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キャプテンストライダム / 音楽には希望がある
AICL-1918 3,059yen(tax in) / IN STORES NOWキャプテンストライダム待望の4thアルバム『音楽には希望がある』がリリースされた。本当のことを言うと、確か『風船ガム』の時に某番組で見ていたような記憶はあるが、その前もそして今日に至るまでの期間、彼らの音楽にはほとんど触れたことがなかった。CDもちゃんと聴いたことがなかったし、ライブも見たことがない。ライブとかたくさん見に行くでしょと言われることが多いが、1ヶ月のうちに行ける日数はあまりないし、何より好きになるととことんハマり他が見えなくなってしまうため、何回も通い詰めるバンドと、いつまで経っても一度も見に行けないバンドが出てしまう。でも、今回『音楽には希望がある』を手にした時、何か聴いてみようと思わせるものがあった。そして遅ればせながら彼らのことが大好きになった作品だった。シングルにもなっている『人間ナニモノ!?』で始まり、スカのメロディーで痛快に歌う『CHERRY BOY』。リアルな30男がコミカルに表現された『わがままチャック』。「君がいなきゃ何もできない」というフレーズが、ちょっぴり情けない最近の男子を象徴しているようでもあり、情けないなりに緊迫した心情や絶望感が伝わる。魅惑的なサウンドで始まる『リズム&スパイダー
〜男と女の関係〜』。『裏道のHIGHWAY STAR』では、深夜の高速道路を駆け抜ける時に余韻を残しながら光り続けるライトをイメージさせるピアノが心地良い。いきなり昭和の時代にタイムスリップしたかのような懐かしいリズムの『東京ジャンボ☆ディスコ』などなど。ここまで一通りハチャメチャに暴れ回り、『サヨナラ』『ありのままで世界は』、そして最後の『愛の言葉』へと続く。先程まで魅せていたオチャメな30男ではなく、大人の魅力を持った30男の様が窺える。という、全曲一瞬たりとも聴き逃したくない全12曲。
「男は30歳から!」とはよく耳にする言葉であるが、確かに30歳を越えた男子の皆さんは吹っ切れるポイントだったのか、どこかオチャメなところがあったり、それでいて考えていることは立派だったり知識が豊富だったり、とにかく魅力的だと思うことが多々ある。そう考えると、現在32歳の永友さんが書く詞もコミカルであったり、リアルであったり、それなりに人生経験を積んでいたり、若さ故の隠したいものが少なくなった分、等身大のキャプテンストライダムが詰め込まれた作品になったのだろう。また、世界有数のドラマーにして全米を代表するプロデューサー、スティーヴ・ジョーダン氏や笹路正徳氏、そしてセルフプロデュースの3つのプロダクションで作り上げた今作は、彼らのキャリアを語る上で最重要作となるだろうということだが、私にとっても彼らに出会うことができたという意味で最重要作である。知らない者同士をつなげてくれたという部分も考えると、やはり音楽には希望があるのかもしれない。
(Rooftop:やまだともこ)
acalli / universe
BDCU-1015 1,575yen(tax in) / 7.23 IN STORESVo.橋都章人さんとの出会いは、私が確か高校生の頃。章人さんの当時のバンド、ALL I NEEDのビデオクリップが偶然見たテレビで流れていたのだ。その時私は、ハッと耳と目を奪われ、ALL I NEEDというバンド名と章人さんの歌声が心に焼き付いた。そして私が新宿LOFTに入社した後、LOFTでALL I NEEDのライブが決まった時には胸が躍ったものだった。公演当日、初めて生のライブを見た私は、感情のままに歌う章人さんの姿に圧倒されると同時に激しく心を揺さぶられた。やはり私の耳は間違っていなかったと思った。ALL I NEED、HUSH、BEAUTY MANIACSとライブハウスシーンを駆け抜けて来た章人さんの新バンド、acalli。その待望の初音源となった今回のマキシシングル。「橋都章人」というヴォーカリストの存在感は健在だ。むしろ、その存在感は繊細かつ直情的な楽曲に乗り、更にパワーアップしていると言っても過言ではない。また7/19にはもう1枚のマキシシングル『the superlative degree』が会場限定発売される。同時に横浜7th AVENUEを皮切りに全国ツアーがスタートする。どこからどう見ても真っ当なロックバンド、それがacalliである。
