★ 幅広い活動をして、なんでも吸収していきたい
2001年にテレビドラマ『OLヴィジュアル系』でデビューし、その後も『仮面ライダー555』や『花衣夢衣』など数々のドラマや舞台に出演。最近で言えばTV-CM“マクドナルド シャカシャカチキン・ブラックペッパー”(〜2008年6月)でとびっきりの笑顔を振りまいてくれた溝呂木賢さん。実際お会いした賢さんも笑顔が似合う素敵な方でした。その賢さんが10月25日より赤坂RED/THEATERで行われる舞台『傾く首〜モディリアーニの折れた絵筆〜』に出演します。取材をした9月の頭にはまだほとんど稽古ができていないとおっしゃってましたが、物語のあらすじを読んでかなり興味をそそられます。さらに賢さんはどんな演技を魅せてくれるのか!!
今回は、これまでのこと、これからのこと、そして舞台のお話、いっぱい聞いてきましたよ。
★仕事の全てが糧となる
──この業界に入ったのはちょうど20歳ぐらいの時になるんですね。
「20歳ぐらいまでに入れなかったら見切りを付けようと思っていたんです。その前は、役者になるための学校に通って、1年目は著作権や照明など裏の仕事を勉強してました。演技の授業もあったんですが、入った人数が多くて順番が回ってこないうちに1日が終わってしまうこともあって、ここにいても役者にはなれないだろうなって思い1年のうちに単位を取ってしまい、2年目はほとんど指で数えるぐらいしか学校に行かなかったです。その間にオーディションを受けたりして、今の事務所に入ったんです。」
──見切りをつけようというところで、もし他の仕事をするとしたら何になりたかったですか?
「料理関係です。」
──最近思うんですが、オトコマエは料理が得意という統計が私の中で取れてきているんですが、その中でも何が得意ですか?
「基本的にあまったもので作るのが得意ですね。あとはパスタとか…。」
──おー、やっぱりパスタですか!
「簡単なんですよ。パスタだけで1食になりますからね。一人暮らしを始めた時はよく料理をしていたんですが、今は気が向いた時ぐらいですかね。」
──ところで、事務所に入る時のオーディションってどんなことをやるんですか?
「一緒に受けた人たちが全員女の子で“私ダンスできます!”って感じだったんです。僕は何もできなかったので、“何もできません!”って。実家の山梨からオーディションに行ったんですが、寝坊しちゃって、寝癖のまま受けに行って…。寝癖は付いているし、何もできませんだし、落ちただろうなって思っていたら後日連絡を頂いて、“受かりましたよ”って。嘘だろう!? って1回受話器見ましたよ。」
──オーディションが受かってやりたいことの夢がどんどん膨らんで行くと思うんですけど、どんなことをやりたいと思ってました?
「役者になりたいっていうのが第一でした。」
──実際、この世界に入ってみてどうですか?
「楽しいが一番です。」
──今までやった役で新しい自分が発見できた役とかはありますか?
「いただいたお芝居は全て面白かったですけど、やるたびに新しい発見はありますよ。」
──『仮面ライダー555』はどうでしたか?
「周りを何も知らない時だったので、すごくいい経験になりました。業界用語を言われても、なんだかわからない時期でしたから。演技に関しても、スタッフの皆さんは育てようとしてくれているので褒めてくれないんです。だから、いつかは褒められたいって思っていて、オールアップの日に“がんばったね”って言われた時は涙が止まらなかったです。」
──仮面ライダーって小さい時の憧れだったりしませんでした?
「小さい時は周りに住んでいる子は女の子ばかりだったので見る機会があまりなく、“バッタ”っていうイメージしかなかったんです。でも、実際現場に行ってみてすごいなって純粋に思いましたよ。スタッフさんは今でも尊敬出来る方がいっぱいいらっしゃいますし、スーツアクターの方達は男が見てもかっこいい。命綱も付けず、薄っぺらいマットが敷いてあるところに上からジャンプしたり、ケガと隣り合わせですよね。ライダースーツを一度着させてもらったんですけど、マスクを付けると見える穴ってつまようじの先端ぐらいの大きさで2〜3個空いてるぐらいなのに、それでジャンプしたり、アクションをしたり。しかも、あの中ってすごく暑いんですよ。スーツがピッタリしているので、血流もすごく悪いですし。僕は変身できない役だったので、生身で吹っ飛ぶシーンとかをやらせて頂いたんですが、何度も練習してケガをしない飛び方を教えてもらったり、良い経験をたくさんさせて頂きました。」
★先輩方の胸を借りるつもりでがんばります
──旅関係の仕事が多いですが、旅行は好きですか?
「はい。もともと家でじっとしていられないタイプなんです。休みの日は意味なく商店街を歩いたり、適当に切符を買ってどこまで行けるかとか、各駅に乗って長野のほうまで行ったこともあります。あとは原チャリに乗ってプラプラしようっと思ったら湘南まで行ってしまったこともありました。さすがに帰りは泣きそうになりましたけど(笑)。」
──今まで仕事で行った場所で思い出に残っている場所は?
