バンドほど自由な場所はない!
“初期衝動”と“自由な発想”に彩られた金字塔的作品『ORANGE ROCK FES 33』をめぐって ヤムヤムオレンジの周辺が慌ただしい。じっくりと腰を据えて作品作りに集中した2007年を経て、今年は2月にミニ・アルバム『Candy Candy Candy?』を、そして僅か4ヶ月のインターバルを置いて通算5枚目となるフル・アルバム『ORANGE ROCK FES 33』を先月末に発表し、精力的なリリース攻勢が続いている。両作品ともプロデューサーに鬼才・上田健司とレピッシュの杉本恭一を迎え(『Candy Candy Candy?』での杉本はギター・サウンド・プロデューサー)、彼らの標榜するポップなスカ・パンクが上田と杉本による妙味に富んだアイディアを触媒として更なる高みに達したことを如実に物語っている。特に最新作『ORANGE ROCK FES 33』では、『Candy Candy Candy?』で提示した何物にも囚われない自由な発想を武器に奔放かつ緻密なサウンド作りに成功しており、彼らが単なるガールズ・スカの象徴的バンドから大きな成長を遂げたことが窺える。バンドにとってはまさに最高傑作と呼んでも差し支えないだろうこの『ORANGE ROCK FES 33』の完成を記念して、ヤムヤムからKUMI(vo)とRYU(g)、バンドの著しい成長に関与した杉本恭一の3人にざっくばらんに語り倒してもらった。(interview:椎名宗之)
衝動的な音楽を今やるとどうなるか
──月並みですが、両者が知り合ったきっかけから教えて頂けますか。
RYU:上田健司さんに『Candy Candy Candy?』のプロデュースをお願いして、ウエケンさんの紹介で恭一さんとお会いしたんですよ。最初、恭一さんにはギター・サウンド・プロデュースとして関わってもらって、その後に曲のアドバイスをもらいながらプロデュースをしてもらうようになったんです。
杉本:もう1年になるよね。初めて会ったのは、去年のちょうど今くらいだから。ヤムヤムの名前は知ってたものの、彼らの音楽をちゃんと聴くようになったのはプロデュースに関わってからなんだよ。
RYU:僕はレピッシュの音楽が好きだったので、凄く緊張しましたね。最初に恭一さんにスタジオのリハに来てもらった時は、緊張で凝り固まってましたから(笑)。
KUMI:リーダー(ベースのHIDE)も凄く凝り固まってたよね(笑)。
RYU:そう、僕とリーダーはバンドを始めようとしてた頃にレピッシュのライヴを観てたんですけど、他のメンバーは世代的にレピッシュを聴いたことがなかったみたいで。
──『Candy Candy Candy?』の時は、恭一さんからどんなアドバイスを受けたんですか。
RYU:ギターに特化したことは余り言われなかったですね。プレイの面では「好きにやってくれよ」と言うか、自分のできることをただやるのみでしたね。「こういうふうに弾いてみたら?」みたいなことは言われなかったです。『Candy Candy Candy?』と今回の『ORANGE ROCK FES 33』は同じタームでレコーディングしたんですよ。全部一緒に録って、それを分けてリリースすることにしたんです。
──今回の『ORANGE ROCK FES 33』はある種のコンセプト・アルバムとも言えるし、タイトルに“33”という数字が記されているのはファースト・アルバムの『ORANGE STREET 33』を想起させますよね。つまり、バンドの初期衝動をテーマにした部分もあるのかなと思ったんですよ。
RYU:思いとして一番最初にあったのは、勢いのあるものを作ろうと。バンドを始めた頃のように、余り深く考えずに音楽を楽しむって言うか。そういう衝動的なものを今やったらどうなるかが元々のテーマでしたね。だから、ポップさを追求すると言うよりは、どちらかと言えばロック寄りな方向に行きたかったんですよ。
──ユニークなのが、曲間に遊び心満載なSEが全編にわたって挿入されていることですね。これは恭一さんによる発案だそうですが。