(新宿LOFT:どうきょうみゆき@小部屋)
e-sound speaker / そして、一瞬のひかり
COCA-16098 1260yen(tax in) / IN STORES NOW 待ってましたー! イースピの新作! 早耳のリスナ−の間では既にお馴染みだったりする『そして、一瞬のひかり』は、MBS・TBS系全国ネット「ランキンの楽園」エンディンクテーマで聴いたり、着メロ、着うたで聴いていることでしょう。そして、年間100本近くのライブをしている彼等のライブでも好評な楽曲。私は楽曲はもちろんですが、大迫君の声が凄く好きです。彼の歌声を好きになって早数年。ここまで楽曲と声がリンクしている人もそういないと思います。いつもオーディオからイースピの楽曲を聴く時のトキメキは半端ないですよ。
『そして、一瞬のひかり』は、イースピの楽曲全てに感じる事だなぁと思いました。いつも自分に向けて歌っているかの様な楽曲に「ひかり」が見える。不安の中にも「ひかり」が見える。こういう楽曲こそ今の世の中に「ひかり」を与えるのではないでしょうか。
シングルなのにまるでミニアルバムの様なボリユームは捨て曲なし! 早くも新作が楽しみな私です。
(SONG-CRUX:樋口寛子)
yellow gang : ROCKIN' WRECKER(split)
IHSR7 1,575yen(tax in) / 7.25 IN STORESyellow gangとROCKIN' WRECKERのスプリットが出ます。世の中も相当いい時代にになりました。ひと世代前ならおそらくあり得ない話だろう。この2バンドは相当カッコいいですが、相当無名なバンドだろう! そんなバンドのCDがタワレコやHMVとかに並ぶわけですよ。やはり天下のDIWプロジェクトはやることが違いますね! でも例え無名のバンドだってカッコいいバンドは山ほどいます!(逆を言えば有名でもカッコ悪いバンドはいっぱいいますよ。)実際にyellow gangとROCKIN' WRECKERに関して言えば本気でカッコいいです! 出来ればライブを見てからCDを買ってほしいですね! もっともっと言えばyellow gangとROCKIN' WRECKERと対バンしているバンドは大体カッコいいです。ってまた抽象的なことを言ってしまいましたが、すごい良い意味で身内バンドが最高に優れているシーンだと僕は思います。だからこのCDを買ってしっかり予習してからライブに行くもよし。ライブを見に行って会場でCDを買うもよし! とにかくライブに足を運んでください! そうすれば絶対彼らの良さがわかるはず。それでも彼らの良さがわからないと言うのであればそこら辺の二番煎じな音楽でも聴いててくださいな。それで満足できるなら。
(新宿LOFT:HxGxK)
いろは / かな
ATRT-104 1,365yen(tax in) / 7.02 IN STORESイガ、TANAKA-SUN、りゅーた、みなみの4人で活動している「いろは」が、デビューミニアルバム『かな』をリリース! 「いろは」「かな」という単語と、このジャケットだけで想像すると正統派の歌ものバンドなんじゃないかと思わせるが、CDを聴いてまずギャップに驚かされる。1曲目の『こえ』は短い時間ながら、ポップでハッピーな歌声とサウンドを聴かせてくれるのだが、なぜかここから思ってもいなかった方向へと連れて行かれる。次の『街のいろは』(interlude)では、濃厚すぎる程のエネルギーが込められたメッセージが。