このムックはイースタンユースの吉野さんの顔がドーンと表紙を飾るもので、前の会社をクビになる直前に当時の同僚と一緒に一生懸命作った本であります。イースタンの他にもファウルや怒髪天、ナート、カウパァズ、ナンバーガール、そしてブッチャーズのインタビューやディスコグラフィがガッツリと載ってる非常にマニアックな内容でありました。
かつて自分が手塩に掛けて作った本が古書店で投げ売られているのを見ると何とも複雑な気持ちになるのは確かだけど、買い戻すような行為に走ることはほとんどない。もとから余り過去に執着しない質だし、自分が昔作った本は粗ばかりが目についてウンザリするのが最たる理由。売れない本ばっかり作っていたので誤植を直せなかったものも多いし。実際、自分が手掛けた本や雑誌は驚くほど手元になくて、たまに知り合いから「あの本が欲しい」と言われることがあっても持ち合わせがないので返事に窮する。Rooftopも全然手元にないけど、これは会社に行けば全部揃ってるからなぁ(在庫一冊のもあるけど)。
それでも『爆音侍〜激情無宿編〜』を買い戻したのは、手元に一冊もなかったのと、久々に自分でも読んでみたい記事があったから。それと、この間吉野さんにインタビューをしたことも何となく関係してるような気もする。
今度出るイースタンのベスト盤2種はそれぞれ『1996-2001』『2001-2006』というタイトルで、前者は僕が社会人になって会社をクビになるまでの年月が符合。イースタンがキングに移籍したのは僕がロフトに拾われたタイミングと一緒…なんていう強引な解釈も成り立ったりするわけです。まぁ、言うまでもなくそんなのはファンの身勝手な妄想ですけどね(笑)。
上の写真にもある通り、7月号の本誌ではイースタンユースへのインタビューを4頁にわたって掲載しています。これはもう編集長特権の行使以外何物でもないのですが(笑)、ご本人たちは賑々しく活動の節目を祝うことをヨシとしていないものの、結成20周年を本誌なりにお祝いしたい意味もあります。
まぁ、それよりも何よりも、イースタンがリスペクトするアーティストが一堂に会したオムニバス・アルバム『極東最前線2』の内容が余りに素晴らしく、それに収録されたイースタンの「東京」という新曲がこれまた素晴らしい歌なのでじっくり掘り下げて話を訊きたかったのが誌面を拡大させた最たる理由なのですが。ディスクユニオンから出てる『FOLLOW UP』は次号イースタンが表紙らしいので質量的には負けてるかもしれないけど、僕は僕なりに読み応えのある誌面にしたつもりなので是非Rooftopのインタビューも読んで欲しいです。それをきっかけに『極東最前線2』を聴いてもらえたらこんなに嬉しいことはないです。
それにしても、20年かぁ…。トイズ盤の音源からも12年(ということは僕も社会人12年)、あの『爆音侍』からもすでに7年。そんな歳月の積み重ねによる重さを感じさせずに軽やかなスタンスで活動を続けるのが如何にもイースタンらしくて僕は好きです。
むさ苦しいほどに(或いは一編のイタさを感じさせるほどに・笑)僕がイースタンを好きなのは、次号掲載のインタビューを読んで頂ければよーく判ってもらえるでしょう。新曲への言及から派生して披露される吉野さんなりの東京観は一読の価値があると思うので、ひとつ精読して下さると幸いであります。(しいな)