RYU:そうなんです。今、ライヴやプロモーションで「次のアルバムは23曲入りです!」ってアピールし続けているんですけど、アルバムを聴いてくれた人の反応が気になりますね(笑)。
──ああ、SEもしっかり1曲としてカウントされていますからね(笑)。
杉本:いや、やっぱりガッカリさせてナンボだよ(笑)。今回はバンドのセルフを含めて、上田と俺と3組のプロデューサーがいるから、SEを入れることで作品の統一感を出そうとしたんだよね。俺のプロデュース曲ではエンジニアまで変わっちゃったから、それもあってどうまとめようかってRYUといろいろ相談したんだよ。アルバムの芯はしっかりしたものが出来ているわけだから、逆に外れたことをやりたかったんだね。一番最後の「YOU & ME」は、音質的にも一番外れたところに行こうと思ったりね。
──グロッケンをフィーチャーした「fantasy」の後にドリーミーな「Merry Go Round」へと繋がったり、サックスのダブ処理が施された「Sky blue beach」の後に同じくダブ処理を活かした「SUPER SUMMER DAY!」が始まったりと、どのSEも楽曲の効果的なアクセントとして機能していますよね。
杉本:そこは狙ってやったね。アイディアを出してメンバーに聴いてもらって、場合によっては生演奏に変えたものもある。今回はまた見事なまでにいいメロディの曲が多くて、ヤムヤムの長所と弱点はオリジナル・アルバムなのにまるでベスト盤のように流して聴けちゃうところだなと思ったんだよ。だったら、チャンネルを変えるように新たに1曲1曲に合う仕掛けを作ろうと思って、このアイディアが浮かんだんだよね。
杉本・上田両氏の“壊し屋”っぷり
──そういったアイディア然り、恭一さんの起用はいい意味でバンドの姿勢を壊す狙いもあったんでしょうか。
杉本:最初、上田に呼ばれた理由はそこだったんだよ。「バンドを壊してくれ」って(笑)。だからは俺がプロデュースする段階では“壊し屋”みたいな部分を担ってたよね。
──ただ、「Merry Go Round」のサビでストリングス風のシンセがあしらわれてみたり、「パンクソング」というタイトルながら決して一筋縄では行かないパンク・チューンに仕上げてみたりと、ウエケンさんのプロデュースも随分な“壊し屋”っぷりだと思いますけどね(笑)。
杉本:うん、あいつも相当な“壊し屋”だと思うよ(笑)。
──恭一さんとウエケンさんのプロデューサーとしての違いはどんなところですか。
RYU:うーん、どうだろう?
杉本:実はそんなに変わらんやろ?(笑)
RYU:(笑)恭一さんと僕は同じギタリストなので、ギター・アレンジに関しては恭一さんのほうが僕に対する指示が多かったですね。僕は今まで、割とほったらかしの状態でレコーディングをしてきたんですよ。他のパートは「この部分を気を付けろ」とかプロデューサーにアドバイスを受けたり、レコーディングの時もみんなが固唾を呑んで見守る感じなんですけど、僕がレコーディングする段階になると周りに誰もいなくなる(笑)。
KUMI:そうそう。RYUさんは時間が空いてる時にやっといて、みたいな感じで(笑)。
RYU:だから、今回は恭一さんに構ってもらえたのが凄く嬉しかったんですよ。その意味で言うと、ウエケンさんはもっと全体的なアドバイスが多かったですね。ただ、曲の構成やアレンジのアドバイスはお2人とも時に感覚的だったり、時に明確なものでしたよ。僕らとしては感覚的なアドバイスのほうが面白かったですけどね。指示を頂いて、ああでもないこうでもないと試行錯誤していくほうが。
──KUMIさんが新たなヴォーカル・アプローチを試みているのも、本作の大きな聴き所のひとつですよね。「BELIEVE ME」でのファルセット然り、「ぼくだけのシェリー」での囁くような唄い方然り。「YOU & ME」ではフィルターを掛けた早口ヴォーカルまで楽しめるし。