そこから何事もなかったように『夜のお散歩』へと続くのだが、この曲がまたハッピーな曲で、イガのやわらかい歌声で「フラフラ歩きながら星と躍るのさ」なんてロマンティックな歌詞もあり、隣に女子がいたならばそれだけでキュンとさせちゃうようなフレーズが散りばめられている。と同時に、さっきのアレはなんだったんだろうと。確かに彼らのライブは、CDから想像するようなポップさだけではなく、時にむさ苦しい程の熱量を全力でぶつける。となると、ライブも歌もメロディーの良さも聴いているとなんとなくハッピーになっちゃう感じも、この6曲で21分という短い中で充分に伝えられた1枚と言える。今後のいろはがとても楽しみに感じる作品。
(Rooftop:やまだともこ)
WEEKEND / WEEKEND
NICE-012 1,000yen(CD-R) / IN STORES NOW正直、ラップとかって聴かないですし、むしろ、ある種の毛嫌いに近いくらい聴いた事がない自分ですが、ラップです。しかし、下北沢のとあるバーのマスターから紹介してもらって、イベントに行ったり、HPをチェックしたり、自分のイベントに誘うまでに興味を持ったのは、“90'sポップスが落としたひと粒のティアー”という彼等のキャッチコピーが示すように、観た事も聴いた事もないけど、嗅いだことはあるような気がする“あの時代のあのにおい”が感じられたのと、ホームページ <http://www.tokyohelloz.com/weekend.html>のなかでのネットラジオ、イベント、本の出版など、いろいろとユルく楽しくやってる感があって、「ああ、俺らもあのイベント始めた頃はいろんな事考えてたよなあ」ってのを結構実現してて、楽しそうな雰囲気が伝わって来たからなのでした。というわけで、あの時代のようなゴッタ煮な感じのイベントに誘わせて頂きました。
7/19(土)下北沢daisy bar open/start 18:30/19:00 adv/door 2000/2300(+1D)
出演:ATTA BELTERSS/VELTPUNCH/M.A.G.O./WEEKEND/DJ MOTTI(e)from Bar juice
問い合わせDaisy bar 03-3421-0847
(LOFT RECORDS/TIGER HOLE:オオサワシンタロウ)
8-eit / GLAMOROUS
XQFH-1001 2,100(tax in) / 8.06 IN STORES8-eitが遂に1st ALBUMをRELEASE!! Guitar 荒舘さん・Bass 井田さん・Piano 松原さん・Drum 櫻井さんがJazzyな音色を響かせ、そしてVocal 椿さんのしゃがれた歌声が絡み合い、大人な雰囲気でとても格好良い8-eit。“エロしぶ”さに磨きがかかったように感じました。初めて聴く楽曲の時は、たとえ歌詞カードがあっても見ず、まずはサラリと1回通して聴くんですが、5曲目の『祈り』という曲を聴き終えた時、すごく心惹かれました。歌詞がすごく心に残りました。「祈る想い届くまで 歌い続けるから 一度だけ お願いだから ここに来て 力まかせに 痛いぐらい抱いて」「目を閉じて祈るだけ 少しだけ勇気分けて 届かぬ想いなら いっそ私を殺して」切なすぎます…(椿さん、歌詞が間違ってたらすみません…汗)。椿さんの歌声によって更に歌詞が切なさを増して、私の心に響いてきました。そしてもう1つこの曲に惹きつけられた理由…曲間にしゃべってる人は誰?って事が気になってしょうがないです。でもその中で「愛に見返りを求めるモノじゃないけれど 祈るだけじゃ奇跡は起こらない」という言葉があって、感慨深いモノがありました。
8/6の発売に先駆け、7/12の高田馬場CLUB PHASEでのLIVEにて先行販売もあります。そして、直販&通販のみSpecial DVD(PV&LIVE映像)付きという特典有り!(数に限り有り)“GLAMOROUS TOUR2008”が8/8の渋谷DESEOワンマンからstartします。このALBUMを聴いたら、私もますます8-eitのLIVEを観に行きたくなりました☆
