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MAMORU & the DAViES / ヒコーキもしくは青春時代
MAGI-0003 2,625yen (tax in) / 8.20 IN STORES9回裏2死満塁、元祖・下北沢の4番打者が放つ一発逆転ホームラン!
野茂英雄が現役引退を表明した。日本の野球界から「裏切り者」呼ばわりをされながらもメジャー・リーグに自らの活路を見いだして早14年。独自のトルネード投法で奪三振王のタイトルを獲得し、日本人メジャー・リーガーの先駆者としての功績は今更言うまでもなく余りにも大きい。彼の牽引力がなければ、その後に続くイチロー、松井秀喜、松坂大輔の活躍もなかっただろう。今年4月にカンザスシティ・ロイヤルズから戦力外通告を受け、獲得に乗り出す球団がなかったことで引退を決意したということだが、余りに口惜しい。「まだまだやりたい気持ちが強いが、プロ野球選手としてお客さんに見せるパフォーマンスは出せないと思う」「引退する時に悔いのない野球人生だったという人もいるが、僕の場合は悔いが残る」。野茂はそう語っているが、この“悔いが残る”という言葉がとても重い。日本人メジャー・リーガーの先駆者が呟くように語る言葉だからこそ、身を引き裂かれんばかりに重い。
アスリートの引き際というのは難しい。すべては当人の決めたことだから外野がとやかく言うことではないのだが、余力を残して惜しまれつつ辞めるのと、力の衰えを自覚しながらボロボロになって辞めるのとでは雲泥の差がある。アスリートのキャラクターや各々の事情もあるので一概には言えないけれども、個人的には満身創痍で闘い抜いたアスリートにこそ深い共感を覚えてしまう。“悔いが残る”のなら、またやればいいのだ。恥も外聞もない日本の政治家や官僚を見倣ってすぐさま前言を翻し、即刻引退をチャラにしてしまえばいい。聞けば、メジャーには引退を宣言しながらも復帰を果たす選手が何人もいるという。自分がやれると思えばまたやれる。やれないと思えば二度とやれない。いつだって自分の心持ちひとつで状況は好転するものだ。
その点、元祖・下北沢の4番打者ことワタナベマモルは、何も臆することなく3コードのシンプルなロックンロールを今もなお堂々と掻き鳴らし続けている。とは言え、不屈の闘志なんて格好いいもんじゃない。トゥー・マッチ・モンキー・ビジネスの最下層だから生活だってラクじゃない。何も足さない、何も引かない、変えようとも変わろうとも思わない。事実、何も変わらない。オリジナル・アルバムとしては実に4年振りとなる『ヒコーキもしくは青春時代』でも、マモルはいつもと同じ3コードのロックンロールをダラダラとブチかましている。それどころか、1曲目に配された表題曲でマモルは“今度こそオレの番だぜ!”と高らかに気勢を上げているのだ。グレイトリッチーズ時代から数えればすでに四半世紀もの間バンドマンを続けている彼が、である。これはつまり、マモルの中に“悔いが残る”という感覚が端から微塵もない何よりの証左である。そして、いつも通りぶっきらぼうに吐き捨てるように唄う。“しぼんだキンタマ タンブリンダイス”と。実に痛快だ。格好いい。文句なしに格好いい。グレリチ時代から何ら変わらぬこのスタンスとブレのなさはまさにホームラン級だ。まだまだやりたい気持ちが強いのなら、ウジウジしてないでダイスならぬキンタマを転がせばいい。武器になるのは自身のルーツである70年代の音楽に通ずる温かみに満ちたサウンドと、それに乗る潔いほどの平易な言葉だけ。それでも彼は、根気良く虎視眈々とホームランを狙っている。どれだけ当たりの良い打球を放っても三塁タッチアウトになったり、フェアゾーンを外れてファウルボールになることだってある。それでも彼は、自分にはこれしかできないとばかりに遮二無二ロックンロールを奏で、決して諦めない。諦めない限りは、9回裏2死満塁でも一発逆転ホームランを放つことだってできるのである。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
aiko / KissHug