KUMI:そこは恭一さんとウエケンさんが引き出してくれた部分なんですよ。基本的には私のやりたいように唄わせてくれるし、そういう空気も作ってくれるんですけど、恭一さんはそこから「もっといろんな声が出るんじゃない?」とアドバイスをくれて、私の歌の未知な部分を気付かせてくれたんですよね。“ヤムヤムはこうじゃなきゃいけない”っていう思いが私の中では常にあったんですけど、今回はそれをもっと壊してもいいんじゃないかと思うようになったんです。そういう気持ちにさせてくれたのは、恭一さんとウエケンさんの力だと思いますね。今までもヤムヤムらしくないアプローチをやりたかったのに、どこか躊躇してできなかったんですよ。
RYU:従来通り、今回もメンバーだけでディレクションしていたら、KUMIもそこまでチャレンジできなかったかもしれないですね。
KUMI:うん、多分できなかったと思う。きっと守りに入ってたんじゃないかな。恭一さんとウエケンさんが私たちの新しい引き出しに気付かせてくれたんですよ。
──まさに“壊し屋”の面目躍如といったところですね(笑)。
杉本:ありがとうございます(笑)。まぁ、壊すと言っても、スカ・パンクというヤムヤムの音楽性は揺るぎないものだし、俺たちはそういった音楽の先駆者からダイレクトに影響を喰らった最初の世代なんだよ。ニュー・ウェイヴの流れの中から出てきたパンクにしろスカにしろ、“壊しながら構築していく”ことをミュージシャンが体現する凄く面白い時代だった。その影響下にあるから、“破壊”と言ってもそういう発想なわけ。ここまで外れてはみるけど、そこで何か面白いことがあるかもしれない。見付かれば進んでみようっていうね。
自由に音楽と向き合えるようになった
──その“壊しながら構築していく”アプローチで最も理想的な楽曲として結実したのが、恭一さんのプロデュースによる「シャングリラ」だと思うんですよ。ギターとホーンのフリーキーさ、ロールを多用したドラムと、これまでにない新たなアプローチがふんだんに盛り込まれていて。こういうおもちゃ箱をひっくり返したような曲は具現化するのに苦労したんじゃないかと思いますが。
RYU:最初にスタジオでいろんなアイディアを恭一さんに出してもらった時に、“ホントにそれでいいんですか!?”って正直不安なところもあったんですよね。部分部分でなら判るんだけど、ほぼ全曲でドラムがずっとスネアを叩きっぱなしとか(笑)。まぁ、完成した時に“ああ、こういうことだったんだな”と初めて理解できたんですけど。
杉本:ドラム・キットは、キックとスネアとシンバルとハットしかなかったからね(笑)。
RYU:レコーディングする段階まで、「シャングリラ」の方向性もこれでいいのかな? と思ってたんですよ。少なくとも、曲作りの段階ではアルバムのリード・チューンにはならないだろうと思ってた。それがいろいろとアイディアを詰め込んでいくうちにリード・チューンになったというのが、個人的にはもの凄く衝撃的だったんです。そこまで様変わりする曲は今までになかったですから。僕がデモの8割方を作って、変わるのはそのうちの2割くらいだったんですけど、「シャングリラ」に関しては6割くらいガラッと変わったんです。僕が思ってた曲のテンポ感や疾走感がより前に行ったと言うか、増した感じになった。
杉本:まぁ、メンバーは相当混乱したと思うけどね(笑)。リハのテープを聴いた時からアルバムの完成型は想像できてたんだけど、俺がバンドマンだからなのか、まず何よりもメンバー自身が楽しむことをやりたかったんだよ。ギター・サウンド・プロデュースの時はRYUとそういうやり取りができたから、今度はみんなで楽しみたかったんだね。で、まずドラムが面白くなきゃつまんないっていう発想が俺の中にあって。ドラムが良けりゃ全部オッケー、みたいなところがあるからね。ドラマーも今回のようにスネアだけでどこまでやれるかが凄く楽しかったりするし。
──ドラムにフォーカスを当てる方向性だったからこそ、ICHI-LOWさんいわく「今までにないくらい溜めて叩いた」という「ROCK YOU」みたいな曲があったり、「YOU & ME」は大団円の後にドラムの一音で終わったりする構成になっているんですね。
杉本:うん。ICHI-LOWも大変だっただろうけど、彼なりに楽しんでいたよね?