(新宿LOFT副店長:河西 香織)
オーノキヨフミ / センチメンタル道案内
LZCD-5001 2600yen(tax in) / IN STORES NOW前作『ラディカル』から早1年。待望のフルアルバム『センチメンタル道案内』をリリースさせた。作詞/作曲はもちろんの事、演奏、ミックス、マスタリング、ジャケットデザインまで全て一人で担当したという器用な彼。1人でやり遂げる様は、音楽同様とても勇敢に感じる。今回は、彼が一番の武器とも言えるアコースティック風味な楽曲に、ピリリと効いたスパイスかの様な音と言葉の数々。そして温かい音像、楽曲そのものがまさにオーノキヨフミの分身。ただのアコースティックナンバーでが終わらせない所が彼の持ち味だなぁと改めて実感。
前作『ラディカル』発売以降、ライブで発表していた新曲の数々が収録されているので、ファンにはようやくと言った所でしょうか。もちろん「名前は聞いた事あるけど…。」って言う人でも入りやすい作品ですよ。
(SONG-CRUX:樋口寛子)
Shaolong To The Sky / 待ちわびた暁
MYNR-002 2,100yen(tax in) / IN STORES NOW當山貴史さんこと魂さんがソロで東京に来るときは、ネイキッドで毎回ライブをやって新宿の片隅の大久保職安通りに元気を与えてくれる。そんな魂さんのバンド、Shaolong To The Skyの新譜は沖縄の風景を表現した前向きな曲から、実際の沖縄の青年が心に抱いている感情が彼の中のピュアな表現で歌われている。また基地、アメリカという文化が今も引き続き残っている街、コザ。昔、数多くの先輩ミュージシャンがコザからメッセージを投げかけていた。先輩ミュージシャンから継いでオリジナルなスタイルで歌うShaolong To The Sky、彼等のアルバムジャケットからも見える沖縄の背景。この新作を聴いて青い海、青い空以外の沖縄を感じてほしい。8月9日にはネイキッド夏フェスの一環で大久保海太、中尾諭介(In the Soup)とのイベント『ドッペルゲンガーショウ!』を開催しますので是非、足を運んでいただきたいです。
(Naked Loft:上江洲修)
The John's Guerrilla / Shoot the radio/Shadow disco
RTC-005 799yen(tax in) / IN STORES NOW正統派とは別次元に位置する、終わりのないパーティーの首謀者達。The John's Guerrillaは香りの強い花。荒野に咲く個性の固まり。異国のラジオから流れてくるような、70'を彷彿とさせるガレージ、ファンク・ロックな音と、攻撃的かつサイケデリックなステージングで、見る者を魅了する新星だ。一度耳にすると、昼間の太陽のようにジリジリと心に侵略してくる感覚に捕われる。DOUBLE A SIDE SINGLEとしてリリースされるこの作品にはLIVE音源も収録され、3曲ながら彼らの世界観が濃縮し、目が眩む程危険だ。偽物とウソを撃ち抜いていく威力。人工の風と光で成り立っている私達の、衰えてゆく戦意を呼び起こす存在になってもらいたい。楽しいだけのパーティーなら、いずれ終わりが来る。それを知りながら、吐いては捨て、消化しない世代へ。
The John's Guerrillaがもたらすものは何か。陰った雲間から射す太陽の光のようなインパクトか、音楽シーンを席巻する力か。彼らの起こす悪戯を目の当たりにしたい。“ほら”と自慢気に見せびらかす、その毒が私は好きだ。彼らが高らかに鳴らす真っ赤に流れる音は、留まる場所を探す、新世代の鮮やかな目印になるだろう。
(新宿LOFT:岩波 亜朱香)
SCOTT MURPHY / Guilty Pleasures II 〜スコット・マーフィーの密かな愉しみ〜