PCCA-02740 1,260yen(tax in) / IN STORES NOW花男の挿入歌として発売前から話題をかっさらった24枚目のニューシングル。映画内では「つくしのテーマ」だそうだが、道明寺&牧野専用じゃあまりに惜しい。ふとCMから流れる1フレーズで条件反射的に切なさが過り、万人の涙腺を挑発するこれぞ「aiko」な夏の色恋アンセム。好きだとか何だとか、とにかく男女間のしがらみを一度でも経験していれば、一同に共有し得るであろう感傷がみなぎった声、詞、そしてメロディー。どんな境遇をも取りこぼさない器の大きさは、さすが「恋する乙女の代名詞」。特に歌詞における、結局のところ進行中なのか別れてるのか、悲しいのか楽しいのかが明確でない感情のスペースが絶妙。ファンならずとも飛び込まずにはいられない筈。また今作がデビュー10周年第一弾シングルというだけあり、彼女独自のエッセンスやキャリアが濃縮された快盤です。カップリングも夏一色。同世代の僕の女心に響いて病みません。あぁカラオケいきたい。
(CRUX:塚越 祐介)
Adebisi Shank / アドビシ・シャンク
PRBL-0001 1,200yen(tax in) / 9.03 IN STORESアイルランドの3人組によるインストバンド「アドビシシャンク」の、4曲入りCD。非メタル系ハードコアをベースにプログレッシブかつカオティック(「エモーショナル」ではありません)なサウンドを奏でつつ、全く小難しさを感じさせない肉体派の23歳。それはもうエフェクター使いも凄まじいし、いきなりライトハンド奏法が飛び出したりするし、変拍子なんてお手のものだし、音の作りだけ見れば複雑難解なんですが、そんなこんなをノリ一発で力いっぱい「おりゃあ!」と投げつけてくるので、音楽偏差値の低い人でも充分楽しめる。というか、もし聴いた瞬間に理屈抜きで「すげえ」と思ったなら、それが全て。下手に分解したりしないで、この音に身を委ねちゃえば良いんです。7月のジャパンツアーにお邪魔したんですが、予想以上に肉体派なライブで、見ていてなんだかわくわくしちゃいました。ちなみに今回の日本版をリリースしたParabolica Recordsは、deepsea drive machineやLITEのメンバーが立ち上げたレーベルだそうです。納得。
(ルーフトップ★ギャラクシー:前川)
overall+ / 虹色ガール
1,200yen(tax in) / ライブ会場限定で発売中シーズン毎に展開しているツアーで発表しているマキシシングルシリーズ。本作は夏にあわせたカラフルな楽曲を詰め込んだ作品をリリースさせた。気づけば毎度毎度楽しみにしている私。特にM2『花火』を聴き、花火を見に行く時の高揚した気持ちを思い出し、切なげなメロディと歌詞が耳にやたら響いた。overall+のライブを彷彿させるかの様なM3『虹色マン』や、リスナーの背中をそっと押してくれるかのようなM4『Girl』も必聴。相変わらずドラマチックな展開で曲を聴かせてくれるoverall+。いつ聴いてもドキドキとワクワクした気持ちを起こしてくれる杞憂なバンドです。
(SONG-CRUX:樋口寛子)
GARLICBOYS / 激情
PZCA-41 1,575yen(tax in) / 8.06 IN STORES前作『群青』から約1年9ヶ月振りとなる7曲入りミニアルバム『激情』がついにリリースされる! ついにと言っても、年間100本以上のライブをこなしている彼らにとって、このペースはかなり短期間でのリリースと言っていいだろう。そして、それはまさにバンドが今「最高の状態」である事を証明している! その秘密はセクサー氏(Dr)が合宿やレコーディング中に持参する家庭用電気フライヤー「あげあげ」にあるだろう。この「あげあげ」名前も良いが機能もすごい! まず色はまったく想像のつかないメタリックカカオ。そして19センチの海老も丸ごと調理できる大容量で、もちろん油温調節機能も付いている。パワーは驚異の1000W! おまけにマグネットプラグや内容器フッ素樹脂加工。さらに重量も2.1kgと非常にコンパクトで機材車にもすっぽり! おつまみの唐揚げを揚げたり、おやつにドーナツを揚げたりと大活躍! 揚げ物がグーンと身近に! これだけの実力を持った商品がたったの¥11,000! もう買わない理由が見つからない!
