ドラマ『とんぼ』で演じた小川英二がそのまま憑依して、執拗に苦悶の表情を浮かべて祖国を憂うようになってからの長渕さんには余り関心がないのですが、デビュー当時のフォーク期から『LICENSE』というアルバムくらいまでの長渕さんは昔とても好きでした。ドラマで言えば『親子ジグザグ』まで。中2の夏はこの『LICENSE』とルースターズの『PASSENGER』ばかり聴き狂ってた記憶があります。友達はたいていBOφWYの『PSYCHOPATH』かマイケル・ジャクソンの『BAD』を聴いてたなー。あの頃、まさかその十数年後にご本人にお会いする機会が来るとは夢にも思わなかったですけど。
しかしマニアの方の蒐集魂はやはり凄まじいと言うか何と言うか、YouTubeにあるわあるわ見たことのない映像が。「順子」でベストテンに初出場して恒例のサインをするのとか、「いかさまだらけのルーレット」をオールナイトフジでやってたりとか、チャゲ&飛鳥と一緒にトーク番組に出てるのとか、西武球場で「顔」を弾き語るのとか(歌に入る前に離婚した心境を語るんだよね)、『STAY DREAM』ツアー時のダイジェスト映像とか、静岡のフェス(ホットジャム?)で「静岡の夜は静岡」という曲を即興でやってたりとか、87年くらいまでの映像を矢継ぎ早に堪能しました。って、興味ない人にはなんのことやらさっぱりわからんよねぇ。ははは。
一番たまげたのがトップテン出演時の「スーパースター」。トップテンと言えばてっきりマチャアキと榊原郁恵の“親子でブッ!”(失笑)かと思いきや、この時は司会が徳光和夫と石野真子だったんですね。そう、ワンダー・ブギウギなあの真子ちゃんです。長渕さんと僅か数年の結婚生活を送った真子ちゃんなんです。出てくるなり一言、「久し振り」と真子ちゃんに声をかける長渕さんの表情は硬く、見ているこちらも緊張がみなぎります。離婚して3年後にこんな2ショットがあったなんて知らなかったなー。しかも、よくよく考えてみると、この時(1986年)の真子ちゃんってまだ25歳なんだよなー。当時は妹さんがアイドルとしてデビューしていたし、ご本人はもうアイドルとは呼べなかった時期ですが、まだ充分に若い。そう思えるのは、それだけアイドルの寿命が伸びたからなんでしょうね。
あと、吉田拓郎さんの大名曲「外は白い雪の夜」を拓郎さん本人と弾き語りしてるラジオ音源っていうのもありました。1番の男性側の歌詞を長渕さんが、2番の女性側の歌詞を拓郎さんが唄うという贅沢な趣向でとても沁みた。あれはめっけもんだったなー。というか、YouTubeってラジオ音源はおろか、普通にCDから落とした音源もアップされたりしてるんですね。シングルのジャケを見せたりしつつ。新参者には助かるのかな、ああいうコンテンツ。
兎にも角にも、やっぱり思春期の多感な時期に吸収した娯楽というのはいついつまでも身体に染み付いていやがるもんでやんすなと改めて思い知った、天井に落ちていくよな午前四時の俺、なのでした。ははは。(しいな)