UPCH-1612 2,000yen(tax in) / 7.09 IN STORESパンクが何かとかロックが何か、なんてことは心底興味がないんですが、このアルバムは素晴らしいと思います。素晴らしくエンターテインメント。小難しい解釈をはさみ込む余地は一切なく、許されるのは「楽しかった!/楽しくなかった!」という、快楽至上主義パーティーピープル的二元論。個人的にはとんでもなく「楽しかった!」の方ですが。
ということで、昨年惜しまれつつも解散したアメリカのALLiSTERによる大ヒットパンクカバーアルバム『Guilty Pleasures』の第2弾です。今回はバンドのフロントマン、スコット・マーフィーのソロ名義でのリリース。もうね、疾走感溢れるパンクカバーの『ドラえもんのうた』が1曲目に登場した瞬間に思考停止します。後は『乾杯』とか平原綾香『ジュピター』とか浜崎あゆみとかのカバーが続々登場して、終始心の拳が空高く上がりっぱなし。音楽に快楽と娯楽を求める人は、3食抜いてでも手にすべき1枚。
ちなみにスコットさん、7/16から日本ツアーが開始します。バックバンドはギターにGONGON(B-DASH)、ベースにFUMI(POLYSICS)、ドラムに高橋宏貴(ELLEGARDEN)という失禁級の面々。つべこべ言わずに行きなさい。
(ルーフトップ★ギャラクシー:前川)
SHING02 / 歪曲
IDCM-1045 3000yen(tax in) / IN STORES NOW待ちに待ったSHING02の日本語アルバム『歪曲』が制作期間6年を経て発売された。こんなに期待したアルバムは久しぶりだった。SHING02に出会って、ノレるだけでは無いHIP-HOPに出会った。そんな彼の新作は全て楽器でセッションを重ねその音源をサンプリングし構築したという、人間味のある温かい音でした。そんなサウンドに乗せて歪曲した現代へ発信する「中指で塞ぐ銃口、暴発思想な若気の風潮」と始まる今作。社会へ向けてと言うよりも、根本的な自然を想い、愛について考える、その事が現代で今一番考えるべき事では無いかと言っているような詩だと思いました。
SHING02は、人として、日本人として芯の部分が固い。日本の心を大切にし、自分なりの解釈で、うったえる。自分の周り、日本、そして世界の将来を真剣に考えている音楽家として、人として、こんなに興味を持つ人はそう居ない。私は、SHING02に影響を受けました。
(新宿ロフト店長:大塚智昭)
ドレミ團 / 夕暮れライン
AK-0004 3,150yen(tax in) / IN STORES NOW好きなミュージシャンを挙げるとき何が好きかって言うと、まずは曲や詩といった音楽的な要素。それにプラスでミュージシャン自体の魅力というものがあって、独自の雰囲気・世界観を持っているミュージシャンというのは素敵に感じるものだ。ともすれば一つの方向に集約されてしまいがちなメンバー各々の個性を殺すことなく、バンドの世界観を作り出すことは容易ではない。
Vo.マコトの中性的でコケティッシュな特徴ある歌声が、2本のギターが鳴らすメロディに乗って伸び、それをベースとドラムのリズム隊が力強く支えている。ハードロックを基調に、アコーディオンやオルガン、ホーンセクションが加わるアレンジは、詩世界とあいまってどこかノスタルジック。耳馴染みやすく、ノリやすいアルバムに仕上がっている。
8月からは全国ツアーが始まる。インディーズチャートで注目を浴びている彼らの世界観を、是非ライブで体験してみたい。そう思わせるには十分な内容の一枚だ。是非。
(Asagaya Loft A:山崎研人)
中島卓偉 / STARDUST VOX