さぁ、一家に一台「あげあげ」! ZOJIRUSHIより大手電器店にて発売中!!
(新宿LOFT:阿部慶顕)
カフカ / Memento.
ZARCD-1005 2,100yen(tax in) / 8.06 IN STORES2007年にインディーギターロック界に突如現れたLOWNAME。そして2008年、更なるバンドの進化と可能性を獲得する上でバンド名を「カフカ」に変えて再スタートした。そして、カフカでは初めての作品となる『Memento.』がリリースされる。音数も言葉数も少なめにポツリポツリと歌われる『心拍数』から始まり、ピアノの音色が美しい『home』まで、3人がリアルな感情を音に乗せて大事に届けてくれる。このアルバムは全曲を通して“家出”を表現したそう。『心拍数』で自分に「さよなら」をして旅に出かける。旅の途中では十字架を負った聖者の行進を見たり、青すぎる空を見たり、いろいろなことを感じて吸収して家に帰る。「音楽から匂いを感じてもらいたい」と言う彼らの作品は、お伽噺のような情景をイメージさせながらも、時に生々しい光景とともにキツイ匂いを発しているようである。
バンド名を変えることで、音楽に対して素直になることができたという彼らの旅は今ここから始まったばかりだ。
(Rooftop:やまだともこ)
kamomekamome / The Comshot Collection
XQCX-82003 3,500yen(tax in) / IN STORES NOW元ヌンチャクのVo 向井氏率いるkamomekamomeが、初のLive DVDをリリースしました。昨年9月に、2nd Album『ルーガーシーガル』をリリースし、12月には渋谷LUSHでのCD発売記念LIVEを成功させたkamomekamome。向井氏の独特な世界観と、不思議で、激情ともいえるLIVEの模様が中心となって収録されています。他にも普段ではお目にかかれない表情がいっぱいのレコーディング風景や、PVとそのメイキング。地元の柏での野外LIVEやインストア・ライヴの模様などなど、たっぷり収録されております。元SWITCH STYLEのKENZO氏、加入後の初映像まで入っていて、今後の展開が期待せずにはいられないのですが、昔から好きな人達にも、最近知ったという人達にも、今のkamomekamomeを存分に余す所無く集約し、堪能できるマストアイテム、まさに必見といった内容です!?尚、入手方法がオフィシャルサイトからの通販とLIVE会場、一部の店舗のみの限定販売となっているので、注意して頂きたい。
そしてkamomekamome初のワンマン・ライヴが、9/21に下北沢SHELTERにて行われることが決定しております!! こちらの方も是非、見逃さないで欲しい。
(下北沢SHELTER:平子真由美)
ZAZEN BOYS4 / ZAZEN BOYS
MSAL-0011 2600yen(tax in) / 9.17 IN STORES待望の『ZAZEN BOYS4』が届いた。ので、現在7月25日(22時過ぎ締め切り相当遅れ)にもかかわらず、8月1日発刊のRooftopで、おそらく誌面では最速レビューになるかと思います。“法被を着たレッド・ツェッペリン”と例える彼等の作品の4枚目は、とても深い意味合いを感じました。先にネットでPVが公開された『asobi』から始まる『ZAZEN BOYS4』。『asobi』での「遊び足りない、、、」と言う印象的なフレーズの繰り返し、そこから広がる丸い音楽。中心にベース、それを囲むように球体にドラムの形で音が鳴り、遠くでギターやキーボードなどの上モノがあちこちからキラキラとギラギラと鳴る。特に今までの作品の中でも奥行きを感じる音作りは、ナンバーガール時代後期のパートナーであり、mogwaiや、The Flaming Lipsのプロデュースで有名なデイブ・フリッドマンと向井秀徳とのコンビネーションがなせる技であろう。そんな立体的な音に、間接的に情景を聴き手に創造させるリリックがとても聴こえやすく、深く、艶めかしく聴こえました。通して聴いてみて、ZAZEN BOYS特有のタイム感はよりタイトに、そして遊びを効かせて、唸される様な想像外の展開が繰り広げられる。1日聴いていこう思いました。
