り広げられることを想像しない方が無理である。見事ソールドアウトとなったギッチギチのフロアは、この時を待っていた! という渇望感と、これほど待った中で何が見られるんだろう? という不安と期待が入り混じったような、人も感情も密集した状況となっていた。
前作『Allegro』の1曲目、♪さぁはじめようと歌いだす『ファンファーレ』が開幕宣言のように響き渡って、ライヴはスタートした。その後、『メロディー』、『その瞬間に』という、個人的にも聴きたかった楽曲であり、いつものライヴでも盛り上がりのキーとなる楽曲が連発で披露される。嬉しいものの、この後のオーディエンスの興奮は息切れしないだろうか? そしてそれを迎え撃つノーリグの秘策はあるのか? と逆に不安になる。しかし、その後『西向き』で温かな一体感を生んだ後に、早くも登場したのは、『Can't Explain』に収録されている『ある光』だ。《生きていくことの 意味や理由なんて 知らないよ/そうさ、それを見出すんだろう》と、突き抜けるように歌われる、今のノーリグのモードが象徴的に表れた一節が心に響く。さらに、アグレッシヴな『キッド』、チャーミングなメロディが光る『迫る夕暮れ』、歌心が染み入る『あの日の未来』、聴き手に訴えかけるような『六月に浮かぶ』と、アルバム曲/シングル曲/カップリング曲を織り交ぜた、新旧幅広い楽曲群(ノーリグも、こういった表現が使えるほどに、歴史を重ねたバンドになったんだなぁ)で、オーディエンスを巻き込んでいく。よく、ライヴでは、最近の楽曲が中心で、過去の楽曲はシングル曲や代表曲しかやらなくなっていくアーティストも多いが、ノーリグはどの楽曲も思い入れを持って鳴らしていることが、こういうところから伝わってくる。言うなれば、ノーリグにとっては、多くの楽曲が、その時期/その場面の“代表曲”ということになるのかもしれない。
そして、続いて披露されたのは、そういう意味では、最も今のノーリグを代表する楽曲だった。そう、『Can't Explain』だ。この日のMCや、様々な雑誌でも、産みの苦しみを味わったと吐露されていた楽曲。やっと歌える。やっと聴ける。そんな、ステージとフロアの感慨が伝わってきた瞬間だった。ライヴで聴いてみて改めて思うけれど、高らかに歌い上げるサビは、“ノーリグ以上にノーリグ”なんて、有り得ない表現しか当て嵌まらない。正直言うと、この楽曲にフィットする歌い上げっぷりにはちょっと足らなかったかな、と思ったのだが(それだけ高らかに声を張らねばならないのだ)、自らで“ノーリグらしさ”を高いハードルに掲げたからには、きっとじきに飛び越えてくれるだろう。
それからは、『記憶の糸』、『ミスキャストは誰だ?』、『オレンジ』、『夏の午後』、『右手の在処』と、緩急を付けながら展開していく。バラードゾーンとか、アッパーゾーンとか、そういう区分けがなく、次に何がくるかわからないスリリングさがあるから、引き付けられる。インディ時代の『現在に在る』なんて、嬉しい驚きだった。さらに、伸びやかな『手がかり』に続いて演奏されたのは、これまた『Can't Explain』に収録されている『Mountaintop』。山頂を目指すという歌詞と、橋口の抜けのいいドラムが合わさって、ライヴではよりダイレクトなパワーが発揮されていた。その後も、『失くした言葉』、3rdアルバム『Wheels Of Fortune』から先かげて『ストレンジャー』(これまたサビのキーが高い!)、『さよならがはじまる』、『Hello, my friend』と畳み掛けて、ラストは『憧れの果て』で思いっきりアゲて本編は終了した。
アンコールでは『モノクローム』と『アンダンテ』を披露。中盤から容赦なく張り上げ続けてきた和奏の声は、この時にはかなり枯れていた。しかし、「いろいろあったけど、音楽を止められなかった」というMCは、その声だからこそ生々しく響いてきた。さらに、ダブル・アンコールまで敢行し、『Life』までやりきって彼らはステージを降りた。一番最後に『Life』を持ってきたところに、彼らのこの日のライヴに対する深い思いを改めて感じて、胸が熱くなった。
気付けば、約2時間半、全26曲というたっぷりな時間が過ぎていた。私にとって、ノーリグのワンマンで特に忘れられないのは、2006年の新宿ロフトの『Sign』リリースツアーのファイナルで、確か相当に長時間にわたって熱演をやりきって、それがとても感動的だったように記憶しているのだけれど、調べてみたら、この日はそれ以上のヴォリュームだったのだ。だけど、あの日よりもあっという間に過ぎたような気がした。もっとぶっちゃけて言うと、このライヴはレポートを書くつもりで見ていなかったので、MCや動きなどのメモをとったりはしていなかった(だから、そういう詳細な記述がないのです。申し訳ない。だけど松村が「ゲンチャンマン」と呼ばれていたのは鮮烈に覚えてます……)。だから、オーディエンスと一緒で、ただライヴの空間に埋没していたのに、ちっともダレる気分にはならなかったのだ。もう何年も彼らのライヴを見ている中で、確かな成長を感じることができた。
現在彼らは、10月22日に『Wheels Of Fortune』をリリースし、その翌日から『Wheels Of Fortune TOUR 2008-2009』と銘打った、30箇所を越える全国ツアーを展開中。ファイナルは来年の1月23日のO-WESTでのワンマンとなる。ノーリグがよりノーリグになって帰ってくる姿を、多くの人に、その目で確かめてほしい。
( TEXT:高橋美穂)