EPCE-5565 3,150yen (tax in) / 7.23 IN STORES中島卓偉はプロのロック・リスナーである。彼と取材を通じて会う度に楽しみなのは、彼と話す古き良きロック談義だったりする。洋の東西も今昔も問わず、バディ・ホリーからレディオヘッドまで彼のロックに関する博識はとにかく凄まじく、自らの作品を語る際にもそのロックの知識が判りやすい喩えとして引用されることが多い。その話を聞く度に僕は思わず頬が緩む。大好きなロックを熱っぽく語る彼の眼差しは真剣そのもので、ロックを自らのアイデンティティとしていることが如実に窺えるのだ。本作には疾走感溢れるロック・チューンやハードなリフで押しまくるパンキッシュなナンバー、切々と唄い上げるミディアム・バラッド、そして純度の高いラヴ・ソングといつもながらにヴァラエティ富んだ全12曲が収録されているが、通底するのはロックに対する限りない愛情である。だからこそ僕は中島卓偉の歌を信用できる。ロックに刻まれた男が体現する真摯な歌に不純物が含まれている筈がないのだ。なお、「真夜中のパラノイア」と「DANCING STARDUST」での和田唱(TRICERATOPS)、「LOVE MERMAID」でのいまみちともたか(ex.BARBEE BOYS)、「流星歌」での吉田直矢の客演も素晴らしいことを付記しておきたい。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
THE BEACHES / POLICE & GIRLS & BOYS
WHCD-51 1,000yen(tax in) / 7.09 IN STORES『POLICE & GIRLS & BOYS』は流れてきた瞬間から、今すぐにでも躍りたくなるような作品。たとえたった一人の部屋だとしても、静かな電車の中だったとしても、誰もが他人の殺伐とした都会のど真ん中でも、ビール片手に乾杯したくなっちゃうような、ハッピーな雰囲気の詰まったオリジナルのダンスミュージック。この曲でヒサシ the KIDはギターを弾いていないそう。でも、一定のメロディーをループさせる鍵盤の音とか、打ち鳴らされるドラムとか、“癖になる”要素がたんまりと盛り込まれていて、全身がキュンキュンと刺激される。こういう楽曲に進化したのは、NYからLAまで7都市でのUSツアーから帰国後すぐにスタジオに入って作られたというのも大きなことだったのでは? と思わずにはいられない。また、彼らが最も敬愛するTHE CLASHの『BANKROBBER』のカバーや、初回盤のみボーナストラックとして、USツアーから『CHITTY CHITTY BANG』のライブ音源も収録されている。ニヤニヤして、フムフムして、ワイワイできる1枚。
(Rooftop:やまだともこ)
Buono! / Kiss!Kiss!Kiss!
PCCA-70215 1,050(tax in) / IN STORES NOWハロー!プロジェクトでは昔からミニモニ。やタンポポといった、本来の所属グループとは別のユニットを結成することが多いが、このBuono!(ボーノ)もそうした別ユニットの一つ。Berryz工房から嗣永桃子と夏焼雅、℃-uteから鈴木愛理が選抜されて結成された3人組で、それぞれが人気、実力を持っている強力なユニットだ。昨年10月に『ホントのじぶん』でデビュー。オリコンで5位になるなど、予想以上のヒットとなった。楽器演奏はしないもののガールズロックをイメージした衣装に、ギターを全面にアレンジした楽曲はとても親しみやすく、Berryz工房や℃-uteのファン以外にもアピールする要素を持っている。3rdシングルにあたるこの『Kiss!Kiss!Kiss!』も従来と同路線の曲で、きれいなメロディーラインとポジティブな歌詞が印象的だ。20歳過ぎた青春ロックを聴くのは正直キツイが、彼女たちのようなミドルティーンが歌う青春ロックはなぜか素直に心を打つから不思議だ。1stアルバム『Cafe Buono!』もオススメ。
(加藤梅造)
松山千春 / 我家