(新宿ロフト店長:大塚智昭)
Seun Kuti & Egypt 80 / Many Things
VIVO-350 2,700yen(tax in) / IN STORES NOWアフロビートの神、故フェラ・クティの末っ子シェウン・クティが、渾身のデビューアルバムをリリース! フェラ・クティといえばジャズやファンクを伝統的アフリカ音楽と融合させ『アフロビート』を生み出し、腐敗していたナイジェリア政府を痛烈に批判した内容の歌詞とパワフルなパフォーマンスで知られる。フェラを支え続けたバックバンド『エジプト80』の強烈なビートにのせてシェウンがサックスを吹きまくり吠えまくる。ヒップホップの要素も取り入れたとかで、フェラの荒々しく野性的なイメージからよりスマートに洗練された印象。やっぱりアフロは最高にかっこいいなと、エジプト80は最高だなとしみじみ感じてしまった。60年代から90年代に活躍したフェラのメッセージは「立ち上がって闘え!」だったけど、シェウンは「立ち上がって考えろ! 真実を考えてそれを声に出せ!」と若者に訴えかけている。アフリカと日本じゃ文化も状況も全く違うけど、シェウンの発信するメッセージは全世界の若者達に必ず届くはずだ。 そうそう、ナイジェリアの旧首都ラゴスにフェラが74年に政府に抵抗して作ったカラクタ共和国なるコミューンがあって、ライブハウス『アフリカシュライン』(現在は息子フェミ・クティが新しく作った新・アフリカシュライン)を中心に様々な活動やメッセージを発信し続けている。ナイジェリアはまだまだ危険な国だけど、是非現地に行って肌でこのパワーを体感してみたい。日本にもそんな場所が出来れば面白いのになぁ。
(Naked Loft:石崎俊一)
SOIL&"PIMP"SESSIONS / PLANET PIMP
VICL-62828 2,800yen(tax in) / IN STORES NOWこの人たちに出逢い、夏をより楽しむキッカケをもらいました。2008年最新アルバム!! 待ってましたー。題名、ジャケ写とおり宇宙!! 広い宇宙、真空サウンドが流れます。SOIL節はより激情に、そしてムーディーに。脳天直撃音は踊り狂い間違いなしです。思いのまま、音を感じます。叫び、渋さ、妖しさ、路地裏、伊達男、特に空間を感じる一枚。過去の作品を別バージョンにしたり、最後までドッキドッキ、ワックワックです。聴いた後は、LIVEへGO!! 神域です。この人たちのパフォーマンスは音楽には国境もジャンルも関係ない!! 拳を上げて“SOIL”と叫んだ後は、何か悟ってます。
※水分補給は忘れずに。
おすすめ 6,8,10,11,13
(阿佐ヶ谷ロフトA:伊勢茜)
タテタカコ / しろいうま
VPCC-82621 1,300yen(tax in) / IN STORES NOW7月25日発売のタテタカコのニューシングルは、アンパンマンの生みの親で作詞家でもあるやなせたかし氏とのコラボレーション作品。これはやなせ氏の絵本作品を映像化していく「やなせたかしメルヘン劇場」の中で、代表的な絵本「しろいうま」の映像化の際に作られたもの。やなせ氏作詞・タテタカコ作曲の主題歌『しろいうま』に加え、やなせ氏作詞作曲の『星の木の下で』、そしてタテタカコが劇中BGMとして書き下ろした美しいピアノインストゥルメンタルの『雪解け』が収録されている。もともと文学的なタテタカコの歌の優しさ、美しさ、切なさ、そして奥底に秘められた皮肉さ残酷さというのは絵本、童謡といった世界にとても合う。ピアノと歌、とてもシンプルな形で見せられる情景は果てしなく、駆ける馬を追い掛けながら自然と私達を遠くへ連れていってくれるよう。どこまでもまっすぐに純度の高い歌を独立独歩で歌っていくタテタカコに映像の世界の人間が多く興味を持つのは、やはりそこに「絵」が見えるからだろう。この夏下手な映画を見るよりもお金かけて避暑地に行くよりもこのシングル聴く方が心がろ過されると思う。