RYU:僕らじゃ許さないようなことを恭一さんにやらせてもらってたから、本人は凄く楽しんでましたよ(笑)。初期の頃は全部僕がディレクションしてたし、今も曲の雛型は僕が作るので、どうしてもカッチリしすぎてたんですね。それが程良く壊れたほうが面白いことに今回ようやく気が付いたんですよ。ギターも今まではキチッとズレなく弾かないと気が済まなかったのが、今はある程度ズレがあっても表現的に面白ければ結果オーライなんです。それは、今回の経験がなければ永遠に気が付かなかったことかもしれない。
KUMI:ライヴでの他のメンバーに対するRYUさんのアプローチも凄く変わったんですよ。レコーディングを終えてから明らかに違うんです。凄く前に出るようになったし、どう見られているかを凄く意識するようになったと思う。それに釣られて私たちもテンションが上がるようになったんです。やっぱりRYUさんがヤムヤムの中心だし、そのRYUさんが変わったことによって他のみんなも凄く自由に音楽と向き合えるようになった気がしますね。それはホントに恭一さんとウエケンさんのお陰だと思ってるんですよ。
──どことなく昭和歌謡の匂いもある「ぼくだけのシェリー」みたいな曲は、やはり恭一さんなくしては生まれ得なかった気もしますね。
杉本:RYUと「残り4曲、どうしよう?」って話してて、「とにかくマイナーな曲を1曲作ってくれ」ってお願いしたんだよ。RYUは「マイナーかぁ…」って悩んでたけど、あっさりといい曲を作ってきた。それが「ぼくだけのシェリー」で、KUMIがレトロな歌詞を書いてきたから音の方向も自ずと決まったんだよね。
KUMI:「ぼくだけのシェリー」は、今回のアルバムの中で一番好きな曲なんですよね。どういうふうに表現すればいいのか最初に凄く戸惑ったし、艶っぽい歌声でアプローチしようとは思ったものの、ヤムヤム的にはどうなんだろう? っていう思いがずっとあって。
──「俺はいいけど、矢沢はどうかな?」という矢沢永吉さんの名言みたいなものですね(笑)。
KUMI:(笑)でも、レコーディングが進んでいくうちに今までやったことのない表現にチャレンジする自信も付いてきたんです。恭一さんが提案してくれたウィスパーな歌声も最初は恥ずかしかったんですけど、いざレコーディングに挑んだらそんなに大変じゃなかったんですよね。
弾きこなせるヤツがデタラメに弾く面白さ
──ちなみに、恭一さんはKUMIさんというヴォーカリストをどう見ていますか。
杉本:最初にヤムヤムのライヴを観た時、KUMIはもっと大きい舞台を踏んでいけるヴォーカリストだと思ったんだよね。まぁ、ヤムヤムのメンバーはみんなそうなんだけど、スカ・パンクっていう本来もっと自由なはずの音楽をやっているのに、俺にはちょっと保守的な部分を感じた。そこをまずほぐしたかったね。俺は自分でも唄うし、KUMIとは共有し合える部分も多いからアドバイスはしやすかったよ。とにかく「可能性はもっと広いよ」ってことをKUMIにはずっと言い続けてたね。現に、KUMIにはまだまだ眠っている才能があると思うし、もっともっといろんなタイプの歌が唄えるはずだよ。そこはこれからも期待したいよね。やっぱり、歌モノは歌が命だからさ。
──同じように、RYUさんのギターについては?
