2008.09.02(Tue)〜03(Wed) KOUENJI CLUB LINER
CLUB LINER & SET YOU FREE & 遊人社 presents!
“植木遊人 24時間ライヴ 「Y.は地球を救う」 〜痛い!一番大切な約束”
3年連続で開催されている植木遊人の24時間ライブ。1年目の時点では、まさか3年も続くなんて想像すらしていなかったのに…。なんだかんだと3年目。Y.、頑張ってます。お互い3年経てば3歳年をとっているわけで、24時間も不眠不休(予定)で戦おうなんて、なんとなくきついと思っていたりもするのに、Rooftopは今年も参加させていただきます!!
9/2(火)14時、場所は新高円寺にあるクラブライナー。こんなド平日の真っ昼間から誰が来るんだよ!!なんていう思いはもちろんあるが、ライナーのフロアに設置された椅子には、これから24時間を一緒に過ごすことになるだろう方々がちらほらと座り始めている。平日の昼間なんて、社会人の皆さんなら完全に有給か何かを使っていると想像するが、有給まで使って24時間戦い続け、疲労感をため込むだけの休みなんて嫌だとなんとなく思ってしまう。でも、それは違う。ここは、某夢の国以上に非日常を味わうことができ、ドラマチックな出来事が24時間、1秒も逃すことなく繰り広げられていく場所なのだ。
とここまで書いて、14時〜開会式のはずなのに例のごとく始まる気配はなし。客席は、このなかなか始まらない感じも3年目となれば慣れてくるのか、至って普通に雑談を交わし合っている。14時55分、ようやくステージがあわただしくなり始める。ここで業務連絡。「平日の昼ということで1時間ほど押してます。まもなく開始します」の後、間髪入れずに「それでは開始します」ということで15時、I部の開会式スタート。一旦、お客さんは会場の外へと出され、名前と出身校を呼ばれて入場行進。今年は、25名程がこの開会式から参加。年々増えているのだそう。一人一人今日の意気込みを言い、そのまま絶叫点呼。これ、初参加の方々にとっては試練以外の何物でもないのだろうが、いつのまにかこの雰囲気に飲まれていく。過去2回で気づいたのだが、このライブは、とにかくやったもん勝ち。日常ではどんなにお嬢さんだったとしても、どんなに引っ込み思案だったとしても、ここに足を踏み入れたということは、普段の自分をちょっと変えたいとか、日常ではないところにトリップしたいとか、それなりの覚悟をしてきているはず。だから、絶叫点呼も輪に入ってしまうことによって、これからの24時間、解放された気分で楽しむことができる。そして、今年のテーマを発表。24時間テ●ビのテーマは“誓い”だったが、こちらのテーマは“痛い”。そして、今年のテーマソングはSPEEDの復活劇にかけて『ハッピーライフ』。これが今から24時間、ことあるごとに流れることになる。さっそく会場に『ハッピーライフ』が流れ始め、ステージのかけ声に合わせて、みんなでスカダンス。スカダンスとか普段やってないけど、見よう見まねでスカダンス(笑)。これまでにないグダグダな閉会式はここで終わり。
19時からはII部のライブ。1バンド目は名古屋から来た“CRAZY興業”。ほとんどの方が初見だというのに、意外と長い持ち時間。しかし、徐々に盛り上がりを見せ、しまいにはメンバーの名前まで呼ぶ光景も。なんとなく、同じ曲を2回聴いたような気もするが、1時間のステージは終了。そして東狂アルゴリズム。いきなりダイナミックなロックサウンドをぶちかます。汗だくのステージが終わり、最後は植木.。弾き語りでありながら、水たまりができそうなほどの汗をかき、心の底に溜まっていた思いの丈をギターの音に乗せて吐き出す。最後はマイクを通さずに『ほほえみ返し』で静かに終了。〜休憩〜
深夜1時、人気イベント“遊人概念”。GSについてひたすら語る。…眠い。遊人と概念による絶妙且つ微妙なコサックダンス(実際は全く違うけれど、ここではこれをコサックダンスと呼ぶ)をGSに合わせてみんなで踊ったり、元気いっぱいのお客さんになんとなく押され気味のステージ。DJ遊人概念では、GSがガンガン流れるDJタイム。最後はやっぱりあの曲『ハッピーライフ』。モッシュサークルもスカダンスももうみんなお手の物。その後、植木が休憩している間、東狂アルゴリズムの佐佐木氏と、会長の横山氏による30代しゃべり場。若干寝かけたお客さんを無理矢理起こし、伝説のバンドが復活(どこで伝説だったのかはさっぱりわからず…)。そして散歩。今年は阿佐ヶ谷ロフトAにお邪魔。寝ていない上に、30分近く歩かされたのに元気いっぱいの客席。ライナーに戻り、少しだけ休憩後、10時に閉会式開始。植木からの一言。「今日の君たちはかっこよかったです。こんなに楽しい24時間は初めてです。」これまでの24時間で言えば、1年目は時間配分がわからず、閉会式の辺りにはステージも客席もかなり疲労困憊していたように思う。2年目はなんとなく時間配分をしていながらも、疲れを隠せなかった。しかし、3年目。ステージの植木も元気いっぱいであったが、それ以上にお客さんはスタートからほぼ同じテンションでステージに噛み付いていく。すでに、メインはお客さんのほうにあり、植木がお客さんのパワーをもらっているかのような。だからなのか、それとも今回のテーマソング『ハッピーライフ』が良かったのか、とにかくハッピーな24時間ライブだったように思う。11時50分、ここで重大な事実が発表される。「2時間巻いてます!!」あまりに進行がスムーズに行きすぎたため巻いてしまったのだ(笑)。12時、「家に帰るまでが24時間だろ!!」という強引すぎる言葉で24時間ライブは終了。
と、お客さんが帰り始めた瞬間、どこからともなくあの曲が流れ出す。『ハッピーライフ』だ!! それに気づき、帰り支度をしていたにも関わらず、荷物を置き、無条件にモッシュサークル(笑)。24時間のうちに何度もこんなシーンを繰り返していると、人間もパブロフの犬のようになるんだと実感。
ようやく本当の終わり。今回24時間戦い抜いた、まずは佐佐木氏に直撃。「人の力はまだまだ捨てたもんじゃないですね。力を与える側と与えられる側の両方を味わうことができました。」と。そして植木。「今回は凄かった。3回目でお客さんの成長を感じましたよ。3年でY.はやりきりましたね。」とのこと。ライブが非日常を味わえる場所というのはよく言われていることだが、この24時間ライブは同じ目的を持った人たちと小さな空間で過ごすことで、24時間前には知らなかった者同士でも一体感が生まれる。また、普段では絶対見せていないであろう姿も、この空間に来たらその殻を取っ払うことによってより楽しい時間を過ごすことができる。来年も開催されるのかはまだ未定だが、一度は体験してもらいたい貴重なイベント。しかし、今年の24時間はお客さんに押されすぎだったんじゃないですか? 植木さん!
(TEXT:やまだともこ / PHOTO BY:クラカタレイコ)