(Naked Loft:林美香)
the dokuros / 遅い昼食
XQFE-1001 2,000yen(tax in) / IN STORES NOWthe dokurosの『遅い昼食』は、どこか不思議な雰囲気を持ったCDだった。『遅い昼食』ってすごいタイトルだなって。でも、このタイトルだけでいろいろ想像できちゃう。休日ぐらい良いでしょって言いながら昼食を遅い時間に摂ってる感じとか、昼食の時間が遅くなってしまうぐらい仕事に追われていて、いつまでこんな生活なんだろうってボヤいてみている姿とか。どこにでもありそうな風景をガールズバンド・the dokurosが歌う。女子ならなおさら、共感できる歌詞や表現。私は特に3曲目の『ちょっと死ぬ』が好き。この微妙で曖昧な表現の仕方は、女子ならでは。 前作までは尖った音を掻き鳴らすガールズバンドというイメージだったが今回は違う。フワフワのスカートを履いて、ポカポカした昼過ぎぐらいに外で鼻歌を歌ってるような、もしくは遅い昼食を摂りながらちょとけだるい感じの、決して“尖ったバンド”ではない。バンド歴は13年目にして常に進化を遂げたthe dokurosは、このCDを持って京都から全国へと羽ばたいていくことだろう。
(Rooftop:やまだともこ)
No Regret Life / Can't Explain
CD+DVD:AICL-1955〜1956 1,500yen(tax in) CD:AICL-1957 1,200yen / 8.13 IN STORESこれまではコンスタントにリリースがあって、目が回るぐらいライブをやっていたNo Regret Lifeから、1年半ぶりの作品『Can't Explain』がリリースされる。前作のアルバム『Allegro』を越えるものをと試行錯誤のうえに生み出された今作は圧倒的な演奏力は変わらずに、今まで纏いすぎていた鎧を一度脱ぎ捨てることで、よりタイトでダイナミックなサウンドへと進化したように思う。また、誰もが心の奥底にしまい込んでいる口に出さない言葉や、ただただ前に向かおうという曲ではなく、藻掻き苦しんだからこそ這い上がって進むんだというメッセージは3曲からちゃんと受け取る事ができた。人間的に真っ直ぐなイメージのあるボーカルの小田和奏(本人は否定するが…)から伝えられるメッセージだからこそ、私にはとても説得力を感じる。
長い期間を経て気持ちのリスタートをしたノーリグがどのように次のステージへ向かっていくのかが楽しみである。
(Rooftop:やまだともこ)
藤岡藤巻と大橋のぞみ / 崖の上のポニョ
YCCW-30013 1,000yen(tax in) / IN STORES NOW宮崎駿4年ぶりの長編作品ということで、テレビCM等でもヘビーローテーションされている「崖の上のポニョ」主題歌。親しみやすい楽曲ゆえ、子供からお年寄りまで幅広い世代が口ずさむ流行歌になっているが、どうも様子がおかしいと思うのは僕だけだろうか? 今までのジブリ作品の主題歌、例えば『となりのトトロ』や『いつも何度でも』(千と千尋の神隠し)を聴いた時の安心感がなく、なにかいけないものを聴いたような感じがする。僕は別にニコニコ動画「兄貴誕生祭」のMADビデオのことを言っているのではない。やはり大橋のぞみの両隣に存在するおじさん2人(藤岡藤巻)に問題があると思うのだ。藤岡藤巻とはかつて数々の放送禁止歌で名を馳せた「まりちゃんズ」の中心メンバーだが、その2人が何も知らない9歳の大橋のぞみちゃんと童謡を歌っている図式は、例えば、放送禁止歌の帝王だったタモリが、突然お茶の間番組の司会になった時のような違和感があるのだ。「アンタ、なんでそこにいるの!」みたいな。ちなみにCDには、のぞみちゃんが1人でがんばって歌っているバージョンも入っているので、是非聴き比べて欲しい。