杉本:RYUはもともと器用なギタリストだね。いろんなことができるし、ちゃんと勉強してきた感がある。ただ、RYUがそれまで体験してこなかったであろうこと…なんて言うか、ちゃんとギターのことを判ってるヤツが弾くデタラメなプレイみたいなものを教えたかったね。デタラメなヤツがデタラメに弾く無垢なプレイも素晴らしいんだけど、ちゃんと弾きこなせるヤツがデタラメに弾く面白さっていうのがあるから。RYUは柔軟性があるし、そういうアドバイスをしてもちゃんと面白がれる。だからどんどん一緒になってエスカレートしていったね。
──その恭一さんの言葉に本作のテーマが集約されている気がしますね。今持ち得るスキルで初期衝動を作品に反映させる意図があったわけですから。特に「SUPER SUMMER DAY!」はスキルのあるバンドがやるハチャメチャ感がよく出ていますよね。ゆったりした曲調からAMEALさんのラガマフィン調のラップが入って、中盤からアップ・テンポになって疾走していく構成がユニークで。
RYU:もう2年くらい前から前半部分のアイディアはあったんですよ。後半が出来なくて曲として面白くなかったから、ずっと温めておいたんです。「ぼくだけのシェリー」もサビのモチーフだけは随分前からあって、最初にそれをみんなに聴かせた時は「ちょっとお洒落すぎてバンドに合わないんじゃない?」って言われたんですよね。でも、レコーディングの後半に差し掛かっていろんな曲が出来ていくうちに、そういう大人っぽい部分も出していいかな? と思ったんですよ。とにかく、恭一さんとウエケンさんのお陰でいろんなことが良い方向に変化できましたね。僕のギターもかなり変わったし。今まではレスポールのハンバッカーが主流だったのが、恭一さんと同じテレキャスターを使うようになったんです。恭一さんの真似っていうわけじゃないんですけどね(笑)。ただ、曲によってはテレキャスターじゃないと味の出ないところにも気付いたし、プレイ・スタイルもだいぶ変わったんですよ。それに伴ってライヴの動きも自ずと変わっていったんですね。
──体内の血液を全部入れ替えたような感じですね。まるでキース・リチャーズのように(笑)。
RYU:それに近いものはありますよ。もちろん過去に培ったものは何ひとつ無駄になっていないし、捨てるつもりもないですけどね。僕の中のイメージとしては、自分たちをより開放できるようになったと言うか。僕自身のことで言えば、リズムが崩れないようにキープしたり、ウチはホーンもいるし常に裏方に徹しようと思っていたのが、もっとギターが前に出てもいいんだなと思えるようになった。まぁ、巧くデタラメに弾くのはまだまだ発展途上にありますけど(笑)。
──でも、各パートがバタバタと暴れ回る「YOU & ME」みたいな曲を聴くと、いい意味でのデタラメ感がかなり理想的な形で表出していると思いますけどね。
RYU:「YOU & ME」は難しかったですね。上手い具合にバタバタ感を出しつつ、かと言ってホントにバタバタしちゃうのも良くないわけで。
杉本:「YOU & ME」に関しても、カッチリした演奏なり編集とは真逆のことをやろうとしたよね。後半は極端にスピードを上げたりして。「YOU & ME」を録った時点で、最後に締めるのはこの曲しかないと思ったね。
RYU:「ROCK YOU」も、恭一さんにプロデュースしてもらわなければ個性の際立っていない、ありふれた1曲に終わっていたと思いますね。あと、「パンクソング」は恭一さんのアイディアでもの凄く小さいマーシャルを使ったんですよ。わざと安っぽい音色を出そうとして(笑)。
杉本:あれは面白かったね。いい音がしすぎて逆に困ったもんな(笑)。
バンドはとにかく「好きにやれ!」
──そうした新たな試みに満ちた楽曲もあれば、セルフ・プロデュースの「スカイウォーカー」のように従来のヤムヤム節を存分に味わえる楽曲もあるし、とてつもなく情報量の多いアルバムだと言えますよね。
RYU:長いタームで録ったし、僕らの成長が垣間見られるアルバムだと思いますね。ヤムヤムの変わっていく姿を1枚のアルバムで表現できていると思う。『Jelly Beans』の時はいろんな曲をやってみようとしてポップな方向に寄っていたんですけど、それ以降、ライヴで楽しくプレイできるにはどうすればいいかを考えるようになったんですよ。そうすると、曲は自ずとアップ・テンポなものが増えていく。要するに、何よりもまず自分たちが楽しいと思える音楽をやろうと。そこを大事にしようと思って作ったのが「スカイウォーカー」だったんですね。
杉本:まぁ、今回はメンバーと気持ちを通い合わせる時間を持てたのも良かったかな。ラッキーなことに合宿レコーディングだったので、録りが終わって数時間は呑みながら話ができたから。去年、レピッシュの再結成の時には名古屋のライヴでIZUMIにブラスを手伝ってもらったりもしたし、いい具合に縁が転がっていったね。ICHI-LOWとは合宿の食事の時に食い物の話で盛り上がったし。ICHI-LOWと一緒に東京〜名古屋を移動した時も、食い物の話しかしなかったからね(笑)。