No Regret life No Regret life
No Regret life No Regret life No Regret life
No Regret life

<セットリスト>
1. ファンファーレ
2. メロディー
3. その瞬間に
4. 西向き
5. ある光
6. キッド
7. 迫る夕暮れ
8. あの日の未来
9. 六月に浮かぶ
10.Can't Explain
11.記憶の糸
12.ミスキャストは誰だ?
13.オレンジ
14.夏の午後
15.右手の在処
16.現在に在る
17.手がかり
18.Mountaintop
19.失くした言葉
20.ストレンジャー
21.さよならがはじまる
22.Hello, my friend
23.憧れの果て

-Encore.-
1. モノクローム
2. アンダンテ

-W. Encore.-
Life


Live info.

『Wheels Of Fortune TOUR 2008-2009』

【2008】
11.02(Sun)郡山 CLUB#9
11.04(Tue)新潟 CLUB JUNK BOX mini
11.05(Wed)長野 LIVE HOUSE J
11.06(Thu金沢 vanvan V4
11.08(Sat)京都 MOJO
11.09(Sun)神戸 STAR CLUB
11.11(Tue)長崎 DRUM Be-7
11.12(Wed)大分 T.O.P.S
11.14(Fri)熊本 DRUM Be-9
11.15(Sat)宮崎 SR BOX
11.16(Sun)鹿児島 SR Hall
11.18(Tue)山口 LIVE rise SHUNAN
11.19(Wed)岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
11.21(Fri)高崎 club FLEEZ
11.23(Sun)栃木 HEAVEN'S ROCK utsunomiya VJ-2
11.27(Thu)高知 X-pt.
11.29(Sat)高松 DIME
11.30(Sun)松山 SALON KITTY
12.03(Wed)四市 CLUB CHAOS
12.04(Thu)浜松 FORCE
12.05(Fri)埼玉 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
12.07(Sun)横浜 BAYSIS
12.12(Fri)仙台 MACANA

【2009】ワンマン
1.09(Fri)十三FANDANGO(大阪)
1.10(Sat)名古屋アポロシアター
1.16(Fri)広島ナミキジャンクション
1.18(Sun)福岡ビブレホール
1.23(Fri)Shibuya O-WEST [TOUR FINAL!]


Wheels Of Fortune
AICL 1965 / 3,000yen(tax in)
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No Regret life official website
http://www.noregretlife.com/


PHOTO:AJUKA

posted by Rooftop at 13:00 | バックナンバー