(加藤梅造)
MIC JACK PRODUCTION / ExPerience the ill dance music. II
IDMCD-009 2,100yen(tax in) / 8.15 IN STORESマイク・ジャック・プロダクション(以下、MJP)という札幌を拠点に活動するヒップホップ・グループは、その音楽的な雑食性ゆえに日本のヒップホップ・シーンにおいて特異なスタンスを保っている。札幌というキーワードから、まず多くの人がザ・ブルー・ハーブを思い起こすだろうが、MJPのリーダー的存在のビッグ・ジョーはザ・ブルー・ハーブのラッパー、イル・ボスティーノがラップをはじめるきっかけを作ったラッパーであるというエピソードは、彼らの熱心なリスナーの間ではよく知られている。MJPはそれくらい歴史があるグループなのだ。今回発表するのは3年前にリリースしたミニアルバムの続編である。DJバクがMJPのために制作したトラックをリミックスしたロック・テイストの“I AIN`T GANGSTA-REMIX-”を聴くだけで、彼らが幅広いリスナーに訴える力を持っていることを理解するのは容易い。ミニアルバムと言っても9曲入りで、MJPのいまを知る上で十分な内容である。踊れるライヴも本当におススメだ。
(二木 信)
MONICA URANGLASS / The Invitation EP
XQCZ-1101 1,890yen (tax in) / 8.06 IN STORES“クラブで踊れるロック・バンド”をコンセプトにして、ガレージ・ロックを分母に置きつつ80年代のダンス・ミュージックやニューウェイヴの要素を大胆に組み合わせた音楽性ですでに高い注目を集めているモニカ ウラングラスのデビューEP。そのサウンドは数年前にイギリスのクラブ・シーンから発信され瞬く間に世界中を席巻したニューレイヴからの影響が色濃く、ストロークス以降の英米の同世代バンドにも引けを取らない傑出したセンスを内包している。デモ音源が各方面から好評を得た『Jill United』を始めとするオリジナル楽曲5曲、ニューヨークの極悪テクノ・ユニット、dAdA YakUzaによる『Jill United』、イシイシュウジを中心とする日本屈指のニューウェイヴ・ユニット、GOATBEDによる『Galliano』という2曲のリミックスを収録した本作を聴くと、彼らが“マイスペ世代”の旗手として今後新たなムーヴメントを巻き起こすポテンシャルの高さを感じる。と同時に、時代の徒花にも似たキッチュな匂いもある。そこが実にいい。そのキワキワ感こそロックがロックたり得るいかがわしさなのだから。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
LOVE LOVE LOVE / ターコイズ
ASCM6028 1500yen(tax in) / 9.17 IN STORES今年春にはるばる京都から東京に拠点を移したLOVE LOVE LOVEの新作。早耳リスナーは、彼等の『High Color Blue』や『ビター&スィーツ』で馴染んでいるかと思います。私もそんな一人なので、彼等の新譜をずっと心待ちにしていました。耳馴染みが良いポップなメロディはやはり極上であり健在!またベース&ボーカルの寺井君の声はそんなメロディにガッチリとハマる。聴けば聴く程ハマってしまう6曲のマジック。個人的にはM2『いいじゃないか』、M4の『フレタイフレタイ』の彼らのキャラを彷彿させるかのようなおちゃめな歌詞がお気に入り。 歌詞に時々あるような、愛くるしいキャラ立ちした人柄含め興味津々。私の中でこれからが楽しみなバンドである事は間違いありません!
(SONG-CRUX 樋口寛子)
!wagero! / !wagero!
