それにしても星野JAPAN。ソフトボールの金メダルが余りにドラマティックだったため余計に分が悪かったと思う。監督の潔い謝りっぷりだけは見事だったけど。
全競技を見渡しても圧倒的に神々しい輝きを放つのはやはり女性アスリートであり、男子で目覚ましい活躍を見せたのは少ない。強いて挙げれば水泳の北島に柔道の内柴に陸上の朝原くらいなものだろう。辛酸を舐めた年配男のドラマにはやはり心底身震いする。内柴は観客席にいた御子息の無垢なパンツ一丁姿も良かった。体操の内村もまずまずだったが、若さゆえにドラマ性に乏しかったのでもうひとつ。サッカーはなでしこのほうが俄然健闘していたし、レスリングも卓球もバレーボールも男子になどさっぱり注目が集まらない。銀メダルを取ったフェンシングの太田がせいぜいダークホースだったくらいか。実は無職というバックボーンと喋りの立つキャラがインパクトあった。スター性の高い女性アスリートが勢揃いしたこともあるのだろうが、何だか弱っちいなー、男子一同。
それにしても今回はなぜこんなにもオリンピックの動向が気になるのか、自分でも意外すぎるほど意外だ。俺は元来スポーツには一切興味がなく、興味の対象は常に音楽と活字しかなく、それを生業としてしまったために趣味らしい趣味もなく、人間的にはこれっぽっちも面白くない無粋者である。体育会系のノリが厭で音楽や活字に淫した筈なのに、これはどうしたものか。
まぁ詰まるところはリアルなドラマ人間模様が見たいというありきたりなオチなのかもしれない。どれだけ力量のあるアスリートでも、オリンピックというあの特異な空間で本来の技と力を発揮できるとは限らない。国を背負って立つという凄まじい周囲からのプレッシャーに加え、克己心もキープせねばならない。ライバル選手がコケて優位に立つなどの運を味方にすることも大事だ。圧倒的に強いと目される選手でも呆気なく負ける。その予定調和じゃない部分も面白い。そして、僅かな試合時間で4年間という気の遠くなるような期間に培った苦労が水泡に帰すことも多々ある。その刹那性も良いのだなー。ソフトボール上野投手の裂けた指先と涙する姿、燦々と照りつける太陽の如き笑顔、そして実況解説をしていた元監督によるゲームセット時の歓喜の絶叫がやはり今回のハイライトだったなー。お陰で泣いて泣いてデトックス効果ばっちりであった。
さーて。無駄口叩いてないで俺も戦場に戻るべよ。克己心。そう、すべては克己心なのだな。うむ。(しいな)