COCA-16086 1,260yen (tax in) / IN STORES NOW松山千春は'77年のデビュー以来、一貫して“フォーク・ソング”にこだわり続ける唄い手である。ウディ・ガスリーやボブ・ディランのようなプロテスト・ソングとしてのフォークではなく、本来の意味である“民俗音楽”としてのフォークを極めて土着的に昇華させてきた。新党大地のテーマ曲としても知られる『大空と大地の中で』の例を挙げるまでもなく、彼は今も故郷・北海道を愛し、地元愛から発する普遍的な歌の数々を発表してきたわけだが、この通算62枚目となるシングル『我家』もまた彼の揺るぎない故郷愛から生まれたものである。タイトル・トラックは、当時23歳の彼が書き下ろした唯一の自伝『足寄より』が原作の映画『旅立ち〜足寄より〜』(今年11月に北海道で全国に先駆けて上映)の主題歌。「貧しさというのは 愛を知らないだけ/空しさというのは 夢を持たないだけ」と唄われる叙情に溢れた雄大なナンバーだ。平易な言葉で優しく問い掛けるように歌声の向こうに、夕暮れの足寄の町が鮮やかに浮かぶ。常に故郷を心の拠り所として、命の限り愛と夢の大切さを説くこと。それが松山千春という不世出のフォーク・シンガーの“SAGA”なのである。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
MINMI / MINMI BEST 2002-2008
VIZL-280 3,800yen(tax in) / IN STORES NOWDOUBLEのベストを買うか、このMINMIのベストを買うか悩んだ。『The Perfect Vision』以来、常に飽きることない音楽を作ってくれたMINMI。
『シャナナ☆』は、夏に飛行機に乗っている時に聴いて、耳から離れなかった。何だこの、陽気すぎるメロディーと歌い方は、衝撃を受けた。『I Love You Baby』のPVを見た時は、なんて彼女は心から幸せそうに歌うのかなと思った。見ているこっちが照れてしまいそうな位。そう、彼女の音楽は自身そのものだ。だから、無理して格好良くしているそこらへんの音楽とは違うんだ。とても魅力的。初回限定盤には、リミックスも入ってこれがまたいい、全22曲ノンストップ。このCDに書いていた通り、世界一ポジティブでハッピーなBEST。永久保存盤だ。
(下北沢SHELTER:サチコ)
RIGHTNING-V / Someday
RCSP-0006 500yen(tax in) / IN STORES NOW関西発の3ピース。荒削りながらも斬新といえるサウンドは懐かしさを感じさせてくれます。美しいメロディーから奏でられるコーラスと、疾走感溢れるギターサウンドは、ミドルテンポながら絶妙なバランスを兼ね備えています。90年代の黄金期と、今をつなげてくれる架け橋になってくれるに違いないかもしれません!? RIGHTNING-VのLIVE会場限定と関西まで足を運べない人たちの為にもindiesmusic.com でも500円(税込)ワンコインシングル、3曲入りとして販売中です。全国各地のLIVEハウスで拳を突き上げるあの瞬間が見れる日もそう遠くないと願ってやまない、新生がまた産声をあげました。
(下北沢SHELTER:平子真由美)
WRENCH / drub
CTCR-14589 2,500yen(tax in) / 7.09 IN STORESその昔、オレが人生初のインタビューをしたバンドがWRENCHだったな〜。それは2000年のアルバム『bliss』リリース時で、当時日本で一番好きなバンドに話を聞けるってことでガッチガチに緊張したもんだ。その時、SHIGEさん、松田さん、坂元さんを目の前に「オレはWRENCHに宇宙を感じるんです!」ってしつこいくらいに言いまくって苦笑いされたんだよな……。あれから8年、今でもあの時と変わらずシーンの最前線を突っ走り、進化し続ける彼らを見ていると尊敬の念すら覚える。んで、この作品……SEIJI(GUITAR WOLF)、浅野忠信、石野卓球などなど、豪華なゲスト陣とのコラボももちろん注目なんだけど、オレはやっぱりWRENCHの持つ迫力と混沌、そして何よりも「宇宙」に魅力を感じた。ファーストリリースから15年目を迎えたバンドに、こんなにも鮮烈な「一撃」を食らわされるとは思ってもみなかった。また、パフォーマンスに定評のある彼らのライブセレクションDVD『NISTORY』も同発される。これからの世の中、どっちも必須アイテムだよ。