「東北です。雪が多くて、ロケ車がちょっと動くたびに滑ってましたからね。でも、その日にそこに行かなければならないし、その日に撮らなければならないし大変だった分、思い出に残ってますよ。」
──旅のロケとなると、地元の方とも接することができますしね。
「方言で話されるとドキッとします。方言独特の味がありますよね。話していてとても温かさを感じるんですよ。」
──今まで行ったことがない場所ってあります?
「けっこうありますよ。地方に行ってもすぐに移動などが多く、そういう時は行った気がしないですね。」
──これから行ってみたい街は?
「鳥取砂丘は行ってみたい。あと、海でボーッとするのがすごく好きで、夜の海もよく行きますよ。ドライブがてら男友達と朝方まで喋って、散歩している住民の人と喋ったりしてます。」
──でも、舞台が始まったらあまり遊びに行けなくなりそうですね。
「ちょっとの時間でも外に出ているので、気分転換はうまくできるんですよ。1日休みがあったら寝ていたいとかもないですから。」
──お仕事で海外も行かれてますよね?
「オーストラリアに行ったんですが、移住したいぐらいいいところでした。人も温かかったですし、自然もありますしね。英語は全く喋れないのでジェスチャーでなんとかしていました。バーにも行き、地元の方と仲良くなったりもしました。」
──これから、行ってみたい国はありますか?
「いっぱいありますけど、きれいな都市には魅力を感じなくて、自然が壊されていないところに行きたいんです。」
──私も興味があります。
「アマゾンとかニュージーランドとか良いですよね。(ここから自然界について延々と語り合う)…話が全然違うところに行ってしまいましたね。」
──そうですね。…で、舞台『傾く首〜モディリアーニの折れた絵筆〜』が10/25から始まるんですね。
「無理矢理繋げましたね(笑)。まだ台本も出来ていなくて準備段階なんですが、僕はシャイム・スーティンって言って、ロシア系のユダヤ人で画家の役です。ロシアからヨーロッパに出て、絵で食べていくという役なので、すごく陰が多い人物です。寡黙で、自分自身を出さない。絵では表現しているんですけど、すごくグロテスクなものを描きます。」
──出演は6名以外にもいらっしゃるんですか?
「いや、6人だけです。皆さん、ベテランの方ばかりなので凄いなって思いますよ。」
──公演は1週間以上ありますが、緊張しっぱなしで何日も続くなんて考えられないと、素人としては思ってしまうのですが…。
「楽しみのほうが強いですよ。緊張はありますが、ステージに立てば良い緊張で、なくなったら普段との境目がわからなくなっちゃいますからね。いい緊張を持って表に立ちたいんです。裏ではバックバクなんですけどね(笑)。」
──失敗したらどうしようとか思います?
「初めのころは思ってましたけど、いろいろ仕事をやらせてもらって、楽しんでいる時と緊張している時の自分を比べると、楽しんでいる時のほうがいいなって思ったんですよ。それと、プロデューサーに言われてなるほどなって思ったのが、僕らはステージに立つ側だから気にしていたんですけど、人って自分のことをそんなに見てないよって。」
──なるほど。
「だったら楽しんだほうが得だなって思います。セリフが飛んじゃった時とか、逆に楽しくなるんです。1ヶ月ぐらい一緒に稽古をやってきているので、動きが違ったりするとわかるじゃないですか。そこで誰がフォローするとかなんとなくわかってくるし、一体感を感じることができます。」
──賢さん自身の失敗は?
「セリフを前後逆に言って、舞台上であれ?って思ったことはあります。文脈が通ったので何とかなりましたが、落ち着きすぎて自分で驚きました。相手の方にはすごく怒られましたけど。裏では緊張のあまり、“次のセリフなんだっけ?”ってなりますけど、相手のセリフをもらえば大丈夫って。今回はキャリアがある方ばかりなので先輩方の胸を借りるつもりでがんばろうと思っています。楽しみですよ。」
──28歳になって初めての舞台ですね。
「ホントだ! 今気づきました(笑)。」
──今後はどんな活動をしていきたいですか?
「幅広い活動をしていきたいです。若い頃は学生の役をやりたいとかありましたけど、今はなんでも吸収したい。40〜50歳になった時に中井貴一さんのようにかっこいい大人でいられればいいかな。それしかないですね。」
──では、公演に向けて、Rooftop読者の皆様に一言お願いします。
「28歳初めての舞台なので、ちょっと成長した溝呂木を舞台で出せればなと思っていますので、ぜひぜひ見に来てください。」
公演情報
傾く首〜モディリアーニの折れた絵筆〜
キャスト:吉野圭吾/内田亜希子/溝呂木賢/岩田翼/小野妃香里/戸井勝海
staff:脚本・演出 荻田浩一(宝塚歌劇団)
照明:笠原俊幸/音響:眞澤則子/美術:升平香織/舞台監督:粟飯原和弘
公演日程
10/25(土) 15:00
10/26(日) 14:00/18:00
10/27(月) 19:00
10/28(火) 19:00
10/29(水) 14:00/18:00
10/30(木) 19:00
10/31(金) 19:00
11/1(土) 14:00/18:00
11/2(日) 13:00/17:00
11/3(月) 13:00/17:00
劇場:赤坂RED/THEATER
チケット代金:前売7500円/当日8000円
一般前売:チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード388-814)
お問合せ:03-5638-1311(12:00 〜 17:00)
http://mayuta.cocolog-nifty.com/modigliani/
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