BVCR-11120 3,059yen (tax in) / 8.20 IN STORES何を血迷ったか結成10周年にあたる今年突発的に“倭製ジェロニモ&ラブゲリラエクスペリエンス”から“!wagero!”へと改名を果たした、自称“日本一の開運バンド”による初のフル・アルバムにして初心者にも優しいベスト・アルバム。本作を端的に述べるのならば、ただひたすらにオーディエンスを楽しませることに命懸けで突っ走ってきた彼らが、人と人との絆を大切に育んできたことが大きな実りとなった作品だと言えるだろう。何せ、THE イナズマ戦隊の上中丈弥、怒髪天の増子直純、ガガガSPのコザック前田、お笑いコンビのTKOといった盟友たちが歌詞を書き下ろし(上中と増子はヴォーカルでも参加)、彼らが愛してやまないキン肉マンとのコラボレーションが「キン肉マンGo Fight!」のマッスル・カヴァーという形で具現化しているという盛り沢山にも程がある内容なのだ。しかも、本作の初回生産分は先行シングル『花』同様にゆでたまご先生描き下ろしの絵柄を使用したステッカー・パッケージという豪華絢爛っぷり。それらに加えて自身の代表曲を惜しげもなく詰め込んでいるのだから、まさに屁のつっぱりと真逆を行く大充実作と言わねばバチが当たる。“友情”を育み、絶え間なく“努力”を続けて遂に手中に収めた“勝利”。往時の『週刊少年ジャンプ』の3大テーマを地で行く彼らに祝杯を!
(Rooftop編集長:椎名宗之)
V.A / Lifetime Lovers
FLH-33 2300yen(tax in) / IN STORES NOW三木道三のメガヒットチューン『Lifetime Respect』のアンサーソング、RSPがプレイする女編からスタートする、現在のラヴァーズレゲエのダンスホールDJや、シンガー、そしてルーツロックを演奏する、ミュージシャン等の和製ラヴァーズオムニバスが発売された。『Lifetime Respect』はやはりレゲエシーンに絶大なる影響を与え、それまでレゲエに触れることの無かった人々への、きっかけとなったであろう。その後主にダンスホールレゲエが目に見えて盛り上がってきたのだが、実は日本人にとても触れやすいラヴァーズレゲエがにわかに、そしてジンワリと名曲がとても多く存在していた。たとえば、いとうせいこうや、UA、中島美嘉等がラヴァーズレゲエをプレイしている。ラヴァーズレゲエソングを日本語でスイートに歌い上げる楽曲はとても日本人に合っていると思う。そんなラヴァーズの名曲達を詰め込んだこのオムニバス、猛烈に熱い今年の夏の夜に流れていて欲しい作品になっている。
(新宿ロフト店長:大塚智昭)
ex.JILS、ex.D≒SIREの幸也がプロデュースする新レーベル「Kranze」(クレンツェ)より新人バンド2組同時リリース!
the bullet / my pain
KZCD-008 1,890yen(tax in) / IN STORES NOWメンバー全員がJILS(1999〜2007年)ローディー経験者という出会いから、Kranze幸也氏(Kαin, ex.JILS)によって結成されたこのバンド。10年ほど前から知っているメンバーもいたりするので、結成当初はまるで我が子を見守るような思いで(笑)そのステージを観ていたのだが、ライブを重ねる度に完成度もどんどん増していき、気が付けばすっかり彼らのファンになっていた。そして待ちに待った今回の初音源。オープニングSEの『THE PROMINENCE』から始まり、現在の彼らの代名詞とも言えるであろう『my pain』。メンバーそれぞれの抱える痛みが、ヘヴィでエモーショナルに表現されている。続く『明日を担う者』は、実は以前ライブで聴いた時から私がずっと音源化される事を願い続けてきた曲でもある。思わず体が動いてしまうノリの良い曲だ。また今回は特典としてライブやオフショットなどのが収められているDVD付き! the bulletの魅力は、心の底から放たれる感情を、シャウトとメロディアスなヴォーカルで表現し、またそれを上手く共存させる事の出来る勢いある楽曲とサウンドにあると言っていいだろう。なぜ「the bullet=弾丸」というバンド名なのかは、楽曲を聴いてもらえれば分かるはず。とにかく今後要注目のバンドだ!!