──今後バンドを続けていく上で、恭一さんからお2人に対して具体的なアドバイスを是非。
杉本:レピッシュのプロデュースで出会ったホッピー神山さんとトッド・ラングレンは俺が尊敬しているミュージシャンなんだけど、その2人が俺に教えてくれたのは「好きにやれ!」ってことなんだよ。バンドほど自由に好き勝手やれる場所はないんだから。それだけかな。
RYU:それはそのまま、恭一さんから今回教えて頂いた気がします。自由だからこそ凄く難しいですけどね。
杉本:うん、凄く難しいよ。でも、だからこそとてもやり甲斐がある。かれこれもう20年以上音楽をやってる俺がヤムヤムに対して最大に羨ましいのはさ、バンドが今現在進行形の真っ只中にあることなんだよね。KUMIもRYUも他のみんなも、きっとヤムヤムオレンジが生涯一のバンドになるんじゃないかな。まぁ、それぞれがこの先どんな人生を送るか判らないけどさ。俺が今まで出会ってきたバンドの中でも非常に結束が強いしね。だから凄く羨ましいし、バンドとしてはいずれヤムヤムオレンジというジャンルになって欲しいと思うよね。
──こうした縁が育まれると、今回のレコ発ツアーのどこかで恭一さんがゲスト参加するのを思わず期待してしまいますね。
杉本:いやいや、それはステージ上の平均年齢を上げるだけやけん(笑)。ヤムヤムのお客さんの前に出たって「あの人、誰?」って思われるのがオチだよ(笑)。
KUMI:そんなことないですよ(笑)。私は恭一さんのライヴを観て、凄く引き込まれるものを感じましたから。
RYU:でも、恭一さんと同じステージに立つのは夢なんですよ。恭一さんの壊れていくプレイにどこまで対抗していけるかっていう…。IZUMI以外のメンバーはまだ恭一さんと共演したことがないし、レコーディング同様にバンドがいい方向に変わっていけると思うんですよね。
杉本:そんなかしこまらないで、いつでも言ってくれよ(笑)。呼ばれれば行くよ、もちろん。
RYU:ホントですか!? 余りに畏れ多くて、今までなかなか言い出せなかったんですよ(笑)。ライヴでの共演が実現したら、恭一さんにヤムヤムの曲に参加してもらいつつ、僕とHIDEの念願でもあるレピッシュの曲を一緒にやるという夢を叶えたいんですよね。個人的には「RINJIN」が好きなんですけど、やるならやっぱり「パヤパヤ」かなと。HIDEはTATSUさんのベースに凄く憧れてるし、「恭一さんとレピッシュの曲がプレイできたら泣いちゃうかもしれない」って普段から言ってるんですよ。まぁ、喜んで泣くのか巧く弾けなくて泣くのかは判らないですけどね(笑)。
Yum! Yum! ORANGE
ORANGE ROCK FES 33
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-73332
2,800yen (tax in)
M-10「Merry Go Round」がNHK環境キャンペーン『コエだしてエコ』テーマソングに決定!
IN STORES NOW
★iTunes Storeで購入する(PC ONLY)
Live info.
Yum! Yum! ORANGE
7月5日(土)名古屋 CLUB QUATTRO
with:フーバーオーバー / つしまみれ / 地慕里ジャンクション
TREASURE05X with ZIP-FM 〜steal the show!〜
8月15日(金)Zepp Nagoya
with:175R / GOLLBETTY / ムラマサ☆ / ONE OK ROCK / ホイフェスタ / etc...
“ORANGE ROCK FES 33”TOUR
8月30日(土)宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
8月31日(日)横浜F.A.D
9月6日(土)新潟CLUB JUNK BOX mini
9月7日(日)高崎club FLEEZ
9月13日(土)高松DIME
9月14日(日)広島CAVE BE
9月20日(土)福岡DRUM SON
9月27日(土)仙台MACANA
9月28日(日)水戸SONIC
10月5日(日)代官山UNIT
10月11日(土)梅田Shangri-La
10月25日(土)名古屋E.L.L.
杉本恭一
ハピラピ☆ロック
7月20日(日)渋谷屋根裏
杉本恭一&The Dominators / スロウロリス / 町田直隆&PK BATTLES / etc...
UNSCANDAL Presents『お静かに』
7月31日(木)下北沢440
UNSCANDAL / 杉本恭一 (Ba:岡本雅彦、Per:矢野一成) / Unlimited Broadcast
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http://www.yumyumorange.jp/
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