(ルーフトップ★ギャラクシー:東 健太郎)
V.A. / 獏 詩人・山之口獏をうたう
BCD-4 2,800yen簡潔でシニカルな高田渡作品の多くは他作の現代詩に伴奏を付けた朗読スタイル。そんな彼の楽曲中でも異彩なのは、沖縄出身である山之内漠の詩を用いたもの。インパクトのない単語、リズムのない言い回し、見つからない“意味”。「どうして高田渡はこの詩を選ぶのか」そんな疑問をきっかけに詩は僕の中と外とを反芻し続けたのです。呑んだら全てがわかったようでも、覚めればハテナのふりだしに。まるで何人も「あがり」には辿り着けないであろう、意地悪な双六のようだと思います。
そんな詩人を同郷のミュージシャンが中心となり歌にしたのが『漠』です。佐渡山豊、大工哲弘、石垣勝治、ふちふなも歌ってる。初めて気付いた内田勘太郎のギターの魅力。8月30日、Naked Loftが待ち遠しい。
(Naked Loft:上里 環)
V.A. / 極東最前線2
VPCC-84440 3,500yen (tax in) / 7.23 IN STORES「そんなにめでてぇことかな? と思うよ。むしろ伏せておきたいくらい。20年やってきたから何? って感じだよ。やめたくないからやめなかっただけだから。節目みたいなものに執着はないし、趣味じゃない」。気が付けば来年(2008年)は結成20周年を迎えることになりますね、という僕のフリに対して吉野寿が応えた言葉である(本誌2007年11月号に掲載)。「むしろ伏せておきたいくらい」というのが、如何にも吉野らしくて思わず口元が緩んでしまう。活動の節目を自ら賑々しく祝うのは彼らの流儀ではないだろうが、ファンとしてはこれだけ秀逸なコンピレーションを享受できればただただこの20周年に感謝なのである。8年振りの極東コンピは全29曲・2枚組仕様というとんでもないヴォリュームで、質実ともに前作を遙かに凌駕している。パニックスマイル、少年ナイフ、ゆらゆら帝国、カーシヴ、小谷美紗子、タテタカコ等々(割愛させて頂いた皆さんすみません)、他の誰にも似ていない強い個性を持った表現者たちの表現に対して極めて真摯な歌々を聴くと、送り手の音楽に対する限りない愛情はしっかりと聴き手の感受性に突き刺さるのだという極々アタリマエのことを改めて感じる。消耗品には決してなり得ない真心の歌は人の心を豊かにするし、今日を生きる活力を与えてくれる。そのことを実証する懐の深いコンピレーション・アルバムだ。
(Rooftop編集長:椎名宗之)
THUMB,SHORT CIRCUIT,CAPTAIN HEDGE HOG / 九人の侍
3P3B-55 3,500yen(tax.in) / 7.09 IN STORESもしかしたらご存知無い方もいらっしゃると思うので、説明させて頂きます。惜しまれつつ解散してしまった、THUMB(BEEFの岡田氏Vo & B)、SHORT CIRCUIT(ASPARAGUSのナオウ氏Vo & B)、CAPTAIN HEDGE HOG(ASPARAGUSの忍氏 Vo & G)の3組総勢9人で「九人の侍」と題して今から8年前に、全国TOURを行ったのです。そのFINALを赤坂BLITZ(今の所ではなく前の)で行い、その模様はVHS VIDEOとして限定リリースされたのです(昔、よく観てました 笑)。残念ながらVIDEOに収録されていたオフショットは無いのですが、VIDEOには収録されていなかった曲と、MCを含めたLIVE映像のみ完全収録されたDVDがリリースされます!! なぜ、今のタイミングでリリースかといいますと、3P3Bは来年、めでたく10周年なのですが、今年は9周年だからなんですね〜。かけているんです〜。未体験の方々も多いと思いますが、37曲、1時間46分収録されていて、懐かしいを通り越して、やはり改めて彼等の凄さを痛快に、存分に、異なる魅力として楽しめる内容なのではないでしょうか!?
(下北沢SHELTER:平子真由美)