(新宿LOFT:どうきょうみゆき@小部屋)
LOGiQ / はじまりの詩
KZCD-007 1,890yen(tax in) / IN STORES NOW何とも奇妙な感じがする。「もう一度」などの意味合いを持つ「Re」がつけられたオープニングSE『Rewind』。「…また会えますように」と1曲目から別れを告げる『華音〜Kanon〜』。ライブでもラストナンバーが多く、この音源でも最後の曲『はじまりの詩』。繰り返し聴いているとどこが最初でどこが最後なのか、終わりが無いように思えてしまう。なるほど、初音源にしてなかなか面白い作り方をしてくれる。ジェッツ(Dr)が描いたイメージを元に集まったメンバー。ジャケットやアートワークに蝶の絵が多いように、このバンドを象徴するのはAGEHA(Vo)の声と詩の世界。良い意味でそこを引き立たせる楽器隊。どっちかのバランスが崩れたら成立しなそうな危うさはあるが、だからこその凄みもある。曲調に関しては…活字で音は伝わりずらいのであえて細かくは触れないが、かなりのグッドメロディ。初音源で有る程度の「らしさ」みたいなものは十分に出せていると思う。そこはバンドのクオリティの高さもあるが、プロデューサーであるKranzeの幸也氏(Kαin,ex.JILS)の手腕も大きいと思う。この先もこの関係は続くと思うがシーンを面白い方向に導いてくれる事を願いたい。
(新宿LOFT:みずのはるを)
SpecialThanks(スペシャルサンクス) / SEVEN COLORS
KOCA-48 1,785yen(tax in) / 8.06 IN STORES愛を知る県、愛知県からガールズヴォーカルバンドの最終兵器とも言える、凄まじい子達がやって参りました。予想外とはこういう事で、驚いたなんて軽々しい言葉では足りないくらいの逸材だと思います。聴いた瞬間に思わず、KOGA社長に連絡してしまったくらいです! 90年代初頭のまさに黄金と言われたパンク、メロコアで耳の肥えた世代の方々、ましてやこれからという新世代の方々にも必聴といえるアイテムなのではないでしょうか?! Vo Misakiは若干17歳、現役高校生。素顔に触れる機会があったのですが、その小さくて可愛い顔からは想像出来ないくらいのパワーと歌唱力。そこから繰り出される軸のあるサウンド。ミディアムテンポを織り交ぜた2曲目の『Mr.DONUT』からバラード調の『You say GOOD BYE』への展開なんかは個人的にはとても好きで、一癖二癖以上に、その標準の高さが伺えます。今、動き出しばかりの7色の才能は、やがてそれ以上の色となって、形となり、過去と今を繋ぐ架け橋となる日もそう遠くないかとノLIVEが見たくてたまらないという方々、8/8に下北沢SHELTERにてオープニングアクトとして、出演が決定しております!こちらも必見です。
(下北沢SHELTER 平子真由美)
ガールズバンド(ガールズヴォーカル)発掘の名手:KOGA氏が現在最も熱を上げているバンドのデビュー音源。ファーストらしいパンチの効いた爽快なメロディック・ロック/パンクを基盤とした楽曲もさることながら、注目すべきはやはり弱冠17歳! のヴォーカルMisaki嬢の歌唱力であろう。発音(歌いまわし)がとても心地良く、このリアルギャル歳にして(失礼)色気すら感じさせ、且つキュートであり、とてもオーラを感じます。汎用音楽誌っぽく表現するとしたら「アブリル・ラビーン辺りの洋楽ファン必聴!」です。が、個人的には哀愁感漂うM3『You say GOOD BYE』が後期のFASTBACKSを彷佛させていて好きです。コード進行やギターの感じがとても泣けてきます。こういう曲をもっともっと聴きたいなー。ライブも観てみたいなー。可愛いだろうなぁー。
(URANOK!39)